孔子一行黄砂払いて門に入る   春耕や去年の足跡消しながら   春の風邪頭の中に子音鳴   兼平の鎧に迷ふ春の風   西行は花屑払い庵に入る   迷彩の葉をカタクリは身にまとい   春耕や骨コキコキと荒起し   時の日やスクリーンセバー起動する  国比呂
 


紫陽花や緑重たき中に咲き   利休忌や蹲踞に来た気配あり   緑亀そろりと仰ぐ梅雨半ば   新芽抱く雫に指のそっと触れ   雨三日紫陽花色を深くせり    万緑に細き道あり谷の駅 国比呂
                                



知らぬ間にゲートル巻いた蟻の列    蟻の列踏みつぶす夢神の如    赤城山競う高さに揚雲雀    電線のスズメ見下す麦の秋    撫で肩の石仏染めて緑雨  国比呂
                         


浅間焼け二百二十日の信濃入る    蓑虫の顔を出してる秋日和   犬の耳静かに動く秋日和   靴下の穴から生気抜けて秋   念力の雲突き抜けて菊花賞  国比呂
                              


産土の神と引き合う大根引   電飾の聖樹別れし根を思う   根を伐りし聖樹に飾る軽き雪   闇の部屋我と梟第九聞く    雪降りて目で古里を思う妻   分別は可燃ごみなり古暦    背を分けて風花触れる里の道   何時もとて赤城降しや玉子酒    我の上とにかく冬は過ぎるかな  国比呂