流転蓮華・前編

  ―――私こんど生まれ変わるときは今よりももっと幸せになるんだ。

  ―――おまえ、今幸せじゃないのか。

  ―――ううん、でもみんな私のことかわいそうなみなしごっていうよ。だからこんど生まれ変わる…

  ―――馬鹿!。死んだって幸せになれるものか。これから生きているうちに幸せになればいいじゃないか。死ぬのは寿命がきたときでいい。

  ―――そうなの? かわいそうなみなしごでも幸せになれるの? これから生きているうちに?

  ―――そうさ。やろうと思えばな。やろうと努力すれば何でもできる。だからおまえみたいな小さい子が死んだ後のことなんか考えるな。それにおれだって本当の親はいないんだぞ。お前だけが可哀相なわけじゃないんだ。

  ―――うん、分かった。もう考えない。ありがとう、優しいのね、おにいちゃん。


「はあぁぁ」
 何なんだ、いったい。今朝からお父様はため息ばっかりついて。うぅん、正確には夕べ宴から帰ってきてからだ。
「はあああぁぁ」
「お父様っ、ため息ばっかりついて、何がどうしたんですかっ。気になるじゃありませんか。」
「ああ、貂蝉か。いや、なんでもない」
と、お父様はあっちへいってしまった。もう、ああ貂蝉か、じゃないわよ、ひとの気も知らないで。
「はあああああぁぁぁぁぁ」
「おとーさまぁっ。どうしたんですかっ」

 本当にどうしちゃったんだろう。夕べの宴で何かあったのな。夕べは確か、朝廷の董卓の宴だって言ってたようだけど…。董卓といえばいま朝廷を牛耳ってる評判の悪い奴。お父様の調子が悪いのはそれと関係あるんじゃない?

「お父様、夕べ何かあったのですか。董太師のことですか。あのひと、やりたいほうだい好き勝手な事やっているっていうし…。その事ですか」
と、わが義父、王允は前より悲痛な面持ちでため息を着いた。
「そうだ。董卓の横暴ぶりは目に余る。でもそばについてる呂布が怖くてだれも手出しができんのじゃ。夕べだって董卓め… おお、女のおまえには関係ないことだ。部屋へ戻って踊りの練習でもしていなさい」

 しかたがないので私、おとなしく部屋へ戻った。董卓と呂布。この二人のせいで長安の人はみんな泣いている。でも私たちは黙っているほかないんだ。でないとこっちの身が危ないから。そういう奴等なの、彼等は。どうにかする方法ないのかな。

 とくに呂布のほうは名馬、赤兎馬につられて養父である丁原を殺したってウワサ。馬のために養父まで殺したってそれはそれは評判が悪い。もしかして、また養父の董卓を殺しちゃったりして。今度は女関係のもつれかなんかで。ん、そうだ、それだ。お父様に言ってみよう。


 客間は綺麗に飾られている。料理もおいしそうにできている。そして私は、ちょっと緊張ぎみってとこ。
 あれから数日後の今日、私がお父様に提案した案が実行される。そう、早い話、私が色気でもって董卓と呂布を仲たがいさせてしまえというわけ。人様のお役に立てるなら私、貂蝉は一肌脱ぎますって、なんだか言葉どうりの計画。


 もうすぐ呂布がこの屋敷にやってくる。お父様が彼にたくさん袖の下送って、そのお礼にくる。
 外が騒がしくなった。来たみたい。私は客間へ向かった。

「これはこれはよくいらっしゃいました。まあどうぞ、お楽しみください」
「いや、私はただの一武将。そんなにしていただかなくても」
「なにをおっしゃいます。貴方様の武勇はよく聞いております。そんな方のおもてなしをするのが私の精一杯の忠誠心。まあどうぞ一杯」
 ……。お父様もずいぶん役者ね。あんな嘘がぺらぺら出てくるなんて。でも呂布ってどんな人だろう。私はそうっとついたての影から覗いて見た。

 あそこの錦の戦袍の人か。……うーむ、ずいぶん背の高い人。肩幅がすごくあって、鎧で良く分かんないけどきっと胸板厚いんだろうな。変わっているのはね、なんか髪が茶色なの。しかもバサバサーっとした長い髪を首の後ろで三つに束ねているだけ。あんな頭はじめて見た。顔も何か私たちとは違う感じがする。鼻筋が通っていて目尻もすーっと……そう、涼しげな目もとってヤツ? そのうえあの変な髪が異常に似合っているの。うん、はっきりいってかっこいい。美丈夫って彼のためにこそある言葉だわ。それに何だろう、あの人ってどっかで………はっ、なに考えているんだ私ったら。呂布ってひとは董卓と組んでいる悪い奴なんだ。

 と、がたっ。
「おや貂蝉か。ちょうどいい、呂布将軍に挨拶なさい。将軍、これは私の養女、貂蝉です」
 えーん、ついたてにガタッて足をぶつけて痛いよう。

 でもそんな表情を見せないで。にこっ。微笑む。ほうら、彼は呆然と私を見つめている。
うふっ、この微笑みであなたの視線は私にく・ぎ・づ・け♪ 

…………なーんてばかなこと考えていたらさっきぶつけた足がもつれて、わあっ、倒れるっ。

「大丈夫ですか、お嬢さん。ほう、なるほどきれいな娘さんですな、王允殿」
 何と私、呂布将軍にかかえられてた。あのまま倒れてたら私、彼の料理の上だった。はは、大どじ。
「え、あ、すみません」
 思わず私、真っ赤になる。うー、いつもはあんなドジしないのにぃ。
 彼も赤くなって、私を立たせてくれた。
「これ貂蝉。呂将軍に踊りを見せて差し上げなさい。」
 お父様の言葉で音楽がながれ始める。
 私はそれに合わせて踊った。さっき失敗した分、きれいにおどらなくちゃ。

 踊りのあと、私は呂布将軍のお酌をしてあげた。彼は私のほうをずっと見てる。料理もあまり手を付けてない。これは脈有りってとこかしら。
「将軍は貂蝉が気にいったようですな。でしたら嫁にもらってやってくださいますか」
「お、王允殿、本当か。この私のために、大事なお嬢さんを…」
「もちろんですとも。将軍のような方に貰っていただけるなら私もこの子も大喜びです。よいな、貂蝉」
 私はさも恥ずかしそうに頬を桃色に染めてうつむいた。
「それでは吉日を選んで屋敷に送り届けましょう」
 よし、これで計画の一つ目は成功ね。貂蝉ちゃん偉い。貂蝉ちゃんの名演技の成せる技(つまづいたことは置いといてね) えっへん。

 計画その二。今度は董卓に同じ事を仕掛ける。お父様は彼を宴に招待した。
 でも、でも、でも! 董卓ってものすごく太ってて悪人面。あうー、嫌だ、あんな奴の囲い者になるの。だけどそんなことは言っていられない。結局計画どうり、宴の後私は董卓の屋敷に連れられていった。
 私が連れられた部屋は、ほとんど当然、彼の寝室っ。
「おお、貂蝉。可愛がってやるぞ」
 ぞぞぞっ、鳥肌たちそう。私は寝台の上に横にされた。隣に董卓の気配。
 私は観念して目をつぶった。我慢しよう、これも国を救うため………

 翌朝かなり遅く、やっと董卓は床を離れた。もう、あんな奴に私の……。まあ、もともと私は処女じゃなかったけどさ。それがせめてもの救い、かな? 私は王允様の養女とはいうものの、歌姫として育てられた。歌姫…客に踊りを見せ、歌を歌う。そして求められれば客に抱かれる。私は拾われっ子だもの、その位はしかたがないし、文句も言っていられない。

 私が与えれた部屋で身繕いしていると、鏡の端に人影が映った。
「貂蝉、なぜおまえがここに…………あっ、ゆうべ養父上は王允殿の屋敷に……」
 呂布将軍だった。ど、どうしようって、その方がいいのか。ばれるのが計画より早いけど。
 なにを考えているのかな。怒っているようだし、悲しんでもいるよう。彼の目は私の真意を探るようだった。私はとまどった。こんな表情されるとは思わなかったぞ。困った。
 私は目に涙を溜め、無理に操を奪われた悲しみの表情で彼の目を見つめ返した。(しっかし私も良くそんな表情できるね。もう一種の才能だわ)
「貂蝉、誰かいるのか。」
 わあっ、董卓だ、大変だ。と、呂布将軍はさっきまでの表情をどっかにやって、(これも結構凄い) 無感情に、
「呂布です。養父様のお目覚めが遅いので病気ではないかと心配になり参りました。仕事が多く大変です。できれば早く来てくださいますよう」
 簡潔に用件だけ言う。 そのまま彼は踵を返し私のほうなどちらりとも見ず帰っていった。

 ずきっ。急に胸が縮むように痛くなった。どうしたんだろう? 呂布将軍の後ろ姿が目に焼き付いている。

 それからは毎晩董卓の相手をさせられた。もう、あんなやつ嫌。だけどそんなこと言っていられないんだよね。聞くところによると、呂布将軍は最近病気だとかいって、あまり出仕してないみたい。うん、上出来上出来。二人が仲たがいするのは目に見えている。だけど最近、この前の呂布将軍の目、あの悲しみのこもった目を思い出すとどうもやりきれないんだよね。その度にまた胸がずきってなるの。彼にあんな表情をさせたくない。これってもしかして私、彼に……ううん、そんなことない。これは国家を揺るがす大事業なんだから。中途半端な気持ちでやってはいけない。

 ある時、董卓が病気になった。ちょっと信じられないよ、病気のほうから逃げ出しそうな人なのに。まあとにかく看病しなくちゃ。いやだけど。
 董卓が仕事を休んで二日後、呂布将軍がお見舞いに来た。私はちょうどほかの侍女と交替して董卓の側にいた。将軍は董卓に社交辞令のお見舞いの言葉をかけただけ。うん、二人の仲は悪くなってる。もう一息。私はまた訴えるような目をして彼を見た。もういや、こんな生活。私はあなたの妻になりたいのよ。そう言葉なしで語りかける。それに答える将軍の目にあるのは憐れみ、怒り、そして愛しさ。
「……貂蝉」
 彼はこっちに来ようとした。しかし、剣の柄が寝台にぶつかり、大きな音をたててしまった。董卓は少し体を起こし、呂布将軍が私のほうに来るのを見た。
 おおっ、どうなる、喧嘩か、三角関係。
「呂布! わしの女に手を出そうとするのは何事だ。立ち去れ」
「私は別に!……………分かりました。」
 なーんだ、たったそれだけか。将軍は大股で向こうへ行ってしまった。でも、もう決定的。かなり険悪な雰囲気。やったね。
「董太師、どうなさったのですか。今呂布殿が凄い剣幕で出ていったようですが」
 入ってきたのは董卓の参謀、李儒。何かやなやつで私、この人のこと好きになれない。

「いやなに、呂布がわしの女に手を出そうとしたから強く言っただけのことだ」
「そうでございますか。……太師、ならばいっそのことその女(ここでちらっと私の方を見た。思わずそっぽを向く私) を呂布殿に娶わせたらどうですか。ここで呂布殿との仲が険悪になっても得策ではありませんし彼に恩も売れます」
「そうだな、確かにそちの言うことももっともだ。貂蝉は確かに惜しいがあまりそんなことも言っていられないだろう。……よいか、貂蝉」

え、何、私を呂布将軍のお嫁さんにしてくれるの? わーい、やった!!
ではなくて、ヤバイよそれは。仲が悪くなって欲しいからこうやって我慢してこの肉だるまの側にいるのに〜〜。

だから私は目に涙を浮かべて
「そんな、董卓様は私にお飽きになってしまったのですか。それならばいっそのこと死んでしまったほうがましです」
 うーん、この台詞だけじゃ信憑性うすいな。あ、剣がある。えい、喉元に突き付けちゃえ。
「何をする貂蝉っ。分かった、もうおまえをどこかにやるなんて言わないからな。ずっとわしのものだ」
「本当ですか。貂蝉、嬉しい」
 董卓にすがりつく。顔を彼の胸にうずめて(かなり気持ち悪いが)心の中で舌を出す。だれが死ぬもんですか。幸せになるまで死ねないもん。そう教えてくれた人がいるから。閻魔大王に舌を抜かれるかもしれないな、私。
「しかし董太師…」
「うるさい。もう決めたのだ。呂布に貂蝉はやらん。あいつには金銀財宝でもやれば良い。分かったか」
 董卓はこう李儒に怒鳴ると、私を寝台の上に抱き上げた。うげっ。あーあ、病気はどうしたんだ、この単細胞脂肪だるま男。


 董卓の病気が直った。また、前と同じような毎日が続いた。だけど昼間董卓は宮殿に行って留守なのでのんびりできる。
「貂蝉、どこにいる。貂蝉」
 ある日の昼間、私をよぶ声がするので外へ出てみると植木の影に呂布将軍が立っていた。
「呂布将軍。なぜここへ?」
「おまえに会いたくてきた。今日なら董卓の帰りも遅い。ただおまえに会いたかった」
「こんなところでは人目につきます。どうぞこちらへ」
 私は辺りを見渡し、彼を鳳儀亭という蓮池のある庭園に連れてきた。蓮の花は今が盛り。

「呂布様、会いたかった」
 なぜだろう、こういう台詞は呂布将軍のときのほうが言いやすい。演技ではなく言える。
「貂蝉。おまえのことを一日も忘れたことはない。俺の側にずっといてほしいんだ」
 私はきつく抱きしめられた。少し頭がぼうっとなる。このまま時間が止まってしまえば良いのに。はう、いけない、演技しなくちゃ。

「呂布様。私はもう元の貂蝉ではありません。董卓の慰み物です。こんな卑しい私のことなどお忘れになってください」「おまえは俺のことが嫌いなのか。」
「そうではございません。恋い慕う貴方様とは一緒になれず、あの者の慰み物になっているのはもう嫌なのです。かと言ってもうこの汚れた体では貴方のもとへは行けません。………生まれ変わってあなたと幸せに暮らせる日を待っております。来世でお会いしましょう。愛しい呂布様」
 私は池に飛び込もうとした。実はこの池、あまり深くないんだよね。

 でも本当に私が自殺するとおもった彼は、私の腕を掴んで止めた。
「待て貂蝉っ。死んだって幸せになるものか。これから生きて俺の下で幸せになればいい。死ぬのは寿命がきたときで十分だ」
「えっ、今なんて…」
 動きが止まった。今の台詞、どこかで……。


 何年前のことだろう。まだ小さかった私は本当の親の顔を知らなかったために毎日苛められてた。養父・王允の客で来る人達は私のことをかわいそうなみなしごと呼んだ。
  ―――私こんど生まれ変わるときは今よりももっと幸せになるの。
 いつしかそれが私の口癖になった。

 ある年のちょうど今頃、蓮の花が美しく咲いている池の前で。

  ―――死んだって幸せにはなれない。これから生きているうちに幸せになれ―

 そう教えてくれた人がいた。そのときから私はこの現世を幸せに暮らすよう努力し始めたんだ。まだ若い、これから兵隊として出かけようとしていた人。
そして私の……初恋の人。名前は確か

「奉先様?」
「えっ、なんでいきなり字で……?」
「あなたですね。昔、私に生まれ変わるのを待つのではなくて今を生きろと教えてくださったのは。あれは呂布様だったのですね」
 馬鹿みたいね、私。やっと分かった。この人のこと考える度に胸が痛くなった訳。いや、そうじゃない。気付いてたけど必死に否定しようとしてたんだ。今なら素直に肯定できる。私、この人が好き。どうしようもなく。今まで押さえ込んでいた分その気持ちがあふれてくる。

 彼は少し怪訝な顔をした。昔を思い出そうとしてるみたい。蓮の花びらが池に落ち、その波紋が消える頃、彼はようやく口を開いた。
「もしかして、おまえはあの時の蓮池の小蝉ちゃんなのか」

 ああ、やっぱりそうだ。そしてあの時のことを覚えていてくれた。私の昔の呼び名も。道理で初めてあったとき懐かしかったはず。そうか、奉先って字だったのか。てっきり、奉が姓で、先が名だと思っていた。

「そうか、おまえはあのときの子か。それならなおのこと、おまえを幸せにしてやらなくてはな。そう俺が約束したものな、あの時」
「私、生きます。生きてあなたと暮らせる日を待ちます。ですからいつかきっと私を迎えにきてくださいね。私をあの獣の手から救ってください」
 もう、これは私の本心。絶対、彼と幸せになりたい。
「分かった、貂蝉。待っててくれ。いつかきっと、きっと迎えに行く」

 私の背にまわされた腕が暖かい。彼の鼓動が戦袍を通して私の頬に直接感じられる。彼はちょっと腕の力をゆるめた。私のおとがいに手をかけ上を向かせる。彼の瞳に映る私。彼の顔が近付いてきて、私は目を閉じた。ああ、このまま時が止まってしまえば良いのに………


 その日の夜、董卓は家来から私と呂布様が一緒にいたことを知り、激しく怒った。私は、
「呂布将軍が私を刀で脅し、手込めにしようとしたので池に飛び込み死のうとしました。ところがそれでも諦めなかったので、逃げて参ったのです」
と泣いてみせた。まったく感情のこもらない言い方。それでもなんとか収まった。
 その後私たちはしばしば董卓の目を盗んで会うようになった。彼と会っているときが心の助け。だってやっぱり私は董卓の相手をしなければいけないのだもの。

「ねえ、いつ事を起こすの。もう一時でも早くあいつから逃れたいの」
「待ってろ貂蝉。いま王允殿と相談して準備を進めているんだ。そうしたら一緒に俺の生まれ故郷に行こう。ずっと北の五原と言うところなんだ。そこはここのような煩わしい義や徳などといった考えのない自由なところだ。おまえの見たことのないような広い草原で赤兎馬を走らせよう」
 彼の言葉を信じよう。きっと董卓を闇討ちしてくれるんだろうな。
 そうしたら彼の故郷へ。ずっと北の平原って、もしかして奉先様って異民族出身なの? 聞いたことある。鮮卑って呼ばれる騎馬民族の話。髪や顔立ちがなんか違うなぞが解けたわ。

 どこまでも続く草原、真っ赤に燃える馬。その上でひたすら馬を走らせる奉先様。もちろん後ろには私。
 まだ見ぬ彼の故郷、まだ見ぬ遠い異国の地。でも彼の言葉で私はそんな遠い国の夢を見る…


 それから数日後。
 がやがやがや、わあわあ、ぎゃあっ。
 ん、どうしたのかな、外が騒がしい。
「ねえ、どうしたの。なにがあったの」
 こっちへ走ってきたのは確かこの屋敷の警備の人。とっても慌ててる。
「大変でございます。謀反です。呂布様が董卓様をお討ちになられました」
また警備の人は走っていって、他の人達にも知らせていた。

 え、むほん? 董卓を討った? ってことは………やった、ついにやった。これで彼と暮らせるんだぁ。ではなくて、これで世の悪者は退治され、長安の町に、この国に平和が訪れるんだ。
「ちょうせーん。貂蝉、どこにいるんだ。迎えにきた。お前を迎えにきたぞ」
 遠くから奉先様の声がする。そして――


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