困ったときの暮らし術

 長男が生まれて6年。 その間に娘も生まれたが、保育園がなかったら、仕事を続ける事はできなかった。 子供たちにとっても、年齢の違う子供たちと遊べる、貴重な場となっている。 その保育園が、実質、足りない。 親の仕事の形態や、産み月によっては、公的支援のある保育所(認可保育園)に入所できない場合も少なくない。 四月入園の申請も11月ごろこあら始まる。 さて、どうしたらいいのか。

(豊 吹雪)

 川崎市の会社員渋谷明子さん(35)は四歳の長女を頭に、三人の子供の母親だ。 1995年秋、長女の入園申請に訪れた市役所の窓口で、驚いた。 「年度途中に空きなんかありませんよ」
 結局、東京とないの実家そばで、預かってくれる人を見つけて、娘と2人で実家に居候。 川崎市内に職場がある夫(38)とは、翌年4月、入園が決まるまで別居となった。
 第二子の長男の時も、大変だった。四月に入園させようと思ったが、長女が通う保育園は、生後5ヶ月からしか預かってくれない。 長男は12月生まれ。 やむを得ず、6月までまったが、入れたのは明子さんの職場がある世田谷区の保育園だった。 長女を同じ園に転園させるまで4ヶ月間、別々の送り迎えをすることになった。
 現在、もうすぐ9ヶ月になる三人目の次男は、無認可の保育施設に通う。 姉や兄と同じ園の入園を待つ「待機児童」だ。
 「長男も、次男も、4月に生後5ヶ月になっているように産みたかった。 産婦人科にも通っていたのですが、無理でした。」
 渋谷さんのように、首都圏や都市部には待機児童が多い。 昨年十月現在、全国で約5万8千5百人という。

保育園に入る

「困り度」訴え、早めに準備

  ぜひ欲しい就労証明

 保育園を考える親の会の代表、普光院亜紀さんは、「認可保育園の場合、とにかく早めに役所に行き、申請時期や空き状況を確かめること」とアドバイスする。 例えば4月入園は申し込みが前年11月−12月ごろに前倒し設定されている。 「保育園探しは年明けから」などと、悠長な事は言ってられない。
 高い競争率を勝ち抜くためには、もう仕込む時にも、気をつけることがありそうだ。
 各自治体では、入園の優先順位を点数化している。 世田谷区の場合、最も点数が高いのは、長期の病気や、自宅外での勤務・自営(勤務時間が週5日・40時間以上)などで、50点。 仕事の時間が短いほど、点数が低く、内定を持たない求職中の人は10点だ。
 求職中の人は、申請書以外に、就労証明などの提出期限も確認しておくとよい。 申請時に求職中で内定が出ていなくても、期限内に内定して就労証明を提出できれば「点数」は上がる。
 長男の入園申請時に求職中だったという都内の女性(35)は、1月半ばに内定した会社の就労証明書を役所に提出。 みごとに入園できたという。

  状況具体的に記す

 普光院さんはいかに日中の保育に欠けているか、具体的に訴えることも大切だという。 「フリーの場合、一日の仕事内容や移動にかかる時間など、細かく記しておくべきです」
 自治体によっては、フリーランスの人に「就労状況申告」を呼びかけてもいる。 一日の仕事時間や一週間単位の動きなどのほか、仕事の「成果物」も提出すると、なおいい。 それがないと、役所は「保育に欠ける状況」を判断できず、点数はほぼ、「内定なし」の求職者と同じだそうだ。
 まとめてみると、ポイントは早めの情報収集、入園の必要性を具体的にアピールする事だろう。 そして、忘れてはならないのが、親の目で希望する園を確認することだ。 延長保育の時間や保育士が、年度によって変わることもある。 給食の中身はどうか、外遊びの時間は。 何より、保育者の保育方針は、親のそれと合うのか。 立地や施設面以上に、見極めたい。


 このコーナーでは、暮らしの中で直面する制度や法律、家計などに関する様々な問題の解決法を探ります。
■お助け情報は
◆国の動きや地域情報などは
 国立社会保障・人口問題研究所ホームページ
 http://www1.ipss.go.jp/seisaku/index-sj.html
◆「保育110」(全国保育団体連絡会主催 22,23日午前10時−午後6時)
 03-3339-2313
◆参考図書は
 「はじめての保育園」保育園を考える親の会・編(主婦と生活社、本体価格1400円)

[朝日新聞 1999年10月3日日曜日 より転記]


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