接遇のまとめ

 

医療法人中央会尼崎中央病院 放射線部門 宮地和明

 

病院の信頼性

個人の信頼性も組織の信頼性も同じことがいえます。特に病院は人々の生命に関わる社会的にも重い仕事に携わっています。信頼できない病院で受診する気になるでしょうか。 OO病院に行っても熱心に診てくれない、無愛想である等の評判や体験は、その病院への足を重くするでしょう。しかし、この病院にいけば熱心に診てくれる、親切であるという評判や体験は信頼性につながり、患者様も自然に足を運ぶようになるでしょう。 言うに及ばず、組織は個人の集まりです。職員個人の信頼性が、病院という組織の信頼性につながるのです。

あなたは病院の広告塔

あなたの病院での何気ない日頃の行動、言動、表情、態度は患者様やその家族の方々に評価されていることを知らなければなりません。そして、患者様やその家族の方々は必ず誰かに"喋る"ということも知っておく必要があります。統計上、よい評判は、4〜5人に、悪い評判は9〜10人に話すといわれています。良きにつけ悪しきにつけ、人は自分が体験したことを第三者に話すという、いわば本能ともいえる性質をそなえているのです。特に悪い評判については他人に話す傾向が強く現れるという結果が統計的に証明されています。 病院の職員であるあなた方一人一人の行動、言動、表情、態度等が患者様やその家族の方々に評価され、その評価がイメージとなって地域の人々の評判となるのです。

人々は本来の目的とは違うモノを求める

私たちは本来の目的とは違う、別のモノをも評価するということを知らなければなりません。病院は病気を治すところ、ホテルは宿泊するところ、レストランは食事をするところ という具合にそれぞれに目的を達成するための必要なサービスが提供されればよいはずです。しかし、本来、患者様は病気を治すことを目的として病院に来ているにもかかわらず 地域の人々の病院への評判は、病気を治すという技術的な能力だけではありません。親切であるとか、丁寧であるとか、病室がきれいで快適であるとか、受け付けから診察して帰るまでスムーズである。等、付加価値としてのサービスを求めているのです。本来の病気を治すという目的からは、少々離れている内容についても病院の評判となって人々に語り継がれていくのです。

苦情について

苦情が発生したときこそ、その病院の体質が見えてくるものです。 苦情のなかで最も多いのが待ち時間をめぐる苦情なのですが、その最も大きな問題点は、職員のあいだで「待っていただくのが当たり前」という認識が往々にして出来上がっていることです。「まだでしょうか」といってくる患者様を"わがまま"とか"うっとうしい"と思うのは、感覚が麻痺していることなのです。「お待たせして申し訳ございません」とういお詫びの気持ちを表明することが大切です。また、待合室などでの職員の私語は厳に慎みましょう。患者様が待たされているのに職員が私語をしていたら、どんな気持ちがするでしょう。「私語しているくらいなら、もっとはやくしてよ」という一言も言いたくなるところです。急患やその他の事情により、待ち時間が長引くような場合は、それをきちんとお知らせし、納得していただくことが大切です。 それでも、話がこじれてしまう場合はあるものです。そのときは、「苦情処理の3変法」を応用してみましょう。苦情の処理は、誠実な応対の繰り返しのなかで、信頼関係につながったときが解決のときです。苦情はまず起こさないための努力が大切ですが、万が一起きた場合は、患者様との信頼感を築く自院の体質を見ていただくチャンスともいえます。 逆に苦情の対応が悪ければ、信頼を失ってしまうことにもなります。

「苦情処理の3変法」

1) 他の人(先輩、上司)に代わってもらう

2) 応接室などの静かな場所へ案内する

3) 時間を変える

患者様からの苦情を受けた場合は

1) 最初の応対を大切に(不満にたいして、まずお詫びの言葉を)

 2) 話を最後まで聞く(弁解の言葉をはさまない)

 3) こちらのミスの場合は心からお詫びを

4) 相手の誤解の場合でも、お詫びの言葉を言ってから、丁寧に事情を説明し協力をお願いする。

 5) 解決をしたら「ご迷惑をおかけしました。また何かございましたら、ぜひお聞かせください」といい、嫌な顔をしない。

 

接遇の基本概念

ホスピタリティ     厚遇 手厚いもてなし ホスピタリティの精神  相手側に立つ

病院(ホスピタルの語源)  過去からの誤った観念によって傲慢になっていた。

 

医療職の反省

患者様は病気本来の苦痛や悲しみ以外に、病院において様々な苦痛や不安を持つといわれます。医療職は素直に反省しなければなりません。

 私たち医療職は、医療サービスの提供を接遇を通じて行っています。機能的  なサービス(医療技術等)や物質的サービス(建物・機器・薬・給食)の質 も接遇によって大きく左右されていることを認識しましょう。

接遇の基本

1) 相手の気持ちと立場になること 相手の気持ちと立場になれば、自然と誠実で優しい態度で接することができるようになります。

 2) 礼儀正しく マナーを忘れないことです。これは相手に敬意を払うことです。服装や言葉遣いだけでなく、職場のマナーを忘れないことです。

 3) 応対は迅速かつ正確に 仕事の知識を豊富にもっていれば、相手の意図を早くつかみ正確な応対ができるはずです。 あいまいなことはよく確かめてからこたえること。

4) 約束は必ず守る その場限りで対応せず、頼まれたこと、後日返事することなどはメモをし、約束は必ず守ることが相手に信頼感を与えます。

5)コミュニケーションを節約しない 「いかがなさいましたか」、「お大事に」、「お待たせいたしました」、「申し訳ございません」など言葉と態度で積極的にこちらの方から声をかけましょう。

 

接遇の5段階

1 受け入れ

1) 相手を迎える姿勢をとる

2) 親しみやすい雰囲気をつくる。 不安や痛みをもって来られる患者様に、冷たい・いかめしい所という先入観を与えないように、何でも相談できる、くつろいだ雰囲気をつくる必要があります。 そのためには「いかがですか」、「どうなさいましたか」「おはようございます」と必ずこちらから声をかけることです。

2相手の確認

1) 相手の話をよく聞く 病院に来られるのは患者様ばかりではありません。どんな申し出や用件にも、まず誠実に対応すること。

 3判断

 1) 相手の目的を把握する (相手の表情や動作からも目的を正確につかむ)

 2) 自分の仕事か すぐ出来るか、または少し待ってもらうか。

3) 自分の仕事でない場合 誰に取り次げばよいか、担当者が不在の場合は相手の都合にあわせた対応をする。

4応答と送り出し

1) 応答は要点をつかんで順序よく簡潔に要領よく説明する。

 2) 誤解や偏見がある時は関係資料を示して説明したり、担当者に代わってもらうことも必要です。

 3) 話の打ち切りを適切に 相手が理解するまで十分説明することも大切ですが、正当な説明がすんだら、適切に切り上げることも仕事を進める上で大切です。

4) 最後の送り出しによって今までの応対が台無しになってしまうことがあります。 「おだいじに」、「お疲れ様でした」、「失礼いたします」など誠意ある言葉は良い締めくくりとなります。

5あとを確かめる

相手は満足して帰ったか、必ず反省し、もし満足したと思われなかったならそれをどうすればよかったかと反省材料とすることが大切です。

 

目標を持ち努力する生き方からゆとりや優しさが生まれます。

目標を持って努力しているというのは、5番目の欲求を持っている状態 だと思います。そのときはその下の欲求は気持ちの上で充分満たされて いるのです。自分が満たされているときは他人の欲求を満たしてあげよ ようという余裕がうまれます。だから、やさしくなるのです。 思いやり がでてくるのです。    

 目標がないとき、揺らいでいるとき。   

 逃避的反応 (何かにつけ逃げたいと思う。)    

 退行的反応 (能力が一時的に低下する。)    

 攻撃的反応 (何かにつけ、他人を攻撃したがる。)

 

 

言葉について 

患者様を物扱いする様な言い方をやめましょう。

 (例)車椅子にうつす。    3階に降ろす。    ストレッチャーにのっている患者様のことをここに置いておく。

外線時など、院内の職員のことを院外の人に言うときには尊敬語を使わない。

 誤った例   事務長さんは、4時頃戻るとおっしゃっておりました。   

        理事長は、ただいま外出されています。   

 好ましくない用語          好ましい用語

ちょっと待って下さい       しばらくお待ち下さい。

 そしたら              それでは

 こっち               こちら

 あっち               あちら

 そっち               そちら

 だしときます           お出ししておきます

  してもらえませんか      していただけますか

 できません           できかねます

 すみません           申し訳ありません

 わかりません          私ではわかりかねますので、しばらく お待ち下さい。

  ありません            ございません

その他、注意する点

 友達のように馴れ馴れしく話さない。

 耳の不自由な患者様にたいして怒鳴らない。

人生の大先輩であるお年寄りの患者様に対してあかちゃん言葉をつかはない。

電話について  

 部署と名前をハッキリゆっくり言う。  

 AM10;30頃までは「おはようございます。」を言う。  

 長い間、電話にでられなかった時は「お待たせいたしました。」をつける。   

 アメリカの言語学者アルバート・メーラビアンによると『人間が交わすメッセ ージの93%が非言語的なものである。』

人が交わすメッセージは

@ 言語                         7%

A 準言語(声の高低、声量、間、抑揚、等)   38%

B 顔の表情                      55%

慣用語

申し訳ございません。

お待たせいたしました。

かしこまりました。

しばらくお待ち下さいませ。

 (外線TELでよく使う)

 いつもお世話になっております。

 お願いいたします。 失礼いたします。

(クッション言葉)

失礼ですが 恐れ入りますが

おてすうですが

 申し訳ございませんが

 

接遇新人指導マニュアル

・挨拶は、明るくハキハキとしましょう。

 ・患者様をお呼びするときは、○○様。

 ・患者様の聞こえるところで無駄話をしない。

 ・電話では、部署と名前をハッキリと言いましょう。

 ・お待たせしたら、「お待たせいたしました。」と言いましょう。

・病室に入るときは、挨拶をしましょう。

・カルテや書類は、両手でお渡しましょう。

・服装・シューズは、常に清潔にしましょう。

・名札は、必ずつけましょう。

・長い髪は、束ねましょう。

・常に患者様の立場にたって心からの行いができるように努力しましょう。

 

放射線部門の接遇

・ 患者様の入室時には笑顔で挨拶をする。(苦しそうな患者様には笑顔は禁物 )

 ・ 混んでいたために待っていただいた患者様には「お待たせいたしました」と言う。

・ 検査前には検査の内容の説明をし、納得してもらい協力を求める。

 ・ 検査時、患者様に触る前には「失礼します」などひと声かける。

 ・足下の不安定な患者様には、しっかりと手を添える。

・不安を和らげるような言葉をかける。

・ 次の検査までに余裕があれば技師がドアをあけて退室し てもらう。

 ・ カルテやフィルムは両手で渡す。

 ・ 検査終了後は「お疲れさまでした」など、ねぎらいの言葉をかける。

 

X線検査の始まりから終わりまでの接遇Point

場面 言葉

注意

放射線科受付 こんにちは、前のイスにかけてお待ち下さい。  心から受け入れる気持ち
撮影室に入る 〜様、こんにちは、お待たせいたしました。今から、〜の撮影をさせていただきます。 不安を持って来院していることを考慮する。
撮影終了 お疲れさまでした。カルテと写真をお渡ししますので前のイスにかけてしばらくお待ち下さい。  心からねぎらいの言葉をかける。
  カルテと写真を渡す 〜様、お待たせいたしました。これを外来の受付におもちください。 カルテと写真はおじぎをしながら両手でお渡しする。

笑顔になれないとき ハーバード大学ウイリアムズ・ジェイムズ教授の説

 『動作は感情に従って起こるように見えるが、実際は、動作と感情 は並行するものなのである。動作のほうは意志によって直接に統制することができるが、感情はそうはできない。ところが、感情は、 動作を調整することによって、間接に調整することができる。 したがって、快活さを失った場合、それを取り戻す最善の方法は、 いかにも快活そうにふるまい、快活そうに話すことだ。』 上記の説を応用すると下図のこともいえると考えます。