Image
WELCOME TO MY HOMEPAGE
創作した小説の一部を公開します。
Image



流れ行く沢を見遣っては考えた。いつまでも流れ続けるのであった。水の音が静かに心地よかった。何もかもを洗い流してくれた。ひんやりと透き通った水に手を差し出した。耳元でリンというやわらかい音が聞こえるようであった。手で静かな水を掬い口元を湿らせた。日の光が唇に温かかった。温かさを感じてそれを含んだ。のどが潤された。体の中まで染み渡り心が澄んでくるようだった。再びいっそうやわらかいリンという音が聞こえる気がした。底にじっとしている石が落ち着いていた。目前の紅葉から一枚の葉がふわりと舞い、宙に浮かび上った。ふわりふわりとしながら漂っていた。いつまでも舞っていた。それでも舞っていた。あまりにも緩やかな時間の流れであった。そうしてそれは水の上に音もなく降り立ち、流れ始めた。目の前まで来ると、大事にしながらそうっと掬い上げた。その姿と色を覚えるまで眺めて、覚えず水に戻した。いつまでもいつまでも流れて行った。人の世が美しいと思われるのだった。

ふと本から目を上げるといつのまにかあたりがざわついていた。暇を持て余し、話しを始めたのだろう。私は遠くでゆっくりと枝を離れた緑の葉が鮮やかに漂いつつ舞い降りようとしてしていた。私だけが見つけだした無限の時間を感じながら群衆の中で一人静かに本に目を戻した。舞い降りる葉が光を反射している姿はまだ目の中に残っていた。

夜空にきれいな光が一瞬だけ大きくなる時があるのよ。それもわずかにしか過ぎないけど。命を終える時なのよ。死ぬ時になると光がやっと大きくなるの。でもほんの少しなの。冷静に見るとね。意味のないことかもしれない。でもね、本人にはとても大きなものなのよ。一生懸命苦労して最後に少しだけ大きくなるの。それで消えるの。消えてしまうのよ。

また会いに来ますから。

来てくれたのね。待っていたわ。長い長い間だったのかしら。短かった気もするわね。空に向かって、彼女はふりむかずに話しかけてきた。 あたたかく染み入る澄んだ音色だった。 黙っていることにした。

風が落ち葉をわずかに巻き上げた。彼女が自殺していった瞬間がふと頭を突き抜けていった。じっと見つめていた悲しそうな瞳がとても生き生きとした表情のままどこかに行ったのであった。憐れみのまなざしだった。冬の空は孤独な表情のまま優しい憐れみで見下ろしていた。冬の孤独な空は真っ白な雲一つさえなく深く澄んでいた。底が見えないほど青かった。

あの星は何年かけてその命を終えるのかしら…。私はいつまでも…。

ピアノの音… 静かね 寂しいわ

花が逃れられない雨水をたっぷり抱え込んでしまっていた。目のあたりが真剣な表情だった。悲哀を包んで泣いていた。

みずのおとが静かに跳ねた

いつも泣いていた目を思い出す…

ここにもないんだね…

悲しい声のまま澄んだ歌が流れてきた。

穏やかな顔であった。声をかけようとして止めた。しかし、また勇気を振り絞って唸るような言葉にした。「…死ぬんだね。」「どうして死ぬの。」

「ねえ、私を愛してくれるかしら…私も人を愛してみたいのよ…愛せるようになりたいの…」

ここには…来ない…

美しいな…

私は苦しいことを忘れていられさえすれば、しあわせなのよ。それで十分なの。ほかには何もいらないわ。私にとっての幸福はそんなものなのよ。それはいけないこと?あなたのように孤独に対して強くはないのよ。

私は苦しいことを忘れていられさえすれば、しあわせなのよ。それで十分なの。ほかには何もいらないわ。私にとっての幸福はそんなものなのよ。それはいけないこと?あなたのように孤独に対して強くはないのよ。

ぼくはとても幸福だよ。だって、苦痛を味わえる。

私は今まで花が咲くなんて当たり前のことだと思っていた。存在を感じていなかったんだ。でも、違うんだね。花は咲いてくれるんだね。明るい穏やかな光りで美しく…。清潔に…。

月明かりがかすかに存在をおぼろげにしていた。 こだました彼女の澄んだ声がはかなげだった。

あの星は何年かけてその命を終えるのかしら…。私はいつまでも…。





GeoCities Japan

メイン / コミュニティ / アベニュー / E-List / 街角広場
インフォメーションセンター / 検索 / ヘルプ / ガイドライン