宝の地図

嬉しそうな顔で地図を持ってくる男がひとり。
「ちょっと見てよこれ。俺、宝の地図を手に入れちゃったよ」
「宝の地図? それ、マジかよ」
「マジだよ、マジ。『宝の地図です』って言ってたもん」
「言ってたもん、って誰がだよ」
「売ってくれた人だよ、フリマの人。キレイな人だったな〜」
「フリーマーケットにそんなもん普通、売ってるかよ」
「なんだよ。せっかく見せに来てやったのにケチつけんのかよ」
「ゴメン、ゴメン。じゃ、信じるから見せてよ」
「ジャーン!」
「おおっ! なんだかそれっぽい紙じゃん!」
「だろ? きっとこれ本物だよ」
「宝の地図ってことは埋蔵金か? 徳川埋蔵金か?」
「おいおい、徳川はないだろ。……って、あり得ないとも言えないか?」
「ちょっと、開いてよ。開いて見せてよ」
「じゃ、開けるよ……ジャーン!」
「え……」
「あ……」
「それっぽい紙って、包み紙だったの?」
「中の地図は結構、新しい紙だね。……俺も知らなかった」
「なんだか、新しすぎないか?」
「俺の地図に文句つけんのかよ」
「そうじゃないけど、発行元が『国土地理院』ってのが怪しい」
「国土地理院だからこそ信頼できるんじゃねーのか?」
「じゃあ、ここに油性ペンで『中ボス』って書き込まれてるのは何だよ」
「きっとボスキャラが居るんだろうな」
「お前が倒すのかよ。伝説の剣か何かで」
「だろうな。伝説の剣はこっちにあるらしいぞ、フムフム」
「ひとつ聞いてもいいか?」
「なんだよ」
「お前、これいくらで買ったんだ?」
宝の地図、そこは男のロマンが詰まっているところ。
そして同時に男のロマンの墓場とも言うべきところ。