足裏マッサージ

「では、始めますね」
「足裏マッサージ、初めてなんです。よろしくお願いします」
「はーい、大丈夫ですよ。痛かったら言って下さいね。さてと……」
「あ、結構気持ちいいですね」
「親指の根元は心臓につながっているんですよ。心臓が健康な証拠ですね」
「よかったぁ。ホント、気持ちいいや」
「眠くなったら、眠っちゃってもいいですよ」
「はい、ありがとうございます……

……って、イテテテテ」
「あら、ここ痛いの?お客さん、お酒飲むでしょ」
「ええ、まあ」
「肝臓が疲れてますね。じゃあ、ここは?」
「ん?……イテテテテ」
「腎臓もよくないですね」
「本当ですか、気をつけなきゃ」
「じゃあ、ここ」
「うっ……イテテテテ」
「生殖器もよくないですね」
「それってなんだか、言われてて恥ずかしいですね」
「今度はここ」
「あっ……イテテテテ」
「あらら呼吸器系、肺もよくないわね。煙草の本数、減らした方がいいわよ」
「タバコ吸わないんですけど……って、イテテテテテ」
「ここも痛いの? 性格もよくないわね」
「マジですか!?」
「冗談よ、冗談。アハハハハ」
「勘弁して下さいよ……って、イテテテテ」
「ここも痛いの? 最近、金縛りや身近の不幸はなかった?」
「そーいえば先日、友達が交通事故で……」
「ふうーん」
「……」
「……」
「って、冗談でしょ?『冗談よ、冗談』とか言わないんすか」
「はい、じゃあ反対の足ね」
「あ、話を流した……って、イテテテテ!」
「あら、心臓がよくないわね」
「マジっすか。最初に心臓は健康だって言ってたじゃないですか」
「そんなの仕方ないじゃない、足の親指は2本あるんだから」

そこで目が覚めた。
……イテテテテテッ!」
「あら、目が覚めました?お客さん、始まってすぐに寝ちゃいましたね」
「そうでしたか……って、イテテテテ」
「お客さん、ここが痛いってことはですね……」

もう、足のどこが痛くても、体のどこが悪くてもどうでもいい気がした。