JRA日記



ここでは私なりに主なレースの感想を書いていきたいと思います。


秋華賞 天皇賞秋 菊花賞 エリザベス女王杯 マイルCS JC
阪神3歳牝馬S 朝日杯3歳S スプリンターズS 有馬記念 フェブラリーS

12月27日(有馬記念) 〜復活劇再び〜

12月27日、第43回有馬記念が行われた。
競馬関係者には1年を締めくくるドリームレースであり、
また競馬ファン以外にも知られているレースであるため、マスコミの注目も集まり
いやが上にも盛り上がるレースである。
今年も競馬場をわかせた優駿たちが集まった。
1番人気は4歳クラシック皐月賞・菊花賞を制したセイウンスカイ、
2番人気はこのレースがラストランとなる名牝エアグルーヴであった。

有馬記念に出走してくる馬は皆実力馬であるが、
ローテーション等の関係から4歳馬が強いことで知られている。
過去10年の歴史を振り返ってみても4頭の勝ち馬を出し2着にも4頭が連対していた。
実際去年もシルクジャスティスが見事優勝を果たしていた。
4歳馬が最後のクラシックである菊花賞や秋華賞から直行するのに対し、
古馬は有馬記念までに天皇賞秋、エリザベス女王杯、JCなどの大レースがあり
どうしてもレースの疲れが残ってしまうからだ。
今年の4歳馬もダービー馬スペシャルウィークや
マイルC・JC馬エルコンドルパサーは出走しなかったが、
その他の有力馬は出走していた。
そんな出走馬の中にグラスワンダーもいた、3歳チャンピオンである。
しかし朝日杯3歳S後骨折し、春シーズンは出走する事ができなかった。
秋になり毎日王冠で復活を果たし、その後アルゼンチン共和国杯を使われたが
着順はそれぞれ5着、6着と芳しくなかった。
主戦の的場騎手も結果的に手放す形になったエルコンドルパサーが
活躍していたこともあり、内心悔しい思いであっただろう。
いつになったらこの馬の実力が復活するのか、そう考えていたに違いない。
有馬記念で復活する馬は多く、オグリキャップやトウカイテイオーなど
その復活劇が話題となったこともあった。
グラスワンダーも見事復活を果たすことができるのだろうか?
そしてレースがはじまった。

レースは予想通りセイウンスカイの逃げで進んでいった。 グラスワンダーは中段に位置していた。
向こう正面でセイウンスカイが後続との差をひらいていった。
その後徐々に各馬の差が縮まっていき、残り6ハロンを切りグラスワンダーが仕掛ける。
そして残り2ハロンの地点でセイウンスカイを抜いて先頭に立った。
後ろからメジロブライトが迫る、2分の1馬身まで迫る、しかしその差は縮まらない。
そのままゴールした。

グラスワンダーが見事復活を果たし通算2勝目のG1勝利となった。
ライバルとなるエルコンドルパサーは来年海外遠征のため、
国内ではグラスワンダーが中心となり競馬カレンダーが進んでいくことになる。
5歳初戦は中山記念、再び強い姿を見せることができるのか注目したい。

(紹介馬)
グラスワンダー 牡 美浦尾形厩舎
父シルヴァーホーク 母アメリフローラ 母父ダンツィヒ
競走成績 7戦5勝 鞍上:的場騎手



12月20日(スプリンターズS) 〜油断大敵?〜

12月20日、第32回スプリンターズSが行われた。
前走マイルCSに引き続きこのレースもタイキシャトルに注目が集まった。
今回のレースがラストランでレース後に引退式が行われることもあり、
ファンもタイキシャトルが無事ラストランに勝利する事を信じ、 単勝はなんと1.1倍になった。

タイキシャトルはこれまで通算成績12戦11勝、重賞競走8連勝中であった。
唯一の敗戦が逃げ馬を捕らえきれず2着になった4歳時の菩提樹Sだけであり、
現役馬はもとより過去の歴代の名馬と比べても遜色のない成績を残していた。
G1競走5勝はナリタブライアンらと並ぶ歴代2位の記録であり、
今回勝利すれば単独2位となる。
相手関係も今まで闘って打ち負かしてきた馬ばかりであり、 誰の目から見ても勝利は明らかであった。
ただレース前シーキングザパールに騎乗する武豊騎手は
秘策があると語っていて、その言葉が不気味であった。

レースがはじまった。
タイキシャトルは好スタートから好位につける、
シーキングザパールは後方に位置した。
そして直線、タイキシャトルとマイネルラブが抜ける、
この2頭のたたき合い。後方からシーキングサパールが襲いかかる。
ゴール前マイネルラブが競り合いを制し、タイキシャトルは
シーキングザパールにまで差されて、なんと3着に終わった。

ラストランは3着に終わったが、彼が歴史的な名馬であったことは疑いようがない。
この後は種牡馬生活に入るが、生産者界からも大きな期待が集まっている。
国際G1を制したその強さを産駒にも見たいものだ。

(紹介馬)
タイキシャトル 牡 美浦藤沢厩舎
父デヴィルズバック 母ウェルシュマフィン 母父カーリアン
競走成績 13戦11勝 鞍上:岡部騎手



12月13日(朝日杯3歳S) 〜馬主運〜

12月13日、第50回朝日杯3歳Sが行われた。
今週は牡馬・セン馬の3歳チャンピオンを決めるレース。
中山競馬場に14頭が集まった。
単勝1番人気はアドマイヤコジーン、
2番人気はエイシンキャメロンであった。

我々には持って生まれた運があり、多かれ少なかれ人生に影響を与える。
人生の成功者と思われる人たちは一般に幸運の持ち主であると思われるが
(実際には運+実力がないと成功しないが)、成功者の中にはステータス
シンボルとして馬主になる人たちがいる。
つまり自分の所有馬が大レースを勝つことによって
自分の名前や会社のPRになるからである。
またその名誉は世界中に通用するものである。
ところで馬主にも馬主運というものがあり、馬主運がよくないと
たとえ一流の血統で一流の厩舎に入ったとしても、その馬の能力を
発揮できず、不本意な成績で終わってしまう事もある。
今回1番人気になったアドマイヤコジーンの馬主近藤利一氏も、
これまでの馬主歴を調べてみると、私が思うにあまり馬主運を
持っていなかったと思える。
最近ではグレースアドマイヤやアドマイヤサンデーの活躍によって
馬主運も向上してきているように思えたが、それでもどことなく
順調にいっていないように思えた。

アドマイヤコジーンに騎乗するロバーツ騎手は日本の競馬界に欠かせない
騎手となってきた。
毎年のように日本で騎乗し、ジャパンカップではドイツ馬ランドで
勝利をあげた。
それでも毎年関西で騎乗して確実に重賞を勝っていくペリエ騎手に比べると、
どことなく地味な印象を受ける。
今年も以前日本で乗っていた馬などに騎乗して勝利をあげたり好走させる
など実力を発揮していたが、G1に関しては今年はこれまで騎乗する事はなく
今回のアドマイヤコジーンも本来騎乗する予定であった南井騎手が
騎乗できなくなったため、一度乗っていたこともあり回ってきた馬である。

2番人気のエイシンキャメロンの馬主平井豊光氏は
いい馬主運を持っていると思われる。
G1勝ちこそないものの毎年のようにG1に馬を出走させて好走し、
重賞勝ちも数多くある。
エイシンキャメロンも前走デイリー杯を楽勝するなど順調に来ていたし、
朝日杯にはもう1頭エイシンルバーンも出走していた。
そして先週の阪神3歳牝馬Sもエイシンレマーズが2着に入るなど、
今年の馬主運も上々であった。

レースが始まり、直線アドマイヤコジーンとエイシンキャメロンの
たたき合いとなり、結果アドマイヤコジーンが競り勝って優勝した。
外国人騎手が日本馬に騎乗してG1を勝つのは初めての快挙であった。
また近藤利一氏もJRAのG1勝利は初めてであると思う。

最近来年のクラシックを目指す馬は朝日杯とラジオたんぱ杯に
分かれて出走している。
朝日杯出走組ではここ4年クラシックホースは誕生していない。
しかしアドマイヤコジーンは持ち込み馬であるため、このまま
順調にいけばクラシックに出走する事も可能である。
近藤利一氏の今年の3歳馬には他にもアドマイヤベガもいる。
こちらの母は2冠馬ベガであり、クラシックでも人気になると思われる。
この2頭以外にも有力馬はたくさんいるが、来年の4歳馬は
サンデー産駒以外にも有力馬がいて面白い年になると思う。
最後にロバーツ騎手、G1勝利おめでとう!!

(紹介馬)
アドマイヤコジーン 牡 栗東橋田厩舎
父コジーン 母アドマイヤマカディ 母父ノーザンテースト
競走成績 4戦3勝 鞍上:ロバーツ騎手



12月6日(阪神3歳牝馬S) 〜Fujisawa Magic〜

12月6日、第50回阪神3歳牝馬Sが行われた。
3歳馬にとっての初めてのG1、競馬関係者だけでなく
POGをやるものにとっても重要なレースである。
ここで勝ち馬を選択したものは最初の栄誉が与えられるからだ。
人気の方は傑出した馬がいないため、
1番人気でも単勝4.1倍とまさに難解なレースであった。

美浦藤沢厩舎、競馬をするものにとっては誰もが知っている厩舎である。
西高東低の時代から藤沢厩舎の馬は強い関西馬と互角に渡り合ってきた。
そして今年も調教師の全国リーディングを独走し、
G1も制覇するなどまさにケチの付けどころがない成績を残している。
しかし、POG的には指名が難しい厩舎である。
厩舎方針で馬に合わせた調教を行っているため全般的に馬のデビューが
遅く、そして岡部騎手が乗ることが多いため、
新馬戦デビュー勝ちというのもあまり見られない。
また他の調教師のようにクラシック出走にはこだわっていないため、
期間が早い時期のPOGではデビューすらしないことも多い。
それでもたまに3歳戦から使われている馬は
バブルガムフェローのようにあっさりとG1を勝ってしまう事もある。
今年は2戦2勝の牝馬スティンガーを阪神3歳牝馬Sに出走させてきた。

スティンガーは単勝3番人気であった。
血統は父サンデーサイレンス、母レガシーオブストレングスと
見事な良血馬であり、兄弟には短距離馬レガシーオブゼルダや
全姉であり、また重賞を2勝したサイレントハピネスなどがいた。
1番人気に支持されてもおかしくなかったが、
それでも3番人気にとどまったのは前走から連闘の出走であり、
初の長距離輸送と主戦の岡部騎手が乗らなかったのも原因だったのだろうか。

レースがスタートした。
逃げ宣言をしたエイシンルーデンスが逃げようとしたが、
それに3戦3勝の快速馬コウエイロマンが絡んでいく。
コウエイロマン陣営は当初好位からの競馬をするつもりであったが、
久しぶりの出走のためか押さえがきかず、
そのためハイペースを生み出す事になった。
このハイペースは先行集団や中位集団にも影響を与えていた。
そして4コーナー、各馬が外に膨らみ1番人気ゴッドインチーフを中心に
何頭かが不利を受けた。
その中からスティンガーが後方からのびてきて、
同じく後方から追い込んできたエイシンレマーズに
2馬身の差をつけてゴールした。
ゴッドインチーフは不利が響いて3着までであった。

結局G1馬に輝いたスティンガー、その素質もさることながら、
やはり藤沢調教師の手腕がタイトルをもたらしたのだろう。
調整の難しい牝馬に連闘そして長距離輸送と普通ならパドックで
終わってしまうパターンであったが、それも杞憂に終わった。
来年の牝馬戦線はこの馬を中心に回っていくことになる。
スティンガーがこのまま同じ舞台で行われる桜花賞を勝って
岡部騎手に全クラシック制覇の夢と、藤沢厩舎初のクラシック制覇を
もたらすか、それともバブルガムフェローやサイレントハピネスのように
本番前に故障を発生し出走すらできなくなるかはまだわからない。
それでもこのまま終わる血統ではないし、姉サイレントハピネスのファン
であった私としてはこのまま無事にクラシックに出走してほしいと思う。

(紹介馬)
スティンガー 牝 美浦藤沢厩舎
父サンデーサイレンス 母レガシーオブストレングス 母父アファームド
競走成績 3戦3勝 鞍上:横山典騎手



11月29日(JC) 〜世界への扉〜

11月29日、第18回JCが行われた。
今年の外国招待馬は6頭、しかし人気は日本馬に集まり、
1番人気はダービー馬スペシャルウィーク、2番人気は女王エアグルーヴ、
3番人気はNHKマイルC馬エルコンドルパサーであった。

国際G1レースであるJC、しかし世界から見たJCの立場はどうであろうか。
昔に比べ賞金的な魅力がなくなり、またブリーダーズCの日程変更により
今までのようなブリーダーズC〜JCというローテーション が組みづらくなったことにより、
多くの1流馬がJCよりも世界的に名誉のあるブリーダーズC出走に踏み切り、
最近のJCに参戦してくる外国馬は本当の1流馬よりも少しレベルが低い
馬たちが中心であった。
日本馬も毎年のように1流馬の出走回避が相次ぎ、
このような状況の中で今年もJCが行われた。

レースは予想されていた通りたんたんとしたペースで流れ、
好位を追走したエルコンドルパサーが
2着エアグルーヴに2 1/2の差をつけて優勝した。
3着にはスペシャルウィークが入って日本馬が上位を独占し、
外国馬はチーフベアハートの4着が最高であった。

エルコンドルパサーは日本の4歳馬のJC初勝利であり
その勝利は素直にほめたい。
しかし、日本の1流馬が出走しないレースを
国際G1レースとして行ってよいのだろうか。
JRAの日程をみると、この時期は毎週G1レースを目玉としておいているので、
日本馬にとってもローテーションが難しい。
昔と比べてレース出走による馬の消耗が激しく、
現在の日程で行われるなら、4歳馬は菊花賞から中2週、
古馬は天皇賞秋から中3週となり、この後に有馬記念を控えているため、
馬の状態を考えるとどうしてもJCには出走できないように
なってしまっている。
また日本のオーナーの中にJCよりも有馬記念に勝ちたいという
気持ちがあることもJC出走回避の原因となっている。
過去に遡ってみるとJCを回避して有馬記念を勝った馬は数多くいる、
しかしJCに使った馬のほとんどは有馬記念で凡走していて、
この2つのレースを同じ年に勝ったのはシンボリルドルフしかいない。
現在の日程を変更しない限り、JC回避〜有馬記念出走の馬は続くだろう。
来年から障害レースにもグレード制が導入され、
これにより同じ週にG1レースが複数行われることになる。
これと同時に平地のレース日程も変更してみてはどうだろうか。
現在のようにG1レースを分散させて開催するのではなく、
ある程度統合して行った方がいいのではないだろうか。
何らかの対策を講じない限り、来年以降もJCの存在意義が問われるだろう。

(紹介馬)
エルコンドルパサー 牡 美浦二ノ宮厩舎
父キングマンボ 母サドラーズギャル 母父サドラーズウェルズ
競走成績 7戦6勝 鞍上:蛯名騎手



11月22日(マイルCS) 〜王者の凱旋〜

11月22日、第15回マイルCSが行われた。
このレースの注目は、去年の覇者であり今年フランスのG1を勝った
タイキシャトルのレースぶりであった。

今年日本の競馬会は2つの偉業を達成した、日本馬2頭の海外G1制覇である。
シーキングザパールはフランスのドーヴィル競馬場で行われた
モーリスドギース賞に勝ち、日本馬に初の海外G1制覇の栄誉をもたらした。
シーキングザパールの場合、当日の人気も5番人気と
比較的人気がない中での勝利であリ、
まさに騎手と厩舎スタッフの海外経験が生かされて
勝ち取った勝利でもあった。
もう1頭のタイキシャトルの方は、日本国内においても
まさに敵無しと思えるほど素晴らしい能力を持った馬で、
厩舎、騎手が共に1流とまさにすべてを兼ね備えた環境の中で鍛えられ
ジャックルマロワ賞に出走した。
日本国内でも期待され、当日の人気でも1番人気におされ、
しかも出走するレースは伝統のレースであるジャックルマロワ賞である。
鞍上の岡部騎手はどういう気持ちでレースを向かえたのであろうか。
結果は1番人気に答えて見事に勝利、まさに日本馬の実力を
世界にアピールしたのである。
そして今回のマイルCSが帰国初戦のレースであった。

これまで秋のG1がはじまってから1番人気はことごとく負け、
今回のレースでは1番人気の連敗を阻止するかにも注目が集まった。
そしてレース前に発表されたタイキシャトルの馬体重は524KG、
それまでの日本のレース時の馬体重よりも多少重かった。
人々はタイキシャトルの圧勝を期待したのだろうか、
それともタイキシャトルが負けることを期待したのだろうか。

レースがはじまった。
去年と同様に今年もキョウエイマーチが逃げようとするが、
マウントアラタも競っていく。
タイキシャトルは離れた3番手、シーキングザパールは
ピッタリタイキシャトルをマークしている。
4コーナーにさしかかるにつれて、マウントアラタが徐々に後退してくる。
シーキングザパールが先に動いてキョウエイマーチに並びかけていった。
そして直線を向かえた。
タイキシャトルがのびてくる、そして他馬との差をどんどん開げていく。
タイキシャトルの足はバテない、そしてゴール。
2着との差は5馬身、まさにその強さをまざまざと見せつけた。
混戦の2着争いはビッグサンデー、シーキングザパールは力つき
8着に敗れた。

これで今年の成績は4戦4勝、年内で引退種牡馬入りのため
次のスプリンターズSが現役最後のレースとなる。
次のレースもその強さを思う存分我々に見せて欲しい。
そして今年の日本の競馬を盛り上げてくれたサイレンススズカの分も、
優秀な産駒を残していって欲しい。
残念なのは、この2頭の対決がみられなかったことだ・・・。

(紹介馬)
タイキシャトル 牡 美浦藤沢厩舎
父デヴィルズバック 母ウェルシュマフィン 母父カーリアン
競走成績 12戦11勝 鞍上:岡部騎手



11月15日(エリザベス女王杯) 〜女王への挑戦〜

11月15日、第23回エリザベス女王杯が行われた。
1番人気はエアグルーヴ、去年の年度代表馬である。

昔メジロラモーヌという牝馬がいた。
彼女は河内騎手を背に牝馬初の3冠馬に輝いた。
そしてその後殿堂入りを果たす彼女であったが、牡馬相手では分が悪かった。
サラブレッドの世界でも人間の世界と同様に性別による差があり、
4歳の後半から牡馬が成長していき、牝馬との差がつくといわれている。

エアグルーヴは現在G1タイトルは2つしか獲得していない、
オークスと天皇賞秋である。
しかし牝馬クラシックである桜花賞と秋華賞は体調が万全なら
勝つことができたであろう。
(桜花賞は直前熱発のため出走せず、秋華賞はレース中骨折し10着)
5歳時になると、札幌記念で皐月賞馬ジェニュインを破り、
天皇賞では去年の勝ち馬バブルガムフェローに勝ち、
ジャパンカップでは日本馬最先着の2着、 そして有馬記念ではきついローテーションを克服して3着と
牡馬相手に互角に戦い、見事年度代表馬にふさわしい成績を残した。
今年に入ってやや能力の低下が見られたが、
それでも現役馬を代表する馬の1頭である。

メジロドーベルはエアグルーヴより1世代下のG13勝馬である。
しかし獲得したタイトルはいずれも牝馬限定レースによるもので、
5歳時に牡馬相手に戦うようになってからは苦戦を続けていた。
エアグルーヴとも何度か対戦したが、1度も先着する事ができなかった。
いわばメジロドーベルにとって、
エアグルーヴは超えなければならない壁であった。
そして今回4度目の対決が実現した。
エアグルーヴは今年で引退が決まっており、
メジロドーベルがエアグルーヴに勝つ最後のチャンスであった。

エアグルーヴの次走はジャパンカップと決まっていた。
ローテーション的には中1週になる。
だからここでは8分の仕上がりといわれていた。
それでも伊藤雄調教師は勝てると思っていただろう。
そして多くの人もエアグルーヴは勝てるだろうと思っていた。
しかしここで誤算が生じた。
主戦の武豊騎手が騎乗停止処分を受け、 横山典騎手に乗り変わったことである。
エアグルーヴという馬はパドックでチャカつき、
パドックではなく 地下馬道で騎手が乗るという難しい馬であった。
ほとんどテンノリである横山典騎手に彼女の性格を 十分に把握する事ができたのであろうか。

そしてレースがはじまった。
ナギサのペースでレースは進んでいる。
メジロドーベルは引っかかっている。
エアグルーヴも休み明けの影響か引っかかっていた。
ここに他の馬に生じる隙が生じた。
どうやら2頭とも落ち着いたようだ。
その後4コーナーにさしかかる。
メジロドーベルは最内、エアグルーヴは外を選んだ。
そして直線。
メジロドーベルは内をついた影響で、前にいたナギサの影響を受け、
さらに後ろから内を突こうとしていたエリモエクセルに影響を与えた。
しかし脚は衰えず、そのまま馬場のいい内を通って1着でゴールした。
エアグルーヴは馬場の悪い所を通り、休み明けの影響もあったのか
メジロドーベルどころか前を行くランフォザドリームをとらえきれず、
結局3着に終わった。
ついにメジロドーベルはエアグルーヴに先着した。
そしてこの時が牝馬初のJRAG1 4勝馬誕生の瞬間だった。

G1 4勝というのは歴代のG1勝ち馬の中でも限られた頭数しかいなく、
G1が増えた今となっても素晴らしい記録である。
メジロドーベルが来年も現役を続けるならば、 牡馬相手では厳しいかもしれないが、
牝馬限定レースでさらにG1勝利を増やすかもしれない。
まさに名牝と呼ぶことができるであろう。

牝馬にとっては競走成績も重要であるが、 優れた産駒を生むこともまた重要である。
エアグルーヴの母ダイナカールもオークス馬であった。
そして母子オークス制覇という偉大な記録を達成した。
メジロラモーヌは現在までこれといった活躍馬をだしていないが、
メジロドーベルには先輩のメジロラモーヌの分まで 素晴らしい産駒を生んで欲しいと思う。
そしてメジロドーベルを超えるような素晴らしい成績を残して欲しい。

(紹介馬)
メジロドーベル 牝 美浦大久保洋厩舎
父メジロライアン 母メジロビューティー 母父パーソロン
競走成績 17戦9勝 鞍上:吉田騎手


11月8日(菊花賞) 〜芦毛伝説再び〜

11月8日、第59回菊花賞が行われた。
今年の注目はダービー馬スペシャルウィークの2冠達成なるかであった。
単勝オッズは1.5倍、圧倒的な人気であった。

過去ダービーと菊花賞を制した馬は少なく、
1973年のタケホープまで遡らなければならない。
つまり、皐月賞とダービーの2冠を制するよりも、
ダービーと菊花賞の2冠を制するのは難しいということである。
一方ライバルの皐月賞馬セイウンスカイは2番人気。
過去皐月賞と菊花賞を制した馬はミホシンザンやサクラスターオー
などがいて、データ的にはセイウンスカイの方が有利であった。

血統面はどうか。
スペシャルウィークの父はサンデーサイレンス、
初年度産駒からG1勝ち馬を出した1流種牡馬である。
それに対し、セイウンスカイの父シェリフズスターは
たいした産駒を残すことができず用途変更された種牡馬であった。
言うなれば、エリート馬と2流馬の戦いでもあった。

スターターが台にあがる。
そして関西G1のファンファーレが鳴り響く。
天気は快晴であった。

レースがスタートした。
スペシャルウィークをはじめ各馬が引っかかる中、
セイウンスカイは先頭に立つ。
セイウンスカイが先頭に立ち気分良く走っている中、
スペシャルウィークは折り合いに専念するため中段よりやや後方に位置していた。
2週目の坂を向かえてもセイウンスカイの手応えはいい。
一方、スペシャルウィークの方は徐々に前にはきているが、
手応えは悪かった。
最後の直線、セイウンスカイはバテない、後続との差をまだ保っている。
スペシャルウィークが伸びてくる、だが届きそうもない。
何とか2着を確保してゴールするのが精一杯であった。
セイウンスカイのタイムは3:03.2、
これはマヤノトップガンのだしたレコードを1.2秒、
メジロレノンズのだしたコースレコードを0.7秒も縮める素晴らしいタイムであった。
仮柵をはずした影響がかなりあったと思えるが、
それでも京都コース3000M を逃げ切ったことを素直に評価したい。

セイウンスカイの毛色は芦毛である。
芦毛は両親のどちらかが芦毛でないと生まれない、
つまり毎年生まれてくる 仔馬の数は他と比べると圧倒的に少ない。
しかし過去の日本の名馬の中にも芦毛の馬がたくさんいた。
タマモクロス、オグリキャップ、メジロマックイーン、
ビワハヤヒデなどであるが、どれもに共通するのが、人々を感動させるようなドラマを持ち、
1時代を作った名馬となっていることである。
世界的に見てもホーリーブルなどのように、
芦毛の馬は突然変異のように いきなり強い馬が生まれてくる毛色である。
芦毛の馬が強かった時代、人々は彼らをこう呼んだ、芦毛伝説と。
ビワハヤヒデ以降強い芦毛の馬はでていなかったが、
菊花賞の勝利によりセイウンスカイは新しい芦毛伝説の継承者となった。

これから出走するレースは常に人気を背負うようになる。
しかし過去の芦毛の名馬のように人々を感動させるようなレースをし、
新たなる芦毛伝説を生んで欲しい。

(紹介馬)
セイウンスカイ 牡 美浦保田厩舎
父シェリフズスター 母シスターミル 母父ミルジョージ
競走成績 7戦5勝 鞍上:横山典騎手


11月1日(天皇賞秋) 〜沈黙の衝撃〜

11月1日、第118回天皇賞秋が行われた。
過去10年1番人気の馬が優勝することができないレース、
多くの名馬が2着以下に沈んでいた。
だが、今年こそは1番人気の馬が優勝すると思われていた。
1枠1番に入り、騎手も武豊と何も死角はないと思われていた。
その馬の名はサイレンススズカ、稀代の逃げ馬である。

競馬界には絶対は無いといわれる。
良くいわれるのが、2強並び立たずという言葉である。
あるレースに他の馬とは実力が違うと思われる2頭の馬が出走した場合、
普通に考えるとこの2頭でレースが決まると思われるが、
実際のところはそうはいかない。
お互いがお互いを意識するあまり仕掛けが早くなり、
他の馬に負けるケースが多く見られる。
最近ではナリタブライアンとマヤノトップガンが出走した天皇賞春、
このレースはこの2頭が人気を集めたが、結果はナリタブライアンをマークしていた
サクラローレルが優勝し、ナリタブライアンは2着、マヤノトップガンは5着に沈んだ。
今年においても、メジロブライトとシルクジャスティスで堅いと
思われていた 天皇賞春は、メジロブライトが優勝したが、
シルクジャスティスは4着に沈んだ。

また絶対は無いといわれるもう一つの理由は、故障である。
馬も動物である以上、走れば走るほど体力を消耗していく。
そして体力が限界に近づいた時に故障は発生する。
軽いものであればしばらく休めば完治するが、最悪の場合予後不良になり、
そのままでは生きることができないため薬殺されてしまう。
最近の例では、レース中に故障を発生したライスシャワーは
予後不良という診察を受け、薬殺されてしまった。
またテレビで見た以外にも、直接目の前でも見たことがあるが、
ダービーキングダムという馬が故障を発生したとき、
そのまま馬運車に乗せられていったのを見た記憶がある。
今でもその光景を思い出すと、悲しい気持ちになってしまう。
この2頭以外にもたくさんの馬がレース中の故障により、
馬運車の中に消えていった・・・。

レースがスタートした。
サイレンススズカはいつものようにスタート後、
だんだん他馬との差を広げていく。
道中のラップタイムも前走毎日王冠のラップタイムと同じか
むしろそれ以上であった。
向こう正面ですでに後続とはかなりの差がひらいている。
スタンドから歓声が上がる、みんなの目が
サイレンススズカ1頭に注がれていた。
そしてサイレンススズカが大ケヤキの向こうに消えて
再びあらわれた後、悲劇は起こった。
サイレンススズカ故障発生。
レースは彼の故障発生後も続けられた、
しかしほとんどの観衆の目はサイレンススズカに注がれたままだった。
レースはオフサイドトラップが優勝し、2着にはステイゴールドが入った。
オフサイドトラップがウイニングランを行い、
その後正面スタンド前に帰ってきてもしばらく観客の声援は無かった。

レース終了後、サイレンススズカの予後不良が伝えられた。
通算成績16戦9勝、今期負け無しだった稀代の逃げ馬は
後世にその血を残すことなくその生涯を終えた。

サイレンススズカの死は、ナリタブライアンが死んだ時感じた悲しみ
とはまた別の悲しみを感じた。
私にとってナリタブライアンとは特別な存在であり、
他の馬が死んだときには同じ気持ちを感じることは無いだろう。
サイレンススズカは個人的にはあまり好きな馬ではなかったが、
競馬界には必要な馬であった。
彼のおかげで昨今のスローペース症候群がなくなりつつあったのは
事実であったし、彼の持っていた素晴らしいスピードと、
ハイペースになっても粘りきるスタミナは
外国馬に対抗するには必要であると感じていたからだ。

同じ配合を行っても同じ馬が生まれるとは限らない。
このケースは昔から多くあり、良く賢兄愚弟などといった言葉で表される。
もう1度ワキアにサンデーサイレンスを種付けしたからといって
第2のサイレンススズカが生まれることはほとんどないであろう。
ただ、我々はサイレンススズカという馬を忘れないことによって
彼の素晴らしいレースを後世に伝え、またハイペースでも逃げ切ることのできる
彼のような馬が再び登場することを願おう。
また、このレースに勝ったオフサイドトラップという馬も
我々は忘れてはならない。
レース中にこのような悲しいことがあったにせよ、
勝ち馬を讃えその血を後世に残すことも我々の努めであるからだ。
ライスシャワーがレース中に故障を発生した宝塚記念の勝ち馬
ダンツシアトルもライスシャワーに記事が集中したため、
実際の評価よりも低く見られているような気がしている。
幸い、九州で元気に種牡馬生活を送っているが、
もう1度彼の強さも再認識し、彼を讃えることも必要ではないだろうか。

<紹介馬>
サイレンススズカ 牡 栗東橋田厩舎
父サンデーサイレンス 母ワキア 母父ミスワキ
競走成績 16戦9勝 鞍上:武 豊騎手


サイレンススズカの母ワキアはすでに死亡していました。



10月25日(秋華賞) 〜新たなる伝説の始まり〜

今日は秋のG1第1弾秋華賞が行われた。

ナリタブライアンのいない競馬界、それを思うと寂寥感を感じたが、
ナリタブライアンが死んだ日にローズSを勝ったファレノプシスが
牝馬2冠を目指してこのレースに出走してきた。
ファレノプシスはナリタブライアンの近親である。
私は彼女にナリタブライアンの姿を重ねていた。

ファレノプシスには新馬戦から注目していた。
ファレノプシスの母キャットクイルはビワハヤヒデ、ナリタブライアンの母 パシフィカスの妹である。
ファレノプシスは初子であり、たいそう体の弱い馬であったという。
ノースヒルズマネジメント(当時はマエコウファーム)で誕生した彼女は
栗東浜田厩舎に入厩し、専属騎手である石山騎手とともに着実に勝ち星を積み重ねてきた。
3戦3勝で望んだチューリップ賞では、1番人気に推されながらも直線で前がつまり4着敗退。
この時の騎乗ミスが原因で、次走の本番桜花賞では武豊騎手に乗り変わった。
そして見事1着、この時がブライアンズタイム産駒4歳クラシック全制覇の瞬間だった。
その後近親ブライアンのように3冠牝馬誕生の期待を持たせたが、
オークスではスローペースに捕まり、後方から追い込んだが3着までくるのが精一杯であった。

昨今のレースではスローペースが多いこともあり、
その馬の得意な距離を見極めるのは難しい。
この馬の母父ストームキャットも一般的に、
産駒には早熟性と、短距離の切れ味を伝えると思われていた。
実際今までの彼女のレースぶりを見ると府中の2400Mは苦しいと
思われていたが、それでも3着まできていた。
これがパシフィックプリンセス系の血なのか、
ファレノプシスの単勝馬券を持ちながら私は興奮していた。

オークス出走後最後の1冠秋華賞に向けて、彼女は厩舎で体を休めていた。
近親ブライアンは4歳時夏負けの症状を見せていたようだが、
彼女の場合はうまく調整できたらしい。
復帰初戦のローズSを一瞬ヒヤっとさせながらも無事勝利を収め、
いよいよ秋華賞の日を迎えた。

レースは4コーナーで先頭に並ぶと後は後続を突き放し、
2着に1 1/2の着差を つけてゴールした。

牝馬が牡牝混合戦のレースに出走して勝つのは難しいものである。
エアグルーヴを除くと、去年の2冠牝馬メジロドーベルも
牡牝混合戦では苦戦を続けている。
ファレノプシスの次走はジャパンカップ、
そして来年は世界へも目が向けられている。
常識的には難しいと思われるが、何とかジャパンカップで好走し、
近親ナリタブライアンがかなえることのできなかった世界挑戦、
そして日本で生産し、日本で調教された馬の海外G1初勝利をこの馬に託したい。
そう思わせるような強い勝ち方であった。

ファレノプシス 牝 栗東浜田厩舎
父ブライアンズタイム 母キャットクイル 母父ストームキャット
競走成績 8戦6勝 鞍上:武 豊騎手


ファレノプシスの次走は来年の京都牝馬特別に決まったそうです。
今は無理をせず、4歳最強牝馬の復活を待ちたいと思います。



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