大アジのビシ釣り


 ●釣期

  釣り場と季節によっては波がありますが,基本的に一年中狙えます.三浦半島東側の観音崎や走水などは大アジの釣り場としては水深が浅く,春から秋口までが最盛期になりますが,この方面を中心に攻める船は周年出ているようです.


 ●釣り場

 走水〜竹岡のラインより南側には好ポイントが点在し,そのときに一番安定した釣果が出ている釣り場に船を走らせて攻めます.冬から早春にかけては剣崎や館山〜富浦などの深場を攻め,初夏になって観音崎周辺で大型が釣れ出すとそちらに切り替えるというのが大体のパターンのようです.

 湾奥の船宿は朝6時半〜7時ころに出船して4時半〜5時ころに帰港する一日釣りになります.三浦半島の大津,走水,久比里などからは,早朝/午前/午後に分けた一日三便の乗合い船を出す船宿もあります.この場合は釣り時間が正味3〜4時間ほどに限定されるため,港の近くのポイントを攻めることになります.

 釣り場の水深は60〜100m程度ですが,富浦沖や洲ノ崎沖では150m以上の深場を攻めることもあります.また,観音崎周辺の一部のポイントでは40m前後,走水では20mほどの浅場を攻めることもあります.


 ●タックル

 東京湾口周辺の大アジ釣りは,ビシカゴを使ったビシ釣りです.ビシは最低でも120号前後を使用し,状況によっては30号くらいのオモリを追加する(ナス型オモリをカゴに入れて重量を増す)ため,かなり丈夫な竿が必要です.かといって丈夫一点張りでもダメで,ビシを背負った状態でもまだ胴に弾力が残っている竿でないと,大型のアジが掛かったときに溜めが効かず,口切れによるバラシに繋がります.

 A)・1〜1.5mのビシ釣り専用竿

 アジ専用の竿としてまず挙げられるのがこのタイプで,昔は完全なワンピースものもあったようですが,現在市販されている物は持ち手とロッドの部分がはめ込み式で分かれているものが多いようです.130号以上のビシを背負っても重さに負けるようなことはなく,穂先の敏感さと胴の腰の強さは損なわれません.安物の中には丈夫なだけで敏感さも腰の強さもない竿があるので,購入する際は十分に見極めることが大切です.

 全長が短いので重いビシを使っても腕に持ち重りを感じず,竿を立てても邪魔にならないため,魚の捕り込みもスムーズに行えます.狙った"当たりダナ"に集中的にコマセを撒くのにも有利です.反面,超大型が掛かったときのやり取りには慣れが必要です.また,ロッドキーパーにセットしたまま巻き上げると,波のあるときはバラシが多くなります.

 B)・1.6〜2.1mの2本繋ぎ竿

 大型が掛かったときのやり取りはB)よりも楽に行えます.全長は少し長くなりますが,使い勝手にはそれほど差はありません.

 電動リールで巻き上げたときの口切れによるバラシを防ぐため,独特の調子を持つ"電動リール調子"と銘打った竿はこのタイプのものが多いようです.始めてアジ専用竿を買う場合は一番無難です.

 C)・2.4〜2.7mの胴付き竿

 このタイプはアジ専用と銘打っているものは少なく,アジをはじめマダイ,イサキ,カサゴなどの同付き釣り用とされているものが多いようです.前述のA),B)タイプよりも長さがあり,大型が掛かったときの強い引きと重量感に竿の弾力で対応できるため,仕掛けを上げてくる途中でのバラシを軽減できます.アジの食いがあまりよくないとき,ムーチングスタイルで待つのにも適しています.

 欠点は長さがあるために扱いづらいことです.取り込みの際,リールを止めてからビシを手にするには竿を大きくあおらなくてはならないため,この瞬間に魚に無理がかかってバラシにつながることがあります.また,小さくあおったつもりでもシャクリの幅は大きくなってしまうので,関係ないタナにコマセを撒いてサバを集めてしまうことのないよう注意が必要です.

 D)・その他の道具

 この他に,コマセダイ用の3〜3.6mの竿を使う人もいます.周囲が短い竿ばかりの時はある程度オマツリ防止になる,巻き上げ途中でのバラシ防止になる,食い渋り時の待ち釣りに効果があるなどの利点がありますが,あくまでも慣れた人向けの応用策です.

 リールは新素材ラインの5〜6号を300m巻ける両軸受けリールがオススメです.200m前後しか巻けないリールでは,水深100m以上の釣り場で糸切れを起こした場合に残ったラインでは足りなくなってしまいます.このほか,30センチ程度の長さのテンビン(ビシと一緒に購入するとよい),直径2mm×30cmのゴムクッション(あまり太いと強すぎてクッションの役目を果たさないので注意)なども用意します.なお,仕掛けを降ろした状態でも他の作業ができるように,ロッドキーパーは必需品です.多少値段は高いですが,スーパーラークやしゃくりラークのような,取り付けが縦横可変でコンパクトに収納できるタイプが便利です.


 ●釣り方

 釣り場の状況によって,アンカーを降ろして釣る場合と流して釣る場合があります.アンカーを打つのは,本船航路から外れた場所で安定した釣果が続いている場合に多いようです.本船航路が近い,海底に漁礁や障害物が入っているのでアンカーが回収できなくなる恐れがある(剣崎沖の沈船周りなど),水深が深すぎる,などの場合はアンカーを打てないので流して釣ります.

 ビシにコマセを8分目ほど詰め,つけエサの赤タンは5mm角(釣れるアジのサイズによって異なる)ほどにカットして針先に付けます.潮の流れが速い場合はラインが流されて弧を描いてしまうので,落下の途中で何度かスプールの回転を止め(指先を当ててブレーキをかける),余分に出てしまったラインを張るようにします.ビシが海底に着いたら底ダチを取り直し,船長の指示タナから1m下でコマセを軽く振り,さらに1m巻いて指示ダナで待ちます.

 25前後の中アジならば,コマセを振って指示ダナにセットした直後に食ってくることも多いのですが,30センチ以上の大アジ(船宿によっては40センチを超えないと大アジと呼ばなかったりする)では2〜3分待ってようやくアタリがくることがほとんどです.アタリは竿先を「クーン」という感じで引っ張るので分かります.このとき,巻き上げに入る前に竿を軽く立ててアワセを入れたほうがバレが少ないようです(大アジの上唇は厚くて固いため).なお,大アジではそう簡単には追い食いしてこないので,下手に長く待たずに1匹ずつ確実に釣るほうが利口です.

 アジが掛かったら一定速度でリールを巻きます.魚の引きと船のローリングアップが重なったら巻き上げの速度を落とすなどしてかわします.ビシが見えたらちょうどよいところで竿を立て,ビシを取って船縁の穴やコマセのバケツ(金具で船縁に固定してある場合)に入れ,クッションゴムを掴んでアジとやり取りします.空いているほうの手で玉アミを持ち,アジの頭から掬うようにします.

 大アジはヒレのトゲがけっこう鋭いので,暴れたときに手を刺されないようにタオルで掴むのが安全です.このとき,エラの中にナイフを刺して「血抜き」してからバケツに入れます.ビシにコマセを詰め直して再び仕掛けを降ろし,タナにセットしてから次のアタリが出るまでの間に先ほど釣った魚のはらわたを出して洗ってしまい,それからクーラーに入れれば帰宅後の処理が簡単です.


 ●テクニック

 ・釣り場に向かう船上で,クーラーの氷を握りこぶし2つ分くらいの大きさに砕いておき,釣り場に到着したらこれに海水を加える(氷が浮きあがらない程度).魚屋の店頭で見かける冷蔵方法と同じで,ここに処理の済んだ魚を入れる.

・船によっては玉アミが十分に用意されていないことがあるので(特に混雑時に2船出しになった時など),磯用玉アミの2.5m前後のものを持参して自分専用にすると便利.アミの部分は柄にねじ込むようになっているので,使う前によく締めておかないと潮流で回転してしまうので注意.量販店で4,000円くらい.

・タチウオやサンマの皮(銀色に光っている部分)を5ミリ角くらいに切ってつけると効果がある場合がある.家庭の調理で余ったものなどを冷凍保存しておくとよい.

・指示ダナに仕掛けがある状態で,竿先をゆっくり10回ほど上下させる(50cmくらいの幅.コマセを振る動作とは違う)と誘いの効果がある.アタリが遠いときは試してみる価値あり.

・秋口になると,水面から10mくらいのところに小サバの群れが集まってしまうことがあるので,コマセをつめるときに海にこぼさないように.また,竿先を下に向けて一気に仕掛けを落として,サバのいるタナを素早く通過させる.

・ビシの網目が大きすぎる場合,ミチイトを少し切って網目を縫うように通して調節するとよい.

大アジは潮が変わると途端に口を使わなくなることが多い.釣れているときにその日の分を釣ってしまうくらいの気持ちで集中すること.


 ●食べ方

 ・刺し身

1)腸を出したアジは鱗落しでウロコを取り,水洗いして水気を拭き取ってから3枚におろす.先に胸ビレの後ろから斜めに包丁を入れて,頭を落としておくと作業が楽.

2)腹骨を包丁ですきとり,頭のほうから皮を剥ぐ.腹身の部分が崩れてしまいやすいので,面倒を見ながらゆっくりと.

3)骨抜きを使って中骨を取る.指の腹でさすって取り残しがないかを確認する.面倒な場合は中骨のある部分を境にして縦に2つに切り分けてもよい.

4)適当な大きさに切り分けて皿に盛る.

ウロコを落とす作業をしっかりやっておくことがポイントです.また,洗った魚体を拭くためにペーパータオルを多めに用意してください.

 ・酢じめ

1)ウロコをよく落としてから3枚におろし,腹骨と中骨を取り除く.

2)バットに巻きす(のり巻きを作るときに使うもの)を敷き,それが見えなくなるくらいに粗塩をふる.

3)おろしたアジを並べ,その上からも粗塩をたっぷりとふる.ラップをして冷蔵庫で1時間ほど寝かせる.

4)氷を入れて冷やした5倍酢(酢を5倍に薄めたもの)でアジを洗って塩を落とし,ペーパータオルで水気を拭き取る.

5)あらかじめ甘酢(酢200cc+砂糖大さじ1+塩少々)を作り,10cmくらいのだしコブを入れてだしを染み出させておく.アジをバットに並べてからこれを注ぎ,再び冷蔵庫で1時間ほど寝かせる.

6)アジを取り出して水気を拭き,皮を剥ぐ.適当な大きさに切って皿に盛りつける.

アジの身が締まったところにさっぱりした甘酢の味が加わり,刺し身とはまた違った美味さを堪能できます.サバが釣れた場合は同様の工程でしめサバを作れますが,その場合は特に新鮮なものでないとダメです.

 ・しょうゆ漬け

1)刺し身と同じ要領で切り身を作る.刺し身が余ったらそれを流用してもよい.

2)しょうゆ1対酒1を混ぜて漬け汁を作る(火は通さなくてよい).好みで赤唐辛子や青唐辛子を刻んで入れ,ピリッとさせてもよい.また.この段階でおろしワサビを溶かしてしまっても可.

3)アジの刺し身ときざみネギを入れて軽く混ぜ,冷蔵庫で保管する.

作ってから3日目くらいまではそのまま食べられます.しょうゆの塩気でアジの身が軽く締まった状態になり,そこにしょうゆと酒の旨味が染みて最高の味になります.このしょうゆ漬けは白身の魚なら何でも可能です.


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