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BUNVの音楽四方山話

オペラとしての「魔笛」

コロラトゥーラの超絶技巧
夜の女王のアリアはコロラトゥーラの代表的な曲とされています。「コロラトゥーラ」とは速い経過句や走句、トリルなどのように技巧的で華やかな装飾のことです。この曲の最高音はF(ファ)と、とんでもなく高い音です。これは初演時に夜の女王役を演じたモーツァルトの義姉が高音のコロラトゥーラを得意としており、その得意技を十分に発揮できるように作られた曲だからです。
ところで、もう15年ほど前になりますが、モーツァルトを扱った「アマデウス」という映画がありました。その中で確か義理の母からだったと思いますが、モーツァルトがヒステリックにわめかれてうんざりしているシーンがありました。そのガミガミとわめきちらす義理の母がいつのまにか舞台上で夜の女王がアリアを歌っているシーンに変わってしまい大笑いしました。
夜の女王役の歌手はこの1曲だけでヒステリックな彼女の性格を表わさなければいけないので、主役を張れる歌手でないと何ともしまらない魔笛になってしまいます。


アーノンクールの解釈
オペラを見ていたらいつのまにか夜の女王が悪者に、ザラストロが善者に変わっているため最初はとまどってしまいます。たいていの解説書には、もともと大衆劇場用のオペラであったため、とにかくおもしろければよいというシカネーダー(興行師兼初演時のパパゲーノ役)の方針による、とするものが大多数です。
指揮者のアーノンクールはこの点について、例えば夫婦が離別した場合にまず夫の主張を彼の視点から聞くと妻は非常に悪い人となってしまうが、その後に妻の主張を彼女の視点で聞くと「夫はなんとひどい人であろう」と考えることはよくある自然のことだ、と解説しています。この解釈をどのように受け取るかは個々の判断になりますが、考え方のひとつとして確かにおもしろいと思います。


ウィーンの街とモーツァルト
くどいようですが「魔笛」は大衆娯楽用に作曲されたオペラです。宮廷作曲家を目指していたモーツァルトにとってははたして金のためにはいたしかたのない屈辱であったのか、あるいはようやく見つけた自分の居場所であったかはわかりません。プラハではモーツァルトのオペラを生前から理解してくれたのですが、ウィーンにおけるモーツァルトの人気はそれほどパッとしたものではなく、どちらかといえば彼の死後、「魔笛」をきっかけに過去のオペラ作品も見直されるようになったといわれています。




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