PTA法(ドッサリース農法)

第9章PTA法の基礎知識

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最終訂正日:2010-12-29 

第9章では、PTA法(ドッサリース農法)に関係する基礎的な事柄を記します。この基礎的な事柄は、凡そ中学校から高等学校の課程で学んだ事柄を主体として
います。それだけに、必要に応じて一瞥されるだけで理解できることばかりです。そして、驚くべきことに、非常初歩的な事柄の中に、これまでの耕種農業の生産
性を倍増させる程の事が隠されていました。

そのため、ここで触れる項目を予め次に列記します。

   9.1 ・炭素の生物地球化学的循環

   9.2 ・食物連鎖

   9.3 ・植物を構成する元素

   9.4 ・原形質の成分の割合

   9.5 ・作物の生長の仕方

   9.6 ・食物連鎖における吸収と同化

   9.7 ・生態系を支える太陽エネルギー   

   9.8 ・食物連鎖の新しい姿(これは従来の食物連鎖とPTA法の食物連鎖の違いを示したもの)

   9.9 ・植物の根圏からの物質吸収 : 陸上植物は、根から水流にのせて色々なものを吸収している


第3図(再掲載) PTA法(ドッサリース農法)のフロー図


9.1 炭素の生物地球化学的循環

下記の第28図は、炭素の生物地球化学的循環を示す図です。

「生物地球化学的循環」とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、地球上の生命と広大な宇宙との関係を大まかに示す考え方です。

地球上の生命体に特徴的な元素は「炭素」です。

今の地球で言えば、殆どの有機炭素は葉緑体の光合成によって無機物(CO2と水と光)から合成されます。

そして、無機物から有機物を生産するものを「生産者」とか「独立栄養生物」と言います。

私たち動物は、植物のような生産者が生産したさまざまな有機物を餌として摂取することで生命を維持しています。

私たちのように生産者に依存しなければ生命を保てない生物を「消費者」、或は「従属栄養生物と言います。

また、生産者が消費者を餌とする事例は「食虫植物」で見られる形態で、「半独立―半従属栄養植物」とされています。

或いは、植物が植物や遺骸に寄生する「従属栄養植物」のような形態も知られていますが、食虫植物や従属栄養植物は私たちの社会活動において重要な役割
を占めるものではありません。

植物の遺骸や動物遺骸・排泄物も最終的には細菌のような生物によって分解され、その有機炭素は全て無機物(炭酸ガス)となります。ただし、山火事のような現
象で有機炭素が炭酸ガス・炭素(すす)となる場合もあります。

なお、遺骸や排せつ物を分解する細菌のような生命体を「分解者」といいます。

「第28図炭素の生物地球化学的循環」の図は理解しやすいものといえます。

第28図から明らかなように、無機領域の炭素が有機領域に流入する入口は「光合成」です。

太陽エネルギーが地球上の全ての生命を支えている、とはよく言われます。

より具体的に表現すれば、太陽光による光合成が全ての生命体を構成している有機炭素を生み出し、また、その全ての生命の活動エネルギ-を生み出していると
いえるでしょう。

生命の起源や、今日でもごく一部で行われている海底の熱水をエネルギー源とする光合成を必要としない生命活動に関しては、私たちの日常生活に占める割合
が少ないので、ここでは無視しています。

当サイトは、「有機圏内炭素循環」という新しい概念を提案します。その流れを次の図に示します。糞尿のように不要になった有機炭素が、有機炭素の
まま生産者に取り込まれる経路を積極的に活用するのがPTA法(光合成移転農法)です。光合成の負担が大幅に軽減されます。

第28図 炭素の生物地球化学的循環


PTA法(光合成移転農法)が提案する新しい「炭素の生物地球化学的循環」の姿

低分子量化された有機炭素が、有機炭素のまま光合成と共に生産者に同化される

本サイトは、この新しい炭素循環に関するものです。

点滅する緑の破線の経路についていろいろな角度から眺めます


9.2 食物連鎖

次の第29図は、生態系に於ける食物連鎖を示す図です。第29図も第28図と類似しています。 

食物連鎖の最初の段階は、生産者である植物プランクトンであり、順次、一次消費者(動物プランクトン)、二次消費者(魚)、三次消費者(ヒト)というように推移しま
す。 

しかし、厳密にこのような食性に限定されてはおらず、夫々の消費者は多様なものを食べています。

大体、一つの階層を上るごとにその規模は10%程度に縮小しており、ヒトはその最上階に位置します。

このため、もしヒトが増加するのであればその下層にあるそれぞれの階層が大きくならなければなりません。

ただ、現実には人口の増加や人間活動の拡大は、下層の領域を縮小している結果を招いているように見受けられます。

第29図 食物連鎖


このように、第28図と第29図から、光合成が全ての生体の組織、および活動エネルギーの根源にあるといえます。ドッサリース農法は、生物地球化学的循環から考
えると理解しやすいため生命の基本に立ち返って図示しました。第28図および第29図の記載内容は判り易い事柄といえるでしょう。

また、この理由によって、ここでは農業よりも「生物」に立ち返って、繰り返し、繰り返し生物の成り立ちに触れることになります。

PTA法(ドッサリース農法)は、作物を栽培するに際して、低分子量有機物を施肥して作物の根から積極的に低分子量有機物を吸収させることを意図し、同時に、現
在広く利用されている窒素・リン酸・カリウムのような無機塩類を主体とした化成肥料による施肥設計・肥培管理を併用する栽培の手法を提案するものです。

生態系の入口は光合成です。全ての生命は、光合成によって炭酸ガスからブドウ糖が合成されることから始まります。

生命を構成する全ての有機炭素は、光合成によって無機領域から有機領域へ取り込まれます。

この時、有機炭素と共に太陽エネルギーが生体エネルギーに転換して取り込まれます。

この光合成によって取り込まれた太陽エネルギーが、全ての生物の生命活動の源となり、以後、生命活動と共に失われます。



PTA法(光合成移転農法)は、分解者の餌となる「生産者や消費者の遺骸・排せつ物」ばかりでなく、分解者を含めて、生石灰で分解して低分子量有機物として、
低分子量有機物の形で光合成と共に生産者へ同化させます。点滅する緑の線がPTA法(光合成移転農法)が提案する経路です。


9.2b 食物連鎖と生理的熱量( food energy)

光合成では、太陽エネルギーがブドウ糖として獲得され、そのエネルギーは生産者(植物等)の生体エネルギー(生理的熱量:food energy)として蓄積されます。

この分解者が獲得した生体エネルギーは、自己の生息・生長のために消費され、その呼吸(酸化)のために炭酸ガスが発生します。

生産者の組織の一部分が「被食部」として、消費者(牛等)の餌となって消費者を育てます。

生産者の枯死部は、分解者(カビ・菌等)の餌となり、分解者を増殖させます。

牛のような消費者に引き継がれる生体エネルギーは、「被食部」に含まれる生体エネルギーであり、牛のような消費者も同様に生息・生長のためにはエネルギー
を消費し、その消費に相当するエネルギーは有機物の酸化によって賄われ、呼吸となって炭酸ガスとして失われます。

なお、ここでは、「炭素」に着目し、HOについては省略しています。

生態系で呼吸によって炭酸ガスとなった炭素は、光合成で再び生物圏へ循環します。

しかし、光合成で獲得された生体エネルギーは、生産者⇒消費者(牛等)⇒消費者(ヒト)⇒分解者と渡りながら、順次減らし、戻ることはありません。

ところが、PTA法(光合成移転農法)においては、生産者の枯死量、消費者の排泄物・枯死量及び分解者を生石灰で分解して低分子量有機酸カルシウムに転換
し、経根吸収によって有機酸を生産者へ移行し、太陽エネルギーばかりでなく、所謂、経根吸収で獲得した有機炭素のエネルギーを含めて生産者が獲得すること
となり、低分子量有機酸カルシウムと共に生体エネルギーが循環していることになります。

 

元来、生態系において生体エネルギーは循環しない、とされていたものがPTA法では、循環していることが特徴的と言えます。

太陽エネルギーを取り込む光合成は、暗反応と明反応の2段階に分かれていいますが、基本的には太陽光に左右されます。

ところが、経根吸収による低分子量有機酸の獲得は、土壌中の有機酸カルシウムの量にもよりますが、蒸散による水分吸収量にも支配され、日照量とは直接的な
関係はありません。

すなわち、植物の蒸散が支配しているために夜間においても経根吸収による有機炭素の取り込みは行われていると推測されます。



9.3 植物を構成する元素

第1表は植物の必須養分元素の割合と獲得源とそれに関連する事柄をまとめて表示したものです。

植物を構成する元素の構成割合は、植物の種類によっても異なります。地球上には膨大な種類の植物が膨大に存在しているために厳密な意味でその平均的な
割合を示すことはできません。

ただ、現時点では、第1表に示す16種の元素が必須元素とされ、その大雑把な割合として表に示したような数値が例示されています。

ここでは、主として次の3つの事柄が確認できます。

・水素、炭素、酸素が植物の大半を占めること、

・水素・炭素・酸素の3元素は光合成で獲得されていること

・土壌から供給される元素のうち窒素・カリウム・リンについては、その割合が大きいため肥料として人為的に補給するケースが多いこと

土耕を生業とする耕種農家がさまざまな農産物を栽培する場合に窒素・リン酸・カリという肥料を多用する根拠は、この第1表にあります。

多くの場合には、微量養分元素は土壌から自然に供給されるため格別の施肥は必要としないものです。

耕種農業は、NPKの肥料元素を少量施肥するだけで、作物の大多数を占める炭素・水素・酸素の部分は作物の光合成で獲得し、巨大に生長した作物を収穫する極
めて効率のよい産業といえます。

作物が光合成によって周囲の環境から獲得する炭素・酸素・水素は、概ね作物の固体重量の96%も占めています。

第1表 植物の必須元素の割合と獲得源等


元素

wt%,ppm

獲得源

(土耕)

光合成獲得元素

通常の施肥元素

(土耕)

多量養分元素

C

45%

大気

×

O

45

×

H

6

×

N

1.5

土壌

×

K

1.0

×

Ca

0.5

×

Mg

0.2

×

P

0.2

×

S

0.1

×

微量養分元素

Cl

100ppm

×

B

20

×

Fe

100

×

Mn

50

×

Zn

20

×

Cu

6

×

Mo

0.1

×

PTA法(光合成移転農法)は、従来施肥対象とはなっていないCHOの3元素を新たな施肥対象と考えます。

「CHOは光合成で獲得できるのでメリットは小さい」という見方もできますが、実際に低分子量有機酸カルシウムを施肥してCHOの施肥を行うと、収量の向上と共に
食味が上昇し、後者の影響で収益を大いに高めています。

PTA法(光合成移転農法)は、従来のNPKを中心とした肥料要素とは全く異なるCOHを施肥対象元素に加えることになります。

NPK等の従来の主要肥料要素等は、従来と同様に化成肥料によって補うことを想定しています。

即ち、NPKについては従来の施肥設計に従い、施肥します。

そして、ドッサリースにはNPKの含有量は「ゼロ」として施肥設計します。

また、PTA法(光合成移転農法)では、増収となるため、NPK等の肥料要素は、適宜、追肥で補うこととなります。


9.4 原形質の成分の割合

次の第2表は、原形質の夫々の成分の割合を示したものです。原形質とは細胞と読み替えてもよいでしょう。

極めて複雑な生体も、その成分で見れば極めて少ない成分から成り立っています。

水分を除いて見れば、

       タンパク質

       脂質

       炭水化物

       核酸

       無機塩類

       その他

というようにごく少数の成分に仕分けることができます。

そして、極めて多種多様な生体組織も、それぞれの成分はごく少数の物質から構成されていることが判ります。

ここでは、この各成分の構成比率の厳密な数値を云々するのではなく、生命現象の根源的な成分である蛋白質、核酸の総重量が生命体の半分以上を占めるこ
とを理解して貰いたいために示しました。

後に石灰処理(生石灰による糞尿の分解処理)において、生体組織の蛋白質と核酸が酸化カルシウムによって完全に分解されることを例示します。蛋白質と核酸
が分解されることは、生体組織の半分以上のものが分解されることが第2表から判ります。

第2表 原形質の成分の構成割合

成分名

湿重量%

乾基準%


水分

70


蛋白質

16.5

55

脂質

6

20

炭水化物

3.5

11.7

核酸

1.3

4.3

無機塩類

0.6

1.7

その他

2.2

7.3

生体組織で、一番大きな割合を占めているのが「水」です。水を取り除くと、蛋白質の占める割合が大きいことが判ります。

このような生体組織に生石灰を作用させると、蛋白質や核酸などの巨大分子量組織のC-N結合が切断されたり、リン酸が引き抜かれ、巨大な高分子量成分が低
分子量有機物まで分解されます。

PTA法(光合成移転農法)は、このようにして生成した低分子量有機物を「炭素肥料」のように考えて圃場に施肥して栽培を進めます。


9.4.1 タンパク質

20種類のアミノ酸がペプチド結合で多数連なったものがタンパク質です。

アミノ酸とは、アミノ基(−NH2)とカルボキシル基(−COOH)とを含む炭化水素化合物です。

アミノ基とカルボキシル基とが脱水縮合することで、アミノ酸は多数が連なり、高分子有機物となります。

20種類のアミノ酸の中には「グルタミン酸」「アスパラギン酸」「トリプトファン」というように聞き覚えのあるものもあります。

20種類のアミノ酸:

   グリシン・アラニン・トレオニン・バリン・アスパラギン酸・セリン・システイン・

   プロリン・ロイシン・イソロイシン・グルタミン酸・アスパラギン・グルタミン・

   メチオニン・リシン・アルギニン・ヒスチジン・トリプトファン・フェニルアラニン・チロシン

このたった20種類のアミノ酸の組合せで膨大な種類のタンパク質が生み出されていることは驚異です。

又、それが人間も動物も植物も全く同じであることも驚異といえます。

タンパク質の種類

     単純タンパク質

     複合タンパク質

          ・核タンパク質

          ・糖タンパク質

          ・リンタンパク質

          ・色素タンパク質


第20図(再掲載) アミノ酸の重合の模式図

アミノ酸の重合による単純蛋白の形成を模式的に示します。生命体の根源的な物質の一つがタンパク質です。

蛋白質の一つに単純タンパクがあります。単純タンパクは、僅か20種類のアミノ酸が、配列の順番が異なるだけで多様な蛋白質を構築します。ヒトも植物も、他の
動物も微生物も、そこに含まれている蛋白質を構成するアミノ酸は同じ20種類のアミノ酸です。アミノ酸がペプチド結合で重合することで、いつしか生命体を構成す
るタンパク質となります。蛋白質の骨格はペプチド結合の窒素原子が含まれています。

 生石灰による分解反応では、この骨格窒素(赤丸)がアンモニアとして揮発して除かれます。その結果、残留する有機炭素は、蛋白質を構成するアミノ酸に程近
い有機酸となります。


PTA法(光合成移転農法)では、もっとも安価な低分子量有機酸の製法として、家畜糞尿や各種有機廃物に生石灰CaOを添加して、短時間に分解する方法を推奨
しています。蛋白質に対して活性の高い生石灰が作用すると、ペプチド結合が断裂して蛋白質の骨格窒素がアンモニアとして揮発します。

この反応残渣を圃場へ施肥すると、窒素分に着目すると、生石灰による分解は決して有利なものとはいえません。

しかし、PTA法(光合成移農法)では、NPKは他の化成肥料によって補うことを前提としており、光合成の移転資材としては「低分子量有機物」に着目します。

この蛋白質のC-N結合が切断された時の低分子量有機炭素を「光合成移転成分」として施肥します。


9.4.2 脂質

グリセリンに3つの脂肪酸が結合したものが単純脂質です。

その一つの脂肪酸がリン酸に置換されたものが「リン脂質」といわれて生体膜の本体です。

生体は「細胞膜」「核膜」などいろいろ生体膜によって機能ごとに区分けされていますが、その膜を構成する物質がリン脂質の二重膜です。

このリン脂質二重膜は、ある意味、その生物を保護しているともいえます。

後述する生石灰による分解処理では、リン酸がカルシウムによって取り除かれるため、機能を仕切るリン脂質二重膜が消失し、生体の機能が失われることがわか
ります。

 ・単純脂質

 ・複合脂質

 ・・リン脂質

 ・・ステロイド

 ・・カロテノイド

上図は、細胞内でさまざまな機能を仕切る生体膜を模式的に示したものです。

グリセリンの3つの水酸基のうち2つの水酸基に脂肪酸が結合し、残余の水酸基にリン酸基が結合してリン脂質を形成しています。

このリン脂質の脂肪酸側が接するように2重層となっています。

細胞膜の外側は親水基であるリン酸が露出し、二重層の内側は脂肪酸が向き合っています。

このため、細胞膜の内外共に親水性を持っています。

細胞膜の面を構成するリン脂質同士は、格別に強固な結合はしておらず、柔軟に揺動できる膜となっています。

細胞の外側から内側への物質移動では、その一つとして、リン脂質の隙間を物質が透過する形態(単純な拡散)があります。

拡散は、細胞外の水相における成分濃度が高い場合に、細胞内側に物質が移動し、細胞膜内外の濃度差を解消するような現象です。

この拡散現象は、当該成分が水に溶解していることが必要であり、また、分子の大きさやイオン化の如何が細胞膜の透過抵抗に影響します。

有機物であれば分子量200以下のものが透過し易く、また、イオン化している状態のものは極めて透過が難しいとされています。

細胞膜の揺動性を忠実に表現するものではありませんが、液体の表面の波にように細胞膜表面は揺れ動き、リン脂質の隙間から物質が透過します。

細胞外に対して、リン脂質のリン酸基が露出しているため、生石灰処理のように酸化カルシウム(水酸化カルシウム)が接近すると、カルシウムとリン酸基とが反応
して不溶性のリン酸カルシウムが形成され、生体膜(細胞膜)は、先ず、二重層の外側のリン脂質層が破壊され、同時に、内側のリン脂質層は脂肪酸側を中心に
球状になろうとし、そのの外表面に親水基であるリン酸基が露出し、このリン酸基もカルシウムと反応してリン酸カルシウムとなるため、細胞膜(生体膜)は、生石
灰処理に際して速やかに破壊され、その内容物を外部に漏出します。

このように生石灰処理では、リン脂質のリン酸基がカルシウムに引き抜かれるために、細胞膜が破壊され、生体膜で保持していたさまざまな内容物がすべて一体
に混じりあい、生命としての機能が完全に損なわれ、「殺菌」もなされます。

この図は、生体膜(細胞膜)が、生石灰処理で簡単に破壊されることを示すために図示したものです。

生体膜の破壊は、「完全な殺菌処理」と「完全な分解処理」とで重要となります。


9.4.3 核酸

核酸は、遺伝情報を掌る重要な物質ですが、リン酸と糖とが交互に膨大な数が連なり、その糖に塩基が結合しています。

塩基の種類はDNAにおいてはATCGのたった4種類です。

少数の塩基の配列の仕方で全ての生命の挙動が決定されていることは驚異です。

10種類にも満たない簡単な低分子量有機物を適宜並び替えるだけで人間から野菜や細菌のようなものまでありとあらゆる生命体

を自由自在に構築できることになります。

なお、ATP(アデノシン−3−リン酸)は全ての生物に共通する生体内のエネルギー通貨であり、あらゆる場面において生体反応に

エネルギーを供給して、生命体が欲する生体物質を構築します。

  核酸の種類

     DNA:デオキシリボ核酸

          A;アデニン   T;チミン   G;グアニン  C;シトシン

          デオキシリボース  リン酸

     RNA:リボ核酸

          A;アデニン   U;ウラシル  G:グアニン  C;シトシン

          リボース  リン酸

     ATP:アデノシン-3-リン酸

     ADP:アデノシン-2-リン酸  


第23図(a)(再掲載) 遺伝子の塩基配列の例(アデニンとチミン)

遺伝子に含まれる塩基の「アデニンA」と「チミンT」との原子配列を示します。正確な構造は、別に公表されている資料を参照してください。

アデニンA:チミンTの塩基対はDNAにおいて見られる塩基対です。左の塩基部分が分解すると、炭素1個の有機物、炭素4個の有機物が生成されることが示唆さ
れます。


第23図(b)(再掲載) 遺伝子の塩基配列の例(アデニンとウラシル)

遺伝子に含まれる塩基の「アデニンA」と「ウラシルU」との原子配列を示します。正確な構造は、別に公表されている資料を参照してください。

アデニンA:ウラシルUの塩基対はRNAにおいて見られる塩基対です。左の塩基部分が分解すると、炭素1個の有機物、炭素の有機物が生成されることが示唆され
ます。


第23図(c)(再掲載) 遺伝子の塩基配列の例(グアニンとシトシン)

遺伝子に含まれる塩基の「グアニンG」と「シトシンC」との原子配列を示します。正確な構造は、別に公表されている資料を参照してください。

グアニンG:シトシンCの塩基対はDNAにおいて見られる塩基対です。左の塩基部分が分解すると、炭素1個の有機物、炭素3個の有機物が生成されることが示唆
されます。


第24図(再掲載) DNA配列の模式図

DNAの配列を模式的に示した図です。但し、図の左右のリン酸と糖の鎖は作図の手間を省くために単純に左右対称としています。正しくは二重らせんとなります
が、その構造は別の資料を参照してください。

上の3図に示したATGCの4つの塩基の何れかが中央に配置される。遺伝子の鎖に酸化カルシウムCaOが作用すると、リン酸カルシウムが生成し、リン酸は遺伝
子の鎖から取り除かれる。このため、分子量が数百万にもなる巨大な有機分子である遺伝子も速やかに単一のユニット毎に分断されて低分子量有機物に転換さ
れる。

巨大な有機分子であるDNA、RNAがCaOの作用でバラバラにされる様子を模式的に示すための図として見ていただきたい。


第25図(再掲載) ATP(アデノシン‐3‐リン酸)の模式図

アデノシン‐3‐リン酸ATPの模式図を示します。ATPは、全ての生命体において共通してエネルギー通貨として用いられている。遺伝子や酵素の指示に従い、所
定の元素の物質収支が釣り合う範囲において、エネルギーが不足する場面ではATPの左側のリン酸を放つことでエネルギーを与えることができます。また、その
場合のエネルギーは加算できる特徴があります。その生体内で万能の威力を発揮するATPも他の塩基や炭素骨格と比べて、あまり違いはないように見うけられま
す。勿論、その機能は全く異なることは言うまでもありません。

ここでは、いろいろな生体組織を構築する物質の姿が、そんなに違いのないことを模式的に示しました。


9.4.4 炭水化物

炭水化物は、炭素と水とが結合した分子式を持つものであり、エネルギー源としての役割を担う物質です。

無機領域の二酸化炭素は、最初に光合成によってブドウ糖(単糖類)として植物に取り込まれます。

次いで、一次同化の過程で簡単な構造の有機物となります。この簡単な構造の有機物としてはアミノ酸、有機酸、単糖類、二糖類、グリセリン等です。

そして、これらの簡単な構造の有機物が植物のさまざまな部位に導かれて、それぞれの部位を生長させるための高分子有機物(タンパク質、脂質、多糖類、核
酸、酵素等の物質として用いられます。

 ・単糖類: 

   5炭糖;デオキシリボース、リボース

   6炭糖;ブドウ糖、果糖、ガラクトース

 ・二糖類

   麦芽糖(ブドウ糖+ブドウ糖)

   ショ糖(ブドウ糖+果糖)

   乳糖 (ブドウ糖+ガラクトース)

 ・多糖類

   デンプン(多数のブドウ糖)

   グリコーゲン(多数のブドウ糖)

   セルロース(多数のブドウ糖)

上記のものが全てではありませんが、いずれにしても簡単な構造の低分子量有機物がいろいろな組み合わせで、多数連結して多様な生体組織が構築されている
ことがわかります。


2.4.5低分子量有機物と高分子有機物

このように、複雑な生体組織も、成分としてみれば少数の成分に区分けされ、更に、それぞれの成分はさほど多くない種類の低分子量有機物を「いろいろな順番に
組合せる」ことで成り立っているだけのことが判ります。

簡単な低分子有機物を基本に、複雑な高分子有機物を構築する考え方は全ての生命体に共通する考え方です。

重複しますが、第3表に原形質の大まかな内訳を示します。

植物や動物などの複雑な生命体を構成する物質は多種多様に及びますが、僅かな種類の極めて限られた基本的な物質(アミノ酸、単糖類、ATGCU、脂肪酸、グ
リセリン、リン酸、ステロイド核等)をいろいろな順番で結合することで多種多様な生体組織を構築している姿が浮かび上がります。


第3表 原形質の大まかな内訳



蛋白質

単純蛋白


20種のアミノ酸

複合蛋白

核蛋白

核酸と結合

糖蛋白

糖と結合

燐蛋白

燐酸と結合

色素蛋白

色素と結合

脂質

単純脂質


グリセリンと脂肪酸

複合脂質

リン脂質

脂肪酸の一つがリン酸化合物

ステロイド

ステロイド核

カロテノイド

黄色や赤色の色素

炭水化物

単糖類

六炭糖

ブドウ糖、果糖、ガラクトース

五糖類

デオキシリボース、リボース

二糖類


麦芽糖、ショ糖、乳糖

多糖類


デンプン、グリコーゲン、セルロース

核酸

DNA


ATGCとデオキシリボースとリン酸

RNA


AUGCとリボースとリン酸

ATP・ADP


アデニンAとリボースとリン酸

無機塩類




9.5 作物の生長の仕方

12図は植物の生長の過程を模式的に示したものです。

作物は、光合成によって炭酸ガス・水・光からブドウ糖と酸素を合成します。

光合成の反応式は次のように表示されます。

    6CO2 + 6H2O + 光エネルギー(688kcal) = C6H12O6 + 6O2

(便宜上、ここでは光合成における光エネルギーを688kcalとしていますが、他の信頼性の高い数値であっても構いません。)

この光合成の反応式は、地球上で最も多く進行している化学反応の一つで、地球上の全生命を支える重要な反応です。

また、炭素は有機的環境と無機的環境を循環するものですから、光合成の反応と反対側に進行する呼吸(酸化)反応が進行していて、地球上の炭酸ガス濃度は安
定に維持されています。

さて、光合成は、炭酸ガスからブドウ糖を合成する反応です。

ブドウ糖はよく耳にする名前ですが、病院の点滴袋でしか見る機会がないかもしれません。

或は、様々な加工食品の成分表示で見ることがあるでしょう。

ブドウ糖は生体にとって重要な役割を担う成分です。

あらゆる生命は、ブドウ糖から出発していると考えても差し支えありません。

光合成によってブドウ糖を獲得した植物は、このブドウ糖を二つの用途に活用します。

ひとつは生体組織を構築するための元素COHとして活用することです。

他の用途は、生体の活動エネルギーとして用いることです。 

ブドウ糖1モルによって38モルのATP(アデノシン-3-リン酸)が生成します。

ATPは、全ての生物に共通した生体エネルギーの共通通貨であり、あらゆる生体反応においてエネルギーが不足する場合にエネルギーを充当することができま
す。

酸素呼吸の反応式は次のように記述されることがあります。

  C6H12O6+6H2O+6O2 = 6CO2+12H2O+688kcal(38ATP)

このブドウ糖の酸化で得られるATPは1モル当たり7〜10kcalのエネルギーを持ち、あらゆる生体反応の過程で不足するエネルギーを追加して、多種多様な生体組
織を組立てる重要な働きをします。

このATPは地球上の全ての生物に共通する重要なエネルギー物質です。

そして、植物はブドウ糖を元手にして、先ず、一次同化によって単純な低分子量有機物を合成します。

この低分子有機物としては「アミノ酸」「脂肪酸」「単糖類」「グリセリン」などです。

そして、次いで、二次同化によってより分子量が大きい実際の植物体を構成する各種のタンパク質・脂質・糖質・核酸を合成して、植物体として生長を遂げます。

このような説明は、一般的なものです。PTA法では、根から吸収された有機物が、ブドウ糖のように、或いは一次同化物のように振舞います。植物に有機炭素
と、エネルギーを与えます。
●●PTA法は、植物の側から見れば、光合成の他のもう一つの「有機炭素、エネルギー獲得回路を得た」ことになります。植物は、光
合成の単発エンジンから、光合成と吸収との双発エンジンを持つことになります。そして、光合成は、天気任せの不安定なエンジンです。有機物の吸収という新し
いエンジンは、人が予め炭素肥料を沢山準備して施用すれば、大きな出力が得られる努力次第で大きくできるエンジンです。PTA法が、これまでの農業の生産性
を飛躍的に高める根拠です。】


第12図 植物の生長の過程の模式図


9.6 食物連鎖における吸収と同化

第30図は、食物連鎖における各々の段階での吸収と同化を模式的に示したものです。

夫々の生物体は、小さい物質で吸収し、自らの体内で自らの体の組織に同化しています。

生産者(独立栄養生物)である植物は、炭酸ガスと水という無機物を吸収して有機物を構築します。

しかし、消費者である動物などは、植物等の巨大分子量有機物を消化して小さな分子量の有機物としてから、生体膜を通過させる形で栄養分を体内に取り込みま
す。

そして、低分子量有機物を体内で組立てて自らの体を生長させます。

生態系においては、消費者は幾段階にも階層を成していますが、その何れにおいても、「巨大分子量有機物を低分子量有機物まで消化分解して吸収する」という吸
収形態となっています。

生産者は、無機物から有機物を構築する能力があり、消費者は無機物から有機物を構築する能力がないためです。

9.6.1 植物が吸収するもの

生態系の物質循環の一般的な理解では、多くの場合、植物は無機物質である炭酸ガスと水から光合成によってブドウ糖を合成して、生長すると考えられています。
勿論、食虫植物のような例外があるにせよ、実際の私たちの経済活動において考慮すべきような量には達していません。

9.6.2  一次同化と二次同化

植物が、無機物・ブドウ糖から簡単な有機物を合成する過程を「一次同化」といいます。植物は、更に二次同化によって巨大高分子有機化合物である生体組織を構
築します。

他方、消費者である動物などは、無機物からは合成する能力が無いため、低分子量有機物を出発物質として高分子有機化合物を合成する二次同化機能しか持ち
合わせていません。

第30図 食物連鎖における吸収と同化


9.7 生態系を支える太陽エネルギー

第31図は、太陽エネルギーが私たちの生態系を支える構図を模式的に示したものです。

この構図は第28図、第29図と軌を一にしています。

生態系では、太陽エネルギーを光合成によって受取り、生態系に属する全ての生物の活動エネルギーとそれらの生体組織を形成する元素として利用しています。

生態系は多種多様な構造をしていますが、その炭素原子の源は「ブドウ糖」に辿り着きます。光合成で得られたブドウ糖が、生態系の大きさを支配しているともいえ
ます。

太陽エネルギーは全ての生命活動を支える最も重要なものですが、別の見方をすると、その光合成によって生まれたブドウ糖が生態系を支える重要な物質と言い
換えることもできます。

それは、ブドウ糖が、光合成によって獲得した太陽エネルギーの量と比例関係にあるからです。

また、別の見方をすると、光合成によるブドウ糖の獲得量は植物の生長量と密接な関係があり、植物が太陽エネルギーを2倍受け取った場合には、ブドウ糖の産生
量が2倍になったことでもあり、さらに、ブドウ糖産生量が2倍になることは、植物が2倍生長することでもあります。

但し、作物の収量としてみた場合には、光合成量が倍増することが、直ちに収量が倍増することにはなりません。

ただ、光合成量が倍増すると、収量もそれに近い増収になることは予想されます。

植物が生長する場合、光合成によるブドウ糖の産生量の大きさが重要になります。

しかし、前記「第1表」に示したように、さまざまな必須元素が所定の量だけ供給されなければなりません。

即ち、日照量が多くても、特定の必須元素が欠乏すると植物は順調な生育ができません。

このため、作物の生育には日照や気温などの自然条件のほかに土壌からの必須元素の供給が大変重要な役割を果たします。

ただ、窒素、リン酸、カリウム、というような元素は人為的な施肥によって補給可能なものです。

耕種農家は、普通の栽培においては当該作物の要求元素の幾つかのものを施肥によって賄っています。

その最も一般的な肥料成分は「窒素」「リン酸」「カリウム」です。

多くの場合には、NPKの3種類の元素は極めて一般的に用いられる肥料成分であるため、予め所定の割合で混合した「配合肥料」として流通しています。

「7−7−7」「14−14−14」というような数値はNPKのそれぞれの含有率(重量%)を表記したものです。

農業資材店や農家の納屋でよく見かける袋の表示です。

しかし、多くの農業において日照量を人為的に付加することは殆どできません。

光合成の基本的な要素の一つである日照量は、自然条件が支配していると考えて良いでしょう。

植物の必須元素は、第1表に示した16元素といわれています。しかし、植物の種類によっては、別の元素を必須元素としているものもあります。

これまでの図や表に示したものは、あくまでも全体の概要を把握しやすくするためのものであり、具体的な事例では、

これらのものとは異なる例外が多数存在しています。

<エネルギーの推移>

 生物が光合成で受け取った太陽エネルギーは、ブドウ糖の形となっていますが、一次同化・二次同化と過程を経るたびに徐々に失われ、生態エネルギーはちいさ
なものとなります。

食物連鎖で1段移動するたびにエネルギー総量は1/10程度に減少します。

即ち、生態系が太陽から受け取ったエネルギーは、ブドウ糖の段階が最大であり、以後、かならず減少傾向のみを辿ります。

その意味で、ブドウ糖の量が大きな意味をもつことになります。

ブドウ糖の量は生態系が太陽エネルギーから獲得した生態エネルギーに他ならないからです。

第31図 太陽エネルギーが支える生態系


9.8 食物連鎖の新しい姿

ここで、前記の食物連鎖について、別の見方をします。第29図を再度示します。

この第29図に並べて第32図を示します。同じく食物連鎖に関連する図です。

第32図では、食物連鎖の階層について、詳細な内容は省き、呼吸による炭酸ガスの発生を加えています。

第32図は、同じ食物連鎖を別の図に変更したもので、便宜上、第1変形図と称します。

第29図(再掲載) 食物連鎖


第32図 食物連鎖の第1変形図


光合成によって無機領域から有機物として固定された炭素原子は、「生産者(植物)」から、「一次消費者」⇒「二次消費者」⇒「ヒト」というように、順次、生命体を移
動します。

その各々の生命体に於いて、生命活動に伴い、有機炭素を酸化させてエネルギーを獲得しています。

この同化や代謝の過程で酸化された有機炭素は「炭酸ガスCO2」となって大気に放出されます。

一度、有機炭素が炭酸ガスになった場合には、その炭素は、光合成によって取り込まれない限り有機物とはなりません。

生体の有機炭素は、「酸化によって炭酸ガスとして失われるルート」の他に「餌として他の生物に食われるルート」および「遺骸・排せつ物として分解者によって分解
されるルート」が一般的です。

遺骸や排せつ物が分解者によって分解されるルートは、最終的に有機炭素を炭酸ガスとするルートです。

この第32図の「食物連鎖の第1変形図」についても、格別、常識的な食物連鎖の認識と大きく変わるところはありません。


第33図 食物連鎖の第2変形図


第33図は「食物連鎖の第2変形図」で、耕種農業の存在を加味したものです。

私たちヒトは、雑食性であるため、現実の生活では「二次消費者」だけを食べるのではなく、さまざまな生物を食糧として食べています。

中でも、植物はヒトが栽培してまで食べています。

ヒトの食糧となるべく植物を栽培している産業を「耕種農業」といいます。

この耕種農業という形態は、おそらく、ヒト以外の生命体は利用していないものであり、その意味で、ヒトに固有のものといえます。

第32図の「食物連鎖の第1変形図」は、太古の地球上における形態であり、耕種農業が出現してからは、第33図に示した食物連鎖の形態が現実に即した形態と
いえます。

第33図では、ヒトが生産者を餌として食べることが加味されています。



 第34図食物連鎖の第3変形図


第34図は、PTA法(ドッサリース農法)を考慮した食物連鎖の模式図であり、便宜上、「第3変形図」としています。

ヒトが、生産者である植物を餌として食べるのは第33図と同じです。

しかし、生命体から「遺骸・排せつ物」として分解者に向かうものの一部がCaO生石灰によって分解され、低分子量有機物として生産者へ還流することが示されて
います。

このことから、PTA法(ドッサリース農法)は、生産者(植物)のうち、人間が人為的に操作する耕種農業の部分に対して、低分子量有機物を「炭素肥料」として還流
することで、耕種農業の産物の収量を増加させ、かつ、生産物の食味を向上させます。

炭素肥料による光合成の助勢は、同じ耕地における光合成産物の収量を増し、同時に、収穫物を美味しくするため、沢山収穫された農産物をヒトが食べることを助
勢します。

PTA法(ドッサリース農法)は、一般的には不用物と思われがちな、排せつ物や遺骸を、低分子量の有機炭素の形態で生産者である植物に還元して、効率のよい
耕種農業の経営を助けるものです。

【意外な効果1:増収分だけではない効果:美味さは収穫物全体へ・・・

PTA法(ドッサリース農業)は、収量を増やし、食味を改善する効果があります。

収量が増加した分が、PTA法の効果と思われがちです(第34図の黄色と緑の部分)。

しかし、増加分だけがPTA法の効果ではありません。

食味の改善効果は、収穫物全体に及ぶものです。このため、適切にドッサリースを利用した圃場から収穫される農産物の全量に対してPTA法の効果が及びます。

【意外な効果2:何故か、広い耕地面積】

PTA法(ドッサリース農法)の出発点は、家畜糞尿や野菜くずのような有機廃物です。

これまでは、「堆肥」として耕地に利用するのが一般的な利用・リサイクルの形態です。

このリサイクルは、原料(有機廃物)に含まれていた何らかの成分を、特定のもの(ここでは、耕地)に移し替えて、活用することになります。

「耕地へ還元する」という見方においては、従来の堆肥もPTA法(ドッサリース農法)も全く同じです。

ただ、この場合、同じ原料(例えば家畜糞尿)の同じ量を取り上げてリサイクルの状況を見ると、何故かPTA法(ドッサリース農法)の耕地面積が、多くの場合、5倍
以上の広さとなっています。

勿論、ドッサリースの単位面積当たりの施用量は一定ではありませんが、概ね、10a当り、0.6t(水稲)〜1〜3t(蔬菜)であり、平均的には1t程度です。

このような条件の下では、同量の同一原料から生産される堆肥とドッサリースとでは、施用面積に大きな差があり、PTA法の方が5〜8倍ほど広い面積に対して充
当できます。

この違いが、何に起因しているかは定かではありません。

ただ、広い耕地面積に対して、「収量の増加」「食味の改善」というような効果を奏することは、好ましいことであります。

従来のように、NPKという肥料要素を中心とした資材の経済的な評価では的確な評価ができない別の要素があるためと思われます。

このように、微差とは言い難い施用面積の違い(5〜8倍)も「低分子量有機物は炭素肥料のように振舞う」と考える一因となっています。


第9.9章 植物の根圏からの物質吸収 : 陸上植物は、根から水流にのせて色々なものを吸収している

作物(植物)は、根や葉からさまざまな物質を吸収して生長しています。

ここでは、普通に圃場で栽培されている作物の根の吸収について、確認します。

次の図は、植物の構造を簡単で明瞭に示したものです(http://www.max.hi-ho.ne.jp/lylle/中学理科の攻略☆りかちゃんのサブノートから引用したもので、中学1
年生の理科の課程によるものです)。

この図は、植物が根と茎と葉から出来ていることが示されており、根と茎の断面図も示されています。

図示されている事柄は、多くの方にとっては、見慣れた事柄でしょう。

また、次の図は、同じサイトによるもので、導管と師管とが、根・茎・葉の全体を流れていることが示されています。

導管は、根で吸収した養分や水分を葉に移送するための管路であり、師管は葉で合成したさまざまな成分(物質)を植物全体の必要な場所に送り届ける管路と言
えます。

導管が、どちらかと言えば植物体の中心部に位置し、師管がその外側に配置されているのは、師管によって運ばれるさまざまな物質によって植物が生長して、大
きくなることを考えれば、判り易い配置といえるでしょう。

葉では光を利用して光合成が行われると共に、根から吸収された水が蒸散によって大気中に蒸発することも示されています。

一般に、根で吸収される物質で養分とは「無機成分」と思われがちですが、PTA法(ドッサリース農法)では、低分子量有機物でも吸収されるものがある、という仮
説を設けています。

この次の図も、中学1年生の課程を修了された方にとって見慣れた事柄といえます。

(なお、この2つの図は、ラジオボタンで判り易くなっていますが、ここでは割愛します。元のサイトをご覧ください。)

ここでは、植物の根から養分・水分などが吸収されて葉に移送されることを概観するために示しました。


この図は、上記の図の根の部分を拡大して、根における養水分の吸収を模式的に示したものです。

図では、土壌と接する根毛細胞とその内側の細胞の2つの細胞のを示しています。

左側の上下方向に延在する二点鎖線は、土壌と根との境界の位置を示す仮想線です。

土壌側の水分である土壌水には、さまざまな物質が溶解しており、一般的には「養分(無機成分)」とされていますが、本サイトでは、低分子量有機物について検
討していますので、ここでは低分子量有機酸カルシウムが水に溶解した時に生じる低分子量有機酸となります。

植物は、葉で蒸散により水分を大気中に放出しているため、それを補うために根毛の細胞から土壌水分を吸収します。

土壌水に溶解している低分子量有機酸を○印で示しており、赤丸は水に溶解している低分子量有機酸がイオン化している状態を示し、また緑丸はこの低分
子量有機酸が非解離の分子状態で水中に溶解していることを示しています。

図示した赤丸と緑丸の比率は格別の意味を持ちませんが、pHが低いほど(酸性が強いほど)低分子量有機酸の解離の割合は少なくなります。その意味で、
緑丸
がやや多くなっています。

茶色で示した細胞壁は、水を自由に透過し、水に溶解している物質は何でも透過します。

その内側の黄色で示した細胞膜は、リン脂質の2重膜で水は自由に透過しますが、イオン化している成分に対しては抵抗が大きい場合があります。

細胞膜が有機物をどの程度透過するかは、概ね、次のように言われています。

  1) 水に溶解している成分でなければ透過できない

  2) 有機物の分子量が200以下のものが透過し易い

  3) 非解離で電荷を持たない方が透過抵抗が少ない

根毛の細胞内に流入した水は、仮に、流入部位が図において左側の面だけとすれば、矢印で示したような水流の速度分布となります。


【細胞内の水流のレイノルズ数の推測】

根毛細胞内の水流について凡そのレイノルズ数Re(=Duρ/μ)を推測します。

 1) 細胞内の代表的な寸法(例えば、直径)D: 20μm(=20x10^(-6)m)

 2) 水流の平均流速u: 10μm/s(=10x10^(-6)m/s)

 3) 流体(水)の密度ρ: 1000kg/m3

 4) 流体の粘性係数μ: 0.001kg/(m・s)

  (何れも、根拠のない仮定値です)

 Re=Duρ/μ=(20x10^(-6))x(10x10^(-6))x(10x10^(3))/(10x10(-3))=200x10^(-6)

レイノルズ数Reが、2300以下であれば層流で流れるとされ、仮に、細胞内の実際の流速が上記の仮定値よりも大きく「1mm/s」というものであったとしても、細胞内の流体の流れは層流を維持されることが判ります。

細胞の凡その寸法は、数十μm程度であり、そのような管路(細胞)を水が通過する場合には、その流れは層流になり、逆混合がしにくい流動状態となっていま
す。

このような流動状態にある水流に含まれるさまざまな成分は、速やかに導管側に移送され、引き続き、葉部へ移送されます。

例えば、水の吸収だけについてみれば、葉部の蒸散によって失われた水分を補うために、根から水分が吸収され、根・導管・葉部に至る大きな水流が形成されて
います。

他方、土壌水中に溶解しているさまざまな成分は、ほぼ自由に細胞壁を通過し、細胞膜の表面に到達できます。

細胞膜は、リン脂質の2重膜とされています。

リン脂質は、グリセリンの3つの水酸基の2つにそれぞれ脂肪酸が結合し、残余の水酸基にリン酸が結合したもので、これが2層となって二次元的に展開している
ものです。

なお、親水基であるリン酸基は、其々膜の外側に面した二重膜構造となっています。

互いの分子は強固に結合しているのはなく、単に、隣接して並んでいるだけであり、この柔軟で流動性を持つ二重膜のために、物質の吸収に役立っているものと
推測されます。

細胞膜外表面に到達した水に溶解している成分は、一つの挙動形態として濃度拡散して細胞膜を透過しようとします。

細胞膜は、単にリン脂質の分子が二次元的に整列して柔軟で揺動している構造のために、小さな寸法の分子は通しやすく、通過抵抗となる要因が無ければ、拡
散によって細胞内へ透過します。

一度、根毛細胞の内側へ透過した成分は、水流によって通過した細胞膜の位置から遠ざけられ、赤線による二点鎖線の領域における成分濃度は低い値に保た
れ、継続して土壌側のさまざまな成分が根毛細胞内へ取り込まれやすい状態に維持されます。

 



有機廃物の発生の状況(日本国内における年間発生量:万トン/年)(農林水産省:家畜排せつ物の発生と管理の状況より)
乳用牛 約 2,542  約 29.0%
参考値(関連する量)
肉用牛 約 2,671  約 30.5% 食品廃棄物 約 2,000
約 2,254  約 25.8% 間伐材・被害木を含む林地残材 約   400
採卵鶏 約   792  約  9.1% 日本のバイオマス資源の全体量 約 34,000
ブロイラー 約   489  約  5.6% バイオマス資源に占める家畜排せつ物の割合 約 1/4
合計 約 8,747


我が国における家畜排せつ物 約90百万トン/年の管理状況(平成16年12月時点)
野積み・素掘りへ 約  1百万トン/年  約  1%
たい肥化・液肥化等へ 約 80百万トン/年  約 91%
浄化・炭化・焼却等へ 約 7百万トン/年  約  8%

 家畜排泄物の発生の状況
 鶏卵1個で卵かけご飯を食べた時  鶏糞 約   200g  約 4倍
 鶏卵1パック(10個)を購入する時  鶏糞 約   2kg  約 4倍
 生の搾乳直後の牛乳リットル  牛糞尿 約  2.3s  約 2.3倍
 チーズ200g  牛糞尿 約  4.6s  約 23倍
 バター200g  牛糞尿 約  12.9s  約 65倍
 150gの牛肉ステーキを1皿食べた時  牛糞尿 約  5.4kg  約 36倍
 120gのトンカツを1枚食べた時  豚糞尿 約

 第9章のまとめ

第9章ではPTA法(ドッサリース農法)を理解するため、次のような基礎的な事柄を記しました。

 いずれも中学や高校の過程で学ぶ基礎的な事柄です。PTA法は、精々、高等学校で学ぶ程度の知識で理解できる簡単な事柄です。

   9.1 ・炭素の生物地球化学的循環

   9.2 ・食物連鎖

   9.3 ・植物を構成する元素

   9.4 ・原形質の成分の割合

   9.5 ・作物の生長の仕方

   9.6 ・食物連鎖における吸収と同化

   9.7 ・生態系を支える太陽エネルギー   

   9.8 ・食物連鎖の新しい姿(これは従来の食物連鎖とPTA法の食物連鎖の違いを示したもの)

   9.9 ・植物の根圏からの物質吸収 : 陸上植物は、根から水流にのせて色々なものを吸収している

人知を以てしては解明できない複雑な構造を持つ生命体も、僅かな種類の基礎的な低分子量有機物をいろいろな順番で組み立てて実際の生命体を構築する姿を理解してほしいと思います。

PTA法(ドッサリース農法)は、高分子量有機物を主体とした生命体を生石灰CaOで分解処理して、丁度、低分子量有機物まで分解し、その分解生成物である低分子量有機物を施肥することで低分子量有機物が作物に取り込まれ、ATP(アデノシン-3-リン酸)によって植物体組織に同化され、結果的には、低分子量有機物が「炭素肥料」のような役割を果たす、と考えて栽培を進める栽培の取り組み方です。

後述のドッサリース農法の考え方を理解するために、その基礎的な事柄を第9章で示しました。


トップエネルギー肥料植物から見た光合成移転理論第2章PTA法の糞尿処理第3章PTA法による栽培第4章PTA法の考え方第5章化学式で見るPTA法第6章低分子量有機物第7章光合成移転農法第8章PTA法のまとめ第9章PTA法の基礎知識第10章PTA法からの視点第11章有り得ない選択・PTA法第12章作物の美味しさについての一考察第13章PTA法の有機物吸収の考え方第14章炭素肥料が理解されない理由第15章PTA法サイトの図面集PTA theory is recycling of photosynthesis, carbon fertilizer and energy fertilizerツイッターのためのPTA法・光合成移転農法PTA法とランドラッシュ・第三の道か?ゲストブックにログイン