die.4










死んだって、噂を聞いたって。









「友達やめよう」

何のつもりだったんだろう?
私で遊んで楽しいか。



じゃあ何で友達になったんだ。




涙さえもう流れなくて、自分が本当に悲しいと思っているのかなどわからなかった。
ただ、本当に胸って痛むものなんだなと、思った。



ほらこの川辺、あんたが茶渡と話してたとこだろう。






黒い水面には町の明かりが光っていて、の姿も光っていた。
揺れる、水面。


揺れる、











(今はあんたの声ですら)







足をとめる。
まだ足はある。まだ歩ける。


(愛おしく感じてしまう)



「何ですか」

水面を横目でちらりと見ると、眼鏡をかけているあの人がまた立っていた。
私の方を見ている。




「馬鹿だな、君は」


唇を噛み締める。
こういう時って、強く噛み過ぎて血の玉がにじみ出るらしいけれど、血の玉なんてにじみ出やしない。


でもそれっていいことだ。

乾燥した空気に弱くて、冬が訪れる度に唇がひび割れて痛かった。


腕に巻かれた包帯は、雨竜が巻いてくれたものだ。






どさり、と馬鹿みたいな音をたてて、彼女は倒れた。
草の上に、倒れた。
鞄は遠く、5mは飛んでった。



前に倒れたものだから、鼻が痛くてしかたがない。
目を開くと、近くを蟻が大行進していた。



それを屍体のように虚ろな目で見つめていて、通り過ぎた後には何も残らないことに気付いた。



「そうだよ」


投げやりに、答えた。
私は馬鹿だ。





今日は星なぞ出ていない。
今日は月なぞ出ていない。
雨雲が闇を支配していた。



今日は満月の筈だったのに残念だな。



「今日は、満月だったんだよ」




考えをそのまま口に出した。
なんだかとても楽だった。


なんだかとても痛かった。



それはまあ、いろいろと。




腕の傷も包帯が染みて痛いし、昼間馬鹿みたいにずっと泣いていたせいで赤く腫れ上がった目も痛かった。


でも何より痛いのは、心だった。
馬鹿みたいな話ではあるけれど、一番痛いのは心だった。






ああ、本当に痛むんだな、心って。

今痛んでいるのが心かどうかはわからない。
けれど、の何か奥底は痛みに悲鳴を上げていた。





雨竜は、空を仰いだ。


一面雨雲に覆われていて、空は灰色だった。
一面だ。全て、灰色だった。



「出ていないよ」




草は乾いていて、湿った私の心もこうであったらいいのになと、思った。


けれどそんなことは無理であって。



「知ってるわよ、知ってるさ」





今ここで死んだら、彼は目撃者。
でもきっと自殺を止めようとする、もしかしたら偽善者。
自分は血を見たくありません、止めなければきっと世間にどうのと言われます、だったら止めればいい、万事解決!





だとかなんだとかこの世に未練たらたらの考えを川底に投げ捨てるかの様に空気が変わった。
正確には人が来た。一人、男だろう。

















「…、石田」






その声を覚えています。
あんたの前で死んでやろうか。

























なんだかやつれ気味。






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