空と文字(SEA)

お答えコーナー


お答え:脱窒について


ご質問のT-Nの20mg/Lが全て有機体窒素もしくはアンモニア性窒素であり、活性汚泥法で処理していると考えてお答えします。当方の想定が異なっている場合は再度ご質問ください。
 ご存じにように、タンパク質などの有機体窒素を含む有機系排水を生物処理しますと、有機体窒素は従属栄養細菌群の複雑な酵素分解作用を経てアンモニア性窒素イオンとなります。その後、DOのある酸化環境下におかれると、アンモニア性窒素はアンモニア酸化細菌により亜硝酸イオンに、さらに亜硝酸酸化細菌により硝酸に酸化されます。(嫌気条件ではメタンガスとなりますがこれは脱窒とは言いません。)硝酸イオンは無酸素環境下で従属栄養細菌により脱窒されて窒素ガスとなります。活性汚泥中の従属栄養細菌の80%以上が程度の差はあれ脱窒能力を持っていると言われています。脱窒反応には、硝酸1に対して活性化水素5が必要となりますが、その供与は、主として反応槽初段では流入水中の易生物分解性基質が、反応槽後段以降では細胞内外の蓄積物質や内生呼吸作用が利用されます。ここでは沈殿槽におけるスカム浮上のご質問なので、蓄積物質と内生呼吸に論点が絞られます。内生呼吸とは活性汚泥の自己酸化によるDO消費のことで、Krを計りますと5-6mg/L/時です。しかし、内生呼吸の速度はDOがゼロに近づくと低下します。蓄積物質のないフェーズ4以降の活性汚泥を利用しますので、無酸素状態となりにくく脱窒速度が非常に遅いです。従って沈殿池の沈殿時間内ではスカム浮上するほどの窒素ガス量が生成する事はないと思います。ちなみに内生呼吸を利用した脱窒プロセスはブールマン法と呼ばれてます。
 そこで、ご質問の沈殿槽の脱窒では、蓄積物質の過多が議論の対象となると思います。蓄積物質の多い活性汚泥はフェーズ3以前のものです。ただフェーズ1までは硝化していませんので、フェーズ2と3に議論を絞られていただきます。
 フェーズ2では、亜硝酸による脱窒を考慮しなければなりません。反応槽流出MLSSのDOにも因りますが、フェーズ2のMLSSはKrが高いので、亜硝酸による脱窒は非常に早く、蓄積物質の多い条件では活性汚泥が沈殿槽で濃縮するまえに、分配槽や流入口で脱窒してしまいます。そして沈殿槽の手前側に薄膜状に浮上すると思います。このスカムはスカムスキマとシャワーで対応可能です。この際、硝酸が同時にあったとしても脱窒は沈殿槽手前側で起こると思います。このため、フェーズ2では脱窒スカム浮上トラブルは多くないと思います。むしろ私は亜硝酸の蓄積による活性汚泥の活性低下に注意します。
 フェーズ3では、硝酸が脱窒の対象となります。細胞内外の蓄積物質もそれなりに処理されているので、Krはフェーズ2よりもかなり下がります。しかし、また、アンモニアも残っているでしょう。沈殿槽内で引き抜きに時間がかかれば、沈殿・濃縮後に硝化等によるDO消費が進み無酸素となり脱窒します。
 濃縮してますので、脱窒のフロックは牡丹雪のように、大きなフロックとなり、雪降り状態に浮上します。汚泥の滞留時間が長ければ、スカムで沈殿槽表面が覆い尽くされます。ただ文献に因りますと硝酸濃度8-9mg/L以下では脱窒量が少ないので、スカム浮上はそれほどひどくはならないようです。
ここでのKrは、硝化のKrと自己酸化のKrおよび蓄積物質に関わるKrに分けて考えることが出来ます。アンモニア量がほとんど無いか、Rrを計っていて途中で硝化が終了(Rr値が低下する)程度のアンモニア量ならば、硝化に関わるKrはたいしたことはありませんので、汚泥が沈殿槽で濃縮しても無酸素になりにくいかもしれません。脱窒量は少ないと見て良いと思います。
 なお、余談ですが、硝化に関わるRrとKrはATU添加Rrから差し引きで推定が可能です。
問題なのは、水量の変動や負荷の変動により、ある時間に蓄積物質の多く含んだMLSSが沈殿槽に多くに流れ込んで沈殿槽末端まで堆積してしまうことです。こうなると多量の脱窒スカムの浮上はさけられません。越流堰を工夫したり、沈殿池後に濾過槽を設けたりそれなりに工夫していくしかありません。
 活性汚泥法ではトラブルをさけるために、負荷変動は極力さけたいものです。


メール

トップ


空と文字(SEA)