オメガのお母さんの話(その3)

「土佐犬、りゅうの話

ryu.htm
                                         
                               2002年10月19日
                                                                  

      


土佐犬、りゅう(5歳)

オメガのお母さんとの
出会い

最初からイヤな予感がしました

寒い日、しとしと、雨が降るなか
玄関の柱に、りゅうはつながれていました

垣根がないので
玄関はすぐ道路に
つながっています

りゅうは雨宿りするでもなく、
地べたに
丸まって寝ていました
イヌ小屋はありません


名前が
「りゅう」だとわかったのは
しばらくたってからです

近所の人から
いろいろ教えてもらいました

「りゅう」と平仮名で書いてますが
漢字かもしれませんし
カタカナかもしれません

よくわかりません

純粋の土佐犬ではなく
少し他の犬種が
混じっています

真っ黒です
そして大きいです
オスのラブラドールぐらいでしょうか


オメガのお母さんは
盲導犬オメガを譲り受けたり

クマをどこかから
預かったり

ゆずりは公園の野良猫に
毎日えさをやったり

娘が拾ってきた猫たちを
育てたり・・・

「りゅう」とオメガのお母さんとの
これからの関係は

だいたい想像が
つきますでしょうか



深夜、こそっと、忍び足で
りゅうへの世話が始まるのです

りゅうは
垣根もなく、道路に面して
つながれているので
エサをやりやすかったのです

真冬の深夜は
あまりにも寒いので
脂肪たっぷりの肉の缶詰、一缶分
食パン1,2枚

夜な夜な持っていきました

玄関マットも持っていったことが
ありました

明くる日そのマットは
道路に捨ててありました

そんな状態が3か月ぐらい
続いたでしょうか。

2002年3月ごろ

私がゆずりは公園で
オメガのお母さんに
初めてこの話を聞かされて
ショックでした

雨が降っても、雪が降っても
雷が鳴っても、台風がきても
暑い真夏も

いつも同じ場所です

玄関の柱に
つながれています

そして、イヌにとっては
食事に次いで
楽しいはずの
散歩もしていません

こんな状態がもう5年も続いているのです


りゅうは警戒心が強く
なかなか気を許しません

「いい加減、信用して。私はあなたの味方ょ!」
オメガのお母さんはそう念じていました

1か月がたったころ
りゅうはシッポをふるようになりました
それでもヒラヒラ、申し分けていど、です

でも、オメガのお母さんにとって
シッポを振る、振らないは

どうでもよかったのです

オメガのお母さんは
りゅうに、ちょっとでもいいから
「あー、おいしかった!」

なでてもらって
「あー、いいなぁ、うれしいょ」
という喜びを味あわせてやりたかった
だけです

「どんな生き物も
生きている喜び、楽しみがなければ
生きている意味はありません」

オメガのお母さんは
そう思っています

ある日、オメガのお母さんは
ショックな光景が目に止まります

何かの用事でりゅうの家の前を通ったとき
たまたま飼い主が玄関から出てきたのです

りゅうは飼い主に気づいて
ちぎれんばかりにシッポを振ったのです

オメガのお母さんは、ストーンと
気が落ち込みました

それはりゅに対する「しっと」というようなものでは
ありません
断じてそのようなものでは
無いと思います

「私は何をしているのだろう」

「わたしは、こんなことをいつまで
続けるのだろう!?」

「どうすればいいのか・・・。」



飼い主には怖くて何も言えませんでした
最初、動物愛護センター(保健所)に相談しました

「そのイヌは近所から、苦情が出ているイヌです
一度指導にいきましたが、エサや水は与えているので
『虐待』には当たりません。」

オメガのお母さんが
「虐待」という言葉を使ったかどうか
わかりません

おそらく使ってはいないでしょう
「とてもかわいそうなんです」の
一言で、十分わかりますから

オメガのお母さんの気持ちは
イヌが虐待されているというような
理屈っぽいもの
ではありません

ただ単純に、「これではかわいそう」
だけです

それは人間の
素直な、気持ちの発露です

お母さんは、らちが明かない、と思いました

今度は愛護団体に何カ所か、相談しました
お母さんが見て感じた通り言いました

相談の内容は二つです
「イヌ小屋が無いこと」
「散歩をしていないこと」


「散歩をさせないことは
『虐待』にあたらない」
といわれて、お母さんは
ガッカリしました


でも

「イヌ小屋がないことは、近いうちに
見に行きます」と言われて
お母さんはホッとするのです

その団体はこの町にも
支部があることがわかりました

「動物ハートクラブ」という名前です
一番近いので、結局こちらに
お世話になることになりました

担当の方はMさんという女性です

りゅうの問題は
まだ解決には至りませんが
心強い相談相手が見つかりました

しかし残念なことに

オメガのお母さんは
ご主人のお仕事の関係で
福岡に引っ越すことになったのです

今年の3月下旬です






今年の6月の梅雨は雨が少なく
蒸し暑い日が続きました
7月に入って、さらに暑い日が
ずっと続きました


福岡にいるオメガのお母さんは
りゅうのことが
心配で、心配で
たまりませんでした

思いあまって
「動物ハートクラブ」に電話しました

すると、何という偶然なのでしょうか

電話に出たのが、担当のMさんでした

たった今
りゅうのお見舞いにいって
帰ってきたところだったのです

オメガのお母さんの思いが
Mさんに通じたのでしょうか

ほんとうに不思議な偶然でした




Mさんのお話によると



「りゅうの家をたずねると、ちょうど飼い主の奥さんが帰ってこられ
お話しすることができました
飼い主を刺激してもいけないので

『近所に住む者ですが、お宅のイヌはいい子ですね。』
と切り出しました

飼い主は想像していたよりいい人でしたょ

飼い主の話によると

こちらに引っ越ししてきた当初は
近所の人から相当苦情が出たそうです

そのわけは、
りゅうが前を通る人にほえて、怖くて通れないとか
うるさいとかいって、保健所に通報されたそうです

散歩に連れていかないのは
りゅうが、よそのイヌを見つけると、ものすごい力でひっぱるのです
危なくてしかたない、ということらしいです

暑さ対策も、時には水を打ったり、パラソルを立てたりしているそうです

飼い主は、それなりに気を遣っているみたいです

奥さんは、ただ、ものすごく負けず嫌いで
苦情が出ることにものすごく敏感になっている感じがしました」




このMさんの話を
オメガのお母さんは
どんな気持ちで聞いていたのでしょうか

「りゅうは、つながれっぱなしなのに、案外ストレスがたまってなかった」
という報告には、
オメガのお母さんはすんなりとは
受け入れられませんでした

でも、遠くから
電話で話しているだけの
お母さんは
「そうですか、ストレスはたまっていないんですね」
そう言うのが精一杯でした


「年中つながれて
散歩にもいけなくて、運動もできないイヌに
ストレスが案外たまってない
というのはともかく
リュウがかわいそう・・・」



余談ですが
私のイヌが、あるとき
足の爪をコリコリ噛む習慣が出てきました
獣医に相談しますと
病名は忘れましたが神経症で
「なんとか症候群」という病気でした

獣医は、一言私にたずねました

「散歩は、ワンちゃんの行きたいところへいってますか」

私は、自分の行きたいところへグイグイ引っ張っていく
ところがあったようです。それが原因だということが
やがてすぐわかりました

好きなところに行かせると、コリコリ噛まなくなりました




オメガのお母さんは
Mさんを間に入れて、この問題に
切りをつけたい
          と思いました・・・         



町には、よく
動物愛護団体が活動しています
ボランティア団体です

私は
イヌ2匹をそばにおいて
募金を募っている青年に
話しかけたことがあります

大阪の
ある団体でした

飼い主のいるイヌの救済は
なかなか難しい
と言っていました

どうしても捨てられた動物
が優先です





私は、飼い主を恨む気はありませんし
また
飼い主を責める気もありません

そんなことより


りゅう君
君はもう5年間も
運動も、散歩もしていないのです

このままなら、おそらく病気になって
早死にしてしまうでしょう

だから、君は
一日も早く
今の生活から抜け出してほしい

もっと、もっとハッピーな”人生”が君を待っているよ

散歩すると、もっともっとハッピーだよ
お友達もきっときっと、君にやさしいよ






あつい、あつい夏は過ぎて
ゆずりは公園に
涼しい秋がやってきました

ゆずりはは、集う犬たちの季節です

しのぎやすい秋の喜びを
一匹、一匹がそれぞれ
かみしめています

ガンのため
片腕を
全部切り取ったハニーも
仲間にくわわって

ますます、にぎやかになってきました

やがて、また、厳しい冬が

やって来ます

ゆずりはは
六甲山系の谷間にあって
厳しい冷たい風が
通り抜ける道です





オメガのお母さんの話(その3)」の
著作権は
オメガのお母さんにあります




お詫びと訂正

次の挟まれた文章
およびで挟まれた文章は
りゅうの話の一部として、また「あとがき」として
書いていたものですが、
削除させていただきました。

その理由は
りゅうの飼い主が
りゅうを手放す気がないということが
わかったからです。

この話を読んでいただいた人には
多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを、
謹んでお詫び申し上げます。



《削除した文章》

結果としてわかりましたが
飼い主は、だれかりゅうを世話してくれる人がいれば
手放してもいいと
思うようになったのです

その代わり、オメガのお母さんは
りゅうの健康診断と予防接種の
費用をもつという
ことにしました

オメガのお母さんは
いい知らせを待っています


土佐犬、りゅうの里親を見つけることは、
りゅうがいろいろハンディキャップを
背負っていますので、なかなか難しいと思われます。

ここで言うハンディキャップというのは、

・中型犬から大型犬であること
・色は黒であること
・年齢が5歳であること
・Mさんが言うように、性格はいい子だろうか

でも、どなたか、いい知恵を貸していただければ
非常にありがたいと思います。

りゅうは、関西の私が住む町にいます。
オメガのお母さんは、福岡です。

どうかよろしくお願いします。

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