北方領土について

☆北方領土とは…?
  北海道根室半島の沖合にある島々で、現在ロシア連邦が実行支配している、択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島の事を指す 。北方地域、北方四島と呼ばれる事もある。



■日本側の行政区分
①日本の行政区分下の北方領土
  日本国政府は、ロシア連邦が自国領土だとして占領・実行支配している北方領土について、長年返還を求めている。
  北方領土問題は、1945(昭和20)年8月28日に赤軍(ソ連軍)が北方領土に上陸し占領した事から始まった。現在、ロシアによる事実上の領有状態のため、日本政府が領有権を主張しているものの一切の施政権は及んでいない。ただし、日本国の北方領土関係者とロシア人北方領土居住者に対して、ビザなし渡航が日露双方に認められている。

  しかし、日本政府は2001年にサハリン州ユジノサハリンスクに総領事館を設置し、これは、事実上日本が「帰属未定」としてきた北方領土のロシア領有権を認めた事を意味する。

  第二次世界大戦中の1943(昭和18)年11月22日にアメリカ合衆国大統領フランクリン・ルーズベルト、イギリス首相ウィンストン・チャーチル、中華民国国民政府主席蒋介石によってカイロ会談が行われ、12月1日に「カイロ宣言(資料①)」として発表された。この声明は連合国の日本に対する基本方針となり、日本国の無条件降伏を目指す事などが取り決められた。また、日本の領土に関しても取り決められ、1945年のポツダム宣言(資料②)に受け継がれる事になった。1945年9月2日、日本は太平洋戦争の降伏文書に調印した。この時、同時に南樺太・千島の日本軍は赤軍極東戦線に降伏する事が命令され、南樺太・千島はソ連の占領地区となった。1952年のサンフランシスコ講和条約により、日本は独立を回復したが、同条約にしたがって、南樺太・千島列島の領有権を放棄した。この条約にソ連は調印していないため、ソ連との国交回復は1956年の日ソ共同宣言により行われた。この宣言で歯舞諸島、色丹島を締結後に日本に引き渡す取り決めを結ぶが、択捉島、国後島の帰属を巡って対立、結局合意できなかった。1960年、日米安全保障条約の改正によりソ連は領土問題の解決交渉を打ち切り、領土問題は日本側の捏造でしかなく、当初から領土問題が存在しないことを表明した。日本側は四島返還が大前提であるが、ロシア側は歯舞諸島・色丹島の引き渡し以上の妥協はするつもりがなく、それ以上の交渉は進展していない。

□資料①□
 カイロ宣言(和訳原文・現代語訳の一部をWikipediaから転載)
三大同盟國ハ日本國ノ侵掠ヲ制止シ且之ヲ罰スル爲今次ノ戰爭ヲ爲シツツアルモノナリ右同盟國ハ自國ノ爲ニ何等ノ利得ヲモ欲求スルモノニ非ス又領土擴張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ス 右同盟國ノ目的ハ日本國ヨリ千九百十四年ノ第一次世界戰爭ノ開始以後ニ於テ日本國カ奪取シ又ハ占領シタル太平洋ニ於ケル一切ノ島嶼ヲ剥奪スルコト並ニ滿洲、臺灣及澎湖島ノ如キ日本國カ淸國人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民國ニ返還スルコトニ在リ

  現代語訳: 三大同盟国(米・英・中)は、日本の侵略を制止し、日本を罰するために戦争をしている。右の同盟国は自国のために何の利益も要求するものではない。また、領土拡張の考えがあるわけではない。右同盟国の目的は日本国より1914年の第一次世界大戦の開始以後において、日本国が奪取し又は占領した太平洋における一切の島嶼を剥奪すること、並びに満州、台湾及び澎湖諸島のような日本国が清国民より盗取した一切の地域を中華民国に返還することにある。

□資料②□
 ポツダム宣言(和訳原文・現代語訳の一部をWikipediaから転載)
ポツダム宣言 八
「カイロ」宣言ノ條項ハ履行セラルベク又日本國ノ主權ハ本州、北海道、九州及四國竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ

  現代語訳:「カイロ」宣言の条項は履行されなければならず、また、日本国の主権は本州、北海道、九州、および四国ならびにわれらの決定する諸小島に限られなければならない。

□資料③□
 サンフランシスコ講和条約(和訳・原文の一部をWikipedia・Wikisourceから転載)
Chapter II. Territory
Article2
(c) Japan renounces all right, title and claim to the Kurile Islands, and to that portion of Sakhalin and the islands adjacent to it over which Japan acquired sovereignty as a consequence of the Treaty of Portsmouth of September 5, 1905.

第二章 領域
第二条
(c) 現代語訳:日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対する全ての権利、権限及び請求権を放棄する

②交渉過程
  1956年、日ソ共同宣言では歯舞諸島、色丹島を平和条約締結後に日本に引き渡す取り決めを結ぶが、択捉島、国後島の帰属を巡って対立が起き、結局合意できなかった。1993年10月、日露首脳の東京宣言で日露首脳は北方領土四島の帰属問題について、両国間で作成された文書や法と正義の原則に基づき解決することで平和条約を早期に締結するよう交渉を続けることとなった。 また、日本政府は何度かロシアに対し非公式ながらも国際法の提案をしており、1998年4月には「択捉島とウルップ島の間に、国境線を引くことを平和条約で合意し、政府間合意までの間はロシアの四島施政権を合法と認める案」(川奈案)を非公式に提案した。11月には「国境線確定を先送りして平和友好協力条約を先に結び、別途条約で国境線に関する条約を結ぶ案」(モスクワ案)が非公式に提案された。日本側は四島全ての返還が大前提であるが、ロシア側は歯舞諸島・色丹島の引き渡し以上の妥協はするつもりがなく、それ以上の交渉は進展していない。

③北方領土の現状
  当時、北方領土四島には色丹村・泊村(とまりむら)・留夜別村(るよべつむら)・留別村(るべつむら)・紗那村(しゃなむら)・蘂取村(しべとろむら)・歯舞村の7村が地方自治体として存在していた。1959年に歯舞村が根室市と合併したため、歯舞村であった地域は現在、根室市に属している。

  現在では「北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律」(昭和57年8月)第11条により日本国民の誰でも本籍を置くことが可能となっている。これは上記6村が元来北海道根室支庁に属する自治体であったため、各村自治体が実効的な存在を喪失して以降も上位の地方自治組織が機能しているためである。現在この手続きは根室市役所が行っている(留別村を本籍地とした運転免許証が実際に発行されている)。なお、樺太に関しては、すでに樺太庁が消滅していることに加え、帰属が未確定であることを日本政府及び外務省が公認しているため、このような措置は行われていない。

 

④日本の北方領土の意義
  日本政府は、「北方四島は外国の領土になったことがない日本固有の領土であり、ソ連の対日参戦により占領され不法占拠が続けられている状態であり、この問題が存在するため戦後60年以上を経たにもかかわらず日露間で平和条約が締結されていない」としていて、内閣府は「固有の領土である北方四島の返還を一日も早く実現するという、まさに国家の主権にかかわる重大な課題」としている。また、根室・釧路の漁民は、ソビエト・ロシアの不当な領土権主張にもとづく海域警備行動により銃撃を受け死傷者を出しており、これらについて謝罪や賠償がないばかりか、数々の不法な拘留や罰金の徴収を強要されている状況にある。


■ロシア側の行政区分
①ロシアの行政区分下の北方領土
  現在、ロシアの施政権が行使されている状態にある北方四島は、ロシアの行政区分ではサハリン州に属している。サハリン州は、ソ連が日ソ中立条約を破棄して日本に攻撃を開始した、1945年8月9日に設置されたもので、開発が遅れたために、カニやウニなどの魚介類を始め、ラッコやシマフクロウなど北海道を始めとした周辺地域では絶滅、あるいはその危険性が高い生物の一種の「聖域」状態となっている。ロシア政府は、北方領土を含む千島列島一帯をクリリスキー自然保護区に指定して、禁猟区・禁漁区を設定するなど、日本の環境保護行政以上の規制措置が取られている。しかし、ソ連崩壊後には密猟などが後を絶たず、一部の海産物は日本国内に流れているという説もある。

  現在、一部の環境保護団体の間には、北方領土を含む千島列島一帯の世界遺産登録を求める主張があり、また、日本の環境保護行政は水産関係団体や開発業者に対して甘すぎるため、領土返還後には貴重な生態系が破壊される恐れがあるとして返還を危惧する人たちもいる。一方、日本国内にも領土問題とは一線を画して、北方領土の対岸で先に世界遺産に登録されている知床とともに、日露両国が共同で一つの世界遺産地域を作っていくべきである、という声もある。

  2011年現在、ビザなし交流を除くと、日本人が北方四島を問題なく訪問するには、ロシアのビザを取得して訪問しなければならない。ロシアのビザ取得後、稚内(わっかない)または新千歳、あるいは函館からサハリンに渡り、ユジノサハリンスクで北方四島への入境許可証を取得し、空路または海路でアクセスすることになる。この方法はロシアの行政権に服する行為であり、ロシアの北方四島領有を認めるとして日本政府が1989年以来自粛を要請している。しかし、自粛要請に法的強制力は存在しないため、北方四島のロシア企業との取引・技術支援や開発のため、多くの日本人ビジネスマンや技術者がロシアのビザを取得し、北方四島に渡航している。

②ロシアの北方領土の意義
  ロシア側が北方領土を固有の領土とし、領土問題を否定する理由については、軍事的見解に因れば、宗谷海峡(ラペルーズ海峡)、根室海峡(クナシルスキー海峡)をふくめ、ロシアは旧ソ連時代にオホーツク海への出入り口をすべて監視下に置いており、事実上そこから米軍を締め出すことに成功しているが、国後島・択捉島を返還してしまえば、国後島・択捉島間の国後水道(エカチェリーナ海峡)の統括権を失い、オホーツク海に米軍を自由に出入りさせられるようになってしまう。国後水道は、ロシア海軍が冬季に安全に太平洋に出る上での極めて重要なルートでもあり、これが米国(の同盟国である日本)の影響下に入ることは安全保障上の大きな損失となる。そのような事もあり、現在ロシア防空軍は択捉島に防空基地を設置し、戦闘機を20機程度配備している。
  ロシアはかねてから日露平和条約締結により、「北方二島(歯舞諸島・色丹島)返還に応じる。」としているが、日露平和条約締結には、日米安全保障条約の破棄ならびに米軍を始めとする全外国軍隊の日本からの撤退が第一条件となっていて、二島返還後は順を追って行うとしている。
  以前、日本側は「経済的に困窮しているロシアはそのうち経済的困窮に耐えられず日本側に割譲し、北方領土を引き渡すであろう。」という目論見があったが、プーチン大統領就任以降驚異的な経済発展を遂げたロシアは2015年を目標年次とする「クリル開発計画」を策定し、国後島、択捉島、色丹島に大規模なインフラ整備を行う方針を打ち出した。その結果、歯舞諸島・色丹島はかつては無人島になっていたが、近年になって移住者及び定住者の存在が確認されており、ロシア側の主張する歯舞諸島・色丹島返還論も困難な状況となっている

■北方領土問題 解決策
  当事国が領土の帰属問題について合意することが困難な際、国際連合の機関である国際司法裁判所を利用することができる。かつて、1972年には大平正芳外務大臣が北方領土問題の付託を提案したが、ソ連のアンドレイ・グロムイコ外務大臣が拒否したことがある。国際連合の総会で領土問題が議論の対象になることはないため、国際連合に北方領土問題を委ねる事は事実上、不可能となっている。
  現在までに多くの提案や交渉が行われてきた。ここに多くの提案の中から数項目を紹介する。(“※”は日本国内だけで議論されている解決策)

四島(択捉島・国後島・色丹島・歯舞諸島)返還論
  日本の政府が公式に主張する解決策で、日本政府は「日露和親条約から樺太・千島交換条約を経過して、ソビエトによる軍事占領に至るまでは北方四島(択捉島・国後島・色丹島・歯舞諸島)は一度も外国の領土となったことはなく、日ソ間の平和的な外交交渉により締約された国境線であり、カイロ宣言の趣旨においてこの四島を「占領」状態ではなく「併合」宣言したことは信義に対する著しい不誠実である。「一度も外国の領土になったことのない」日本固有の領土である北方四島をソビエトが「併合」宣言したことは承認できない。」としている。
  日本は四島の日本への帰属が確認されれば、返還の時期や態様は柔軟に対応するとする「四島返還論」を主張している。

二島(歯舞諸島・色丹島)譲渡論
  ロシア政府は、日ソ共同宣言に基づき、宣言通りに平和条約を締結後に歯舞諸島・色丹島の二島だけを「引き渡す」(返還ではない)ことによって、領土問題を終結するという「二島譲渡論」を唯一公式に認める解決策としている。
  「日本は既に北方四島(択捉島・国後島・色丹島・歯舞諸島)を含む千島列島の領有権を放棄しており、旧ソビエトの領有宣言により領土権はすでにロシアにある」というのがロシアの主張であり、サンフランシスコ講和条約の第2条(c)で日本は千島列島を放棄しているが、ロシア側の「千島列島」の定義には北方四島が含まれるとしている。また、日ロ両国は平和条約を締結していないだけでなく、サンフランシスコ講和条約には日本が放棄した千島列島の帰属が明記されておらず、この認識の上で両国の平和条約締結及びロシアの千島列島に対する領土権を国際法上で確立すると言う国益のためならば、平和条約を締結後に歯舞諸島・色丹島の二島を日本側に「引き渡し」てもよい、とするのがロシア側の立場である。

二島先行(段階的)返還論
  日ソ共同宣言に基づき、歯舞諸島・色丹島の二島を返還することによって平和条約を締結するが、さらに日本側はその後に残りの二島の返還の交渉を続けるとするもの。ロシア側は、「日本の領土権はサンフランシスコ条約によって破棄されている」とみなしており、二島は返還ではなく平和条約の締結の見返りとしての譲渡とみなしている点が問題である。(※)

三島(国後島・歯舞諸島・色丹島)返還論
  国後島を日本領、択捉島をロシア領とする案。別名を「フィフティ・フィフティ」と言う。(※)

共同統治論
 
択捉島・国後島の両島を日ロで共同統治する案。「コンドミニウム」とも呼ばれる。(※)

面積2等分論
  国後島、歯舞諸島、色丹島の3島に加え、択捉島の25%を日本に返還させ、択捉島の75%をロシア側に譲渡する案。(※)

平和条約を締結した後に、歯舞諸島・色丹島の両島を日本に返還することは日本とロシアの両国が認めているが、ロシア側は既に領土問題は国際法上では解決済みとの立場をとっている。日本側は、平和条約締結後も残りの領土返還を要求すると主張しているので、残りの択捉島・国後島の対応が争点となる一方で、両国の国際法上の認識そのものが争点となっている。

■各国の地図でみる北方領土の捉え方(地図は画像をクリックで拡大できます。)
①アメリカ

北方領土の部分に“ADMINISTRED BY RUSSIAN FEDERATION. CLAIMED BY JAPAN.”とある。
アメリカは事実上、日本政府の説明を否定、無視しロシアの領土と認識しているようだ。
なお、色丹島と志発島はロシア語表記に加えて、カッコ内に日本語表記がある。

②イギリス

全ての地図で北方領土はロシアの領土になっており、特に説明などはないが、国境線は未確定を表す点線で表されている。
イギリスもアメリカ同様、日本政府の説明を考慮していないようだ。

③中国

中国は北方領土を日本の領土としている(ロシアの占領中である、と記されている)。
中国が北方領土を日本の領土としている理由は不明。

④ロシア

90%以上の地図が北方領土をロシアのものとしている。

参考:日本の地図

北方領土に関しては、どこの領土とも記載されていない。ただし、択捉島の所に「千島列島」と書かれている。
日本の教科書では、北方領土が日本の領土であると書くことを強制しているため、日本の教科書には、北方領土がロシアの領土であるように書かれた地図は存在しないことになっているが、そのようになっていない地図もあるようだ。

■まとめ…
  長年の北方領土問題に対する日本の呼びかけに対し、ロシアは自国の利益や軍事的・地政学的利便性を考え、なかなか解決に応じようとしない。この記事にも書いたように、北方領土は日本国固有の領土である。よってロシアは、早急に日本と平和条約を締結し、北方領土の全てを日本に返還する必要がある。日本政府も弱腰外交をやめ、強気な態度で北方領土問題の解決に向け、対策を練る必要があるのではないか。

+α<最新ニュース>
2011年2月16日現在【共同通信】

<色丹島にも中国企業進出へ 北方領土での外国投資拡大>

  ロシア漁業庁のサベリエフ広報官は16日、ロシアが実効支配する北方領土の色丹島で中国の水産会社が地元企業とホタテ養殖の合弁会社設立を計画していることを明らかにした。

 
日本政府は第三国による北方領土への投資はロシアの管轄権を認めることになるとして反対しているが、15日には中国・大連の水産会社と国後島の地元企業とのナマコ養殖の合弁事業開始の合意が明らかになったばかり。領土返還を求める日本政府の立場は一層難しくなりそうだ。
 
サベリエフ氏は色丹島での計画の詳細は明らかにしなかった。同氏によると、現在中国と韓国の複数の企業が北方四島での水産物加工や養殖、工場への水産加工機器納入、船舶修理工場設立などを計画している。企業名は明かさなかったが、中国・大連だけでも3つの企業が四島への進出を検討していると述べた。
 
また、近いうちに四島すべてで「外国とロシアの企業の投資ブームが起きる」と述べ、企業進出の動きは拡大するとの見通しを示した。
 
 
ロシアのラブロフ外相は今月11日の前原誠司外相との会談後の記者会見で中韓企業の四島進出を歓迎すると表明。前原外相はその場で「北方領土への他国による投資はわが国の立場と全く相いれない」と反発していた。


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