PTA法(ドッサリース農法)


第13章PTA法(ドッサリース農法)の有機物吸収の考え方 

植物の有機物の吸収についての推測

最終更新日:2010-12-30 

 【PTA法の「有機物の経根吸収」の考え方】

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PTA法(ドッサリース農法)は、植物が有機物を吸収する現象をつきつめて考えて想到した一つの見方です。

この、「植物が有機物を吸収する」という見方について、馴染めない方も多いと思います。

そこで、「植物の有機物の吸収」について、一つの章として取り上げて、ゆっくりといろいろな視点で概観します。

植物の有機物の吸収については甲論乙論が飛び交っていますが、科学的には「吸収される有機物もある」ということが確認されています

即ち、「植物が有機物を吸収するか否か」については、検討をするまでもなく、明らかに「吸収される」としてよいでしょう。

因みに、PTA法(ドッサリース農法)は、下記の「CC」の立場で、当サイトを開設しました。

この章では、いろいろな見方について紹介します。


今の農業のトレンド:炭素肥料=有機炭素の吸収=光合成のリサイクル


そして、今一番注目されることは、

「植物が有機物を吸収・同化する」⇒「炭素が肥料になった」⇒「光合成のリサイクルが存在した」

という現下の農業の激変です。

本サイトの主題でもある「炭素肥料」が、21世紀の幕開けと共に農業に現われた超新星と言えなくもありません。

これはウエブ上で「有機液肥」を検索することで判ります。西暦2000年以前は殆ど「0」、2009年は「15,000件」と爆発的に増加しています。

農業において、NPKという肥料要素は、ほとんど水か空気に等しい資材です。誰も関心を示しません。簡単すぎて、一顧だにされません。

今、農業は「炭素C」がトレンドです。換言すれば、水に溶解しない「堆肥」を見限ったと言えなくもありません。

「有機液肥」⇒「水に溶けている有機物」⇒『固体状の堆肥とは異なる新しい有機物肥料』⇒「直ちに植物が吸収できる有機物」⇒「当サイトでいう炭素肥料」

有機液肥
堆肥=固体有機
有機物が水に溶けている資材 有機物が水に溶けない巨大生体組織として含まれている資材
植物は、「水に溶けている有機物」「小さい有機物」「電荷を持たない有機物」を吸収し易い性質を持っている
有機液肥の有機物は、そのまま作物に吸収される可能性が大き
巨大生体組織は作物に吸収されない。
分解された時NPKやミネラルを開放する。
堆肥の巨大有機物は、何時、どの程度分解するか判らない
堆肥にはNPKの含有率を表示している(これを利用するため)
有機液肥は、有機物がそのまま作物に吸収されることを意図した
資材
堆肥は、「有機物を吸収させる」との意図はほとんどなく、含有しているNPK等が無機化の際に解放され、肥料となることを意図した資材
有機液肥の原料となる有機物は、過去の光合成で生産された有
機炭素がいろいろ形を変えたもので、「過去の光合成」「光合成産
物」といえる
堆肥が補給するNPK等のミネラルは、自然界に存在している鉱物資源や窒素化合物
さらに、大胆に思考を進めると・・・
光合成のリサイクル
NPK及びミネラルのリサイクル
過去の光合成産物(有機物)が再び光合成で資源化できるなら、

大な未利用資源が有益な食糧資源として蘇る。
家畜糞尿も良質な資源となってしまう。
天然由来の有機物は、原則として堆肥原料となっている。
但し、NPK等のミネラルの供給源として評価されている。
「現在進行形の光合成」に限定されていた農業に「過去の光合
成」を加えることができるので、耕地の生産性が激増する。

地下から過去の太陽が蘇るようなもの。
「現在進行形の光合成」に見合うNPK等ミネラル成分を補給するにとどまり、「増産」という意図はない。堆肥は、ほとんど無料の肥料要素補給資材。
「未利用光合成資源の大量出現」「過去の光合成の助勢」は、耕
地の食糧生産性を飛躍的に高める
堆肥によって、生産性向上という側面はなく、肥料代金の節約という視点のみ
過去の光合成の助勢による耕地の生産性増強は、広大な余剰耕
地を生み出し、「整備困難な僻地の耕地の放棄」「新たな耕地の
開発の抑止」「自然破壊の抑止」を推進する
堆肥が、耕地面積に影響することはない
ヒトが生息する上で必要とされる耕地面積は広大であり、その食糧生産性が向上すれば、不用な耕地が出現する。広大な不用な耕地の出現は、道路・橋・トンネル・整地等開発に多額な費用を要する中山間地の開発を不要とし、社会的な負担が大幅に軽減される。
PTA法が推奨する、「有機廃物の生石灰分解生成物」は、有機酸カルシウムを主体とする粉末資材ですが、有機酸カルシウムは、水に対する溶解度が高く、また、く溶性といって酸性物質に対する溶解性が高いので、有機液肥と同様に作物に吸収されやすい有機物を多量に含んでいるといえます。
即ち、「PTA法(光合成移転農法)の炭素肥料」と「有機液肥」とは、共に、作物に有機炭素を与えることを積極的に意図した資材と言えます。

「光合成のリサイクル」という新しい概念によって、耕地以外の光合成が食糧生産に導入され、耕種農業における日照をはじめとする自然の制約が、大幅に拡大され、現有の耕地の生産性が向上します。

「食糧の増産」「開墾による自然破壊の抑制」「休耕地の活用」など、突然出現した広大な余裕の利用はさまざまです。


これが、今世紀になってから爆発的に増加している、新しい農業の姿です。

当サイトでは

植物が有機物を吸収して同化する現象

⇒「炭素肥料」

⇒「光合成産物のリサイクル」

⇒「過去の光合成産物を今の光合成に助勢する」

⇒「有機圏内炭素循環」=有機物のまま植物に循環する

⇒「未利用資源の資源化」=有機物の有機炭素は、原則として、有機炭素のまま植物に付加できる

⇒「糞尿も有機廃物も有機物を低分子量化できれば食糧に転換できる」

⇒「食糧の大増産」

⇒「光合成移転に依る耕地の生産性向上」

というように、大きくとらえて、PTA法(光合成移転農法)として、そのものの見方を紹介しています。


AA:「植物は、有機物を吸収しない」とする見方:市井では、最も多い見方

植物は、無機物を吸収して有機物と酸素を産み出すものであって、有機物を必要としない。このため、植物は有機物を吸収しない。

堆肥のような有機物資材は、直ちには吸収されず、分解されて無機化することでNPK他さまざまなミネラル分が解放されて、作物に吸収される。

このため、糞便を施肥しても、作物に糞便が取り込まれることがない

即ち、糞尿をそのまま、或いは、堆肥化した後に圃場に撒いても、糞便を食べることにならず、衛生面では万人の心配が解消される。

「植物は有機物を吸収しない」「施肥された有機物も無機化されて吸収される」とする見方は、現在、最も多い見方かも知れません。

しかし、現実には、従属栄養植物のように有機物を吸収している植物は現存しています。

また、トレーサーを用いた研究で、植物の根を経由して有機物が吸収されていることが確認されています。

有機栽培と称する栽培による農産物が、化成肥料のみによる栽培の農産物に比べ、「微か」に美味しく感じるのは、有機物の経根吸収によるものではないか、とするのがPTA法の見方です。

しかし、その吸収量は少なく、それ故、21世紀になって、吸収量を増やすために「有機液肥」という水に溶けた有機物を施肥するトレンドとなっているように思われます。


BB:「植物は、有機物を吸収している」とする見方(その1):従属栄養植物

植物の中には、腐生植物・食虫植物のように他の生物体の有機物を吸収している植物(従属栄養植物)があり、「植物が有機物を吸収すること」は確認されている。

腐生植物や食虫植物が有機物を吸収し同化しているのはWood-Werkmanらの研究で明らかにされています。

ただ、食虫植物や従属栄養植物は、「食糧」としての経済性をほとんど持っておらず、単に「学術的に珍しい現象」に止まっています。


CC:「植物は、有機物を吸収している」とする見方(その2)

(高橋英一著「ここまでわかった作物栄養のしくみ」1993年12月20日農山漁村文化協会発行:194〜202頁参照:以下は趣旨、詳細は原著でお確かめ下さい。)

    1) 細胞膜を透過できる物質は、水に溶けているものでなければならない

    2) 水やガスは細胞膜を透過する

    3) 分子量が小さい有機物は透過する。(分子量の目安としては200以下)

    4) 電荷をもつイオンは透過しにくい

    5) 大きな分子は透過しにくい

    6) 電荷をもつイオンでも、能動移送で細胞内に取り込むことができる

(上記文献以外のもので、次のことが検証されている)

    7) アミノ酸が吸収されている事実は、検証されている。

PTA法(ドッサリース農法)では、この文献の見方に基づいています

但し、PTA法では、有機酸カルシウムを主体としているため、アミノ酸については吸収を考慮していません。

ただ、アミノ酸の吸収が科学的に検証されていることは、「有機酸」の吸収も可能性が増すことになります。


DD:「植物は、有機物を吸収している」に関する文献や記載

    ここでは、時期を問わず、この件で判り易い記述が有りましたら順次、追加します。 

1) http://www.shk-net.co.jp/shk/webshiryokan/PDF/webdata009.pdf「トッピクス 植物の窒素吸収戦略ーー植物は有機を吸収している はたしてBSEプリオンは・・・?」 (2002/2/27)

2)渡辺<農林水産省中国農業試験場(1992)> 上記1)の3〜4頁 「各種有機・無機物の葉面および経根吸収の度合の試験例が記されています」

3) http://www.shk-net.co.jp/shk/webshiryokan/PDF/webdata017.pdf「肥料の葉面撒布(清和肥料工業株式会社)」 (2006/7/10)

4)岡田謙介、玖村敦彦(東大農)「根−根面−土壌系における有機物のダイナミックス 第1報 土壌有機物の経根的吸収の可能性について」http://neis.nii.ac.jp/eis/110001729735.pdf?id=ART0001869262&type=pdf&lang=en&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_s<報告者らは、作物の有機炭素のうち数%が経根吸収であるかもしれない、との下で有機物の経根吸収を計測し、「10〜20%と推測される」との実験結果を得ている。関係する部分を次に引用します。>


日本作物學繪紀事50(別号2)pp.91‐92  1981 1001

46 根−根面−土壌系における有機物のダイナミックス

第1報 土壌有機物の経根的吸収の可能性について

岡田謙介※ ・玖村敦彦(東大農)

植物が根において種々の有機物を吸収し、また炭酸を固定することはよく知られている、吸収量は炭素で純生産の数%ないしそれ以下であるとされているが、それらはいずれも水耕で得られた結果である。そこで砂耕および土耕により、有機物の経根的吸収について検討した。玖村・杉山(1980★)より、有機物吸収能が大きいとみられるサツマイモを、石英砂または土壌を培地としてポット栽培した。δ14Cの異なる3種の有機物を堆肥にして与えた。ポットの口をアクリル板でしゃへいし、さらにポット内の空気を常時ポンプで排気して、堆肥の無機化により生じたCO2が直接葉で固定されることのないようにした。移植後約6週間の栽培の後、植物体をサンプリングして各部分に分け、δ14C及びδ13Cを測定して凵iδ13C =25‰に標準化したδ14C値)を求めた。一方栽培期間中、昼間の大気中のCO2をNaOHで捕捉し、その凾煖≠゚た。もし植物が大気中のCO2のみを炭素給源としているならば、植物体の凾ヘ大気の凾ニほぼ一致するはずであるが、本実験では堆肥の凾ノ応じて植物体の凾ェ異なった。このことは、サツマイモが堆肥の有機物に由来する炭素を根から吸収し、これを植物体の構成に用いたことを示している。試算によれば、植物体の全炭素中、堆肥由来の炭素の占める割合は10〜20%であった。

(以下、表1、表2、図1、図2、および引用例は等省略。)


5)日本植物生理学会 「質問コーナー」 2007年2月20日:質問登録番号第1155番「植物体へのアミノ酸の吸収について」に関する回答

(「日本植物生理学会」のウエブサイトから質問と回答が閲覧できます。ただし、回答に引用されている文献は、ウエブ上では閲覧できないものもあります)

この回答の趣旨は、「アミノ酸は作物に吸収されている」というものです。詳細は、上記の回答を参照ねがいます。


【有機液肥の爆発的発展:新しそうでも、江戸・明治の日本の普通の農業の姿】

今、有機液肥が爆発的に流通しています。今日、有機液肥は当たり前の肥料で、「何が目新しいのか?」とお考えかもしれません。

しかし、有機液肥は「液体に溶解している有機物を施肥する」ものであり、有機物を経根吸収させる意図の肥料です。

即ち、PTA法でいうドッサリース(炭素肥料)を溶解したものに他なりません。勿論、分子量や成分に違いはあるでしょう。

概して、アミノ酸を主体とし、窒素と有機分を供給する意図です。

即ち、これらの有機液肥は、PTA法でいう炭素肥料と軌を一にする肥料で、「有機物の経根吸収」そのものを意図した肥料です

有機液肥に関するウエブ上の検索数の推移を次に示します

左側の見えにくい部分は、5件/2000年、376件/2001年、586件/2002年、503件/2003年、811件/2004年です。

即ち、「植物が有機物を吸収すること」を農業に利用する考え方は、21世紀になって急速にクローズアップされてきた考え方と言えます。

これと反対にある「固体有機」である「堆肥」は見限られた、と言い換えることもできます。

但し、後に述べますが、日本の江戸・明治の原始的な農業での「10年以上寝かせたトロトロのし尿による液肥」は、当時の技術水準では「加速器型質量分析計」とか「14Cトレーサー」を用いて考えた上で編み出された栽培方法ではありませんが、有機液肥の施肥と何も変わるものではありません。

単に、戦後の時代に「年よりの考えることは、古くて、臭くて、汚い」と蚊帳の外に置かれて見捨てられた栽培技術でしかありません。

換言すれば「昔の方が知恵があった」というだけのことかもしれません。昔の農業は、失敗すれば一族が餓死する厳しいものです。補助金もありません。補助金を常とするこれまでの農業技術に評価に値するものはほとんどないのが実情でしょう。

昔の農家は、「上手に農業ができなくて餓死した一族」を眺めて、餓死しなかった農家の技術を磨いたものであり、化成肥料や補助制度が出現する前の農業には見るべきものが多いといえます。

有機液肥の爆発的な発展は、「昔の人は正しかった」という所作といえます。

即ち、「有機物の経根吸収」は、今日では、改めて触れることもなく、農業では当たり前の事柄と言えるようです

それは、ウエブ上で飛び交う膨大な量の「有機液肥」がこれに該当しているからです。

このため、当サイトでは、格別の事情がない限り以後、深く「有機物の経根吸収」に触れることはしません。(2009年10月31日)

有機液肥・有機液体肥料に関する情報の爆発は、有機物の経根吸収が、格別奇異な現象ではなく、最早、極めて常識的な現象と考えられます。

とすれば、次の段階は、「より吸収されやすい有機物質」「より効果的な有機物質」「その他、都合のよい物質」「使いやすい物質」等という観点で経根吸収される有機物を検討することになるでしょう。

現在、大量に飛び交う「有機液肥」「有機液体肥料」の情報では、やはり、NPKの含有量が表示され、NPKの補給を意識した内容となっています。

PTA法(光合成点農法)では、炭素肥料についての論点に重きを置き、NPKは従来の化学肥料によって従来の手法に準じて施肥することとしています。この前提には、家畜糞尿のような有機廃物を生石灰で分解処理した時の残留物には、NPKの含有量を「ゼロ」として施肥設計するものとしています。

「吸収の度合」「代謝の効果」などは、加速器型質量分析計のような計測手段を持ち合わせて検証すれば簡単に出来るものと思われ、その方面からの結果に期待するのがよいと思います。

ただ、「公害防止」の観点では、生石灰による分解処理は微生物、原虫、ウイルス、プリオンなどほとんど全ての感染性病原体の蛋白質や核酸を低分子量有機物に分解して、生命体としての遺伝機能を消失させるものであるため、極めて信頼性が高く、その処理生成物は、原料に由来する感染性病原体は完全に消滅しているものと考えられます。

仮に、好気性微生物による高温処理(堆肥化処理とか発酵処理と称されている)では、ある種の高温菌やウイルス、プリオンの除去機能が定かでなく、残留している可能性があります。

また、諸外国の中には堆肥を頻繁に取扱う庭師を生業とする人達の間に「傷痍軍人症」が多発していることから、注意を喚起している処もあります(豪州)。

堆肥の製造条件は、一律ではなく、その全てについて「不安がぬぐいきれない」というものではありませんが、処理条件が温和であるために、感染性病原体の全てを分解する、というものではない場合がある可能性があります。

また、PTA法は、COH以外のNPK等の従来の必須成分については、化学肥料や化成肥料によって従来通り別途補給することを提案しています。

そして、特に、Nについてはアミノ酸の形態ではなく「低分子量の有機酸のカルシウム塩」を想定しています。

生石灰分解によって生じる低分子量の有機酸カルシウムの「低分子量有機酸」には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸というように、炭素数の少ないカルボン酸であり、これらの有機酸は、酸性が強くなれば解離する割合が低下する傾向があります。

このため、アミノ酸よりもカルボン酸の方が細胞膜を透過し易い可能性があるため、PTA法では、有機廃物の生石灰分解生成物にアミノ酸を添加することはしていません。

勿論、PTA法のように有機酸カルシウムを炭素肥料として施肥し、作物が必要とするNPKを化成肥料で補給するとともに、アミノ酸のような水に可溶性のある低分子量有機物を葉面撒布のような手段で施肥することを併用することを否定はしません。

低分子量有機物としてカルボン酸のカルシウム塩が良いのかアミノ酸が良いのかは、加速器型質量分析計のような科学的な簡便な計測手段での検討に委ねたいと思います。

ただ、従来の栽培方法に比べて、有機廃物の生石灰処理の残渣を「炭素肥料」と考えて栽培を進めることは、収量や品位の面で優れていることが多く、アミノ酸との対比の如何によらず、実際の栽培に活用することを推奨します。多くの場合、経済的に優位な結果となっているからです。

【植物の営みの外観】

左の図は、土耕の作物の概観を示したものです。

土壌にある様々な養分は、根から吸収される水分に同伴して葉部へ到達します。

この水流は、葉部における水分の蒸散によって引き起こされます。

図示していませんが、葉部では太陽光を受けて、空気中の炭酸ガスと根からの水分とによって光合成が行われ、ブドウ糖と酸素が生成しています。

土壌から吸収した養分は、一次同化、二次同化の過程で適宜利用されて、作物は生長します。

図では、土壌の成分が水と共に吸収されて葉部における水分の蒸散で否応なく濃縮されることが示されています。

このような、植物の姿に異論は少ないと思います。

【植物の根の表面における養水分の吸収の様子】


上の「根の表面における養水分の吸収の模式図」は、根の表面で土壌の養水分が吸収される様を模式的に示したものです。

土壌水に溶解している養分は根の細胞の細胞壁までは自由に移動できると考えられます。

細胞膜の外表面(細胞壁に面するところ)まで到達した水分は、細胞側の状況に応じて自由に細胞膜を透過できます。

多くの場合、葉部で蒸散によって水分が失われるため、土壌の水分は根から吸収されて、植物体内に流入して、導管を介して葉部へ輸送されます。

土壌の養分は、能動輸送や受動輸送によって細胞膜を透過できるものは植物体内に取り込まれます。

少なくとも、植物の必須元素はこのような過程を経て土壌から植物体内へ取り込まれます。

この章では、土壌の有機物が根から吸収される様を検討するものであり、ここでは「受動輸送」(濃度拡散)に焦点を絞って概観します。そのため、能動輸送のさまざまな事柄は省いています。

植物の葉部の蒸散によって失われる水分を補うために、根では水分の吸収が行われます。

根に吸収される土壌水は、細胞膜を透過して細胞内に侵入しますが、その場合、その前面にある細胞内の水を導管側に押し出すように流れます。

図では、「水流の速度分布」として、細胞内の水流を→と速度断面を示す曲線で示していますが、これは現実の流線とは程遠いものです。

ここでは、細胞内の液体の流れは「乱流ではない」ことを推測するために細胞内を一つの管路と想定したものです。

このように想定することで、計算される管内の流動のレイノルズ数Reは最も大きな値となります。

 レイノルズ数Re=(D×u×ρ)/(μ)

 ここで、D:管路の直径(m)・・・・・・・・・≒20μm=20×10^(-6)m(仮定)

     u:管内流速(m/s)・・・・・・・・≒1μm/s=1×10^(-6)m/s(仮定)

     ρ:流体の密度(kg/m3)・・・・・≒1000s/m3

     μ:流体の粘性(Pa・s)・・・・・・≒1×10^(-3)Pa・s

直径20μmの管内を、水が1μm/sの速度で流れた場合のレイノルズ数Reは「20×10^(-6)」という値となり、乱流の目安となる2300よりも遥かに小さな値と成ります。

例えば、流速が「1cm/s=0.01m/s」というような、有り得ないような速い流速であっても、なお、レイノルズ数Reは、層流域を示唆しており、細胞内の液体の流れは全体が層流であることが予想されます。

即ち、細胞内の水流は活発な逆混合が行われる乱流ではなく、層流と成っていることが推測されます。

レイノルズ数の計算は、「根の表面の細胞内では逆混合が起こりにくく、外に面する細胞膜の内面近傍は物質の濃度が低い」という結論を得るためのものです。

このため、細胞膜を透過した水は、その直前にその場に在った細胞内の水とそこに溶解していた養分を導管側に押し出して流入するため、細胞膜の内面近傍の赤い二点鎖線で示した領域は、養分濃度が極めて低いものとなります。

この赤い二点鎖線で示した養分の濃度が低い領域は、細胞膜外から物質が濃度拡散するには都合のよいものであり、細胞膜内外の当該物質の濃度差が大きいほど濃度拡散が大きくなると思われるからです。

 【細胞膜における物質の拡散】

左の図は、細胞膜の断面と物質の拡散透過を示す模式図です。

細胞膜はリン脂質の二重層からなり、リン脂質はグリセリンに2つの脂肪酸とリン酸基とが結合し、脂肪酸側は疎水性(親油性)を示し、リン酸側は親水性を示します。

二重層となっているリン脂質は「流動モザイクモデル」と言われ、隣接するリン脂質は毎秒1千万回ほど位置を交換するほど激しく動き回り、その速度は毎秒2μm程度ともいわれています。

リン脂質の揺動で、細胞内外の物質が必要に応じて細胞膜内外を移動します。

【土壌→根→導管→葉部→(大気)、の養水分の流れ】

左の図は、土壌の水分が根から吸収され、導管、葉を介して、蒸散によって大気に至る過程を示したものです。

土壌水に溶解している有機酸は、赤い矢印→のように濃度が推移すると考えられます。

土壌中では最初、濃度C1であり根の細胞表面に到達する時点ではC2となり、細胞膜を濃度拡散により透過し、根の細胞内では濃度C3という最も低い値と成り、根で吸収された水に押し流されて導管を経由し、葉部で水が蒸散します。

葉面における水の蒸散で、水流に含まれていた有機酸は、否応なく濃縮されて葉部に残留します。この葉部の濃度C4は根の内部の濃度C3よりは高いものと成っています。

【根の近傍における有機酸の解離】

有機廃物を生石灰で分解処理した際の生成物に「ギ酸カルシウム」あるいは「酢酸カルシウム」というような低分子量有機酸カルシウムが多量に含まれている。

左のグラフは、これらの有機酸カルシウムが、pHによってどのように解離するかを示したもので、縦軸は解離した有機酸の濃度に対する非解離酸の割合を示すものである。

縦軸の「1」は、解離酸と非解離酸の割合が等しいことを意味する。

多くの場合、圃場のpHは6.5を中性とし、作物の根からは土壌から養分を溶かし出すために「根酸」が放出されている。

このため、概して収穫後の圃場のpHは酸性に傾く。

 根酸を放出する根の極近傍の土壌のpHの下では、ギ酸や酢酸の解離平衡では、「非解離酸」の形態の割合が無視できないほどのものであることが窺われる。

 【有機酸の解離の計算】

有機酸HAは、次のように解離するとします。

   HA = H + A

この時、次のような解離の平衡関係が維持されるように振舞います。

   解離定数KHA = [H]・[A]/[HA]

他方、私たちに馴染み深いpHは水素イオン濃度指数といわれ、次の式
で示されます。

   pH = -log10[H] = 1/(log10[H])

水溶液の中で解離している酸「A」と、非解離の状態で溶解している
酸「HA」との割合は、次のように示されます。

   Z = [HA]/[A] = [H]/KHA 

     = (1/KHA)・[H]

この式は、非解離酸/解離酸との比率Zは、pHと解離定数KHAによっ
て決定されます。

ここで、解離定数KHAは其々の有機酸によって其々決まっている物性
値であり、定数です(それで、「解離定数」という名前となっていま
す)。

すると、非解離酸/解離酸との比率Zは、pHの関数となります。

或いは、非解離酸/解離酸との比率Zは、水素イオン濃度[H]に比例
するといえます。

【幾つかの有機酸の酸解離定数pKa

文献値では、[KHA]ではなく酸解離定数pKaが多いため、その値を以下に記します。

 ギ酸:HCOOH      :pKa=3.75

 酢酸:CH3COOH     :pKa=4.76

 プロピオン酸:CH3CH2COOH:pKa=4.87

n-酪酸:CH3CH2CH2COOH :pKa=4.82

iso-酪酸:(CH3)2CH2COOH :pKa=4.85

有機酸(カルボン酸)の酸解離定数は物性値とはいえ、かなり近似した値となっています。

 このため、低分子量有機酸カルシウムの「有機酸」に限って言えば、作物の根の近傍のpHが3〜4辺りとしてみれば「非解離酸」の割合が無視しえないほど高いものであると言えます。

 根の表面の水相のpHがどの程度であるかは、筆者は科学的に検証していません。一般的にはpH4程度と考えられています。

 ただ、酸性に傾いていることを勘案すると、非解離酸の形態で水中に分散している割合が無視できず、これが濃度拡散で細胞膜を透過する可能性も否定できないように思えます。

 



上記の図は、作物の根から、葉部に至る吸収された養水分を模式的に示すものです。

土壌の養分は水に溶解した状態で作物の根に吸収されます。

図中、丸印は水に溶解した成分を示し、赤丸は解離(イオン化)している成分を示します。

青丸は、非解離状態の成分を示します。

根の近傍の土壌は、根から放出される根酸のためにpHが酸性になっています。

仮に、土壌水分に分散している成分がドッサリース(低分子量有機酸カルシウム)の場合、有る程度水に溶解すると共に、く溶性であるため、酸性水溶液には溶解します。

そして、その場合の酸性が強い場合は「低分子量有機酸」は非解離状態の割合を高めることになります。

図では、根の表面のイオン化の割合が少なく示しているのはその理由に依ります。

非解離の分子状態で根の細胞膜表面に到達した低分子量有機酸は、形状が小さく、非解離であるため「濃度拡散」によって細胞膜を透過します。

細胞膜は、水を透過しやすく、葉部の蒸散で水分が減った状態の植物体に対しては速やかに根から水分が吸収され、導管を通じて葉部にもたらされます。

この根から葉部に向かう水流は根の細胞膜の内側において、水ばかりで養分の濃度が低い状態を作り出します。

即ち、細胞膜を水が透過して吸収されると、押し出し流れ(栓流)で、それまでの養分が分散している水溶液を導管側へ押し出すことで、細胞膜の内側表面には水に溶解している成分の濃度が低い領域が生まれます。

この低濃度領域と細胞膜外側(土壌側)の成分の濃度との差が大きくなり、この大きな濃度差が土壌成分の濃度拡散による吸収を助けます。

そして、吸収した養分を葉部に運んだ水分は蒸散によって失われるため、葉部のにおいては吸収された養分が濃縮され同化に寄与し易い状態となります。

なお、植物体内において吸収された成分がイオン化されているか、非解離状態にあるか、その割合がどのようになっているかは手掛かりがありません。このため、図中の導管と葉部との成分の「解離状態」「非解離状態」には格別な意味はありません。

ここでは、いろいろな表現方法で根における養水分の吸収を見ました。

どのような見方が、理解し易いかは、個人差があるため、重複を恐れずいろいろな視点を例示したものです。

PTA法(ドッサリース農法)の、植物の根における有機物の吸収の考え方:まとめ

1)植物は、葉面の蒸散に見合うように根から土壌水分を吸収しています。

2)根の細胞膜は水を自由に通過させ、導管に導き、葉部へ送ります。

3)土壌水が細胞内へ侵入した部位では、溶解成分の濃度が低い領域が生じ、細胞膜外から濃度拡散を助けます。

4)作物の根の近くの土壌は、根酸の影響を受けてpHが酸性に傾いています。

5)酸性の下では、土壌に施肥された低分子量有機酸カルシウムは、土壌水があれば、順次溶解します。

6)水に溶解した有機酸カルシウムは、pHの状態に応じて解離状態のものと非解離状態のものが平衡関係にあります。

7)解離酸と非解離酸との割合は、酸性の下では、非解離酸の割合が高まるような平衡関係になります

8)有機分子の細胞膜の透過は、イオン化していると透過せず、分子量200以下の有機分子が透過できる可能性が高いと言えます

9)上記低分子量有機酸カルシウムの有機酸は、解離状態・非解離状態を問わず細胞膜の外側近傍まで到達します。

10)細胞膜内面は、土壌水が透過して溶解成分を導管側に押し出すため、溶解成分の濃度は低くなります。

11)細胞膜の内外の非解離状態の有機酸の濃度差に応じて、非解離状態の有機酸が濃度拡散によって細胞内部に透過します

12)細胞膜外では、非解離酸が減少し、平衡を保つため、解離酸が順次非解離酸となり、細胞膜内へ拡散します。

13)結局、土壌側の有機酸は、順次、非解離の形態で細胞膜を拡散によって透過し、ほとんどが根に取り込まれます

14)根から取り込まれた有機物は、蒸散に基づく水流によって葉部へ到達し、搬送した水分は蒸散で失われ、有機物は葉部に濃縮されます。

15)葉部に濃縮された有機物は、ATPによって作物が要求する成分の合成に利用されます。

16)植物における有機物の経根吸収には、蒸散と濃度拡散が大きく影響しており、人為的な操作としては、濃度拡散が主体となります。

植物の根における有機物の吸収の考え方: いろいろな視点から・・・蒸散

1)植物が、外界からの物質を吸収する部位は、主として根となっています

2)この物質吸収には、葉面の水分の蒸散が大きな役割を演じています。

3)物質吸収の最大の障害は土壌と接する細胞膜であり、基本的に、水に溶解している物質でなければ根から吸収できません。

4)そして、根から吸収される物質は、小さいほど透過し易く、電荷を持たないほど透過し易いとされています。

5)こと有機物の経根吸収でいえば、より小さい非電荷有機分子が細胞膜を濃度拡散によって透過し、吸収され易い傾向にあります。

6)細胞内に取り込まれた有機分子は、速やかに蒸散に伴う水流によって葉部へ移送され、そして、蒸散によって濃縮が行われる。

7)このように、蒸散を行う植物では、水分の蒸散が経根吸収において大きな役割を担っている。

8)この有機物の経根吸収を高めるには、有機物を低分子量化し、また、非電荷分子として水中に分散することかもしれません。

9)他方、蒸散を強めるには、外気の温度・湿度・風速などの水分の蒸発因子を考慮するでしょう。

10)家畜糞尿等の生石灰分解では、さまざまな反応が並行して進行していますが、低分子量有機酸カルシウムが生成されます。

11)有機酸は、高濃度では危険な場合がありますが、カルシウム塩であれば臭いもなく、取り扱いも容易で、安全です。

12)この有機酸カルシウムは、水に溶けやすく、溶解後も酸性溶液では非解離酸となる割合も高く、非電荷物質として細胞膜を濃度拡散しやすい物質と言えます。

 有機物の経根吸収の意義:


植物が有機物を吸収することは光合成のリサイクル


膨大な未利用資源が傍に出現


現下の光合成は、現下の条件に支配されても、過去の光合成産物は自由に使役できる



現下の光合成は量に限りがあり、過去の光合成産物はそれに比して圧倒的に多い

1)作物は、日照によって光合成を営み、生長している。 農業は、概して、日照や気温などの外的要因に支配される生業でした。

2)そして、NPK等の化学肥料が出現して生産性は向上しました。

3)しかし、日照や気温に由来する部分に関しては、如何ともし難いものがあり、自然のなすがままに委ねざるを得ません。

4)ところが、「作物における有機物の経根吸収」が身近なものとなれば、実質的に、光合成を経根吸収するに等しいものと考えることもできます。

5)光合成の中核を成す日照は、昼間だけの現象ですが、蒸散は1日中何時でも行われている現象です。

6)蒸散による有機物の経根吸収で、光合成を助勢することができるのであれば、NPK等の肥料要素と同列に光合成が施肥対象となったことを意味します。

7)このことは、耕種農業において、現下で進行する光合成の他に、過去の光合成産物を作物に付与する経路が出現したことであり、有機炭素の獲得において「現下の太陽」と「過去の太陽」とが出現したとも言えます。

8)耕種農業における、現下の太陽は現下の自然条件に支配されますが、過去の太陽(光合成産物)は制約となる要因が少なく、耕地の生産性を大幅に向上させる可能性が生まれました。

9)これまで生産性が低いために強引に自然を破壊して広大な耕地を開拓しました。耕地の生産性が向上すれば、勢い、耕地に余裕が生まれます。「耕地の余裕」は、人類が初めて直面する余裕です。

「新装版 生態の事典」(株式会社東京堂出版 発行)の記述


私たちは、さまざまな事柄について、色々な文献を参照して、知識を深めています。ここで取り上げた「新装版 生態の事典」という文献は、生態についての専門的な知識を遍く紹介している文献として利用される機会が多いもののひとつかもしれません。

その意味では、「標準的なものの考え方」を示しているといえます。

そのような文献において、植物の有機物の吸収と同化についてどのような記述があるか概観します。なお、この書籍は西暦2000年に出版されたものを参照していますので、約10年の経過で認識が新たになることも多々あるでしょう。

このような知見を参考にして、西暦2000年以降、爆発的な「有機液肥」「液状堆肥」の研究に発展したものかもしれません。

なお、当該項目の筆者に関しては、巻頭に表示されている筆者の略歴をそのまま追記しています。

また、「アンダーライン」は、当サイト管理者のコメントのために適宜付しました。原著には、当該引用部分にアンダーラインはありません。


編集 沼田 真 他

株式会社東京堂出版

新装版生態の事典

1993年7月15日初版発行  2000年2月10日3版発行

第22頁左の蘭下から13行目〜第23頁左の欄下から2行目まで

エネルギーのながれ エネルギーの流れ 

生態系のなかには、さまざまな物質の運動や変化と、それに伴うエネルギーの運動が起こっている。

生態系におけるエネルギーの運動は、全体として「流れ」と表現できるような性格をもっており、これをエネルギーの流れ(エネルギー・フロー)と呼ぶ。

生態系における物質とエネルギーの運動の性格には基本的な差異がある。

生物体を構成する炭素、酸素、窒素、リンなどの化学物質は、生物と無生物の間を何回でも循環することができる(→生物地球化学的サイクル)。

しかしエネルギーは、物質とともに生物に入れられ、生物に利用され、最後にはふたたび生物に利用できないかたちのエネルギーである熱エネルギーとして発散していく。

したがってエネルギーには循環はなく、一方的な「流れ」しかない。エネルギーの運動のこのような性格は、熱力学の法則から理解される。

エネルギーが一つの型から他の型へと転換してもその前後のエネルギー総量は不変であるが、しかしその変換の際に必ず一定部分のエネルギーは熱として放散される。

その結果エネルギーの流れに含まれる何段階かのエネルギー転換を経過するごとに、エネルギー流速は小さくなっていくのである。

生態系におけるエネルギーの流れの源泉は太陽の放射エネルギーである。

地球大気の外側は1分間に1cm2当り約2gcalの太陽エネルギーを受けるが、その35%は大気圏の反射により失われ、18%は大気や雲に吸収される。

したがって地表に到達する太陽放射は47%程度である。

つぎにこの太陽放射のエネルギーが緑色植物の一次生産によって化学エネルギーに転換されることになる。

地表を十分に発達した植物群落が占めている場合、群落に到達した全放射エネルギーに対する総生産によって固定されるエネルギーの割合は2〜3%、純生産のそれは1%程度であろうと推定されている。

これが植物群落による放射エネルギーの化学エネルギーへの転換の効率であり、総生産と純生産との差は植物の呼吸の結果熱エネルギーとして失われる割合を示している。

地球上には外洋や乾燥地、極地など、植物の繁茂が十分でない広い地域が存在するので、地球の生物圏全体の一次生産のエネルギー効率は上の値のそれぞれ1/10程度と推定される。

つぎに、植物体を構成する有機物中の化学エネルギーは摂食によって一次消費者に流れる。

生きた植物体を直接食べる消費者に流れるエネルギー流束は、多くの陸上生態系で植物の純生産の数%程度以下で、特殊な場合を除けば10%を超えることはないと推定されているが、水界生態系ではより高い割合になりうると考えられる。

以後一次消費者のからだを構成する有機物中の化学エネルギーは、食物連鎖にそって二次、三次の消費者へと流れ、その各段階ごとにおよそ10%程度(実測例はほとんどないが)に減少していく。

生きているうちに消費者に食べられなかった植物体中の化学エネルギーは、死後腐生連鎖の道すじを通ってさまざまな動物体に移ってゆき、その各段階で熱エネルギーとして失われていく。

最後には動植物の遺体は分解者によって分解され、この段階でも遺体の有機物中の化学エネルギーはいろいろな種類の分解者の間を受けわたされながら、次第に熱エネルギーとなって放散されてゆく。

(木村:元東京都立大学理学部教授・木村充)」

当サイトの管理者のコメント

生態系を流れる、エネルギーの源が「太陽光」にあり、光合成によって植物エネルギー(化学エネルギー)となった後、いろいろな種類の生物となり、最終的には熱エネルギーとなって放散される、と解されます。

化学物質(元素)は、生物と無生物との間を繰り返し循環しているが、太陽エネルギーが光合成によって「化学エネルギー」に転換された後は、順次熱エネルギーとなって放散され、生態系を循環することは無い。

ところが、PTA法(光合成移転農法)では、「植物が有機物を吸収して、同化する」と考えて栽培を進めるため、植物が吸収する有機物には化学エネルギーが含まれており、エネルギーの循環が生じていることになります。

このため、PTA法(光合成移転農法)では、通常の認識とやや趣を異にしているといえます。


同書 第124頁右の欄下から第18行目〜第125頁左の欄第24行目

じゅうぞくえいようせいぶつ 従属栄養生物

従属栄養とは独立栄養の対語で他栄養とも言い、生育のための栄養を他の生物体の有機物に依存している栄養形式である。

すべての動物や細菌の大部分、菌類などが従属栄養生物に属する。高等植物でもクロロフィルを持たない寄生植物は従属栄養に属する。

捕食性の動物のように、栄養源をすべて他の生命体からえる場合を、絶対従属栄養と呼ぶ。

このグループには落葉などの分解物を低分子の有機物として利用するギンリョンウや、生きた植物に完全に寄生する植物群も含まれる。

絶対従属栄養に属する植物としては、ネナシカズラ、キヨスミウツボ、ナンバンギセル(ススキやミョウガの根に寄生)、キムラタケ(ミヤマハンノキの根に寄生)、ヤマウツボ、ハマウツボ(カワラヨモギに寄生)やマメダオシ(ダイズに寄生)などがある。

キノコ類やカビ類も活性寄生(生きている生物に対する寄生)や、腐生寄生(死がいなどの半分解性体を利用する寄生)かで、いずれも絶対従属栄養である。藻類は、その殆どが光合成を通じての独立栄養であるが、緑藻類の一部には、強光条件下で独立栄養であるのに、弱光または暗黒下では有機物を利用して成長できる特殊な栄養形式をとるものもある。

また、最近では数多くの緑色高等植物も、土壌の低分子の有機物を弱光条件下では利用できるのではないかという問題が興味をもたれている

特に有機質に富む弱光条件の林床の下ばえなどでは、もしこのような従属栄養形式がとりうれば、きわめて好都合になる。

しかし、大多数の緑色高等植物は、その炭素源を、圧倒的に光合成を通じて得ていることは間違いないだろう

また、マメ科の根に共生する根粒菌の場合は、炭素源を植物体に依存している点で従属栄養であるし、菌根についてもほぼ同様のことが言える。

さらに、高等植物として、極めてユニークな一群は食虫植物であり、このグループは、光合成に由来する炭素源のほかに昆虫の半分解物を栄養として利用できる。

(牛島:元東京農工大学農学部教授・牛島忠廣)」

当サイトの管理者のコメント

筆者(牛島氏)は、明らかに、植物が有機物を吸収することに関心を寄せています。

ただ、この時点では、植物にとって、その炭素源は「光合成が支配的」とする見方をしています。

即ち、およそ西暦2000年(20世紀まで)の、平均的な認識では、植物が成長するための炭素は「光合成が支配的」とする見方であったと思われます。

このため、PTA法(光合成移転農法)のいう「炭素肥料」「光合成のリサイクル」というような見方は、馴染み難いと言えます。



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