「ハラキリ」  (1/4)

ドアを開けるとそこには頭を下げた彼がいた。
「全て俺が悪かった。許してくれ」
「あら、誰かと思ったら私の『元彼氏』さんじゃないの。やぶから棒にいったい何の用?」
「俺ともう一度やり直してもらえないか。あれから、反省したんだ。そして俺、この一ヶ月で少し成長したんだ」
「しばらく顔も見せないと思ったら突然ひょっこり現れて、あんたいったい何なのよ。成長した、って背が伸びた? 毛が生えた? 今、そんな話は聞きたくないの。帰って頂戴」
「いやあのね、毛が生えた話なんかじゃなくて、もっと人格的な内面が、こうぐぐっと成長を……って、待ってよドア閉めないで俺の話を聞いてくれよ。頼むよ」
「気安く触んないで。人格の成長って何よ。そもそもあんたの人格は完璧だったハズでしょ、自分でそう言っていたもの。30億の男に支持されて30億の女に愛されるだけの人間だ、って言っていたじゃない。そこまで完璧なあなたに成長する余地が残されてたとは驚きね」
「いや、俺は完璧じゃなかった、全く持って未熟だった。それが今回よーく分かったんだ。だからこの未熟な男にもう1回だけチャンスをくれないか」
「そんなチャンス、30億の女性達にもらえばいいでしょ。そしたら1人1チャンスで30億チャンス。それで十分じゃなくて?」
「お前じゃなきゃ駄目なんだよ。な、そう言わずにさ、頼むよこの通りだ。頼む!」
「あらあら、また恒例の土下座が始まっちゃった? 初めてあんたの土下座を見たときは心も動いたものだけど、そんな安売りの土下座はもう見飽きちゃったのよね」
「そう言わずに、考え直してくれないか。俺、何でもするからさ。なぁ」
「何でもねぇ……何でも、って言ったわよね。じゃあアレがいいかな」
「何?」

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