離婚調停・慰謝料・財産分与の実情(離婚2)
弁護士 木澤 進

問い
 離婚調停の実情について知りたい。

答え
 最高裁判所が発行している平成7年司法統計から読みとれる婚姻関係事件の傾向は次の通りです。

1、事件数 全国5万1812件 富山456件
夫の申立 1万4601件
妻の申立 3万7211件
調停成立 2万2809件 ( 調停離婚1万8523件 協議離婚届791件)
不成立 8361件
取り下げ 1万9652件 (離婚 4076件)

2、結果

離婚 45.3l
婚姻継続 12.9l

3、婚姻期間

平均婚姻期間 12.7年

4、申立

婚姻期間 総数
1年未満 1665 543 32.61% 1102 66.19%
5年未満 13005 3615 27.80% 9390 72.20%
10年未満 10923 3220 29.48% 7703 70.52%
15年未満 7721 2124 27.51% 5597 72.49%
20年未満 5915 1597 27.00% 4318 73.00%
25年未満 5739 1579 27.51% 4160 72.49%
25年以上 6826 1809 26.50% 4927 72.18%

5年未満、10年未満が多い

1年未満もかなりある
婚姻期間が長くなると少なくなる
妻の申立が70パーセントを超えている 1年未満の場合夫の申立 が他の期間より若干高い

5、離婚成立率

調停成立 調停離婚 協議離婚
5年未満 13005 6721 51.68% 5884 254
10年未満 10923 5316 48.67% 4393 192
15年未満 7721 3446 44.63% 2767 106
20年未満 5915 2392 40.44% 1882 62
25年未満 5739 2079 36.23% 1528 70
25年以上 6826 2081 30.49% 1429 68

大体50l以下である 5年未満は50パーセントを超えている

6、結果


調停成立 うち離婚 離婚(含取下)
1年未満 46.3 44.2 58
5年未満 51.7 47.2 56.9
10年未満 48.7 42 50.3
15年未満 44.6 37.2 44.7
20年未満 40.4 31.9 39.3
25年未満 36.2 27.8 34.3
25年以上 30.5 21.9 27.2

取り下げのうち離婚を含むと婚姻期間が短い方が離婚率が高い


問い
 調停の場合、財産分与慰謝料の額はどれほどになるのでしょうか。

答え
 平成7年司法統計によると離婚調停手続きで 決まった額は次の通りです。

単位件数30万 50万 100万 200万 400万 600万 1000以下 1000超過
1年未満 40 52 96 95 69 12 4 4
5年未満 352 351 665 770 665 203 71 44
10年未満 156 176 363 480 610 301 184 153
15年未満 76 72 189 269 364 196 178 163
20年未満 30 42 103 134 195 141 136 237
25年未満 28 19 74 113 198 152 155 273
25年以上 19 31 80 100 151 123 170 348
総数10869 701 743 1570 1962 2234 1128 898 1222


単位パーセント30万 50万 100万 200万 400万 600万 1000以下 1000超過
1年未満 10.7 13.9 25.7 25.4 18.4 3.2 1.1 1.1
5年未満 11.2 11.1 21.1 24.4 21.1 6.4 2.3 1.4
10年未満 6.3 7.1 14.6 19.3 24.6 12.1 7.4 6.2
15年未満 4.8 4.6 12 17.1 22 12.5 11.3 10.4
20年未満 2.8 3.9 9.5 12.3 17.9 13 12.5 21.8
25年未満 2.6 1.7 6.8 10.4 18.2 14 14.3 25.1
25年以上 1.7 2.8 7.2 9 13.611.1 15.3 31.3
総数100 6.4 6.8 14.4 18.1 20.6 10.4 8.3 11.2

 総数平均では100万円から400万円以下が53.1パーセントになる。非常に低い。1000万円超える場合は5年未満で 1パーセント台、11年を超えてようやく10パーセント台、16年を超えて20パーセント台、25年以上で30パーセント台である。年代別の平均額をみても6年以上で300万円台、10年以上で400万円台、15年以上で500万円台、20年以上で700万円台である。この額が社会的基準になっている。庶民の財産自体が少ないことが定額の理由であると考えるしかない。なお離婚後に財産分与慰謝料を求める調停を申し立てた場合もおおむね同様な数字である。



平均 405.2万円
1年未満 161
5年未満 195
10年未満 337.9
15年未満 434.7
20年未満 612.2
25年未満 684.4
25年以上 770.4


問い
 私は会社員の夫が職場の女性と親しくなったことが原因で、結婚後5年目に2歳と4歳の女の子を引き取って協議離婚しました。夫にはサラ金の負債もあったので、離婚の際は慰謝料も、養育料も請求しなかったのですが、1年たった今からでも請求できるでしょうか。

答え
 慰謝料は不法行為による損害賠償ですから離婚から3年、財産分与は民法の規定により2年で時効にかかります。慰謝料は離婚の原因を作った相手方の背信行為に対するあなたの精神的な苦痛に対する償いであり、財産分与は婚姻期間中に夫婦が協力して作った資産の分配を主体に、婚姻後の生活状況なども考慮して決めるものですが、当事者の話し合いで決めるのが原則です。
 当事者の話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所の調停により解決する方法があります。それでも決まらない場合は、裁判所で訴訟手続きをすることになります。
 養育料は養育を要する子がある場合、いつでも必要に応じて請求することが出来ます。その意味で時効はありません。養育料についても話し合いで決めることが原則で、調停手続きを取ることも出来ます。
 調停で決まらない場合でも、家庭裁判所で審判をしてもらうことが出来ます。この場合は裁判所の調査官が関係者から事情を聞いたりして調査をし、その報告をもとに審判官(裁判官)が養育料の決定をします。慰謝料財産分与の額は前に説明した通りです。養育料については、1人、1ヶ月あたり3万円から5万円で決められるケースが多いと思います。 以上



離婚について
弁護士 木沢 進

問1
 既婚男性が独身だと偽って、結婚を前提に交際し、後に結婚していると判明した場合、女性は損害賠償で訴えることができるか。

答え
 この場合は不法行為による損害賠償を請求することができます。まず結婚しているのに未婚だと偽っていますから、本当に結婚する気はなかったことになります。従って、いわゆる結婚詐欺に当たると思います。結婚詐欺は結婚を名目に女性に近づいて、不純な交際をした上、金品などを詐取する犯罪行為で、刑法の詐欺罪に当たります。
 同時に民法709条により他人に不法に損害を与えた場合として損害賠償の責任があります。従って調停か、訴訟を提起し損害賠償を払わせることができます。この場合の損害は、主に女性の精神的な苦痛でありますから、慰謝料ということになります。また金品を受け取っている場合は、その代価も損害賠償の対象になります。

問2
 婚約破棄の場合、一方の当事者が、他方の当事者を訴えた事例があるか。

答え
 あります。昨年も訴訟を提起し、和解で解決したケースがあ ります。
 婚約破棄の場合の裁判例はかなり多く、いろんな問題点に対し裁判所の判断が示されています。
 まず婚約をしても、結婚を強制することはできません。これは憲法でも補償されています。
 従って、婚約を破棄することは理由の有無に拘わらずする事ができます。しかし正当な理由がない場合は、相手方に対し損害賠償をする義務があります。どんな場合に正当理由があるといえるかが問題です。婚約中に他の異性と関係を持ち子供ができたとか、サラ金の負債が多額にあるとか、相手方に暴力を働くとか、その他離婚原因になるような事情がある場合など正当理由があるといえます。他方、相性が悪い、家風に合わない、方角が悪い、相手の親戚に犯罪者がいる、親が許さない、愛情がなくなった、結婚生活がうまく行くかどうか不安になってきたというだけでは正当理由があるとはいえません。
 ただし、結婚に対する一方の強い不安が、相手の性格・態度・交際経緯からみて、もっともだと思われるような場合は正当理由があるといえます。
 損害賠償の対象となる損害は結婚準備にかかった費用、仲人に対する御礼などの損害、勤め先を退職した場合など失った利益の損害と精神的な苦痛に対する慰謝料があります。

問3
 結婚直後に双方が結婚前からもっていた資金を出して、住宅を取得したが、約1年で離婚するケースの場合、財産分与はどうなるのか。

答え
 離婚の際の財産分与は、簡単に言えば婚姻生活中に取得した共同財産を、離婚にあたって分割することを言います。
 姻生従って結婚生活が短い場合は分与する財産はほとんどないのが普通です。
 しかし民法の規定では、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他 一切の事情を考慮して、分与させるべきかどうかを決めると定めています。多くの場合夫の単独名義になっていることが多く、その場合は離婚に当たり清算をする必要があるので財産分与が行われます。問の場合、その住宅が提供した資金の割合の持ち分で夫婦の共有名義になっている場合、各人の持ち分は固有財産と見られるので、協同財産ではありません。ただし代金の一部がローンの場合は婚姻生活中の協同財産である給料から返済をしてきた場合はその部分は財産分与の対象となります。
 いずれにしろ離婚後引き続きその住宅で同居することは出来ませんから、住宅はどちらかの当事者の所有にし、他方は金銭で分与を受けるなどの方法により分割する必要があります。なお民法では「一切の事情を考慮して」と規定していますので、協力して得た財産が無くても、離婚当事者の一方が結婚に当たり勤務先を退職したとか、離婚後すぐには収入がない当事者に対し、他方が一定の金額を支払うことにより公平をはかる意味から財産分与が行われることもあります。