die.9










雨竜はを抱き締める。
今まで、決して叶わなかった温もりが今、ここにある。






愛しい人。どうかいつまでも僕の腕の中に。



「石田、くん」
「雨竜でいいよ」



は目を見開く。

重なる。

記憶と重なっていく。


『一護でいいよ』




「うん…!」


やっと手に入れた、ただひとつの温もり。




大粒の涙が、次々と瞳から零れていく。
雨竜の肩に手を添えて、は笑った。





嬉しくて、心の奥から暖かな気持ちが溢れていくようで。

こんなことははじめてだった。







(君のおかげで、知らない感情を覚えていく)















「雨竜…くん…!」


自分よりもずっと大きな肩に、は顔を埋める。
知らない匂い。

雨竜の匂い。




ありがとうしか、言えないけれど。




「ありがとう、ありがとう…!」


何回でも言うよ、君のためなら。
それしか言えないから。




雨竜はただを強く、強く抱き締めるだけだった。




、そろそろ教室戻らないと」


少し照れくさそうな声だった。
自分で教室を出てきておいてなんだが、時間はあっという間に流れていてそろそろ二時限目が始まる頃だ。



でいいよ」

二人の真似をして、同じ言葉で、雨竜にそう告げる。



雨竜が微笑むのがわかる。

「ああ、…」

細い肩に顎をのせ、雨竜は今までの感情を全て捨てるかのように、呟いた。







「愛してる」









世界でただ一人、僕の愛しい人。




「今はまだ、区切りがついてないから…」


雨竜は泣く。
けれどよりは、辛くない。
彼女はもっと辛かっただろう。苦しかっただろう。
この世に別れを告げようとしてしまうほど、彼女は悲しかったのだ。



それでも、雨竜は泣く。
ただひとり、思って、泣く。

























次で終わります。
まだ続けるのかオメエとか言わず付き合ってあげて下さい。






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