何故、パール・ハーバーなんですか。

      

       

 まず、これを大前提にしておきます。
私は見ません。

 「パール・ハーバー(原題:Pearl Harbor)」日本軍による真珠湾攻撃をベースにしたロマンス映画……だそうです。この映画だけは、とにかく見に行った人や映画評論家の声が気になりました。私は映画が好きですが、大抵見たい映画について、映画評論家の星の数を当てにすることなく、どこからともなく情報を仕入れてきては試写会に申し込んだり、CM見て気に入ったり興行収入で観客受けがいいらしいというのを聞いたりしては劇場に通ったりします。
 ただ、この映画に関してだけは違いました。私は新作映画は公開寸前まで情報をゲットしない主義なんですが(だいたい試写会の案内の前後くらいにチェック入れます)、この映画もニュースで取り上げられるまでは存在すら知りませんでした。だから余計に驚いたもんです。
「え、これディズニーなの?」
ちょっと方向がずれているかもしれませんが(苦笑)ディズニーっつったら、ミッキーマウスとか夢の国とか、とにかくたくさんの人間に夢と希望を与える映画作ってたんじゃないんですか?それこそ人種を越えた感動ってヤツでさあ。
 アメリカ(特にハリウッド)がアメリカ万歳俺最高的な映画(この中にはSF系のものや「インデペンデンスデイ」も含めて)を作ることには、もう慣れました。それが良い事か悪いことかは別にして。日本の漫画にも多少なりともこの手のナショナリズムはありますから、まあそれが何でも大きい国アメリカでさらにでかくなったよーなもんだと思ってます。でもなあ、ディズニーもライオンキング以来、なんか落ちるトコとまで落ちたような感があるなあ……。

 何故、今、映画「パール・ハーバー」を作ったのか。私にはわかりません。クリエイターのインタビューもチェックを入れましたけど、私に理解できる回答はありませんでした。別にさ、戦争によって引き裂かれる幼なじみとの友情とか、ロマンスとか、描きたかったらアメリカ得意のSFでもいいじゃない。それから映画の宇宙人は日本人のことで、これは真珠湾攻撃のことを言ってるらしいぞとかクレームが来ても知らないフリでもシカトでも決め込めばいいじゃない。「宇宙人は宇宙人だ」とか言ってさ。
 こう言うと反論や反対意見があるかもしれませんが、映画「パール・ハーバー」の評論家の批評や見た人のコメント(現ハワイ在住者・日系アメリカ人・アジア系アメリカ人・アフリカンアメリカン・白人アメリカン・カナダ人・ヨーロッパの人達などなど、英語のコメントも新聞・雑誌やインターネットで徹底的に見ました。)を読んでみても「史実が昇華されている」というコメントを見たことはありません。「不自然」とか「史実に沿ってない」とかなんかイマイチなコメントの方が圧倒的に多かったです。
 ある英語紙の映画評論は「トラ!トラ!トラ!」や「地上より永久に」等の戦争映画とも比較して「及ばない」みたいな感じの評価を下していたりもしました。
 かと思えば、1面に「パールハーバー」を取り上げてなんかイロイロ言っていたり(この記事はもとすごくまとめづらい。主に映画そのものに関してのことと、日本版やドイツ版では多少展開が違うことを取り上げている……んだと思う。)していて、更にこの1面記事のことを、「話題作りのやらせ」じゃないかと言う人もいるくらい、とにかく色んなコトになっています。
 とにかくやたらめったらと話題は先行しているのですが、内容は追いついてないみたい、というのが私のもっぱらの見解。普通ならそういう映画でも見に行って「やっぱみんなの言うた通り、面白くなかったな」と自ら確認しに行ったりするのですが、今回ばかりはやりません。これは私がこの映画に対するささやかな抵抗みたいなもんです。

 どうして日本や海外で上映するのに別バージョンが必要になるような映画を作ったのか。まずこれがよくわかりません。あと、「これはロマンス映画だから、日本でも確実にヒットするだろう」と思ったマーケティングの人、この人の考え方が理解できません。
 映画「パールハーバー」には40分もの旧日本軍による襲撃シーンがあるそう(これの迫力が実際はウリらしい)ですが、この後で主人公たちが東京に出撃することになります。おそらく東京大空襲のことかな?と思うのですが。それも出てきません。今もアメリカにはこの真珠湾攻撃で家族を失った人がいるように、日本にだってその空襲で家族を失った人がいるのに。それにこの攻撃を期に、日系アメリカ人はキャンプに強制収容させられるわけなんですが、この事にも触れてない。それにアメリカサイドでも、この反撃時に多くの黒人兵が参加したはずなのに、それはどこに描かれていない、とアフリカンアメリカンのコメントでありました。
 ロマンス映画だからこんな描写はいらないと思ったのでしょうか。ロマンス映画でも歴史的な出来事をあつかうなら考証は必要じゃないのでしょうか?ねえ、「風と共に去りぬ」。ロマンス映画ならそもそも日本軍の軍事会議なんか出さなくてもいいと思うのですが。この映画には出てくるのです。旧日本軍の作戦会議シーンが。(それも相当不自然らしい)敵国の軍会議なんで出した時点でこれは「戦争映画」になるのでは?

 おそらくこの映画は製作側(とくにプロデューサー)が目論んだほどの大ヒットはできないでしょう。現に全米興行収入成績でも公開第一週のペースを保てないでいます。話題先行で内容はB級の典型的な例です。VFXやアクションシーンがウリの映画は他にもっと良いのがたくさんあるのです。例えば、現在日本でも公開中の「ハムナプトラ2(原題:Mammy Returns)」や全米公開中の「トゥームレイダー(原題:Lara Croft: Tomb Raider)」、ロマンスが欲しいなら「THE MEXICAN」とか「Moulin Rouge」の方が断然強いだろうし、感動するならお家芸のスティーブンスピルバーグの「A.I.」が待っています。映画としてもどっちつかずで弱い「パール・ハーバー」、この映画が数年後に語られることがあるのでしょうか。

 ああもう、語っているうちにどーでもよくなってきた(爆死)


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