PTA法(ドッサリース農法)



エネルギー肥料



     エネルギー肥料 

最新更新日は2010年12月29日です


エネルギー肥料(エネライザ・enelizer)


サイト編集

当サイトは、かなり膨大です。いろいろな角度から検討したためです。ここからいろいろなファイルへ移動できます。

トップエネルギー肥料植物から見た光合成移転理論第2章PTA法の糞尿処理第3章PTA法による栽培第4章PTA法の考え方第5章化学式で見るPTA法第6章低分子量有機物第7章光合成移転農法第8章PTA法のまとめ第9章PTA法の基礎知識第10章PTA法からの視点第11章有り得ない選択・PTA法第12章作物の美味しさについての一考察第13章PTA法の有機物吸収の考え方第14章炭素肥料が理解されない理由第15章PTA法サイトの図面集PTA theory is recycling of photosynthesis, carbon fertilizer and energy fertilizerツイッターのためのPTA法・光合成移転農法PTA法とランドラッシュ・第三の道か?ゲストブックにログイン


見落とされていた生育のエネルギー

PTA法(光合成移転農法)は、植物が有機炭素を獲得する経路として光合成の他に吸収によって有機物を獲得する経路を活用し、吸収されやすい低分子量有機化合物を炭素肥料として施肥し、植物の生育を促進するものです。

炭素肥料は有機物であり、過去の光合成(炭酸同化作用)によって有機炭素となったものであり、有機物の吸収は、植物にとって光合成をバイパスして光合成産物を獲得することでもあります。

この吸収による有機物の獲得は科学的に検証されています。しかし、何故か積極的に利用されていません。見落とされていたとしか思えません。

PTA法(光合成移転農法)は、見落とされていた「吸収による有機物の獲得」を大袈裟に捉えたものです。

そして、これまで「見落とされていた」ことを如実に物語るのが「エネルギー肥料」というものの見方です。

これまでの農業や植物の生育において、「エネルギー」は見落とされていたかもしれません。

誰もが「豊作」を目指して栽培に取り組んでいます。豊作は、より多くの元素を圃場から収奪します。このとき、より多くのエネルギーを収奪しています。収奪見合う必須養分元素を施肥設計で補っています。しかし、エネルギーは補っていません。

豊作は、より多くのエネルギーを圃場から収奪するにもかかわらず、私たちは、作物に格別のエネルギーを与えていません。

「物質収支」「エネルギー収支」は、自然界のすべての事柄で成り立っている関係です。より多くの収穫を望むのであれば、それなりの所作が必要です。

ここでは、栽培における「エネルギー肥料」という概念を検討します。

PTA法は、植物の有機炭素の獲得に関して、次のように2つの経路を活用する新しい自然界の見方です。

    植物の有機炭素の獲得経路=[A:光合成] + [B:有機物の吸収][A:葉] + [B:根]

そして、これまでの植物、生態系、耕種農業では、[B=0]であったと考えています。

農業や生態系、あるいは植物の生育で、そのような「見落とし」があるとは、俄かに信じ難いことです。

その意味では、PTA法(光合成移転農法)の見方に誤りがある、と考えるのが圧倒的に大多数の見方です。

しかし、この「エネルギー肥料」という概念が従来の農業や植物、生態系の見方に含まれていないことが、PTA法の見方が正鵠を射ている可能性を高めます。

エネルギー収支は、物質収支と同じく、自然界の全ての事柄で成り立っている事柄です。

作物の栽培では、誰しもより多くの収量を望みます。より多くの収穫物には、より多くのエネルギーが含まれています。

これまで、殆ど全ての人が作物にエネルギーを与えることなく、より多くの収穫を望んでいます。

それはエネルギー収支の観点からすれば、ほとんど「加持祈祷」の世界です。産業としての振る舞いとは思えません。

それが、今までの農業の姿ということができます。

「エネルギー肥料」という視点は、PTA法が初めて提唱する自然観です。

そして、PTA法が従来の農業の取り組みよりも正鵠を射ている一つの側面が「エネルギー肥料」ということもできます。

[ 質量保存の法則] ●[エネルギー保存の法則]


Food Energy 生理的熱量

単位系の統一の機運の高まりから、同じ単位で表記できるものを全て統合する見方が進んでいます。ただ、単位の統一が必ずしも妥当ではないのが、生理的熱量food energyです。欧米では、生物活動のためのエネルギーを「food energy」と区別しています。しかし、日本ではその理解が少ないように思えます。

【家畜糞尿を例にしたエネルギー】

家畜糞尿には有機物が含まれているために、発熱量燃焼熱)、というものがあります。家畜糞尿を焼却処理する場合には、助燃エネルギーを求めるために、発熱量を計測します。

また、家畜糞尿をメタンガス発酵処理を行い、メタンを取り出し燃料として利用することがあります。この場合、取り出されるメタンガスの燃焼エネルギーは、最大でも上記の発熱量を超えることはありません。

また、メタンガスを内燃機関で燃焼して回転エネルギーを取り出し、電気エネルギーとし、燃焼ガスを熱交換する利用の仕方もあります。そうであっても、元の発熱量を上回るエネルギーが生じることはありません。

他方、あくまでもPTA法の考え方に基づいて、家畜糞尿を生石灰で分解して低分子量化し、炭素肥料として圃場施用すると、ある種の有機物は作物に吸収・同化され、作物の有機炭素化合物となります。作物に同化された有機炭素化合物は、作物にエネルギーを与えたことになります。

PTA法では、作物に吸収・同化される低分子量有機物を炭素肥料と考えて栽培を進めます。この炭素肥料の吸収は、化学元素と共にエネルギーを獲得することでもあり、「増産」という希望には合致している所作です。


■ 家畜糞尿等と生石灰とを混合した時の残留物が驚異の農業を生んでいます。

■ 低分子量有機酸カルシウム塩を主体とした土壌改良資材です。

■ 低分子量有機酸が植物に吸収・同化されるなら「炭素・COH肥料」かもしれません。

■ 炭素肥料は、「物質」と共に、「エネルギー」を供給する「エネルギー肥料」ともいえます。

■ PTA法は、世界で初めて「エネルギー肥料」の概念の尻尾を踏んでいました。


エネルギー肥料 =energy fertilizer = enelizer =エネライザ

質量肥料 = mass ferilizer = fertilizer =従来の肥料

難しいことは多々ありますが、物質収支・エネルギー収支は逃れようもない自然の掟です。物質収支・エネルギー収支を図にして眺めると、現状では、COHとエネルギーがすっぽり抜け落ちています。光合成の部分です。

「不足を補え」というのではなく『補給できるなら、補給してみよう』という考えでよいかもしれません。増収・食味改善・老木若返りという、劇的な効果でした。大地の太陽のようなものかもしれません。

エネルギーの視点で見ると、有機廃物の取り扱いが、驚くほどハッキリと浮かび上がります。

COHが不足していたのではなく、COHが肥料で補給できた、ということかもしれません。コペルニクス的発想の転換かもしれません。

搾乳牛1頭の1日の糞尿を「堆肥化」「メタンガス燃料化」「メタンガス発電」あるいは「生石灰処理、炭素肥料化」とさまざまな処理と利用の形態で、生みだされる経済効果を比較すると、おおよそ上図のような関係が導き出されます。

堆肥は、NPKの肥効価として評価できます。メタンガス化は、糞尿の熱量がそっくりメタンガスになったものと仮定します。

発電は、家畜糞尿の発熱量を電気に置き換えたものです。いわゆる理論的な上限値です。

生石灰処理、炭素肥料の場合は、糞尿の熱量を、いろいろな作物の可食部の熱量と小売価格に換算した時の計算値です。可食部の熱量は文献値によります。小売価格は大凡の値です。作物の種類による可食部の割合の換算はしていません。糞尿のエネルギーが100%可食部になったものとしています。

この図は、あくまでも「有機物は食糧として活用することが、最も大きな価値を生み出す可能性がある」と言うことを理解するために示したものです。

有機廃物は、その状態によって、処理の仕方、利用の仕方が限られるかもしれません。しかし、それぞれの有機廃物の保持している可能性の上限というものはあるように見えます。

上記の例でいえば、「NPKの肥効価なら200円程度」「電気なら800円程度で、メタン発酵効率、エンジン効率、発電効率が掛け合わされる」「メタンガスなら400円弱で、メタン発酵効率が掛け合わされる。発酵温度の維持で失われる部分もある」「生石灰処理は、処理費用が恐ろしいほど高い。しかし、耕種農業の増益が非常に大きくなる可能性がある。それは、品目で異なる。」というようなことです。

さらに言えば、農業の資本の回転の遅さを考慮すれば、設備投資の他に、所定の期間の処理費の適正な支援(融資)が必要であることも判ります。

また、その生み出す収益の高さを考慮すれば、糞尿の処理や、炭素肥料の販売の過程は、畜産業や耕種農業ではなく、別の事業母体でも良いことが判ります。

(PTA法は、炭素肥料、光合成リサイクル、エネルギー肥料、光合成バイパス等というように新しい概念を提案するものです。その経済的な側面を紹介するために、ある時点での経済的な数値を利用していますが、あくまでも、理解を助けるための参考です。それぞれの実情に合わせて全ての数値を置き換えてお考えください。)


■ エネルギー肥料の位置づけ

最初に、エネルギー肥料なるものの位置付けを示します。

植物の生長では、必ず「物質収支」「エネルギー収支」とが成り立っています(自然現象には全て成り立っていることですから)。

植物のエネルギーの獲得は専ら光(太陽光)によっています。他にどのようなエネルギーを獲得する術があるか判りません。

これまでは「物質収支」に重点をおいて運用されていたため、施肥設計においても「物質収支」に基づいた検討がなされていました。

このため「エネルギー収支」に関しては、ほとんど顧みられることはありません。

当サイトの、本項目では、物質の質量に基づくエネルギー供給であるエネルギー肥料について検討します。

当サイトでは、ある種の低分子量有機物は、植物に吸収され、同化されるように振舞うことを取り上げて、種々の視点で検討しています。

有機物の吸収と同化が存在するとすれば、「炭素肥料」と言い換えることもできます。

それ故、当サイトでは「炭素肥料」を主体に、新しい農業の在り方を紹介しています。

本項目では、炭素肥料の一面として「エネルギー肥料」という視点から、農業や生態系を概観します。

(勿論、既に、炭素肥料をエネルギーの獲得として別の章に例示しています。)

次の図表の、「エネルギー収支」-「質量」の項目に該当するものがエネルギー肥料となります。

また、このエネルギー肥料は「有機物」であることから、同時に「COH」の元素の供給源にもなっています。

なお、残余の必須元素についての供給源となるか否かは、判りません。たまたま同伴する成分にそれらの成分が含まれることもあるでしょう。

しかし、それは「混合物」によるものであり、エネルギー肥料の本質とは無縁のものといえます。

植物の生長に際して、エネルギー肥料という概念を取り入れると、どのようになるかを以下に検討します。

当サイトでは、エネルギー肥料を「エネライザ」と便宜的に呼称することがあります。


要旨


PTA法(光合成移転農法)を、エネルギー肥料という側面から検討します。

植物の生育に、エネルギー肥料という概念を導入することで、植物の姿、栽培の在り方がまた一つ明らかになってきます。

即ち、「NPK肥料等の従来の物質(質量)としての肥料」とエネルギー肥料とを考慮することで、植物の生育に必要な要素をより多く取り入れることになり、より現実の姿に近い植物の有様が見えてきます。

これまで、NPKを中心とした化学元素の過不足を補うという物質収支を重視して営まれていた農業が、エネルギー肥料」という概念によって「エネルギー収支」を取り入れることで、新しい農業の姿が浮かび上がってきます。

更に、エネルギー肥料を考慮すると、エネルギー肥料の原料がどのような処に存在するかも判ってきます。

そして、エネルギー肥料という概念の活用によって、未利用資源の活用、耕地の生産性の向上、日常の生活の向上、より合理的な社会・経済形態など、およそ世界中の人間活動の根本から、新しく豊かなものが示唆されます。

エネルギー肥料という聞き慣れない概念を提示することは、ともすれば「余計な無駄を生む」ことになりかねないことです。

しかし、いままでの人間活動を根本から見直すことが合理的である、とするような大きな効果を持つことから、敢えて、エネルギー肥料(エネライザ)」を導入して、検討を進めます。


経緯


当サイトは、30年前に開発された具合の良い生石灰による糞尿のリサイクル技術の普及を希望し、広く紹介しています。

この糞尿のリサイクル技術は、家畜糞尿と生石灰と混合して短時間に殺菌し、その生成物を耕地に利用すると殆どの作物に対して効果を奏し、驚くべきことに、処理費以上の経済的効果を奏することから、実質的に、家畜糞尿が経済的な負担がなく浄化されるため、開発以来、ながく利用されています。

即ち、誰が考えても衛生的な始末に往生する「家畜糞尿」が、10分間程度という短時間に完全殺菌され、そして、多額とは言えないまでも適正な労賃と、些少の事業利益を生み出している現実があります。

これは、看過できない現実です。

家畜の排泄物にはさまざまなものが含まれ、大腸菌O−157、BSE、口蹄疫、クリプトスポリジウム原虫、鳥インフルエンザ等のように菌類、ウイルス、プリオン等の感染性病原体が常に問題になっています。

・ 学校の給食に出された牛乳が原因と思われる「大腸菌O−157」による集団感染が発生し、約1万人程の学童が重篤な病に感染しました。

学童は、学校給食をなかば強制的に食べさせられる立場にあり、拒否することもしにくい環境にあります。そのような立場におかれた学童の命が給食によって失われたことは、たいへん痛ましい事件と言えます。

・感染源は特定されませんが、同様に、大腸菌O−157による感染被害が西日本地区に多発して、やはり、死者を出すに至っています。畜産先進国では、数多の経験から、この種の発生源を畜産廃物にと想定して、逸早く、感染経路の特定に至っているようですが、畜産後進国の日本では、解明が難しいようです。

・西日本で大腸菌O−157による感染症が多発した時期に、関東の地方の地域で、およそ1万数千名の地域で、9千名近い住民が「下痢を発症する」という事案がありました。

さほど大きくはない地域で、9千名の住民が下痢と腹痛に悩まされて医療機関へ通院することになれば、その状況は想像を絶するものがあります。この事案では、水道担当者が逸早く「原因は水道水では?」と機敏に対応して、原因が特定される前に水道の水源を切り替えて、沈下に向かいました。

後刻、この原因は、クリプトスポリジウム原虫によるものと判り、また、この病原体は「塩素殺菌」に耐えることから、水源と消費地との距離が短い日本においては、悩ましい問題といえます。

・口蹄疫は、昔から恐れられていた家畜の伝染病です。しかし、日本では発生頻度が低く、大きな問題となったことはありません。ただ、当事者にとっては大変な問題であり、常日頃から、飼育施設への感染を予防するために、出入りの制限、出入りの際の防疫は行っていました。

それが、2010年に宮崎県で発生し、防疫体制を掻い潜って感染が拡大し、甚大な被害を出して、いまだ封じ込めが完了した訳ではありません。

口蹄疫ウイルスは、家畜の全身の組織、くしゃみ、唾液、糞、尿、精液、呼気の飛沫など殆どのものから存在が確認されており、発症する前からウイルスが体外に排出されていることが判っています。

このため、「口蹄疫」を確認した時点では、既に広域に拡散している恐れがあります。このために、厳しい防疫体制をしいても、それを掻い潜り、拡散が続いているようです。

口蹄疫が発生すると、場合によっては発生地点から10km、20kmという遠隔地の家畜まで処分されるという、大きな影響を受けます。

少数規模から経営を続け、永年の積み重ねで規模を拡大したものが、一気に「ゼロ」という事態となり、およそ他の産業では考えられない状況陥ります。

・鳥インフルエンザウイルスにしても、日本では経験も浅く、詳細がつかめていませんが、欧米では、「一粒の鶏糞がウイルスを伝搬させ、地域の養鶏を全滅させた」という厳しい見方もなされています。

・BSEについては、ウイルスよりも更に小さな「プリオン」が原因ではないかとされていますが、詳細はつかめていません。現在は、脳と脊髄を取り除いているために、感染の可能性が抑制されているようです。しかし、広範囲な部位に対するプリオンの確実な検出手法が確立していないため、プリオンがどのような部位に存在しているかが特定できず、誰もが対応に苦慮している状況と言えます。

プリオンが、ウイルスよりも小さな蛋白質であれば、口蹄疫ウイルスが、ほぼ全身、血液、体液、糞尿、唾液などに存在が認められるように、プリオンも広い範囲にわたって存在している可能性も否定できません。

・畜産の先進国であるフランスでは、多種多様な食材を利用して、格別高度な料理が編み出されています。世界で最も高級な料理を幾つかあげた場合には、必ずフランス料理の名前が含まれています。

そのフランスでは、古くから畜産が盛んですが、国土の3分の1が、畜産排せつ物の汚染によって地下水を飲用できない地域となっているようです。糞尿による土壌汚染は、その瞬間には被害が顕在化しませんが、長い年月に渡り潜伏して、顕在化した時には致命的な被害を及ぼすようです。

こんにちでは、交通の便もよく、物流も発達しているので飲料水には不自由しませんが、不便な時代では、「水が飲めない」という状況は、その土地を捨てることを意味していました。

このように、家畜排せつ物による被害は大きなものがあります。

ともすれば、畜産は過疎地の田舎の産業として、大多数の人には無縁なものかもしれませんが、畜産が生み出す、「肉、乳、卵、乳製品等」は日々の生活に不可欠であるばかりか、所定の生育段階では無くてはならない産物です。

しかし、畜産品の売価は自由な価格競争によって決まり、排泄物を適正に処理するための経済的な裏付けがありません。

このため、従来の家畜糞尿の始末は、近隣の河川に放流したり、野積みにして、地下浸透や腐敗を待つことが多かったと言えます。

そして、畜産排せつ物による環境汚染が認識されるに従い、堆肥化処理を採用したり、尿を排水処理施設で浄化するようになってきました。

堆肥化処理も、排水の処理も強制的な通気を行い、高速で酸化を行う処理です。

好気性菌の処理は、嫌気性菌の処理に比べて、20倍弱の速度を持っていることから、溜めるだけの嫌気性処理に比べて、処理施設も小さく、滞留時間も短縮できる利点があります。

しかし、強制通気によって糞便や尿の微細な粉末が飛散することになります。通常であれば問題は無いのかもしれませんが、感染性病原体が含まれている時には、病原体を拡散することにも繋がる恐れがあります。


ところが、この糞尿の生石灰処理は、凡そ水分が90%程度の湿潤状態の糞尿に生石灰を添加して10分間ほどの混合操作によって内容物を取り出し、床に展開して通風乾燥して、固体粉末とするものです。

この10分程の処理操作で、糞尿の病原体が殺菌され、さらに、蛋白質や核酸、細胞膜等が低分子量物質にまで分解されるのであれば、環境保全、衛生、防疫等の面で信頼性の高い処理といえます。

さらに、その処理生成物が、現在まででは土壌改良資材として耕種農業に利用され、耕種農業における施用効果が大きいために土壌改良資材の販売費によって処理費が充当され、実質的に、糞尿の処理が畜産の経営の負担になっていない現実があります。

もし、そうであれば、家畜の糞尿を殺菌処理することは、格別大騒ぎをするほど問題ではなく、単に、適正な生石灰処理をすれば、糞尿は施設内で殺菌され、また、処理費用も最終的には負担にならないことが判ります。

勿論、初期投資や初期の運営費についての経済的な負担の問題はあるでしょう。しかし、当該処理施設の適正な耐用年数における操業の間に、通常の事業と同様に初期投資、初期の運営費については金利を含めて返済され、また、来るべき施設更新時における経済的な準備も可能となります。

即ち、家畜糞尿は飼育施設内で完全殺菌することに、何ら大きな問題はありません。

単に、糞尿の所有者である畜産事業者の自主的な判断で、適正な処理の道を選択していないだけというように見ることもできます。即ち、糞尿といえども私有財産であり、その始末は所有者の意向に従うことになります。


PTA法(光合成移転農法)は、この家畜糞尿の生石灰処理とリサイクルが、極めて合理的でよいものであることを、より判り易く理解しようとしたものです。

そのために、PTA法(光合成移転農法)では、「炭素肥料」という概念を取り入れて解釈しました。

従来の肥料要素として、「炭素」を想定することはあまり例がありません。

肥料要素と言えば、NPKを中心とするもので、COHは、光合成によって自然界から自然に獲得できる元素です。

そのCOHに関して、人為的に施肥する意味合いが理解しにくい側面がありました。

勿論、おなじ品目であっても、美味しいものと不味いものでは味も価格も違います。

すべての農産品が食品成分表に記載された通りの成分であるものではありません。

生産者は、常に美味しいものを目指して生産し、消費者も美味しいものを選んで購入しようとします。

即ち、同じ品目であっても構成元素の割合は多少異なり、一般的には、「糖分が高いもの」が好まれるようです。すなわち、CHOというような構成元素が余計に含まれることは決して悪い事態を招くもではないようです。

現に、このリサイクルでは、幅広い農産物において「増収」「食味の改善」という好ましい効果を生んでいます。

このリサイクルは、1980年頃に提案され現在数千haの耕地で利用されています。

そして、その産物は、水稲、蔬菜類、穀物、果樹、茶等の殆どの作物に利用され、良好な結果が得られています。

このリサイクルの実績を素直に受け入れるならば、日本中の家畜糞尿や食品残渣は、生石灰で殺菌して、全ての栽培に用いればよい、という結果になります。

その結果として、家畜糞尿や食品残渣の全量が完全に殺菌され、耕地に還元されます。

また、多くの品目では単位面積当たりの収量は倍増に近い増収となります。言うなれば、全作物が大豊作の状態です。

そして、驚くべきことに、このような大豊作の状況は生産物の食味を大きく改善します。

即ち、畜産、耕種農業、あるいは食品加工という産業分野だけにとどまらず、食事をする人の全てに関わる事柄です。

私たち日本人は、安価な外米を食べません。高くても美味しい国産米を主食としています。工学的な見地からすれば、全く論理的に説明できない現実です。私たちの社会は、「美味しさ」という主観的な尺度によって支配されているとも言えるでしょう。即ち、全てが理詰めで理解できる、というものではないようです。

本件の家畜糞尿のリサイクルは、「格別食味のよい産物が大量に生産される」という驚くべき効果を奏するために、「糞尿が完全に殺菌される」という高額な処理の費用も、結果的には畜産の経営の負担になっていません。

日本人の高額な国産米愛好という現象と同様に、理詰めでは理解できないものといえます。


土壌改良資材


今日、このリサイクルは約30年間で数千haに利用面積が拡大し、その地域では、ほぼ全品目の栽培に利用されています。そして、15sのビニール袋で資材が流通しています。

その袋には「有機石灰質土壌改良資材」と大きく表示されており、概ね、土壌改良資材として受け入れられています。

この土壌改良資材は、どのような土壌条件であっても、また、数多くの品目で、ほぼ毎年施用されています。

土壌環境を整えて作物の生育を促す「土壌改良資材」を、どのような品目でも使用しています。

土壌環境を整えて作物の生育を促す「土壌改良資材」を、どのような耕地でも、判でついたように同じように使用しています。

これが数千haで営まれている農業です。

当事者が、迷わずにこのような栽培を行うのであれば、おそらく、経済的に見合う、よい成果が得られるからでしょう。

しかし、作物は、その品目に応じて生息適地があり、土壌改良資材を判でついたような使い方をすることは、明らかに誤りです。

品目や土質に応じて微妙に使い方を変えるのが土壌改良です。

土壌改良であれば、一度適正な土壌条件に整えれば、以後、相当の期間は土壌改良資材を施用する必要はないはずです。

また、多くの場合、土壌改良資材は肥料よりも安価であることが普通です。

ところが、本件では、NPKの主要肥料よりも数倍(3〜10倍)もの費用を土壌改良資材に投じ続けています。

尋常ではない農業が展開されています。

そして、不用意な支出が一家離散を招きかねない農業において、実に豊かな営農を実現しており、生産者は、この異常とも思える営農形態を改める機運は全くありません。

意味不明な豊かな営農を是とするのか、誰もが得心できる疲弊に喘ぐ営農を是とするのか、・・・筆者は前者を是とする明快な理屈があれば都合がよい、と考えます。

1)「畜産売上の半額にもなる糞尿の生石灰処理をして、糞尿を完全殺菌している」

2)「糞尿処理費は、結果的に土壌改良資材の購入費として耕種農家が負担している」

3)「耕種農家は、NPK等の主要肥料の3〜10倍もの費用を投じて、この土壌改良資材を利用している」

4)「土壌改良資材でありながら、ほぼ全品目、毎年施用し続けている」

このようなリサイクルは、とても常識では得心ができません。現下の一般的な常識や、科学的、学術的、経済的なものの見方では理解ができません。


しかし、奈何せん、当事者がそれぞれの自己責任の範囲で実施している以上、何人も止めることもできませんし、余計なお世話です。

この不思議な具合のよいことが事実であれば、実社会のかなりの部分が激変することになります。

家畜糞尿や有機廃物の始末に往生している多くのものが、一気に解決されます。

耕地の生産性も倍増し、膨大な余剰耕地が生まれます。

世界的には、食糧危機は一気に遠のきます。

世界経済は、食糧の確保を中心に動いており、資源の枯渇、エネルギーの枯渇も多少緩和され、同時に、未来を指向した再生利用可能なエネルギーを基盤とした社会経済に移行を早めるでしょう。

この30年前から続く、具合のよいリサイクルを比較的に納得しやすく概観することは極めて意義深いものがあります。


炭素肥料


このリサイクルの耕種農業の現場を見ると、土壌改良資材として評価することに違和感を覚えます。

そこで、「炭素肥料」という見方で見直しました。その概要は、当サイトの従前の記載に示しています。

段階を追って記せば次のようになります。


●糞尿や植物屑、動物屑、食品屑等の有機廃物を生石灰で分解すると、蛋白質、核酸、細胞膜等の多数の生体組織が分子レベルで分解され、薬品というレベルまで分解され、菌類、ウイルス、プリオンという物体までもがペプチド結合の骨格窒素が除去されて生命体あるいは遺伝体としての機能を失っている。

●生体膜は、リン脂質の2重膜であり、細胞膜、核膜、ミトコンドリアなどさまざまな生体機能組織毎に他と区別するための仕切りとして多数存在している。

このリン脂質のリン酸基が外側に露出しているため、生石灰処理におけるカルシウムCaと生体膜のリン酸基とが結合し、溶けにくいリン酸カルシウムを生じて、結果として生体膜を破壊し、内部組織を外部に解放する。

●20種アミノ酸或いは22種ともいわれるアミノ酸がペプチド結合によって多数重合して、巨大な蛋白質の分子が形成されている。生石灰処理によって生じる強いアルカリ性の下では、骨格の窒素がアンモニアとして揮発し、巨大分子がほぼ当初の構成単位に準じた小さな分子量の有機物として分解するため、最早、生体組織としての機能は消失し、通常のさまざまな有機試薬の混合物ともいえる物質が生じる。

即ち、低分子量有機酸カルシウム塩が生成物として生じる。低分子量の有機酸としてはギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸というようなものであり、二価のカルシウムに対して、一価のカルボン酸と塩を作るために、有機酸側にいろいろな組合せが考えられ、複塩として生成されます。勿論、カルボン酸側の有機酸も三つのカルボン酸を持つクエン酸のようなものもあり、この有機酸カルシウム塩の種類は様々です。

しかし、この場合、床に撒き散らされた糞尿を集めて、これに生石灰を添加して混合するだけの操作です。一般的な反応操作のように、原料を分子毎に精製して純度を高めて、反応剤との純物質同士の反応を行うものではありません。

●約10分間の反応操作によって、反応物はスラリ状となり、床面に展開されて、外気を送風し、ときどきパドルで攪拌する操作を繰り返し、最終的には外気で乾燥された状態の固体粉末となります。

この固体粉末には、消石灰と炭酸カルシウムと有機酸カルシウムと繊維素とを主たる成分として含まれています。過剰の反応剤(生石灰)は当初、消石灰の形態となり、通風乾燥の際に、空気中の炭酸ガスを吸収して一部が炭酸カルシウムに転換されます。

●糞尿(原料)に含まれている有機炭素は、基本的には有機炭素の形態のままで生成物に移行します。ただ、蛋白質や核酸の骨格窒素は揮発するために生成物の窒素は少なくなり、「NPKの施肥効果」としては、原料よりも低下します。

即ち、NPKの持続供給資材としてみれば、生石灰処理によって効能は低下すると思われます。ただ、現状では土壌改良資材として考えて取扱っているために、作物が必要とするNPKの肥料成分量は肥料で充当するために、生石灰処理の悪影響はありません。

●多糖類に対する生石灰の作用はあまりなく、ほとんど無視しています。このため、多糖類、セルロースを主体とした生体組織(チップ、古紙等)については、生石灰処理によって有効な資材と成らないために、処理に利用する例はありません。

勿論、糞尿や生ゴミ、植物残渣等には繊維分も含まれていますが、格別問題なく処理に利用されています。

●生体組織の生石灰処理によって、蛋白質や核酸の生体高分子が低分子量有機物に分解され、生体高分子が生命体としての機能が消失し、そして、数多くの巨大高分子量成分が低分子量有機酸カルシウムという形態で固定され、この生成物を圃場還元すると、低分子量有機酸が溶解して植物の根の細胞膜から吸収され、ATPによって植物組織として利用されている。このことは、さまざまな生体組織が、適切な低分子量物質まで分解できれば、炭素肥料として光合成を経ずに植物体内に吸収、同化される、という驚くべき現象が生じているかもしれない、というのがPTA法(光合成移転農法)の見方です。


これまでの耕種農業は、播種・定植した圃場で、栽培期間中の光合成によって作物が生育する、という見方をしていたかもしれません。

これに対して、上記のリサイクルは、時と場所とにおいて、栽培が営まれている耕地ではない所で生じた有機炭素を、栽培中の作物に移転することから、「光合成移転農法」と評価し、PTA法としてサイトに紹介しました。

ここでは、有機廃物と生石灰とを混合して生じる低分子量有機酸カルシウムを主体とした残留生成物を「炭素肥料」と考えて、そのように表記しています。

なお、この項目では、この炭素肥料をエネルギー肥料」という別の見方で評価することになります。

これは、あくまでも上記のリサイクル技術をいろいろな見方で評価することで、「自分に合った理解の仕方」を見出して頂くための、方便にすぎません。

其々が、理解しやすい考え方で向き合っていただければ、それでよいと思います。


質量保存の法則」と「エネルギー保存の法則


「質量保存の法則」とは、化学反応の前後において質量が変化しない、という考え方です。

「エネルギー保存の法則」は、「熱力学第一法則」とも言われるもので、ある閉じた系ではエネルギーの総和は変化しない、というものです。

いずれも、相当確かな事柄であるために「法則」という名前が与えられています。

即ち、間違いのないものの考え方です。

ダイコンを例にして植物の生育を見ると、「ダイコンの種を蒔いて、栽培して、大きなダイコンとして収穫する」となります。

この全工程について言えば、「質量保存の法則」と「エネルギー保存の法則」とがそれぞれ成立しています。

このことは、絶対に間違いのないものの見方です。

種からダイコンになったのですから、其々、質量もエネルギーも増大しています。

作物の質量とエネルギーが増大するのは、外部から質量とエネルギーとを受取ったためです。

そして、ダイコンは呼吸をしたり、蒸散をしたりして、外部に質量とエネルギーとを放出しています。

即ち、栽培期間中のダイコンには、質量とエネルギーの流入があり、また、質量とエネルギーの放出があります。

ダイコンが生育するのは、質量とエネルギーの出入りの差と見ることができます。

質量保存の法則、エネルギー保存の法則は、静的な関係を示したものです。

非平衡(動的)の関係はまた別次元の事柄です。

作物が健全に生育するには、気温、風速、湿度、土壌条件など数え上げたら人知では及びつかないほど多種多様なものがあります。

しかし、ここでは、その詳細に触れません。

「質量保存の法則」「エネルギー保存の法則」以外にも大切なことが沢山ある、とだけ記してこの2つの概念で栽培を評価します。


この図は、畑に種を蒔いて、大きな作物として収穫することを模式的に示したものです。

多くの場合、エネルギーとなる太陽の出来不出来は、天気任せで気にすることはないでしょう。稀に、反射シートを利用したり、葉を取り除いて果実に日照を与えたりすることはあります。例外的に、ウド、モヤシ、電照菊、玉露のように積極的に日照を制御する栽培もあります。

多くの場合、このような図式で栽培をとらえ、供給するものと言えば、肥料の施肥、あるいは、肥料の施肥と水の供給を考えるだけのことが多いでしょう。

次の図は、従来の大多数の栽培で、物質収支と共にエネルギー収支を加味した場合の概要図です。前図のものを書き換えたものです。

図では、エネルギーを太い黄色の矢印⇒、として表しています。

栽培における、物質とエネルギーの出入について、それぞれ記号を付して識別しています。

しかし、エネルギーに関しては太陽光が供給されているだけで、自然に任せているだけのことが多いでしょう。

また、どのような形態で、どの程度のエネルギーが放出されているかを考えることは稀です。

この過程でエネルギーが問題となるのは、「食品成分表」のカロリー計算の時だけかもしれません。

全体の収支から見れば、種や苗の重量やエネルギー量は計算上無視してよいかも知れません。

図では、ダイコンやニンジンのような作物を想定して描いているので、果樹のような永年性作物では「蓄積量」が加味されるかもしれません。

しかし、ここでエネルギー肥料を考える場合には、このような簡単な図を参照することで十分と思われます。

なぜならば、エネルギー肥料という概念があまり利用されてこなかったためです。

このように、作物の生長の前後において「物質収支」と「エネルギー収支」とを考えることは、決して無謀なことはなく、考えて当然のことです。

そして、「物質収支」はいつも検討されていましたが、「エネルギー収支」は殆ど顧られることはありません。

栽培に際して、最も気になるのが収穫物であり、そのために、肥料の供給に最大の注意を払います。

そして、次の図は、PTA法(光合成移転農法)でのエネルギー肥料を考慮した栽培の概要図です。

PTA法(光合成移転農法)では、低分子量有機物を主体とした炭素肥料が施肥されて、低分子量有機物が作物に吸収され、同化されるために結果的に太陽光に依らないエネルギーの吸収が行われていると考えます。

即ち、炭素肥料はエネルギー肥料とも言いかえることができるものです。

そして、作物は太陽光ばかりかエネルギー肥料からのエネルギーを受取って生長します。その結果、大きな作柄となり、受光面積が増大するために、受光量も従来の栽培に比べて増大することが予想されます。

勿論、エネルギーあるいは物質(質量)の定量的な科学的調査によってエネルギー肥料の効果を実証しているものではありません。

ただ、栽培の過程における物質収支とエネルギー収支とが成り立つことは、間違いがないことです。

これまでは、専ら物質収支を中心に考えられていたものを、PTA法(光合成移転農法)のようにエネルギー収支を加えることは決して無駄ではないように思われます。

少なくとも、当サイトにおいて、「光合成移転農法」「炭素肥料」「有機圏内炭素循環」「光合成のリサイクル」というような概念を理解するには便利な視点と思われます。


食物連鎖


食物連鎖の図式は、簡単で判りやすいので引用します。次の食物連鎖の模式図は一般的なもので、異論はないでしょう。

今日の平均的なヒトの食糧は肉乳卵よりは、植物が多いと思われます。そのために、ヒトは広大な耕地を耕し、食糧を得てきました。このため、ヒトが植物を直接食べることを表現するために、次のように変形します。

緑色の植物をヒトが直接食べている図になります。この変形した食物連鎖の図についても格別異論はないと思います。勿論、図の出来不出来については多々議論があるでしょう。しかし、強ち、誤りの図ではないように思われます。

そこで、この第2番目の食物連鎖の図に、PTA法(光合成移転農法)から見た食物連鎖を示します。

黄色い部分がPTA法(光合成移転農法)に特有の部分です。家畜糞尿や植物屑のような有機廃物を生石灰で分解し、主として蛋白質や核酸に由来する分解生成物が低分子量有機物として生成物に残留します。即ち、この分解反応では殆どの有機炭素が、有機炭素のまま残留します。

ペプチド結合の骨格窒素が除去され、窒素は失われる部分もあります。しかし、遺骸や排泄物となって、本来であればカビのような分解者の餌となるべき有機廃物の有機炭素を効率よく作物に吸収、同化させるために、分解者への負荷が減ります。

そして、PTA法(光合成移転農法)は、生石灰処理によって低分子量化された有機炭素を、概ね、人にとって有益な耕種農業に活用するため、生理的熱量が効率よくヒトのエネルギーに還流されます。

食物連鎖のピラミッドは、簡単明瞭な模式図です。これを利用してPTA法(光合成移転農法)を表現すると、少し奇異なピラミッドとなりますが、炭素肥料、エネルギー肥料の役割が明瞭に示唆されます。

生態系において、分解者であるカビはどこにでも存在するものであり、格別、不足を感じません。そうであれば、無益に分解者に餌を与えるよりは、ヒトの食糧に活用するのが好ましいと言えます。


炭素肥料、エネルギー肥料の意義


当サイトは、家畜糞尿の生石灰処理とリサイクルに端を発した具合のよいリサイクルの普及を願うものです。

開発されてから、およそ30年の年月で数千haに広まり、その地域では殆どの栽培品目に対して「具合のよい土壌改良資材」として利用されています。

そして、通常のNPKの化成肥料の代金の数倍(3〜10倍と推測)の費用を投じてまで、闇雲に同一の土壌改良資材を使用する、という半ば狂気に近い現実があります。

勿論、その費用と効果を承知したうえでの利用ですから、格別問題視すべきことではありません。

ただ、この一連の過程において、家畜糞尿や植物残渣という、言うなれば廃物が完全に殺菌されていることから、環境保全や公衆衛生という観点から大変望ましいことが生じています。

ならば、この具合のよい現象をできるだけ理解し、普及することで万人にとって具合のよい状況が生まれるものと思われます。

従来、肥料として利用されている成分はNPKが最も多く、次いでCa,Mgなどがあり、以下の微量要素はあまり施用することがありません。

上記の図は、栽培の物質収支とエネルギー収支とを示しています。

そして、収支には直接表れない影響因子があることも示しています。

リービッヒの最小律やドベネックの桶としても有名な考え方で、一番欠乏している要素が生長の限界を支配しているという見方があります。

しかし、実際には、特別に糖度が高く、甘くておいしくて高価な果物(例えば、メロン)が店頭に燦然と輝いている一方、それほど高額ではない普通に十分美味しい普通のメロンも店頭にあります。

即ち、同じ植物であっても、多少の成分の割合が違うことはありそうです。

勿論、当サイトは、リービッヒの最小律やドベネックの桶を否定するために取り上げたものではありません。

人為的に操作できる事柄を増やすことで、リービッヒの最小律やドベネックの桶の活用を広げることができます。

生育の状況によって、成分の割合には幅があること誰もが体験しています。

他方、前図において、生産者が人為的に操作できる要素は限られています。

特に、露地栽培や土耕では、NPK以下の必須養分元素の施肥と、水の補給程度であることが多いようです。

そして、極めて一般的には、NPKの肥料要素と水であることが多いでしょう。

通常、微量要素は格別不足することがないため、十分に足りていると思われます。

また、NPKについても、十分な量を施肥することが為されているでしょう。

してみると、通常の耕種農業においては、人為的にできる範囲の手当は十分に為されていると思われます。

当サイトは、家畜糞尿や植物残渣を生石灰で分解した時に生成している低分子量有機酸カルシウムを主成分とする残渣を炭素肥料と考えて栽培に取り組むことを提案しています。

処理残渣の低分子量有機酸が植物に吸収され、同化されて当該植物の生体組織となるとすれば、それらの低分子量有機物は「炭素肥料」とみてよいのではないか、というものです。

従って、前図においてCOHの3元素についても供給対象元素となることとなり、物質収支の観点からは、一応、必須養分元素の全元素が供給可能な元素となります。

勿論、COHの3元素については、各々を個別に自由自在に供給可能、というものではありません。低分子量有機酸には有機炭素原子以外にも水素原子や酸素原子が含まれているため、有機炭素化合物の構成成分として植物に取り込まれるというものです。●

そして、この項では、「エネルギー収支」という観点から、炭素肥料エネルギー肥料と考えてみるものです。

これまで、植物が獲得するエネルギーは太陽エネルギーに限られていました。

即ち、光合成によって取り込まれる光エネルギーが植物が獲得する全エネルギーと考えられていました。

しかし、植物が有機化合物を吸収して同化するものであれば、有機化合物にはエネルギーが同伴しているため、ある意味で、「エネルギー肥料と言えなくもありません。

勿論、吸収された有機化合物が吸収される際には、同化(代謝)の過程によっては何らかのエネルギーの消費を伴うことが予想され、吸収された有機物の持つエネルギー(燃焼熱)が直ちに植物が獲得したエネルギーと解することはできません。

しかし、植物が有機物を吸収して同化する現象が存在するとすれば、吸収された有機物はCOHという元素を当該植物に供給する炭素肥料という側面の他にエネルギーを供給することになるといえます。

このことは、「日照が不足する」という場合に、不足を補うことができるかもしれません。

或いは、作物の生長を根本的に押し上げることになるかもしれません。

従来のNPKを中心とする肥料成分要素の供給は、土壌分析や推定される標準収量から予想される肥料要素の不足を補う目的で施肥されています。

低分子量有機物を主体とする炭素肥料では、有機物の吸収と同化によって、主としてCOHの3元素について施肥する考え方をします。

作物に吸収される有機化合物には多種多様なものがあり、其々の有機分子が、多種多様な作物の多様な成長段階において、どのように吸収され、どのような代謝過程に関与するかは全く検証されていません。

さまざまな部位にある有機炭素が、有機炭素であるという理由で同じ挙動を示すものとは思えません。

このように、植物に吸収された有機化合物の同化の経路は全く不明です。

しかし、そうは言っても、エネルギー収支からすれば、何らかの利得はあるように思えます。

何故ならば、「有機酸カルシウムを主体とする土壌改良資材を利用して、NPKの慣行肥料による栽培を行うと、幅広い作物において収量が増えて、収穫物が美味しくなる」という現象を解釈するために「炭素肥料」或いは「エネルギー肥料」という概念を用いて推考しているものであり、後知恵の理屈を考えているだけのことだからです。●

炭素肥料を、エネルギー肥料という視点でとらえると、さまざまな側面での効果が考えられます。

全ての栽培に共通する見方は、エネルギー肥料は、全ての品目に対して生長を底上げする、と言う見方です。

エネルギーの獲得量とCOHの元素の獲得量が増すことで、植物の生長が根本的に押し上げられることになります。

現実に、多種多様な作物に対して施用効果が顕著であるために、栽培している品目ならば殆どの品目でこの資材を利用している現実があります。

また、日照が遮られる施設栽培、北向きの斜面での果樹栽培のように日照が不足する栽培において不足を補う効果が予想されます。

陰性植物のように、光合成の飽和照度が低い植物においては、「日照不足」という状況は余りありません。しかし、光合成量が少ないことから、体内の生体エネルギーが少なく、代謝量も少ないものと思われます。

しかし、光合成に依らない経路でエネルギーを獲得できるのであれば、より多くのエネルギーを獲得することになり、生長を大きく促すことが予想されます。

現実に、果菜類のハウス栽培では、株元で異常なほど苔が生長している事例が多々見受けられます。

果樹においては、一定の樹齢になると果実の収量が減少し、計画的に伐採して若木に更新することが通例です。

老木となり、収量が低下する現象は、葉の光合成量が低下することが一因とされています。

もし、樹木が光合成に依らず経根吸収によってエネルギーを獲得できるのであれば、光合成の低下を補うことが可能かもしれません。

老齢となった樹木に、この資材を施用して、果樹の収量が回復したり、老木の桜の開花が回復したりしています。

このように、当サイトで「炭素肥料」と考えていたものを「エネルギー肥料」と考えてみることも、決して、無意味とは思えません。

本件の切っ掛けとなった家畜糞尿の生石灰処理とそのリサイクルでは、処理残渣を「土壌改良資材」として利用しています。

土壌の条件を改良する意味合いが強いと感じられるのであれば、それは構いません。

しかし、ほとんど全ての栽培品目に同じように利用することは「土壌改良」という観点からすれば得心がいかない面もあります。

このサイトでは、「肥料」という側面を併せて評価してはどうか、という観点で書かれています。

仮に肥料と言うことであれば、NPKやその他の成分で、堆肥や生の糞尿に比べて優れていることはありません。

物質収支の点から言えば、むしろ、N分が相当量揮発し、劣化しているといえます。

堆肥や生の糞尿に比べてN分が低下し、且つ、Kなどの持続性がない資材にNPKの数倍の費用を投じて使用する理由はありません。

このようなことから、「炭素肥料」という見方をしたものがこのサイトです。

また、有機物の吸収と同化には、エネルギーが同伴することから、新たに「エネルギー肥料」という見方をしたものが、本項目です。

土壌改良資材であれば、その効果の範囲や限界は不明瞭です。

しかし、肥料と言う見方をすれば、「吸収された分に相応する効果を奏する」というように、効果に対して一定の制限を加えることができます。

また、吸収量を増すために、施用量を多くするということも考えられます。

さらに、吸収量を増すためには、植物の水分吸収を促すことも有効な手段であることが判ります。

また、水分吸収には、蒸散が大きく影響することも理解できます。

そして、蒸散を大きくするには、施設栽培では、適切な換気が望ましいことも判ります。

或いは、空気中の湿度も蒸散に大きく影響するでしょう。

このように、炭素肥料をエネルギー肥料という視点で評価して、それぞれの栽培の現場で配慮することは、より多くの要素に対して気配りをした栽培を実践することができ、より合理的な栽培がなされるように思います。


エネルギー肥料としての効能の大きさ、即ち、植物が獲得して活用できるエネルギーの大きさについては、当サイトでは科学的に計測した訳ではありません。

ただ、植物が種苗の状態と収穫時の状態とでは、それぞれ、物質収支とエネルギー収支が計量できます。

供給される物質量やエネルギー量の計測は困難でしょう。

また、植物が排出する物質やエネルギーの計測も困難と思われます。

しかし、種苗の状態と収穫時の状態であれば概ね把握しやすいと言えます。

小さな種を蒔くのであれば、質量もエネルギーも「ゼロ」としてもよいでしょう。

そうなれば、単位面積(1反歩)とか1株とかの収量や、実際に計測される個体重要や元素分析、発熱量測定等で概ね推測ができます。

また、キャベツや白菜のような作物では、平均的な個体重やその成分割合、エネルギー等の値も既によく知られています。


キャベツであれば、平均的な収量は1反歩4.2トンであり、100gのエネルギーは24kcalと言われています。この食品成分表の熱量と表示されている値が必ずしも直接熱量を測定したものではなく、其々の成分割合に熱量を掛け併せて合算したものです。しかし、何も無いよりは、この熱量を利用すると実情を推測しやすいために、その値を利用しています。

1作当り1反歩では約100万kcalのエネルギーの収穫となります。

通常、1反歩当り1.5トン程の生石灰処理生成粉末を施用します。

この原料となる糞尿は約4.7トンの糞尿処理量(水分90%)であり、固形分量としては約470sです。

これが全て有機物であるとすれば、平均的な熱量として3200kcal/sを用いれば、約150万kcalのエネルギーの投入量になります。

耕地に投入された有機物のどの程度が吸収され、そして、どの程度のエネルギーとなるかは判りません。

しかし、収穫時に作物が持っているエネルギーに比べて、決して見劣りしない量のエネルギーが施用されることから、現実に生じている「増収」という効果も推測しやすいと言えます。

また、その施用効果の上限も、例えば、このような事例では、収量が倍増するのが限界、と概ね予測ができます。

また、より多くの収量とそして食味の改善を目標とするには、より多くの本件資材(炭素肥料、エネルギー肥料)を施用し、必要に応じて活発な水分吸収を促すために水を与えることが望ましいといえます。

それらの管理については、当該地における気象等を勘案して、適宜実施されるでしょう。


エネルギーの出入の計測は極めて困難が予想され、実用的に用いることはないものと思われます。

しかし、炭素肥料あるいは植物に吸収される有機化合物の効果を推測する上では便利な概念と言えるかもしれません。


エネルギー肥料の定義


ここで、エネルギー肥料とは、どのようなものを意味するのかを記します。

エネルギー肥料とは、

  「質量を持つ物質が、植物に吸収されて同化することで、自ら持っているエネルギーを当該植物に与える物質をいう」

というように思えます。

当サイトでは、エネルギー肥料の厳密な定義を提案するものではありません。これまでの耕種農業で、作物の生長過程、或いは、収穫による圃場からの収奪の過程において「作物の持つエネルギー」を全く顧みることが無かったために、耕種農業の生産性に大きく影響し、著しく生産性の低い産業になっていた恐れがあります。「エネルギー肥料」という概念は、およそ、他にないものと言えます。即ち、他にない見方によって説明される事象は、これまでの所作とは趣が異なることが鮮明になります。

エネルギー肥料に該当する様な物質には、有機物があります。

光合成の際に、光エネルギーと共に取り込まれる炭酸ガスや水はエネルギー肥料ではありません。

植物の持つエネルギーは「燃焼熱」によって評価できることから、エネルギー肥料もおよそ燃焼熱で評価できるものと思われます。

有機物は、炭素の化合物のうち二酸化炭素と一酸化炭素を除くもの、という定義もありますが、CCl4、CF4というような有機物は、エネルギー肥料にはなりません。

(COONa)2というようなものを例外とすれば、炭素と水素を含む分子、と言えなくもありません。

また、エネルギー肥料となるには植物に吸収される必要があり、植物の細胞膜を透過できるものでなければなりません。

どのような有機分子が細胞膜を透過するかは、明確なものではなく、「透過性の大小」という見方が必要かもしれません。

当サイトでは、低分子量有機酸の非解離で溶解している分子が、濃度拡散によって細胞膜を透過する、と推測して、低分子量有機酸の解離を検討しています。

一般的には、Nの供給に主眼をおくために窒素含有分子の細胞膜の透過性(吸収性)を検討することが多いようですが、当サイトでは、Nは他の肥料で補うことを前提にしており、炭素に拘って検討しています。

アミノ酸であれば、カルボン酸とアミノ基の双方が解離して、電荷を持つ可能性があり、電荷を持つ分子は生体膜を透過する際に大きな抵抗を受ける可能性があり、案外不利かもしれません。ただし、当サイトでは窒素を含有する有機物の施肥や吸収については、触れません。


エネルギー肥料の原料


エネルギー肥料の原料は、基本的には、目に見える有機物が全て原料となる可能性があります。

しかし、植物が吸収しやすい形態とするには、それぞれ原料に応じた配慮が必要になります。

ただ、これまでの経緯として、「家畜糞尿を生石灰で殺菌した時の生成物にエネルギー肥料が含まれており、処理コストを上回る耕種農業での利益が生まれている」という現実があります。

高額な純物質を原料とすることは、原理的には可能であっても、糞尿に比べて高額になる恐れがあります。

そして、日本でいえば、毎年約9000万tの家畜糞尿が発生しており、その他の食品残渣、加工残渣などの有機廃物を加味すると、あり余る原料が存在するといえます。

それゆえ、現実的な見方をすると、家畜糞尿、食品残渣、食品加工残渣というもので十分と言えます。

ただ、比較的簡単な処理としては、雑草や落葉のようなしまつに困る有機廃物を、樽に貯蔵して長期間液体の中で熟成させ、エネルギー肥料とすることは経済性は別として可能と思われます。

なお、有機酸として用いるか、有機酸カルシウムとして用いるかは、耕種農業との関係で適宜選択できるものです。

即ち、あくまでも有機分子が水に溶解している有機酸で使用するものであれば、酸濃度は高いものとはできないため、施用先は小さな面積となります。

即ち、有機酸を高濃度にすると匂いや強いpHのために障害となります。このため、低濃度となれば散布量が多くなり、広大な農地の場合には、大量の液体を搬送するのは困難となります。

他方、有機酸をカルシウムあるいかカリウムのような塩基物質で中和して有機酸塩とするのであれば、結晶(固体)まで濃度を高めることができます。

有機酸塩であれば、高濃度の有機酸を施用することができるので、広大な面積にも対応しやすいでしょう。

塩とするか、酸とするか、あるいは、塩基とするかは、これまでの肥料でも適宜選択されていることです。

なお、炭素肥料として見た場合の原料の存在量は次のように見ることができます。

・ ヒトの代謝     : 0.4PgC/y

・ 耕地の光合成    : 6 PgC/y

・ 地表の光合成    : 60 PgC/y

・ 地球の総有機物量    : 2500PgC

この値は、次のように見ることができます。

全人口の代謝は、炭素に換算して0.4PgCであり、この消費エネルギーは減らすことができません。

他方、耕地の光合成は0.4の約15倍の大きさのエネルギーが生体エネルギーに転換しています。

これは、ヒトが消費するエネルギーに比べて圧倒的に大きな値となっています。

さらに、地表の光合成は60PgCであり、ヒトの代謝に比べて150倍もの値です。

PTA法(光合成移転農法)の「エネルギー肥料」の見方は、ヒトや家畜等が代謝として消費していないエネルギー物質(有機物)があれば、低分子量化することで、再び、作物にエネルギーを移転できるというものです。

ヒトが消費しないエネルギー物質は、再び、低分子量化し、かなりの効率で作物に移転できることを目指すのがPTA法(光合成移転農法)といえます。

ヒトが消費するエネルギーが、代謝エネルギーだけであれば、残余のエネルギー物質がエネルギー肥料として循環利用できるのであれば、私たちの食糧事情は大幅に緩和されることになります。


エネルギー肥料から見た、生の糞尿、堆肥および炭素肥料


糞尿や糞尿を原料とした堆肥や、糞尿を原料として生石灰処理によって得られる当サイトの炭素肥料は、何れも、「糞尿」という同じ物を、「耕地」という同じ用途に供給して利用しています。

原料が同じであり、その使用先が同じであれば、その効能に大きな差があるとは考えにくいことです。

これは、生の糞尿を圃場施用することと、未熟な堆肥を圃場施用することと、完熟した堆肥を圃場施用することについて、大きな差がなく、簡単に生産できる「生の糞尿」「未熟な堆肥」を使用する事例が多々あります。

これは、長い時間をかけて製造する完熟堆肥よりも、生糞尿や未熟堆肥の方が生産経費が安くなる利点があります。

ひとえに、堆肥の効果が、堆肥の製造に投じた経費を回収するほど大きくないためです。

ところが、PTA法(光合成移転農法)の糞尿の生石灰処理では、当該糞尿を発生させた家畜の売上の半分にもなる糞尿処理経費を、処理残渣の販売費によって完全に相殺されています。勿論、費用については時代と共に変動するので一概には言えません。しかし、30年という期間に渡り、一貫して適正な処理と利用さえしている限り、この経済性は成り立っています。

耕地に使用する生の糞尿、未熟の堆肥、完熟の堆肥および炭素肥料はいずれも生産財として使用されるものです。

従って、その経済的な価値は、それぞれの効能に応じて決められます。

因みに、日本では、毎年約9000万t弱もの家畜糞尿が発生しており、平均すれば、1反歩あたり2t程度の糞尿の割り当てとなります。

実際には、家畜糞尿は大過剰であり、生糞尿にはほとんど経済的な価値はなく、未熟堆肥もほぼ「ただ」で流通しているといえます。

また、堆肥にしても、生産費を上回る値段で取引される事例は少なく、畜産家にとって大きな負担となっています。

それに比べ、上記生石灰処理では、処理量1トンの糞尿が、耕種農家が購入する時点での価格が2万円弱の値段の資材となっており、その間に追加される資材は、生石灰だけです。

日本人の主食である水稲の栽培面積が一番広く、日本の農業を代表する栽培品目が水稲であり、その1反歩の可処分所得を勘案しても、非常に高額な資材価格となっています。

あり余る家畜糞尿の現状を勘案すると、俄に信じ難い現実です。

ここでは、エネルギー肥料について、理解を深めるために、図表を参照します。

この図は、有機物肥料の施肥後の内訳を示した図表です。

「F施肥」は施肥された有機物肥料であり、その後、圃場において作物に「EF吸収された物質」と「UF吸収されない物質」とに分かれます。

作物に吸収されない物質UFは、吸収されない理由として「UFA:物質の性質によって吸収されにくい成分」と「UFB:蒸散・吸水状態など吸水条件のために吸収されなかった成分」とに分かれます。

他方、作物に吸収された物質EFであっても、その後の、代謝において効率よくとりこまれた「EFB:代謝で消費されるエネルギーが少ない成分」と、「EFA:代謝で消費されるエネルギーが多い成分」とに分かれます。即ち、前者は、簡単に同化して、より大きなエネルギーを作物に与える成分であり、後者は、作物に与えるエネルギーが少ない成分です。

このような区分は、それぞれの有機物がどのような区分に位置するかを概観する上で案外、有益です。

どの成分が、どのような位置にあるかどうかは別として、有機肥料をこのように区分することは不可能ではありません。

以後、この図表の「色調」を基準にして生糞尿、堆肥、炭素肥料(=エネルギー肥料)を概観します。

その様子を示したのが、右の図です。

この基準パターンを上図の左に示し、生糞尿、堆肥、エネルギー肥料のパターンを示します。

生糞尿の持つ有機物のエネルギーは最大です。しかし、生糞尿は作物に吸収されない有機物UFの割合が大きいといえます。

生糞尿の有機物が吸収されないのは、当該物質が高分子であることが多く、細胞膜に保持されていることも原因です。

このため「UFA」の割合が高く、圃場で対処しようがありません。吸収されない以上、エネルギー肥料として機能する部分は極めて限定的です。色としては赤い系統の部分です。

堆肥は、堆肥化工程での発熱によってエネルギーを失っています。全体のエネルギーとしては、生糞尿よりも少なくなります。

また、エネルギー肥料という観点でいえば、作物に吸収される割合を増しているものではなく、見掛け上も固体であり、水に溶けず、基本的には生糞尿と同じ程度と思われます。

汚物臭が軽減されている点で生糞尿よりも優れています。

一番右は生石灰処理の生成物で当サイトでは炭素肥料と称したり、エネルギー肥料と称しているものです。

蛋白質や核酸が低分子量成分に分解され、また、生体膜が破壊されるために、多量の低分子量成分が生成し、このため、作物に吸収される物質EFの割合が大きく増します。

さまざまな低分子量有機酸の分子の中には、エネルギーポテンシャルの低いものもあれば、さまざまなのかもしれません。

しかし、作物体内に吸収された場合には、ATPと遺伝子によって適当に利用されるものと思われます。

また、生石灰処理を経ても、作物に吸収されない成分UFは依然として存在していて、特に、繊維質のものは吸収されない物質となっているものと予想されます。

また、多くの場合には作物に吸収される成分であっても、土壌水分が少なかったり、空気中の湿度が高く蒸散が不十分等の理由で、吸収されずに失われるものもあるかもしれません。

しかし、いずれにしても、低分子量有機酸カルシウム塩を主体とするエネルギー肥料では、多くの低分子量有機物成分が作物に吸収され、同化されるものと思われます。

その結果、作物は、光合成以外の経路でCOHを主体とする有機元素を獲得し、同時に、光合成によらないエネルギーを獲得することになります。

なお、蛋白質や核酸のような巨大高分子を構成単位ごとに分断することは、有機物としてはエネルギーを失うことになり、生石灰処理の残留物の有機物が持つ全エネルギーは小さくなります。

勿論、生糞尿に大きな有機物のエネルギーがあったとしても、その形態では利用する術がないので、意味はありません。

ただし、適切な手法によって活用することができるのであれば、「未利用」のエネルギーではあっても、それなりに評価することは大切です。

上図の有機物肥料の基本パターンに準じて、さまざまな有機物を概観すると、未利用の「エネルギー肥料の原料」がどのような場所に、どの程度存在し、かつ、効率のよいエネルギー肥料に転換する手法としてどのような手段を採用すればよいか、判りやすくなります。

なお、上記のパターンを参照することで、栽培に際して「土壌水分」「空気の湿度」などに配慮すべきかどうかも判ります。

また、このエネルギー肥料は、従来であれば、専ら太陽光が担っていた役割であることから、日照が遮られる施設栽培において、エネルギー肥料を使用することが効果的であることも示唆されます。

このように施用された有機物の肥料の施肥後の内訳を考えることで、より効率のよい栽培が可能になると思われます。


植物のエネルギーの行方


植物が、どの程度の太陽エネルギーを受取っているかを、日常的に測定して栽培を進める事例は少ないかも知れません。

植物が光合成で生長することは、太古の昔から行われていたことであり、その過程において、人為的な操作があったわけでもなく、日照や生育に人が気づかいをしても仕方がない側面があります。

このため、植物は人が放置していても、何ら問題なく生育します。特に、日照は人為的にはどうにもなりません。自然のなすがままにしかなりません。

たまたま、南向きの斜面であったり、海面の反射を受ける地形であったりして、豊富な日照を受けて、他の場所では考えられないほど良質の農産物を生産できる場合もあります。

日照に関しては人知が及ばない面が多々あり、あまり深く検討がなされてません。

大雑把なものとしては、光合成によって最初に生み出される炭水化物は、その「1/3」がエネルギー消費に利用され、「2/3」が植物体を構成する物質に利用されると見られています。

即ち、太陽の光エネルギーが光合成によって化学エネルギーに転換されたうち、約33%がATPに転換されて代謝のエネルギーとして活用され、約67%が植物体の形作る物質(質量)に利用されるものと理解されています。

そのあらましを、次の図、光合成で獲得したエネルギーの行方、に示します。

このことは、作物体を構成する物体のエネルギーの総和を計測し、その1.5倍が当該作物体が受け取った光合成エネルギーの総量と推測できます。

勿論、正確ではありませんが、凡その大きさを推し量るひとつの手掛かりとなります。

前記のキャベツを当てはめると次のようになります。

・キャベツ可食部のエネルギー:24kcal/100g=240kcal/kg

・キャベツ1反歩の標準収量:4200kg/10a

・キャベツ1反歩のキャベツのエネルギー:1,008,000kcal/10a

・同上推定光合成エネルギー量:1,512,000kcal/10a

・標準的なエネルギー肥料の施肥量:1.5トン/10a

・元の家畜糞尿量:4.7t

・家畜糞尿の固形分量:470kg

・糞尿固形分の有機物の割合:約90%

・糞尿の有機物の発熱量:約3200kcal/kg

エネルギー肥料によって施肥されるエネルギー量:約1,353,000kcal/10a

このように、標準的な収量に伴う光合成エネルギー量の90%ちかい量のエネルギー肥料が施肥されており、それらのうち半分でも吸収されているのであれば、作物の生長に無視できない影響となるものと予想されます。

なお、このエネルギー肥料という見方も、現実に収量が大きく増し、食味が改善される現象を解釈するための一つの見方として想到したものであり、実際の現象にあった解釈ができます。

また、上図において作物の廃棄部分、残根、人の排泄物等の有機物を生石灰で分解して、エネルギー肥料として作物に還流すると、光合成で獲得した太陽エネルギーを消費する過程が極めて限定され、食糧の生産がより多くなることがわかります。

PTA法(光合成移転農法)を「エネルギー肥料」という側面で評価することは、現在、圃場で獲得している凡その太陽エネルギーに比較して遜色ない量のエネルギー肥料によって補給することが可能であることが判り、耕地の生産性を高めることができると示唆されます。

そして、私たちの周りには無尽蔵とも言えるほどの有機物が存在し、それらを活用すれば、人が消費する代謝エネルギー程度のエネルギー肥料が簡単に見出せることが判ります。

このことは、今の耕地の食糧生産性を飛躍的に高めることに繋がります。

次の表は、残根を無視した耕地における野菜の標準収量、可食部エネルギー値とそれから推測される可食部の収穫エネルギーと、そのための推定吸収エネルギーです。

これは、耕地における、当該品目の最低限のエネルギー吸収量を推定するものです。

残根とか非可食部のエネルギーなどは加味していません。

エネルギーを評価することになれば、可食部ばかりでなく、作物全体のエネルギーや成分含有量を計測することが必要になりますが、現実的には「収穫量」「出荷量」というような日常的な尺度とある程度比例関係が成り立つものと予想されるので、あまり拘ることはないかも知れません。

野菜の可食部のエネルギー、標準収量、推定収穫エネルギーと推定吸収エネルギー
参考値
品目
食品成分表の


可食部エネルギ
標準的な


標準収量
1反の収量の


収穫エネルギー
収穫エネルギーの1.5

の推定吸収エネルギー
標準的な家畜糞尿の生石灰処理による炭素肥料(エネルギー肥料)の流通している固体粉末1tに含まれる凡そのエネルギー量
=900千kcal/トン

エネルギー肥料の標準的施用量
水稲:600s/10a
野菜:1〜3t/10a
単位
kcal/100g
kg/10a
千kcal/10a
千kcal/10a
キャベツ
24
5,000
1,200
1,800
レタス
13
3,200
416
624
ニンジン
32
3,000
960
1,440
はくさい
12
5,000
600
900
ほうれんそう
25
1,200
300
450



エネルギー肥料の獲得効果の推測


植物が、光エネルギー以外の経路で、物質(質量)の吸収によって化学エネルギーを直接吸収した場合に、従来想定していた生長の度合(収穫量)よりも増大する可能性が生まれます。

ただ、作物が物質の持つ化学エネルギーを獲得する、という「エネルギー肥料」の考え方は、まだ一般的ではないかもしれません。

ここでは、その効果を簡単に推測します。

次の図は、エネルギー肥料を施肥した時の植物のエネルギーの獲得の内訳を模式的に示したものです。

その地域における標準的な日照に基づく標準的な生量量(収穫量)を赤い「標準的な太陽エネルギー吸収量」として示しています。

エネルギー肥料の吸収によって獲得したエネルギーの量を黄色で示します。

エネルギー肥料の吸収によって、作物が標準的な生長よりも旺盛に生長したときに、より多くの太陽エネルギーを吸収することが考えられ、その増加分を桃色で示しました。

エネルギー肥料によるエネルギー増大効果は、黄色と桃色の合算したものとなります。

勿論、エネルギーの出入りを直接計量することはできません。

簡単に推測するには、出荷量による経済効果です。

また、収穫量と発熱量とを測定して、総合的なエネルギーの量を測定することができます。

科学的に検証するのであれば、同位炭素を用いて、エネルギー肥料の吸収量を評価することになります。

ただ、大雑把に、エネルギー肥料を意識することで、希望する栽培において、人為的に為し得る行為で、どのようなものがあるかを推測することに役立ちます。

他方、施用したエネルギー肥料の持っている「エネルギー量」(赤色)は、吸収された部分(黄色)と吸収されない部分(灰色)とがあり、吸収されたエネルギーも体内に残る部分と、代謝で消費される部分があります。

そのため、トレーサーで追跡しても、その挙動はたいへん複雑なものと予想されます。即ち、有機物の炭素は、分子のさまざまな位置に配置する可能性があり、その部位毎に生体内における挙動が異なることが考えられるからす。

このため、さまざまな有機物の分子において、それぞれの位置の炭素について同位体によって挙動を検証することになり、大変面倒なものとなります。

通常の、NPK、あるいはそれ以下の必須元素と違い、遥かに困難な検証となります。そのため、「増収の度合」「熱量の違い」等のように大雑把な見方で、栽培を進めることが望ましいと言えます。


PTA法(光合成移転農法)から見た古の栽培の取り組み

古の栽培: NPK等限られた要素だけの対応

PTA法 : 全元素・エネルギーの全部に対応


PTA法(光合成移転農法)は、化学肥料を中心とした慣行農法に炭素肥料を加えて栽培を進める新しい栽培の取り組みです。

PTA法(光合成移転農法)は、物質収支の観点から、従来のNPK以下の必須養分元素に、COHの3元素が加わり、作物の必須元素とされる16元素の全てが人為的に供給可能としました。

更に、炭素肥料は低分子量有機物、もっと言えば、低分子量有機酸カルシウム塩であることから大気中の炭酸ガスからすれば、燃焼熱に相当する熱量を持つものです。

代謝の過程でエネルギーロスはあるにせよ、総合的に見てこれらの低分子量有機物を吸収して同化することは、当該作物にとってエネルギーの獲得と思われます。

即ち、エネルギー収支の観点からして、PTA法(光合成移転農法)は人為的にある程度補給することが可能となります。

このように見れば、種苗が収穫するまでの過程において獲得する「物質(元素)」および「エネルギー」の全てについて人為的に補給ができることになります。

仮に、希望する収穫物と種苗との間の物質収支において、「COHが不足する」「エネルギーが不足する」という状況であれば、どのように対処するでしょか。

古の栽培では、術がありません。既に、できることは十分に対処しています。

COHの不足に、NPKを追加しても効き目はありません。古の栽培では対処できません。

この場合、「どのように対処すべきか」「対処する術があるのか」・・・皆目見当もつかず、且つ、「現状でよいのか」ということも判らない状態ではなかったか、と推測します。

PTA法の見方からすれば、対応する手段を欠いた状況の下で「それが全て」と考えて栽培に取り組んでいる以上、当面する問題に対して何らかの納得できる折り合いを付けなければなりません。しかし、合理的に対応する手段を持ち合わせていない以上、納得できる対応は不可能なように見えます。

合理的な対応が不可能であるにもかかわらず、何らかの対応をするとなれば、少なくとも効果的な対処ではなかったはずです。それを以て「適切な対応」と見ることはできません。

即ち、栽培に伴い増大する要因である必須養分元素の全てを人為的に供給する術を持っていないと、さまざまな必須養分元素の欠乏に対して対応が困難であったはずです。

エネルギー収支にともなうエネルギーの不足も同様です。

PTA法(光合成移転農法)は、物質収支、エネルギー収支の観点から、初めて全要素を人為的に供給可能にした最初の完成された栽培形態と言えなくもありません。

その意味で、古の栽培は、必須要件に対して補給する手段を持たないために、未完成の栽培形態と言えなくもありません。

そして、PTA法(光合成移転農法)で初めて栽培形態が完成された、と言えなくもありません。


このようなことから、従来の古の栽培では、実際には必要な「全ての必須養分元素」と「エネルギー」との全てを持たずに、一部を欠落した状態で栽培と向き合うことになり、「欠落している要素」を補給しなければならない時に、完全に判断力を失うことになります。ただ、そのように「一部を欠落している」という認識は無かったと思います。

「足し算の答を回答するために、6面のサイコロで答を出す」ようなものかもしれません。

サイコロの面には1〜6の整数しかなく、他方、答の数字は0〜9の10種類の数字です。

ゼロと7〜9が回答に含まれる部分は、間違うか、未記入になり、その部分は正解できません。

ただ、周囲の全員が同じ道具立てであれば、「正解できないところ」も皆同じで、格別不自然ではありません。

そのため、気付きにくかったかもしれません。


PTA法(光合成移転農法)によって、必須養分元素の全てとエネルギーとが人為的に供給できることになれば、栽培の考え方も変わります。

少なくとも、必須元素の全てが施肥対象になっているために、必須養分元素の不足で生育が停滞することは少なくなるものと思われます。

しかし、だからと言って、作物が天を突くほど巨大になり、その収量が、無制限に増大するものではありません。

一つの必須養分元素の補給により、そのものが「最小律」に該当することがなくなっても、次に低い要素が最小律の対象になります。

また、土壌に必須養分元素の何れもが十分に存在していても、土壌の養分を吸収するための吸水には一定の限界があります。

作物に吸収される水分が滝のように轟々と作物を遡るものではなく、葉部における水分の蒸散に見合うような形で根圏における水分吸収がなされるために、吸収する水分量には限界があります。

また、その水分吸収によって土壌から吸収される必須養分元素の量にも自ずと限界があります。

水分の蒸散は、気温や空気の湿度や気流などのような環境因子の影響を受け、例えば、露地栽培等においては気温や空気の湿度や霧生等を人為的に調節することはできません。

結局は、環境要因で決まる所定の限界というものが存在することになり、作物の収量は、その風土に応じた所定の水準に止まるものと思われます。

しかし、その限界点が、従来では太陽の日照の制限を受けていたとすれば、エネルギー肥料によるエネルギーの補給、或いは、炭素肥料によるCOHの必須養分元素の補給、並びに、従来のNPK等を中心とした化学肥料による必須養分元素の補給とが相まって、従来の収量を上回る収穫が期待できるものと言えます。

現実に、PTA法(光合成移転農法)の起点となる家畜糞尿の生石灰処理とそのリサイクルにおける耕種農業の収量の増加は、従来では考えられない程のものであり、とすれば、より多くの地域の、様々な栽培においても同様の結果が容易に期待されるものです。

低分子量有機物には様々なものがあり、既に、当サイトにおいてブドウ糖と酢酸で示したように、同じ元素量で、同じ重量であっても、燃焼熱には差があります。

その意味で、低分子量有機物の分子によって其々の燃焼熱があり、差があります。

ただ、本件は既に、家畜糞尿の生石灰処理という手法によって、その処理残渣に低分子量有機酸カルシウム塩が多量に生成しているものを利用したことに端を発しており、その生成物を細かに詮索しても仕方がない側面があります。

数多の有機化合物の吸収特性、同化の経路などは今後順次研究が進むかもしれません。

しかし、1種類の作物を取り上げただけでも、その体内には無数の有機化合物を含んでおり、その同化の過程の追跡は大変難しいものと成ります。

PTA法(光合成移転農法)の出現によって、一応、必須養分元素の全てを施肥対象とするす栽培の取り組み方が提案され、形式の上では、一応、

耕種農業としては一定の完成の域に達した、という見方もできます。

勿論、今後も、「全元素の施肥」という範疇での改良や前進が期待されるのは当然です。

ただ、物質収支、エネルギー収支という熱力学が示す基本的な自然の制約に対して、人為的に対処する手段を持ったことは意義深いと言えます。


新しい肥料を追加する意義


PTA法(光合成移転農法)は、新しく「炭素肥料」「COH肥料」「エネルギー肥料」という新種の肥料を追加することを提案しています。

そのように新しい肥料要素を追加して栽培を考えることが便利であれば、簡単に「利用すれば良い」と安直に考えることもあるでしょう。

しかし、耕種農業における肥料については、施肥設計、肥培管理というように所定の考え方があります。

そして、現在、そのような考え方に基づいて、全ての肥料が施用されています。

そこへ「新しい元素の肥料」が追加されるとで、それが適切なことであれば、「従来の施肥設計や肥培管理が未完成であった」という驚くべき答につながります。

しかし、PTA法(光合成移転農法)はむやみに新しい肥料を提案するのではなく、物質収支、エネルギー収支という冷徹な自然界の法則に従って、然るべき事柄についての提案であり、無理難題というものではありません。

物質収支、エネルギー収支に伴う全ての要素が施肥によって補充できます。

このことは、「物質収支」と「エネルギー収支」の側面で不足を来たすことがない状態を生み出すことになります。

勿論、根圏の養分・栄養分を葉部へ運ぶ水流は蒸散や土壌水分の制約を受けます。

この吸水による養分と栄養分の輸送量には所定の限界があり、施肥量が吸収量と等しくなるものではありません。

蒸散に大きく影響するのは空気中の水分の濃度や風速であり、また土壌の水分や性状です。

その様な、所謂、風土の条件による制約はあるにせよ、PTA法(光合成移転農法)の考え方によって栽培を進めることは、やはり、自然の成り立ちが、非常にキッチリとしたものであって、一つひとつの要素を的確に充当することが、無駄のない栽培に繋がることを示唆しています。

必須16元素の全て、および、エネルギーを施肥資材によって補うことができるのであれば、栽培の限界は、気温・湿度・風速・降水量というような「風土」によって定まる限界であり、人為的に助勢すべきものは無くなります。

際限もなく生産者を悩ましてきた耕種農業も、PTA法(光合成移転農法)の見方によって、大きな安寧が得られるものと思われます。それ以上、手を加えても意味がないのだから。


いろいろなものをエネルギーで見廻すと

(この欄では、物の値段を具体的に例示して、様々な事柄を概観していますが、その価格は厳密なものではなく、在る時代の、ある状況の下での大凡の価格を示したものです。あくまでも参考でしかありません。其々の地域や時代に応じた経済的な指標やそれぞれの物資の物理的数値に置き換えてお考えいただければ幸いです。)


堆肥化利用】

さて、搾乳牛1頭が1日に排泄する糞尿(糞40kg、尿20s)は、堆肥化してNPK等の成分を圃場還元しています。

その肥料としてのNPKの価値は、かなり正確に評価できます。0.7kgで、約200円強です。

オール15、20sの高度化成が3105円で計算しています。

また、60kgの糞尿には12kgの固形分が含まれ、その発熱量は約30,000kcalです。

この、3万kcalをそのまま、他の物質の価格としたものが右から2番目の欄です。

この1番下の「218円」が、搾乳牛1頭の1日の糞尿を耕地へ施用した時のNPKの成分代金です。勿論、実勢価格ではありません。

NPKの高度化成肥料の値段としては、1日218円になります。

【メタンガス発生による利用】

家畜糞尿をメタン発酵させ、メタンガスを得る方法もあります。糞尿の有機物が全部メタンガスになるものではなく、一部です。しかし、ここでは、一応全部、可燃ガスに転換されたものとしています。

熱量としては400〜500円程度の価格です。メタン発酵の時には、NPKが残されているため、肥料成分として200円が加算されるかもしれません。

メタンガスでは、内燃機関で発電して、電気エネルギーを取り出し、熱エネルギーは加熱に利用して捨てるかもしれません。

そうであれば、電気の800円が加算されるかもしれません。しかし、現実には、これよりも少額で、多くの場合、施設費を下回る可能性が高いかも知れません。

【PTA法(光合成移転農法)】

PTA法では、このような家畜糞尿は生石灰で殺菌分解して、処理残渣を圃場還元します。蛋白質、核酸を中心として分子レベルで分解して、有機酸カルシウム塩が生成します。

PTA法は、この有機酸を「炭素肥料」「COH肥料」「エネルギー肥料」という観点で捉え、作物に経根吸収されると想定しています。

このエネルギーがそのまま作物の可食部になるものであれば、「1,800〜95,000円」という作物の値段に相当します。

 ■ 糞尿の有機炭素が経根吸収可能な低分子量有機物になる割合

 ■ 施肥したものが吸収される割合

 ■ 作物全体に占める可食部の割合

などという過程における効率が加味され大きく低下するものと思われます。これを0.6×0.6×0.5=0.18という総合効率で仮定して見ます。

この効率18%の時の農産物の値段を最後の欄に示します。

NPKの肥料効果よりも、大きな効果が期待できるものもあります。

作物の経済的な価値は、熱量や重量だけで評価されるものではなく、食味が大きく影響します。

 大雑把にいえば、60kgの糞尿は次のように見ることもできます。

● 堆肥とすれば、200円強になる。(実際は厳しい。)

● 電気やガスなら、同程度。(しかし、設備が高額で、これも難しい。)

● COHを利用するなら、本業の乳の生産よりも、はるかに大きくなる可能性がある。

● COH・エネルギーを利用するための生石灰処理のコストは、青色で、リサイクルの効果は緑

炭素肥料の施用で、高品位農産物となり、高額で販売されているため、効果は更に大きくなることもある。


糞尿を堆肥にしてNPKを利用する、という常識は、壮大な低いレベルの所作であったかもしれません。

堆肥の効果を遥かに上回る高額な生石灰処理は、糞尿のCOH・エネルギーを再利用するもので、畜産本業以上の価値の創造を生み出す可能性があります。

偶然、瞬間的に完全殺菌されるのは「どうでもよいこと。枝葉末節。」かもしれません。

当業者の関心は、その先の耕種農業が生み出す経済的な価値だけです。

PTA法(光合成移転農法)は、堆肥化、メタン化、あるいは発電の具体的なコストを知る手掛かりを持ちません。

しかし、質量保存則、エネルギー保存則などの自然の法則から導かれる最終的に得られる有価物(肥料成分、メタンガス、電気エネルギー)は、理論上の最大値を計算できます。

この効率100%としたときの、収益の最大値だけを比較しても、堆肥化処理、メタン発酵処理、メタンガス発電の獲得できる利益の額は、大きいものとはいえません。

ただ、上記のようにここでは考慮していない「処理コスト」を「収益」が上回るのであれば、それなりの経済性は否定できません。


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