Chapter-1 .....1973.12.24

ALFA ROMEO vs BMW2002ti


その昔、東名高速の瀬田と厚木の間が300円位の時代があった。ちょうど25年前の今夜と同じイブの夜、`68年製の真赤なアルファロメオ1750GTヴェローチェのヘレボーレのステアリングを握る俺は、東名の料金所でチケットを受け取ろうとゆっくりと独特の床から突き出たバスのブレーキのようなペダルを上から踏み押しながらゲートに進入しようとしていた。

すると、急に俺の車の左サイドから`70年製のアルピナ仕様らしきBMの2002tiが割り込んできた。そして、敢えて意識的に挑戦状を叩き付けるように大きくアクセルをふかし、オーバーに後輪をスピンさせながら黒い煙と共に料金所ゲートを発進した。時計は午前2時をすこしまわりかけた時だった。しかし、いつもと違ったのは何故かこの夜はすぐに血の上る俺の短気が起こらなかったことだ。

何故って、それは昨夜、六本木の狸穴近くの店でふとしたきっかけで拾った長い髪の20過ぎの女が隣にいたからだ。そしてこの先の御殿場の「隠れテル」での楽しみに向けてむしろ息子の方が急発進しそうで、とてもそんなアホな仕掛けに付合う暇などないからだ。かっこつけの馬鹿なレース屋気取りにせせら笑いを送りながら、俺はフェロモンの香りとやわらかな谷間を手に入れた満足感に酔いしれて静かにステアリングを握り真夜中のクルージングを楽しんでいた。フロントガラスの上には夜空のダイヤモンドが冷たくきらきらと光っていた。

横浜インターをしばらく過ぎた地点であろうか、ゆっくりとした上り坂を登りきり、ヘッドライトが平坦な道を遠く照らし始めたとき、先行く車のテールランプとリアーガラスに見覚えのあるシルエットが映りだした。

奴だ。さっき料金所ゲートで割り込んできた銀メタのBMの<02>の野郎だ。せっかくあれだけすっ飛ばして走り去ったのに、いまごろ何でノコノコとこんなところを走ってんだ。きっと、走りを仕掛ける相手が見つからなかったのか、それとも馬鹿げた奴の競走など誰も相手にしなかったんだろう。しばらくしてゆっくりと120kmで走っている俺のロメオのノーズの前に待ち構えていたように赤い<02>のテールランプが近づてきた。


...続く..........Chapter-2 Battle on the tomei highway