観戦の前に

 

★2つのタイトル -ドライバーズとコンストラクターズ-

 F1世界選手権は、1年間を通じたポイント制で争われる。毎回、優勝したドライバーとチーム(マシン製造者=コンストラクター)には10点、2位には6点、3位には4点、以下4位〜6位には3、2、1点がそれぞれ与えられる。つまりドライバー個人としては優勝の10点が1度に稼げる最高点だが、2人のドライバーをエントリーしているチームとしては2人が1、2位を独占(ワン・ツー・フィニッシュ)した場合、いっぺんに16点が加算される。こうして年間全16戦(今年は17戦)を終了した時点で、最も多くのポイントを稼いだドライバーがドライバーズ・チャンピオンに、チームがコンストラクターズ・チャンピオンに、それぞれ輝くことになる(トップと2位との差が開いた場合、シーズン途中でタイトルが決まってしまうこともあるが)。

 ちなみに99年のドライバーズ・タイトルはマクラーレンのミカ・ハッキネン(76点)が、またコンストラクターズ・タイトルは128点(エディ・アーバイン74点+ミハエル・シューマッハ44点+シューマッハ欠場中の代役ミカ・サロ10点)をマークしたフェラーリが、それぞれ獲得した。

★予選は1発勝負!

 グランプリの週末は、大まかにいって金曜日が練習のためのフリー走行、土曜が予選、日曜が決勝である(もちろん土曜や日曜にもフリー走行の時間は設けられている)。土曜の予選は1時間。この間に各ドライバーは、翌日の決勝で少しでも前のポジションからスタートできるようにしのぎを削る。単位はわずか1000分の1秒。もし1秒も遅れたら、一気に5人ぐらいには抜かれてしまうだろう。

 1時間はどのように使ってもよい。他のドライバーが様子を見ている最初のうちにさっさと走っても、ギリギリまで待って残り10分になってからコースへ飛び出して行っても、最初の15分で走って30分間ピットで休み、最後の15分でまた挑戦というのもかまわないわけだ。ただし挑戦できる周回には制限があって、12周までしかトライできない。この中で、一番速く走れた周回のタイムがそのドライバーの予選タイムとなる。途中経過は各チームのピットに置かれた小型モニタで随時確認できる。始めのうちにトップタイムを出して余裕をかましてたドライバーが、残り5分になって他のドライバーに逆転され、血相を変えて(といってもヘルメットかぶってるからわからないけど)ピットを飛び出して行ったり、コースが混み合っているのを嫌って、少し空いてから走ろうなどと考えているうちに雨が降ってきてロクなタイムが出せなかったり、観てるとなかなか楽しい1時間なのだ。

 ちなみに決勝には予選の上位26台が進出できる。しかしここ数年、不景気もあってエントリー台数が26台に満たないシーズンも多い。そこで96年から、予選1位(ポール・ポジション)のタイムから7%以上遅れたマシンは順位に関わらず予選落ちするという「107%ルール」が適用されることになった。つまり1位のタイムが1分40秒(100秒)だった場合、1分47秒以上かかったドライバーは全員予選落ちとなる。しかし近年は各チームの戦力が接近してきたこともあり、このルールが適用されることは1年を通してもめったにない。

★さあ、決勝!

 日曜の午後、決勝は行われる。サーキットにより1周の長さは異なるが、どのグランプリでも走行距離が305キロを超えるように周回数が決められている(市街地を走るモナコ・グランプリは例外で、約262キロで終了)。ただし雨でタイムが大幅に落ちた場合などで、レース時間が2時間を超えた場合はその周回が終了した時点でレース終了となる。

 昨日の予選順位に従って、2台ずつ10列以上に渡って縦に細長く車が並ぶ。まずはタイヤ慣らしのフォーメーション・ラップ。1周だけ、ダラダラとマシンが走る。ここでは追い越し禁止。再びスタート位置で車を止める。いよいよ本番だ。エンジン音が高鳴る。ゲートには赤く丸いシグナルが横に5つ並んでいる。それが1つずつ点灯し、5つ全てが光る。その状態がほんの数秒続き、それがいっぺんに消えた瞬間…スタート!

★知っておくとTV中継がわかりやすくなる用語(意味は大ざっぱ)

ポール・ポジション(PP) … 予選1位のこと。決勝では最前列からスタートできる。

フロント・ロウ … 決勝スタート時の最前列のこと。ポール・ポジションと予選2位のマシンだけが並ぶことができる。

グリッド … 予選順位のこと。「見事5番グリッドをゲットしました」など。

ファステスト・ラップ(FL) … 決勝における、一番速い周回記録。「今日のファステストは、ハッキネンが25周目に出した1分26秒432でした」という感じで使われる。

グリップ … タイヤが路面に吸い付く力。これが弱いと、安定した運転ができない。

ダウン・フォース … 走行中、車体を地面に押さえつける力。これがないと、マシンは空に舞い上がってしまうだろう。

アンダー・ステア … ハンドル(ステアリング)を切っても、それほど車が曲がってくれないこと。

オーバー・ステア … 上と逆で、車が曲がり過ぎること。

レッド・フラッグ … 事故の発生に伴い、全車に走行を一時中断させるための旗。通称赤旗。

セーフティ・カー … 事故の発生に伴い、赤旗を出す(レースを中断する)ほどではないが、事故処理が済むまでしばらく徐行が必要と主催者が判断した場合、一時的にコースに入る車。この車が走っている間は、ドライバーは一切前のマシンを追い越してはならない。ただし差を詰めるのは問題ないので、一度この事態が起きるとせっかくの差があっという間になくなってしまったりして、観てるほうは面白かったりする。

ピット・ストップ … タイヤ交換や給油、修理などのため、レース中に一時的にピットに入ること。タイミングや作業の手際の良し悪しでレースの勝敗が左右されることもある。ちなみにピットへ出入りする通路(ピットレーン)には速度制限(80km/h)があり、超過したマシンは10秒間停止のペナルティが課せられる。

Tカー … スタート前にトラブルが見つかり、修理が間に合わないなどといった場合に備え、各チームがあらかじめ用意する予備用の車をこう呼ぶ(レースが始まったら、車の乗り換えはできない。故障して動けなくなれば、そこでリタイアとなる)。


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