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各詩の解説。
▲                       f
詩を置きます。

very soft scers(果てしなくやわらかい傷跡)
空中行き。
光の庭(the garden)
ロスト・コンプレックス(lost comprex)
夏のリグレット

走馬燈
ウメおばあちゃんの一生

極楽の丘(heaven's hill)
赤い海の向こう
同じ私の色。


very soft scers(果てしなくやわらかい傷跡)

今度こそわたしの幸せに
躊躇い傷をつけない
刃物の要らない今は
嘘のように心許なく

ただ浮遊するように
ただ慣れないあの日が
悔しくて現実で泣いた
声をあげたって聞こえはしない

永遠の赤が
終焉の青と混ざって
血管はうすく浮き上がり
わたしは絶望の肌を引き裂く

両手を縛られたって
わたしは死の中で毒づく
わたしは生活に馴染めなく
そして果てしなく閉じていたから

あの時を忘れられずに
あの傷跡を舐め上げたら
ゆっくりと目を閉じて血の色を
血の味を柔らかさを感じるでしょう


空中行き。

空は独特の帳を勝手に下ろして
幕開けない命を永遠に無意味にする
天上の甍から遥か遠くまで
一生は短い羊水のようなぬるま湯ね

さあ、魂魄を飛ばしましょう
果てしなく続く繰り返す道へ
それは六つの環状線にも似て
ずっとずっとよみがえりを待つままで

白い光に成りましょう
ただひたすら死人の煙を浴びて
審判の場所へと向かいましょう
まるで流星の行列のような早さで

切符は持った?
あなたのお臍にあるでしょう?

そう、望まれないのよ
土にすら上手く孵れない


光の庭(the garden)

真緑の国
空は誰も拒まない
子供染みた赤いリボン
使い切ってしまおうよ

あの古い歌
優しく甘い紅茶の味
思い出す夏の匂い
それと同じ夏の色

残酷な夢も
小さい願望も
子供のままの素足も
この庭にあるよ
光の庭に


ロスト・コンプレックス(lost comprex)

胸の傷跡を
あなたに見せたの
同時に何故だか
私が気にしていた古い痛みは
笑って消えてしまったの
 
 


夏のリグレット

後悔ばかり見ていた
夏の庭を眺めた
胸の傷を広げた

あなたを選べなかった
間違いを歩いていた
あなたばかり思った
 


走馬燈

道端に続く路地
もうすぐあの風景に行こう
見慣れた街角
ホラもうすぐ君の居た
12年前だよ
 


ウメおばあちゃんの一生

『今日はさむいねえ。』と
おばあちゃんが言った。
別に寒くないのに、とぼくは思った
その時寒かったのは
おばあちゃんの人生だって気がついた。
 


極楽の丘(heaven's hill)

わたしは笑う
この場所はもう数百年も待っている
わたしは途切れ途切れに羽を紡ぎ
明るい場所から誰かを呼ぶ

萌える緑は枯れ行き
言葉だけが歴史を持っている
甘い匂いが世界中に届く頃に
満ち溢れる光が極楽に成る

行方のあとさきを識るのなら
すべからく見よ、この極楽の丘を
誰もが旅に出て、誰もが帰らない
満ち溢れる光がカタチに成る

甘い匂いが祈りに融ける頃に

満ち溢れるわたしが極楽に成る



赤い海の向こう

赤い海の向こう。
海岸沿いの血脈を越えて
硝煙の彼方を目指したら
あなたの手のひらを想う。


金網の向こう。
地面に満ちるあなたの声で
最後のコトバだけ残したら
あなたの温もりを想う。

太陽と月の向こう。
枯れ果てた喉を乾かして
死ぬことを見つけたとき
あなたと故郷の庭を想う。

赤い空の向こう。
やがて故郷は赤い庭に成り
虚空に祈りが消え行くなら
あなたのことばかりを想う。


同じ私の色。

きのう空を見たの
悲しみはなんて要らないんだろうと
それでも昨日と同じ色
同じ空と雲の色

幸せなことばかりでは
幸せを見失ってしまうから
それはいつもと同じ色が
ずっと私に在るのと同じ

だから塗りましょう
私の色と空の色
そして同じ雲の色

掴めない世界の色

正しいとか間違いとか

そんなことは色じゃない
ただ思う通りの色を感じるのは
とても難しいことなのね

私の色と空の色
そして同じ雲の色

掴めない世界の色
あなただと信じる色

大切なことばかりでは
何かを見失ってしまうから
だから今日も塗りましょう
わたしのための世界の色

 

モドル。