手入れや保管は?


時計はいつ巻けばいいか?ってのと保存はどうすればいいか? 手入れって?ってのはまず時計を手にすると 最初にぶち当たる疑問です。ここではある時計技師に実際に聞いた お話とオイラがやっていることとその理由をお話します。

よく聞く話ですが、「毎日決められた時間に巻いた ほうがいいです。」と手巻き持ちの方なら1度は聞いた フレーズでしょう。ではなぜ?そして毎日同じ時間に巻かないと どうなるか?
巻かれたゼンマイと巻いていないゼンマイを比べてみるとよく 解ると思うんですがゼンマイは巻いてあれば時計を動かす駆動力を持ちます。 当たり前っすね。では強い駆動力と弱い駆動力と比べたら なにが違うか?強い駆動力のほうが外的な障害に強いんです。
#腕を強く振ったり、付けたまま人にぶつかったり。
駆動力がなくなってくると、一定に動こうとする力は 外的な影響を受けやすくなります。 そーなると結果として時間は狂う訳です。もう解りますよね? ゼンマイってだいたいが全部巻いて40H前後です。
#中には100Hもありますが。
1日は24H。40H−24Hで残り約15〜20H。 約半分になった駆動力。それ以上の駆動力低下は時計が ショックで狂いやすい訳です。それともう一つ。ムーブメントは トータルで時間に正確にしようと作っています。 どういうこと?
巻ききると遅れます。止まる寸前はかなり進みます。 ようは平均値で考えていますので冒頭に言った 「毎日決められた時間に巻いたほうがいいです。」 と言われる由縁です。
ついでに遅れる、進む理由をもう少し説明すると 強いショックや激しい運動で進むことがありますね。 進む要因はムーブメント内の各パーツやゼンマイ自体が干渉してしまう ために起こります。だから長期にメンテナンスを 怠ると内部のグリースが液化したりしてゼンマイに付いて 表面張力で干渉したり、磁気を帯びて干渉したりします。 ありゃ、磁気の話もしなければなりませんね。

機械式時計では磁気って本当に怖いっす。 帯磁(磁気を帯びること)の原因としてよく言われているのが テレビ、ラジオなんかのスピーカー、磁気カード、携帯電話、 パソコンetc・・・なんだ!ネットを覗いているみなさんは 「帯磁するな」なんて無理かも?(^^;;
ある技師に聞いたんですが専門家でこのような知識を 持っている人でも知らないうちに帯磁させてしまうことが 結構あるそうです。「オイラは平気!」ってのはふつーに 生活している人では結構難しいと考えておいたほうがいいと 思います。OH時には「消磁もお願いします」の一言もあったほうが いいかも。個人ではどーすることも出来ませんから。 困ったことに金属って帯磁すると残ります。絶対! だんだん繰り返されて強い磁石の出来上がりっす。これを取り除くには 消磁機と言う機器で磁気を取るしか方法はありません。OHがちゃんと出来る 施設に預けないとダメってことです。ただ、磁気に強いのを 売りにしているものもあります。例えばIWCのインヂュニアとかの いわゆる「耐磁時計」です。ケースの内側や部品、ムーブメント自体が 非磁性体を使用して磁気に対して強くしている時計です。

ところで、クォーツ時計はどうなの?って疑問がありますよね? 答は機械式時計より磁気を気にしなくとも大丈夫です。 仕事上詳しくは言えませんがクォーツ時計はその構造上、 部品が少々帯磁されてもいいようになっています。 #駆動源がなにか?って考えてもらえばなんとなく解るでしょ? そりゃースピーカーの上にクォーツ時計を置けば時間は狂う場合がありますが スピーカーから離すと元に戻ります。最近流行のキネテックとかの 最新機構ですか?今はオイラ解りません。今度勉強してみますね。

では、なぜ遅れるか?ですがこれの大半は「故障」です。
#ゼンマイの巻ききり時以外ですよ。
ショックにより部品に問題が出たりガタがでたり。 組立精度に問題があったり。要するにムーブメントの 中に「抵抗」が出来て遅れる訳です。ですから ちゃんとメンテナンスしていないとホコリの侵入や 油の固化、部品の摩耗などで「抵抗」が出来る訳です。

話を基に戻しますが「定時に巻く」もしくは「一定の巻に なるべくしておく」のはあくまでも時計としての機能を 純粋に考えた「精度」の問題ですので「巻かないと壊れやすい」 とか「いざゼンマイを巻いて使う時、精度が悪くなる」 訳ではありません。複数の時計をお持ちの方や普段はクォーツで 気合入れる時は機械式な方は放っておいても問題ありません。 しかし!保管の方法が問題ですが!
では、保管はどうすればいいでしょうか?
:湿度の高いところ
ダメです。耐水モデルも出来れば気を付けたいです。 機械式時計はあくまでも「金属工業品」だと言うことを 忘れずに!
:磁界のあるところ
↑で、わかりますよね。
:不安定なところ
当たり前です。机から固い床に落したら・・・合掌。
:ケースに入れる
これは特にドレスウォッチ系に言えることですが ホコリには気を付けたいってことです。
#ここで言う「ホコリ」とは糸クズみたいな大きなものじゃ なくてミクロン、ナノメーターのホコリです。
日常生活では防ぎようがないですが君子危うきに近寄らず。なるべく 清潔な空間に置いてくださいね!
:高温のところ(温度の上下が激しいところ)
ムーブメントには膨張率の違う材料が使われています。 部品管理上の話ですがミクロン単位で精度を出している ムーブメント内で膨張、伸縮を繰り返していればいいわけがありませんね! それに油にもよくはありません。早く劣化します。
:保存の姿勢
フェイスアップが基本です。リューズを下にするのもアリですが 中にはリューズ側に秒針停止機能が来ているムーブメントも ありますので(アンティークの一部)気を付けましょう。


日常の手入れについて

時計は、使ってナンボ。
ガンガン使いましょう!すると当然、汗やらホコリやら水が気になります。 出来ればその日のうちにセーム皮等で、綺麗にしてやってください。 外側でそんなに違う訳ないって?例えばリューズの周りに脂が付いていって どんどん大きくなるとリューズのノッチ操作(時間調整なんかでカチカチと 引っ張り出したりしますよね?)の時にいかに防水モデルでも侵入していきます。 テレビでも見ながら1日の汚れを取ってやるのを日常の一部にしてください。 長持ちの度合いが違ってきます。 特に皮ベルトは汗は天敵です! オイラはしているんですがブレス、皮ベルト問わずに少し緩め に締めてます。汗対策なんですよ。風通しですね。

全体的にちょっと気にしていてもらえればさして難しい ことはないですよね!是非愛着をもって機械式時計をガンガン 使ってください。では!