ブルーブルーの矯正物語

 

      

☆2000年5月
インターネットで、矯正についてネット−サーフィンする。色々なホームページを見まくり、大人でも矯正が出来ることを知る。

表側・裏側と色々方法があることを知る。

裏側だと、発音が不明瞭になるらしいことをホームページの体験記から知る。

☆2000年6月
意を決して矯正歯科の門を叩く。そこは、表側専門である。

初診をしてもらい、ついでに、精密検査もやってもらう。

写真撮影・レントゲン・歯型を取る。

ついでに、虫歯がないか、歯が茶色く染まっている部分があるが、これは虫歯ではないのかと質問をする。

先生は虫歯はないという。

茶色く染まっている部分は、茶渋などの着色なので、矯正後、取りますからね……と言われる。

写真撮影は、顔の正面・横と、診療台に横になり、透明な口広げ器具?で唇をビロ〜ンと広げたまま、写真を撮る。

結果は1か月後だと言う。

☆2000年7月
 精密検査の結果が出る。歯型、顎・骸骨?のレントゲン写真、そしてトレーシングペーパーに書き写された私の顔(そこには数字が書かれている)を見て説明を受ける。 そして、どこかの子供の見事だとしか言いようの無いガタガタの歯並びの歯型を見せられる。悪いが、自分の歯型の方が、矯正後の歯型に思えて仕方がない。問題は、私の前歯1ミリ弱の隙間だ……。前歯に僅かな隙間がある他は、上下の歯はきれいに隙間なくぴっしりと並んでいる。最初に「あなたの場合、他の人より料金を安くしたいと思います」と言われる。

今の状態で、健康面では、歯の噛み合わせの面においては、何の問題もないと言われる。歯を横に一列に並べた長さに比べて、顎の大きさが数ミリ長いのだと言われる。

この数ミリ長い分が、隙間が出来てしまう原因なのらしい。

顎のサイズは変えることは出来ないので、歯全体を微妙な角度に調節して、内側に向ける方法を取るという治療方針を伺う。最悪の場合は、隙間部分を奥の方へ持っていくか、奥歯に隙間分の詰め物をすれば後戻りの可能性が少なくなると聞く。

だが、ここは、自分の歯で治したい。なるべくなら、自分の歯で治したいと主張する。

奥歯にゴムを入れてもらう。

2週間後の予約を取り、矯正歯科を後にする。

帰り道、歩きながら考える。

本当に、自分は矯正する気があるのかどうかを。

今のままで、歯の噛み合わせにおいては、何の問題も無い。たった1ミリ弱の隙間のために矯正するのは、馬鹿馬鹿しいことではないのかと……。

それに、わずかの隙間のために、1年間、セラミックだとは言え、ブラケットをつける勇気が自分にあるのかどうかを……。

☆2000年7月15日
奥歯に入れられたゴムは痛かった。

上下の歯が触れ合っただけで激痛が走る。食事が困った。歯が触れ合うだけで痛いのに、食べる気にはなれない。

仕方無しに、食事はスープで済ませる。会社へ持って行くお弁当も、冷麦・冷うどん・冷そば?という日替わりメニューで済ませる。

しかし、痛いのは、1週間ぐらいで終った。

ゴムは、なかなか取れる気配がない。

だが、グミキャンディーを食べているとき、奥歯から、何かが押し出される感覚がする。ゴムだ……。

手を口に入れ、引っ張って見る。青い小さな輪っかが出てくる。5ミリほどの輪だろうか……。

こんな小さなゴムでさえ、痛みを感じるとは、これからの矯正生活耐えられるのだろうか……。

歯科へ行く。

口に残ったゴム3箇所(一個は取れてしまったので)を取る。

そして、金属の金具を付けられる。

帰り道、デパートのトイレに直行し、さっそく手鏡で口の中を見る。頬に向けられて金具が飛び出している。

どうやら、ワイヤーを引っかけるための金具がついているらしい。

この金具、頬に向けられて奥歯に取り付けられているので、喋ったり、笑ったりするたび頬のやわらかな肉を傷つけ痛い。

2週間後、また歯科へいかなくてはならない。

だんだん不安になってきた。

歯の痛みには耐えられるが、職場での視線に耐えられるかどうかだ……。

喋るのが不自由だというけれど、裏側からにすればよかったのではないかと、今更ながらに後悔する。

今断ったら、キャンセル料はどのくらい取られるんだろうか……。10万?20万?まさか、矯正料全部よこせというわけでもあるまい。

キャンセル料払ってもいいから、裏側にしようか……と悩み始める。

しかし、裏側に変更しても、仕事の面では困る。

表側でやる!と決心して矯正歯科の門をくぐったはずなのに……!!

☆2000年7月30日
とうとうこの日が来てしまった。やめようかどうしようかと考えるうちに歯科に到着してしまった。

口を開け、15分もかからないうちに、上の歯にブラケットがつく。ブラケットのついた歯にワイヤーを順番に填めてゆく。

このときはじめて、うわっ!歯が締まるっと思った。

終りましたよ……と先生の声が上からする。そして鏡を渡され、自分の歯を見てみた。

はっきり言ってショックだった。今まで何もなかった真白な歯にセラミックブラケットがずらりと並んでいる。

口を閉じようとするが、違和感がありすぎてなかなか閉じれない。かなり動揺しながら、ふらふらと診療台を下り、会計をするために受付へ向かう。

4150円を受付で払った。お釣りを財布にしまいながら、「えっと。領収書は?」と聞く。

受付嬢は「あれ、お渡ししたはずですけれど……」と言いながら、ガサゴソと引き出しの中を探っている。

ふと、財布の中を覗くと、しっかりと領収書が入っていました。

「す、すみません。動揺していました」と言いながら、フラフラと出口へ向かう。

自分でも、動揺しているなあ……と思いながら、とにかく歩く。唇の裏がゴツゴツして、口が閉じれん……と思うが、まさか口をぽかんと開けたまま歩くわけにもいかない。とにかくどこかへ座って気をしずめようと思い、近くにある喫茶店へ入る。店員が注文を聞きにきた。うまく口を動かせるだろうかと思いながら、とりあえず紅茶を頼んだ。店員は、私の歯には気づいた様子はまるでない。セラミックブラケットだから気がつかないのだろうか。

「朝のモーニングでパンがサービスでつきますけれどいかがですか?」と聞かれるが、こんな歯じゃ食べれない。「いいです……。けっこうです」と答える私。いつもなら、ガツガツと食べるところなのになあ……。

☆2000年8月26日
なんだかんだと言いながら、1月経つ。上の歯のワイヤーを太いものに変え、矯正歯科滞在時間、わずか十五分で終ってしまう。歯も特別変化したところはない。下の歯にはまだつけないんですかと聞いたところ、上の歯のねじれが取れてからと言われる。ねじれ?どこがねじれているんだろうか。まっすぐに綺麗にならんでいるとしか思えないんですけれど……。怪訝そうな顔を思いきりしていたのか、先生が口を開く。「だいじょうぶですよ。ねじれているっていっても、そんなに心配することではないですから……」と言われる。専門医から見れば、微妙な歯の角度が大事なのかなあ……と心の中で悶々と思いながらも、矯正歯科医を後にする。
☆2000年9月16日
下の歯の奥歯にとうとうゴムが入れられることになった。上の歯に比べると全然痛くはない。時間が経つと痛くなるのかなあ……とも思ったのだが、夜になっても痛みはない。なんだ。楽勝だ……と思ったら、痛みは翌朝からやってきた。朝ご飯が食べられない。昼は、なるべくやわらかいものをと思い、ヨーグルト蒸しパンをコンビニで購入する。
☆2000年9月24日
とうとう下の歯も装着なのかしら……とドキドキしながら行ったが下の歯の奥歯に金属バンドを装着するだけで終る。下の歯の装着まで先は長いなあ……
☆2000年10月21日
とうとう下の歯にブラケットが並んだ。だが、はじめて上の歯についたときのショックと驚きはまるでない。鏡を手渡されたが、上の歯のセラミックの並んだ歯にもう十分慣れてきているので特別の感動はない。まあ、こんなもんかなあ……。
↓下は3ヶ月経過後の写真です。まだ歯の角度を真っ直ぐに揃えている段階だそうです。

これから、歯の角度を全体に内側に向けてゆくそうですが……。

左側 右側
3ヶ月装着して、まだ歯の角度を真っ直ぐにしている段階です。歯の角度が全部まっすぐになってから、

はじめて本格的に隙間を閉じてゆくそうです。

左側の上、第2臼歯から第4臼歯にかけて、上の歯と下の歯との噛み合わせを注意してみてください。

噛み合わせ部分に隙間があるのが解りますか?

3ヶ月前までは、ここの噛み合わせは、ピッタリと噛みあっていました。

自分では、矯正前と3ヶ月たった今では、見た目ぜんぜん変わらないなあと思っていたのですが、

スピードは遅いながらもちゃんと動いているんだなあ……と実感しました。

矯正中は、噛み合せが一時的に狂います。

歯の角度を変えるだけでも、こんなに噛み合せが狂うものなんだなあと思いました。

なんか、最近、蕎麦が食べにくいなあと思っていたら、上と下の歯の噛み合せ部分に隙間が開いて

きたからなのね……。

持ち歩いている歯ブラシセットです

写真が見にくいかもしれませんが、

いつも歯ブラシは4本持ち歩いて

います。

矯正中困ることは、ズバリ食べる事!!

会社で、おやつを勧められたときはなるべく

断るようにしている。

中には強引にすすめてくる人がいるので困ることがある。

あと、人前で何かを食べなければいけない時。

とにかく、歯に色々つく。

ブラケットとワイヤーの間に、物凄く食べ物が挟まる。

そんな状態で、会話をしなければならないときが一番困る。

食後は、即座に席を立ち、歯ブラシセットを持ち、

洗面所に直行します。

 

☆2000年11月11日
調整日である。なんと、上の歯の右奥のブラケットが外れていたらしい。私は、毎日、毎日、鏡を見ながら念入りに歯磨きをしているにもかかわらずまったく気がついていなかった。思い当たるフシは色々とある。家で内緒で食べちゃいけないと言われているおせんべいなどの固いものを、手で小さく割って、食べていた。スナック菓子とかも、ポリポリと食べていたしな……。

「ブラケットつけなおしますからね……」と、ガリガリ、ゴリゴリと、口の中で色々な音がする。私は、診療台の上にいるとき、目を閉じているので、解らないが、想像すると、ブラケットをゴリゴリと外し、ガリガリとブラケットをつけていた接着剤を取っているようだ。外れたブラケットを接着剤で歯につけ、そしてライトを当てて固定する。

上下のワイヤーをさらに太いものに取り変えられる。

先生に「あと何ヶ月で終りますか?」と聞いてみる。「まだ始めたばかりじゃないですか。1年から1年半ですよ」はっはっは……と一笑される。「1年から一年半っていうのは、通い始めてからじゃなくて、やっぱりワイヤーがついてからですよね」と当たり前のことだが、言ってみる。これもまた、当たり前だとばかりに一笑される。「あなたの場合、もともと歯並びいいですから、随分と早い方ですよ。ふつうなら、二年から、4年はかかるところです。まだ、歯の向きがあちこち向いているので、真っ直ぐになってから、隙間を閉じていきますからね」と言われる。そんなに歯の向きがあちこちと向いているんだろうか。やっぱり専門医から見るとそういうもんなのなのだろうか。でも、できることなら、なるべく早く動かしてブラケット外して欲しいのになあ……。

装置が装着してから3ヶ月半が経った。(運よく?)矯正期間が1年だとして、残り8ヶ月半ということだろうか。今の私には、途方もなく先のことに思える。

ウォータピックのことを先生に質問する。ウォーターピックというのは、水の力で歯の汚れを綺麗にする機械のことだ。

東急ハンズに売っているらしい。でも、基本は、歯磨きですからねと念を押される。ウォーターピックでは歯についた歯垢は取れないので、必ず、ブラシを歯に当てて磨いて下さいと言われる。デンタルフロスが使いにくいんですけれど、と言うと、試供品の矯正用フロスというのを貰った。このフロスの先には、ワイヤーの間に通すための針先がついていて、これで、ワイヤーの中を通しながら、歯と歯の間にフロスを通して使うらしい。輸入物だ。

ふとチラシに書いてある値段を見て、ウッと思った。たかがデンタルフロスである。2種類あってホルダータイプのものは、12000円。フロスタイプのものは、2500円である。普通のフロスならば、250円から400円ぐらいで買えるものだ。普通のフロスを使おう……と思った。

その代り歯間ブラシを買った。これは超極細タイプのものである。ふつうの薬局に売っているものは、太すぎる。かなり歯の隙間が開いていないと、ブラシが入っていかない。

「あれは、歯肉炎で、歯グキが下がった人でないと無理でしょう」と先生が言う。

じゃあ、一般の薬局で売っているのは、歯肉炎の人専用ということになるのか……。手遅れになってからのグッズを一般の薬局で売ってもなあ……。一般の薬局でも、超極細の歯間ブラシを売って欲しいなあ……と思った。

今回は、歯磨きをやってもらったので、ブラケットの回りの歯が白くて美しい。でも、1ヶ月の間にブラケットの回りに透明なゴムがついているので、また茶渋なんかで汚れてしまうことだろう。

昼食後、この白さを保とうと、念入りに歯を磨く。

ちなみに、私のブラケットの回りについているゴムは「スモーク」というものです。

これは、透き通った透明なゴムと違い、曇り硝子のような半透明なゴムなので、お茶なんかの色がつきにくいものらしいです。

☆2000年12月9日
調整日。ブラケットがついてから、4ヶ月半が経つ。

今日もいつものように、診療台の上で大口を開け、目をつぶる。

私が通っている矯正歯科は、院長一人でやっている。

「何か、かわったことありましたか」と聞かれるが、「別にありません」と答える。

パチン、パチンと音が聞こえる。

ブラケットの周りについたゴムを取り外し、ワイヤーが取りかえられる。

フッと首を伸ばし、先生の手元の台を見ると、ブラケットの周りについていたゴムがティッシュの上に置いてある。やはり、見事に茶色に染まっていた。1ヶ月分の茶渋、食べ物の着色って、ことかしら……。

念入りに歯を磨いていたつもりだが、汚れたゴムを1ヶ月間も自分の歯につけていたのかとちょっと興ざめする。

院長が、太そうなワイヤーを手に持ち、ペンチで、カーブをつけている。

「さらに太いワイヤーになりますからね」とにこやかに言う院長。

一体、ワイヤーの太さは何段階あるのだろうと思い、院長に聞く。

「このワイヤーが一番太いですよ。断面が四角くなっているんです」と、ワイヤーの先を見せてくれる。

なるほど、断面が、四角いワイヤーだ。

「四角いワイヤーだなんて、矯正でしか使わないでしょうねえ……。ブラケットの溝が四角いから、この溝にピッタリと合うように四角いワイヤーを使っているんです。ワイヤーとブラケットの隙間がピタリとおさまっているから、3D的に歯を調整することができるんですよ」と説明を受ける。

「丸いワイヤーは、ブラケットの溝との間に遊びがあるから、矯正が進むにつれ、四角いワイヤーでブラケットとの隙間がないようにしなくてはいけないのです……」

丸いワイヤーを使って矯正する○○法……というのもありますが、今はどの矯正歯科も四角いワイヤーを使っていますねえ……とその後、なにやら専門的なことを言っていたが、私の頭では理解できず、言葉が右から左へ素通りしてしまった……。

四角いワイヤーが歯につけられ、う〜締まると思ったが、ま、これもいつも通り慣れるだろうと甘く思っていたのだが、そう甘くはなかった。

今までにない以上の最強の締まりを感じるのだ……。

特に奥歯の金具部分が痛い……。

一日たった夕食後、鏡を見ながら歯を磨いていると、フッと気がつくと、右下奥の歯に、金具部分と金具の前にある歯にかけて、透明なゴムが掛けられているのを発見した。

道理で圧力がかかるような痛みがあるわけだ。

注意深く、他の部分はどうなっているのかと思い見て見ると、透明なゴムがかけられているのは、右下奥のみで、他の歯にはかけられていない。

右下奥だけ、圧力をかけなければいけない何かがあるのだろうか? まあ、とにかく、先生を信じるしかない。

五日後、左上奥歯が、妙に痛む。四角いワイヤーのせいなのか、金具のせいなのかと、思いながらも、指で触ってみる。なんと、左上奥には、親知らずがちょっとだけ顔を出していた。親知らずがちょっとだけ伸びてきたらしい。

この痛みは、親知らずのせいなのか、ワイヤーを取替えたせいなのか、金具のせいなのかは解らないが、とりあえずは虫歯はないみたいなので、来年の調整日まで我慢をしよう。

☆2001年1月6日
2001年最初の調整日である。特に劇的変化はない。

先月、上の歯だけ、四角いワイヤーに変えて歯が最強に締まると言っていたが、二週間も経つと別になんにも感じなくなってしまった。

まだ歯の角度を真っ直ぐにする段階で、歯を動かすのは先になるそうだ。

来月あたりから、歯の角度をまっすぐにしながら、ようやく隙間を閉じてゆくそうだ。

ワイヤーを取り替え、ブラケット一つ一つにゴムを取替えてゆく。

こんな小さなブラケットにどうやって、ゴムをつけてゆくんですか?と質問すると、「見たいですか?」と聞かれ、大きく頷く私。手鏡を渡され、実際に自分の目でゴムをつけてゆくのを見た。

ゴムは直径3ミリぐらいの小さなわっかだ。小さなペンチの先にゴムを引っ掛け、ブラケットにサッとかける。僅か1、2秒の早さで次々とかけてゆく。熟練した職人芸だ……と一人、心の中で感心する。

今月は、別に歯がしまるとかそういう感覚はまるでない。

☆2001年2月3日
矯正を始めて、早、半年だ。

ようやく、歯を本格的に動かすことになった。ここまでくるのに、本当に長かったよ。上下のワイヤーを外す。上の歯は四角いワイヤー。下の歯には一段階太いワイヤーにかえる。

ワイヤーを変えながら、先生が、唇の端、切れていますね。痛くないですか?と聞かれる。

口を開いたままなので、私はふがふが……と返事をする。

ココナッツバターを塗っておきますね。と甘い香りのする何かを唇の端に塗られる。

前回まで、ブラケットの一つ、一つに0リングと呼ばれるゴムをつけられていたのだが、今回から、鎖状になったゴムがブラケットにつけられた。

先月の調整日では、何も感じなかったのだが、今回、ゴムの種類が変わったためか、滅茶苦茶、歯が締まる。

ものを食べるとき、噛むたびに痛みが生じる。

でも、ようやく隙間を閉じるために、歯を動かすことになったので、嬉しい。早くブラケット生活が終了するといいなあ……。

生歯の頃が、懐かしい。

☆2001年3月3日
調整日だ。

私が通う矯正歯科は、いつもロマンスグレーの院長一人と、助手の女性が一人いるだけの小さな歯科だ。

パワーチェーンを外し、上下のワイヤーを外し、新しいものと交換する。

ワイヤーを外しながら、「今回は、レントゲン写真を撮りますね」と院長。

ワイヤーが外れた途端、バネが外れたような衝撃が走る。

不思議な違和感だ……。はじめて装置が口の中に入ったときは、すごい違和感があったのだが、半年たった今では、常にワイヤーが張られた状態が、もう当たり前の感覚になっているのだなと、ふと実感。

「先生、歯なにか、変わっていますか? 毎日、鏡を見ているんですけれど、あんまり変わったような気がしないんですけれど」と聞いて見る。

「あなたの場合、そんなに歯を動かすわけではないから、見た目は、私が見ても解らないですよ。最初の頃の写真と、歯型とを比べて、ようやく歯の違いが解るんですから」と言われる。

「一番やっかいなの(やりにくいの)が、隙間のある歯並びの人なんですよ。八重歯とか、歯が込み合っている人だと、歯を抜けばいいんですけれど、隙間がある人の場合、歯を足してやるわけにもいかないですからねえ……」

新しいパワーチェーンが取り付けられる。

「パワーチェーンつけると、どう動くんですか?」と私。

「パワーチェーンをつけると、全体に縮まろうとする力が働くから、これで、歯の隙間を閉じていくんですよ。歯全体が内側に入っていきます」

ついでに、治療後の保定のことも聞く。

最初の診断の段階で、私は、もし後戻りの可能性があるのならば、矯正後、綺麗な歯並びを保つために、歯の裏側に針金をはりつけておくか、奥歯の方に歯の隙間を1ミリ分つくるか、奥歯に隙間1ミリ分の板のようなものを張りつけるかもしれないと言われていたからだ。

「私の場合、後戻りする可能性があるんですよね。その場合、歯の裏側に針金を張るのと、歯に隙間分の厚みを張りつけておくのとでは、どちらが、歯にとっていいんですか? 虫歯になったり、歯肉炎になったりする可能性が高いのはどちらですか」

「歯の裏側にワイヤーを張るといっても、1番から4番の歯左右にかけて細いワイヤーを張るだけですので、歯磨きがしにくくなることはありません。歯に板を張ると言っても、あなたの場合、虫歯のない健康な歯なので、歯を削ったりするわけでもないので、大丈夫です。虫歯は、それだけケアしていれば、あなたの場合大丈夫でしょう」と言われる。

「今から、写真撮りますからね」と、歯の写真を撮る。正面と左右だ。

写真を撮り終わると、今度はレントゲン室に入り、パノラマ写真を撮る。

顎をのせる台があり、薄い板を上下の歯で噛み、目の前の機械が、右から左へ動く。

数秒で写真撮影は終わり、受付で、歯ブラシを2本貰い、帰った。

帰りながら、色々と考えてみた。

矯正前の歯並びでも比較的よかった。が、やはり、歯の前の方に隙間があるのはみっともない。

それで、矯正しようと思ったのだが、それは本当に必要なことだったのだろうか。

私は、歯にお金をかけすぎだろうか……と思った。

☆2001年4月7日
上下のパワーチェーンを交換する。5分もかからず、本日は終了。
☆2001年5月12日

ゴムかけが始まった。上の4番と下の金具部分に直径7ミリの小さなゴムをかける。

不思議な違和感があったのだが、すぐに慣れてしまった。

☆2001年6月9日

今日は、いつになく、慎重に歯を観察される。

いよいよ最終段階に入ったような感じだ。奥歯から、順番に歯の噛み合せをみてゆく。自分でも毎日みているのだが、歯を動かしたせいで、歯の噛み合せが、特に前歯のあたりが浅い。

今日から、ゴムかけの位置を変えることになる。上は、2番、下は2番である。

手鏡を渡され「こうやってゴムをかけてくださいね」といわれるが、鏡を見た途端大ショック。

こんなのつけて会社にいかないといけないのか……と思ってしまう。

うどんか、そうめんを垂らしたような感じである。

コミカルといえばコミカルなのだが、ドラキュラの牙のようにも思えるし、間抜けな人のようにも思える。

家に帰ったら、母親に鬼婆のようだと言われる……。がーん……。

☆2001年10月27日
9月に取れる予定だったのだが、矯正期間が伸びてしまった。

「どこか、気になるところがありますか」と聞かれたので、下の右側の歯が若干、中心より左に倒れていることが気になると、私は答えた。矯正前の歯並びがよかった分、ここは私としては妥協できない。

レントゲン写真を見せられ、歯の根元の角度から見ると、真っ直ぐで問題はないが、気になるなら、少しだけ角度を変えることも出来ると言われた。

ほんの0コンマのことだけれども、やはり、ここで一生の歯並びが決まると思うと、矯正期間が伸びることになるけれども、妥協は出来ない。

角度を直すと、どれくらいで取れる予定ですかと聞くと、来年の1月だといわれる。

気持ちとしては、早く取って欲しいが、のちのちのことを考えれば、ほんの数ヶ月の我慢だ……。

それに、矯正前の歯並びが良かった分、矯正にかかったお金のことを考えれば、妥協が出来ないというのが、本心かもしれない。

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