煙草と屋上。後編






昼休み。あたしは屋上に行くべきかどうか迷っていた。
何故か。それは…ただ単に午後の授業の宿題、やってないだけだったりする。実は。
そんなバカみたいな理由であの将棋が指せるのがうれしくて
ちぎれんばかりにしっぽをふってる犬のような加賀を裏切るようなマネはできないな、と思ったから
迷った末に(ていっても30秒かそこらだけど)屋上にいった。

加賀はもう屋上にいてフェンスによっかかって煙草をすってた。
「待たせた?ハチ公くん。」
ダルそうに煙草をふかす加賀に近寄りながら言ってみた。一体どんな反応すんのかね。
「ハチ公?なんでオレがハチ公なんだよ。」
やっぱり。案の定、つっかかってきたか。っていうか『ハチ公』呼ばわりされて怒らないほうがおかしい。
「あはは。いや〜あ?別にぃ〜?」
わざとからかうようにいってやった。加賀で遊ぶの楽しいなあ(笑)
「ま、いい。早くやろうぜ?ほら」
お、意外。あんまり怒らない。将棋がからむと人が変わるのか?
給食の時間さりげなく友達に加賀のこときいたら
『おっかなくて近寄りがたい』っていってたんだけどなぁ。
実際の加賀はこんなに面白い人だったのだよ、と友にいってやりたい。
加賀は今度はしっかりした重そうな将棋盤を持ってきていた。
「ずいぶんとしっかりしたの持ってきたんだね。重くなかったの?」
「将棋盤の一つやふたつ軽ィ軽ィ。ほら。お前振れよ。」
一つはわかるけどふたつは無理なんじゃ…?とか思ったけどいわなかった。
「あ、加賀先行ね。」
「おう。」
パチリ。加賀先行であたし達の第二局目が始まった。



対局が始まって15分。
あれよあれよという間にあたしの駒は加賀の元へと…
やっぱり加賀って強いんだな…とか。そんな風に思ってしまった。
ちらっと顔を上げて次の手を考えてる加賀を見た。
う〜ん加賀の顔なんて良く見てなかったけど結構かっこいいなぁ。
は!!Σ<°Д°>何考えてんだ!?あたし!

「あ〜!!ちょっとそれ待った〜!!」
「またかよ。これで何回目だ〜?」
「しょうがないじゃん。加賀強いんだもん。」
どうせあたしは弱いですよ、へん。
「ま、おれは天下の加賀様だからな。ハハハ。」
う〜ん、自分で『加賀様』っていうだけの実力があるから悔しいんだよね〜うん。
「でもだってそこらの将棋部の部員よか強いぜ?お前も将棋部はいりゃあよかったのに。」
「そう?あたし部活はいるのメンドかったから3年間なーんもしてないんだよね〜。
今思うとなんか部活やっときゃよかったなんておもうけどさ。」
ほんとに3年間特になんにもなかったな…ああ悲しき青春。なんちゃって。
とかなんとか考えてるウチにあたしの駒はほとんどとられていた。
「げーっ、もう手ぇないよーっ!ダメだぁ…とーりょーっ!また負けたァ…!」
とほほ…また負けた…



「…だからよ?ここんところを…こうすりゃ良かったんだよ。な?」
なるほど…そこで右に動けばよかったのね…
いつのまにやら『加賀先生の将棋塾』が始まっていた。
「それとこの桂馬をこっちへやったのがマズかったんじゃねえの?ほら。」
ふむふむ。もしや…加賀って教えるの上手いタイプの人間?
「そっかーあ。…もしかして加賀って頭良いの?」
「おれを誰だとおもってんだよ」
『天下の加賀様』
「でしょ?」
「わかってんじゃねぇか。」
よしっ!のってきた!!
「じゃあもしかして… とか得意…だったりする!?」
「おーな。別に苦手じゃねぇけど…なんでだよ?」
何を隠そう、あたしはが大の苦手だった。
センセの話しなんかきいたってさっぱりわからないあたしが考えた方法…それは!
『マンツーマンならきっと理解できるでしょう大作戦パート1!』
「これからも加賀の将棋の相手になってあげる代わりにさあ…」
「代わりに…?(なってあげる?)」
…。
教えてくんない?」
「はあっ?」
「ダメ?ダメならいいけどさ…せーっかく加賀と将棋したいっていってんのにさー。」
「いや…別にダメじゃねえけどよ…なんでオレなんだよ。の先公にききゃいいじゃねぇか。」
「理由1.先生なんかに聞いてもワカンない。理由2.あんなおやじ臭い先公と一緒にいたくない。
理由3.やっぱ同じ教えられんのでも面白いヤツのほうがいい。」
あたしは早口で3つの理由をいった。
「…もしかして教えてよ!」
「はあ?」
パニックになったあたしはなんかよくわからんことをくちばしっていた。
「それはどういう…」
「だ、だからさ?ね?今の時点であたしは…加賀のことどうとかわかんないからさ?
これから仲良くなっていきたいなぁーって…ま、そういうこと。」
おお我ながら名案かも!?
「そうか…じゃあ教えてやるよ、。」
「そういや加賀って高校ドコ受けんの?」
「葉瀬高。」
葉瀬高ー!?なんだってあんなアタマのいいトコに!?
「筒井も葉瀬高だぜ?名字も…いや、なんでもねぇ。」
途中までいわれると気になるなァ。なんだよー。
「えーなにー?名字も…何よ?」
一呼吸おいてから、加賀が言った。
「名字も、葉瀬高こねぇか?オレと一緒に行こうぜ?」
じーっとあたしの顔をみて、瞳をそらさせない。
…あたしにあんなたかいとこ目指せって?そりゃ無理じゃない?
「無理じゃない?それは。」
「無理じゃねえよ。オレが教えてやるからよ。以外はけっこういけんだろ?」
「んー…じゃ、教えてよ?ちゃんとわかるまで。」
「おおとも。みーっちり教えてやるぜ?マンツーマンでな。」

加賀がにやり、と笑った気がした。加賀の思惑通りになってしまったのかも知れない…
ま、いいか。楽しそうだから。
「じゃあさっそく今日からやるか。」
「き、今日からやんの!?マジでー…」
やる気満々だなぁ、加賀(笑)
あたしもいっちょがんばってみますか。
でもその前に…

「とりあえず一服、してからにしようね。」





終わり。


後日談****
「おらーっ!!また同じとこ間違ってるじゃねえか!?ホントに今言ったこと聞いてたのか!?」
「わかんないもんはわかんないんだからしょうがないじゃないよーっ!加賀の馬鹿ー。」
「いいからもういっぺんやってみろ。な?」
「うぇーん。ちょっと休憩にしようよー。ね?あたし煙草すいたい。」
「ダメ。これやったらな。」
「ケチー」

とまあ…加賀がスパルタ家庭教師『加賀先生』と化していたのは、言うまでもない…







アトガキ***
やっとこの話完結しましたね…すいません。遅くて。
なんか後の方の加賀氏…キャラが違う…主人公もだけど。
これと違うエンディングも考えたんですけど…
結局これにしました。なんとなく。
読みたいという奇特な方、いらっしゃいましたらAまでメールを(笑)
一通でも来たらソッチも書いてのっけマス。
そんな感じで。<2002,8,28 A>



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