Miyashita's talk@"AHAHA"
talk 1:「板の上に立つのならば」

 この春から夏にかけて見たいくつかのコンサートやライブを見て思った事。
 一本目は4月頭の底ぬけAIR-LINEの初'単独ライブ(はつだっしゅたんどくらいぶ、と読む)。非常にミーハーな動機で見に行ったのだが思った以上に楽しむ事が出来た。見に来た誰もがわかりやすく楽しめるような「テレビでお馴染み」的なネタだけではなく、意欲的に様々なジャンルのネタに挑戦して見せた上、とにかく二人がやりたい事を目一杯やりましたっ!という雰囲気の、自作したという音楽やCGビデオ等の演出まで。会場内に「?」な反応があったのは否めぬ事実だが、芸人としてだけでなく、24歳の男としてやりたい事を手を抜かずにフルスロットルでやり抜く二人の姿勢は、フツーに言うチャラチャラした意味ではなく「カッコいい」と感じた。「男前」と言い替えると尚良し。二日三公演全部通った事を誇りに思う…ちょっとだけだが(笑)。
 二本目は4月末のKANのコンサートツアーの東京公演。かの歌手は決して「ガンバレソング」を歌う事を生業としている訳ではない。実はあれから、いや、あのヒットの前から、彼はコンサートで広義のエンターテイメントを披露している。まずは歌いながらダンサーもかくやとばかりに本気で踊る。自分の敬愛する海外ミュージシャンの曲のパクリ…否、パロディソング(と、本人は言い張る)をコンサートの為だけに作り、衣装やら歌い方やら全てなりきって歌う。小芝居を仕込む曲もある。X-GUN西尾さんもお勧めのKANとは、自作曲を歌うだけに留まらないこんなツアーを毎年行っている、という事実を知る人はあまりに少ない。
 そして決定打は天劇。毎度のルーティンワーク状態だったのだが、今年の天劇はそんな気持ちで見て来た物とは別物となった。しかしその理由がダンスの凄さだったりするのがファンの皆様には申し訳ないのだが。今までの天劇のダンスといえば、彼等のデビュー当時のヒップホップ華やかなりし頃を思い出すファンキー系+毎回少しずつ勉強してバレーや民謡調の物を取り入れて…ってパターン。今年の新要素はSTOMPを連想するBGMナシのダンス。身体を打ち鳴らすことによって奏でられるリズムは、最初はシンプル、しかし次第に複雑になっていく。そのダンスのパワーによって、今回が今までの全ての天劇の中で一番力強く「生きていく」という事を訴えかけられたように思う。
 天劇を見終わってしばらくして、どの公演も自分の本業と違う部分で笑わされたり心を動かされたりした物ばかりだったと気付いた。芸人とか歌手とか関係なく、自分の身体や能力や何やら持っている物を全て駆使して行われた三つの公演。いーじゃん芸人が踊ったって。いーじゃん歌手が笑わせたって。何かを表現して、それを見た人の心が動かされれば、きっとやり方なんて関係ない。結論。「板の上に立つのならば、どんな手段でもいいから感情を揺さぶってくれ」。生意気ですか?

from"AHAHA"Vol.11 98/08/21


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