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萌葱色の風に

 

    れんげがゆれる

    堤から見渡す一面に 

    片隅にはツツジ

 

    勿体ぶって

    言葉で語らない 

    希望に乗せて運ばれた

    生き方

 

    頭で考えた事柄は何故か

    実際の経験と

    少しずつ食い違い

    刻み込んできた

    心の襞

 

    木々の匂いに癒され

    立ち止まる

    足もとに

    たんぽぽが

    ひっそり  

         

雪が舞う

      大気の煌めきのように

      夜の帳が降りてくる

      傷ついた子犬が片隅で鳴いている

      明るい光に包まれた窓の外で

      

      街灯は雪を透して

      オブジェのように木々を浮かび上がらせ

      気まぐれに舞う雪に

      あちこちで スポットライトを当てている 

      

      時々ひゅーとうなって通り過ぎるのは

      流れる時に加速するいたずら者

      さくさくと歩く道の境界を無くそうとする

      人々は急ぎ足になりながら肩をすぼめる

 

      こんな夜は素直な自分になって

      温かさに身を寄せたい

      凍てつく空気の中で

      心が冷えないように      

               

月明かり

      光を汲んで瞬く位置が

      すでに欠け始める

      前兆

      ゆっくりと 

      また荘厳に

      

      オレンジの丸い陰が

      頭上に幾分傾き

      ヒトを惑わせながら 

      じっと

      とどまって

 

      一瞬の光が走り

      ふいに全貌を見せ始める

      ただならぬ気配と共に

 

      もうすでに

      何事もない貌で 

      輝くけれど

      瞼の裏に張り付いた

      饗宴の余韻に

      酔いしれよう

 

 

風のように

       

    いつもの空なのに

    色が違って見える

    そんな山裾の滝の側で

    透明な水音を聴きながら

    

    しぶきが ほんのちょっと

    かかる 距離

    路傍の石に腰掛けて

 

    意思を昇華させようとしていた

    ひととき

    

    初老の夫婦が

    山から 下って

    しばし たたずみ

    滝を見上げる

  

    お互いに 照れくさそうに

    挨拶を交わす

 

    腰の鈴が

    チリンと鳴った

   

    それを合図に

    立ち去って行く

    

    向こうの道は

    藤蔓が塞いでいたはず

    振り返ると

    何げなく 手を差し出しながら

    渡る夫婦がいた

 

    その自然さに

    微笑んだ時

    ふわりと風が

    渡って行った 

 

胸には

     爽やかな 声と共に

     住み着こうと

     しています

     あなたが

 

     とりとめのない話の中で

     感性が一緒だと

     感じました

 

     もうどうか

     私の心を叩かないで

     ほしい

     

     あまりに優しい言葉

     掛けないで欲しい

 

     今までの

     耐えてきたことが

     溢れだして

     しまうから 

     

     どうか

     厳しい言葉を掛けて

     ください

 

     そうしたら

     今まで通りに

     接することが

     出来るから  

見つめるままに

    時間という観念に

    縛られているのは

    自由ではないと云える

 

    いやがうえにも

    人々に

    降り積もる 時間

    誰の意思なのか

    未だに わかりはしない

 

    命が生まれた瞬間

    もう時間は待ってはいない

    眼に映り始める

    様々な事象

    耳に聞こえ始める

    あらゆる音の洪水

    

    既に回り始めて

    組み込まれていく

    無限の空間 

     

    累々と

    刻まれる

    時間に いつまで

    素直に 

    いられるだろう 

川のほとり

   水面には

   漫ろに

   上昇する

   霧のような

   靄がかかり

   たゆたっている

 

   群咲きの

   菜の花が

   一陣の風に

   驚きながらも

   愉快な顔をしている

 

   桜が競い合いながら

   堤に並んで

   時折腕を振って

   川へ挨拶を返している

   ひとひら ひとひら

   

   白鷺が

   やってきた

   春の一日

   

   耳を澄ませば

   調べが聞こえる

    

回 顧

    目に 映る

    遠くの 山々の

    際立つ 稜線は

    刻まれた 邂逅

    或いは 別離を

    呼び覚ます

    

    登山道で 挫いた

    足を 引きずっていた

    友達に 肩を貸してくれた

    あなたとの

    きっかけは 不思議

    

    背中合わせに

    眺めあった  満天の星

    簡素な 言葉で

    共有出来た 感覚

     

    どこにも 絆を逸脱する

    気配は 見えなかった

 

    いたわりを含んだ目に

    一瞬の 懊悩を見た時

    突然  もたらした

    痛みに 耐えられなかった

    

    ただ それだけ

       

    何がきっかけであったか

    思い出せない

    無為な時間が過ぎ去り

    振り返る 心を

    今  押し遣ろう

    

コンサートにて

    指から 溢れる 情感が

    譜面を 繰るように

    あなたの 耳に 届く

    

    秀逸な 

    音を 聞き分ける

    思惟が 始まる

    

    弾き手の

    背後から 立ちのぼる

    濃密な 天真爛漫さ

    

    いま この 瞬間(とき)

    心 揺さぶる 旋律の

    抱擁

 

    放たれた  しじまの なかで

    人々の 葛藤は 

    安らぎへと

    段階を 踏む