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第一話 ヲタクなアタシとえせぶるなM子さん

アタシの従姉妹、M子さん(29歳独身)は「えせぶるで(*1)」ある。
実に大学4年、就職の時期に来て大した実力もないくせに大企業に憧れ、結局どこにも就職できずに海外留学した大人物様である。

某H鳳堂の入社試験を受けるべく、コネを使いまくって入社試験までこぎつけはしたものの、「落ちる」事が怖くて入社試験を受けなかったと言う素晴らしい過去もある。

恐ろしいのは、そのコネに使った人物が被るであろう苦難を彼女が全く気が付いていなかった事である。

しかし、えせぶるにはえせぶるのネットワークがある。

従姉妹一家は所詮えせぶるだが、彼女達の親戚筋にモノホンぶるがいるらしい。

そのモノホンぶる、まぁ言わせてもらえば「まじぶる」の方が某H鳳堂の下請け、つーか孫会社、みたいなもんと係わりがあったらしく、「どうせ腰掛けなら私の会社でお嬢していればいい」みたいな(なんて贅沢な!!)事を言ってくれたにもかかわらず、「えー、孫会社じゃぁねぇ」みたいな乗りで蹴ってしまったらしい・・・

神をも畏れぬ無法ぶりだ。

しかも、29年生きてきた中で、彼氏の人数はたったの2人だ。

1人の男と長く付き合っているわけではない。

男が出来ないのだ。

藍君というと言う男にめちゃくちゃほれ込んで付き合ってはいたが、結局ふられたらしい。

当たり前だ。

えせぶるの女なんて付き合ってて鬱陶しいだけだ。

もしこれで藍君がヒモ気質の男だったら、従姉妹は骨の髄までしゃぶり尽くされていたって文句は言えまい。

藍君はお利口な男だったらしく、とっとと従姉妹を捨て、元の彼女とヨリを戻したらしい。

いい事だと思う。

2人目の男と言うのが、海外留学した先で友人の男を奪っただかなんだかしたらしい男で、年下のアノアとか言う奴だった。

こいつはどうやら海外ジゴロ系だったらしく、従姉妹は色々みつがせられたらしい。

しかし、それにも気がつかないあたり、彼女は大層幸せ者である。

ちなみにアタシ自身もアノアには会ったことがあるが、大していい男でもなく、普通の外人だった。

なぜ従姉妹があそこまで執着したのかが分からない。

女も29にもなって男の1人も出来ないとああまで焦るものなのだろうか?

ハッキリ言って、見ていてみっともいいものではない。


こうまで従姉妹をこき下ろすのだから、自分の事も書かねば不公平なので、自分の事も書こうと思う。

アタシと従姉妹の関係は、母親同士が姉妹(うちの母がM子さんの母の妹)と言うものだ。

親が店を経営している事もあり、アタシはM子さんの家に預けられる事が多く、幼い頃は本当の姉妹の如く育てられた。

アタシは何の事は無い、貧乏な喫茶店の1人娘だ。

異常に過保護な母親と、アタシのことを大嫌いな父親を持つ、どこにでもいそうなガイキチ娘だ。

ちなみに年は26歳。(1999/1/7現在)

幼い頃に大きな病気をしたものの、立派に育って中学のときには立派な問題児だった。

せっかく私立の中学に入学したと言うのに、3年の3学期に退学してしまうほどの大バカ野郎だったし、高校もなんとか入学したものの、担任教師相手に武闘派な日々を過ごし、実に際どい状態のまま卒業。

警察のお世話にこそならずには済んだものの、学校教師達からは毛虫の如く嫌われていたし、生徒の中でもアタシの事を嫌いな奴は大勢いたはずだ。

ついでに言うと上京し入学した専門学校(美容)も一応卒業したが卒業証書は無い。

しかも、なんの国家試験もとってはいない。

卒業後は男と同棲、別離なんかを経て実家に帰る。

帰ったが、しっかりと就職なんかせずに派遣社員としてぶらぶら気ままに働いている状態だ。

しかし、アタシは派遣の仕事を経て、いくつの技能を身に付けたりもしたから、それはそれでいいと思っている。

ついでに言うなら、中学3年のときに初めて彼氏が出来て以来、彼氏がいなかったと言う時期は無い。

今も付き合って5年目を迎える彼氏とらぶりーはにーな状況にいる。

ついでに言うなら他にも遊んでくれる男はいるし、同性の友人だって、年上年下取り揃え、けっこう数は多い。

金は無いが、現実をしっかり見て…もいないけど、それなりに自分を弁えているつもりだ。


そんなアタシと比べると、従姉妹は実に優等生だったような気がする…。

なにせ、中学のときは剣道などと言う質実剛健な部活をし、ジャージのみで過ごしていた。

しかも成績は常時トップクラス。

高校時代もALFEE(ぷ)とか言うミュージシャンに入れ込んではいたが、アタシの様に学校休みまくってLIVE行ったりはしてなかった様に思うし、アタシがほれ込んでいたPUNKバンドなんかより、はるかに健全な趣味だったであろうと思われる。

小学校高学年から立派な問題児だったアタシは、「M子さんを見習え」みたいな事をよく言われてた様に思う。

彼女はいつからえせぶる思想になったのか?

それは…多分大学生になった頃からじゃないのかと思う。

だって、アタシが知っている頃の彼女はジャージ三昧。

鈴原トウジ(Fromエヴァ)もびっくり、インド人もびっくりだ。

おまけに「篭手を盗まれた」と言って肩を震わせ泣く様なイタイケなダサダサ剣道少女だったのだ。

高校時代・・・の事はアタシが自分の悪さに忙しい時期だったから良く知らないが、なんのウワサも無かったと言う事は問題も何も無かったと言う事だろう。

ちなみにその頃のアタシはしょっちゅう親戚ご一同様に「親族会議」を開いてもらわねばならないような悪質な「おいた」を生きがいとして生きているガイキッチーでした。

そう、この頃からアタシとM子さんの人生は全く別の方向に進み始めたのでございます。

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*1:えせぶる(似非ブルジョワジー)・・・労働者階級なのにも関わらず上流階級のフリをする人たち