子育てに優しい町ひと目で
厚生省、マップ作製へ


  子育てに優しい町がひと目で分かります――。厚生省は来春までに、保育所など子育てを支援する児童福祉施設の整備状況などを自治体別にまとめた「全国子育てマップ」を作製することを決めた。 施設に入れない待機児童数などの指標を使い、全国の都道府県、市町村の子育て支援策の充実度を一律に比較する。 同省ではマップ作りを通して、財政難などを理由に遅れがちな自治体の取り組みを促す考えだ。
  マップの作製事業は社会福祉法人の母子愛育会(東京都港区)に委託。 今月中に児童福祉関係の有識者らで作る委員会を立ち上げ、自治体の取り組みを比較するのに適当な指標の検討などを急ぐ。
  今回の対象となるのは、国や自治体からの運営費の半分が補助される認可保育施設の充実度など。 自治体の取り組みの比較には複数の指標を用いる考えで、 (1)六歳以下の児童人口あたりの保育者数 (2)入所児童数に対する待機児童数の割合 (3)乳児保育、一時保育、延長保育を実施している施設の割合―― などが候補になりそうだ。 このほか、保育所に併設され、子育て相談などを受け付ける「地域子育て支援センター」や、小学生が放課後に過ごす学童保育施設などへの取り組み具合も、検討対象にあがっている。
  子育てマップでは、こうした施設の充実度を指標ごとにまとめ、日本地図上の自治体を市町村単位で色分け。 子育て支援策への取り組みがひと目で分かるようにする。
  厚生省が子育てマップを作って自治体の競争意識を刺激する策に出るのは、深刻化する小子化に歯止めをかけようと政府が九四年に作成した「緊急保育対策五ヶ年事業」が思うように進んでいないため。
  来年度は最終の五年目にあたるが、まだ一時保育や子育て支援センターの実施施設数は目標の半分にも満たないなど遅れが目立つ。 同省では乳児保育、延長保育、一時保育などに必要な施設整備の国庫補助予算を組んではいるが「財政難のためか自治体の反応は鈍い」という。 自治体の取り組み促す
  九八年四月一日現在、保育所に入りたくても入れない待機児童数は全国で四万人弱。 特に共働きの夫婦などから切実な要望がある低年齢児(二歳以下)の待機児童数は約二万五千人に上る。 同省ではこれまで、都道府県単位と、政令指定都市、中核市を対象にした待機児童数などの集計をしてきたが、新たに市町村単位のマップをつくることにより、「全国の水準が一目瞭然になれば、対策が遅れている自治体も動かざるを得ないのでは」と効果を期待している。
保育所に入れない子供の多い都市
待機児童数待機率
横浜市
大阪市
福岡市
堺市
京都市
川崎市
熊本市
岡山市
北九州市
名古屋市
1945人
1066
945
905
880
795
633
613
579
514
境市
秋田市
大分市
横浜市
浜松市
川崎市
札幌市
岡山市
姫路市
長崎市
10.5%
10.3
9.9
9.2
8.6
8.2
7.1
7.0
6.2
6.1
(注)98年4月1日現在。対象は政令指定都市、中核市。「待機率」は入所児童数に対する待機児童数の割合。


[日経新聞 1998/12/20 朝刊より転記]
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