Since Feb 1998

Tsuyoshi Watanabe

Up date 99/9/7

目次

1. 研究テーマ

2.サンゴ礁と地球環境(研究紹介と私が考えること)

3. 研究業績

 3.1 これまでに公表したもの(近くするもの)

 3.2 学会講演

 3.3 論文紹介・ゼミ発表

4. サンゴ・地球温暖化関連記事

5. フィールドワークの写真

6. リンク集

7. ご意見箱

 


,大学でサンゴ礁と地球環境に関連した研究をしています.といっても僕自身は札幌に住んでいます.時々,頭の中で南の島に行ってぼーっとしている自分を想像したりして,気持ちよくなっています.ちょうど10年前に北の大地に憧れて北海道にやってきた僕ですが,今度は南の島が気に入ってしまったようです.でも,実際にサンゴのいる南国にいったりもしますけど,なんせ北海道からだと行くのに時間とお金がかかっていまい,しょっちゅういくわけにはいきません.北海道は夏も涼しく,あの暑い太陽が遠くに感じられてしまいます.そこで,サンゴ礁に興味のあるいろんな人と一緒にお話ができればいいなと思って,こういうホームページを作ることにしました.一緒に,サンゴ礁についてあれこれ考えてみませんか?僕のサンゴ礁とのご対面はまだ少なくて,いままでに沖縄本島(瀬底島),慶良間諸島,石垣島,西表島,プエルトリコのサンゴ礁を見たことがあります.それぞれに感じが違っててよかったです.もっといろんな所にいって潜ってみたいんですが,僕が今やっている研究というのは,サンゴの骨格に刻まれた環境変動の記録を読み出すというのが主な内容なので,フィールド調査ばかりってわけにもいかないのです.本当は,実験室での作業より海に潜ったり山を歩いたりする方がすきなんですけど.

 ンゴはすごく綺麗です.でも,それだけではなく,とっても重要なものでもあります.長い時間をかけて形成されたサンゴ礁は島を作ります.その上では人々が生活し,サンゴ礁の入り組んだ地形は魚や浅い海に棲む生物たちの格好の生活の場になるわけです.ところが,今,世間で騒がれいる地球温暖化が進むと,南極の氷が解けて地球の海水面が急激に上がってしまい,いままで頑張って成長してきたサンゴ達の成長が追いつかなくなります.そうすると,多くの南の島は水没する危険にさらされ,さらに,死んだサンゴ礁は浸食を受け,二酸化炭素が解けだしで温暖化は更に加速されてしまいます.だから温室ガスの排出を押さえてサンゴ礁を守りましょう.と,今のところそういう話になっています.随分深刻そうな話にサンゴもまきこまれたもんです.でも,本当のところはまだ何もわかっていないんですよね.本当に地球が温暖化しているのかっていうことだって,世界中の研究者が集まってあれこれ悩んでいるところです.もちろん,僕にもわかりません.だって,ちょっと前までは,地球は寒冷化に向かっているっていうのが常識のように言われていたではありませんか.今,本屋さんに行けば地球温暖化っていうタイトルの本がどこにでもあるように,そのころはちょいと探せば「寒くなる地球」なんて本があったわけで.どちらもある意味では本当だし別の意味ではそうではないのでしょう.それはきっと地球が生きてきた時間というのが,我々人間が経験してきた時間に比べるとあまりに長すぎるのが原因なんでしょう(地球はこれまでにも今回の温暖化など比べものにならないような激しい気候変動を経験してきたし,それに伴って生物は絶滅や進化を繰り返してきたわけです).でもこればっかりは自分や自分たちの子共達の将来に関わることだからそう簡単に諦めるわけにはいきませんね.もし,本当に人間が排出したガスで温暖化が進んでいるんだとすれば,どうすればいいのか具体的なことを考えないといけません.僕個人としては,これまでの地球の歴史にも生物が原因で地球の環境が変わってしまうこともいくらでもあったし,そうやって今の地球があるわけで,かならずしも,人類が地球の環境を変えてしまうことが絶対的に悪いことだとは思いません.こんなことを言う環境保護団体の人たちから文句をいわれるかもしれません.しかし,ある生物が環境に極度に適応しすぎて,広範囲にわたって異常に繁殖し,その結果,自分自身で環境を悪化させ,あるいは急激な適応の結果,特異化しすぎて環境変化に弱くなって,ついには絶滅していくというのは過去の地球に見られるそう珍しくない現象だと思うからです.それでも,やはり僕が,今の地球環境を守りたいと思うのは,サンゴ礁や北海道の湿原なんかもそうだけど,地球の自然というのが純粋に綺麗だと思うからです.本来,人間(人類とは違う意味で)は自分が綺麗だなと感じたなものを大事にしたり,他人に見せたくなったりするものなんだと思います.そして,それは自分の好きな人や大事な人にはなおさら見せてあげたいなと思うんじゃないかな.この前の京都会議では世界のお偉いさんが温室ガス削減案の数値目標なんかについて話し合ってたみたいだけど,あんまりいい感じではしませんでした.よくはわからないけど,どれだけなら経済を低迷させないで削減できるかっていう話でしょう.当日は環境に悪いからとか言って馬に乗ってきたりして.こういう話し合い自体はとっても意義があることだと思うし,僕自身も経済の発展による便利さの恩恵を受けまくっているわけだけど,果たして,ここまで発達してしまった人類の栄華の存続と地球環境の保守は両立するものなんだろうかって,思うからです.それはちょうど,ある野生動物が沢山いるときは見向きもしないくせに,いざ残り少ないことがわかるととたんに特別保護なんていってむりやり繁殖させようとしたりするのと似ている気がします.そこには自分たちがやってきたこと(自然を開拓して発展してきた人類)を棚に上げて,ただ悪者に思われたくないというある種の偽善的なものを感じてしまいます.人間が拡散すればそれだけ他の動物の住処は減少して行くし,産業が発展すれば地球が汚れるのは必定です.人類がしてきたことをもっと単純に善も悪もなく公平に見つめて,それが地球の他の生物や自然環境にどう影響を与えてきたかを評価する必要があると思います.そこではじめて,明快な未来予測ができるんではないかと思います.そこで,ずいぶんと前置きが長くなったけれど,サンゴの持つユニークな別の側面を利用してそういう問題を解決できないかなというのが僕の当面の研究テーマでもあります.

 ンゴは種類によっては群体(ひとつの個体が何個もつらなったって一つになったもの)として何百年もの間,生き続けるのです.おまけにサンゴの骨格は,木の年輪と同じように一年一年年輪を刻みながら成長していきます.そこで,その間のサンゴの骨格やその化学成分等をを調べれば過去の気候変動やエル・ニーニョ,火山活動といった地球環境の歴史が読みとれるのです.もちろん,屋久島の杉のように何百年も生きつづける樹木はサンゴの対抗馬ですが,残念ながら熱帯地域では明瞭な年輪を刻みません.最近,エル・ニーニョなどに代表されるように,実は熱帯地域で発生する熱量が全地球の気候システムを駆動しているのではないかなどといわれるようになり,こういった研究が注目を浴びてきつつあるわけです.

分と偉そうなことを言ったけど,僕もまだ始めたばかりでわからないことだらけです.今までに発表したサンゴ礁に関連する文章を紹介しますので,是非,ご意見・ご感想・ご批判お寄せください.なんでも受け付けます.僕のやっていることや考え方になんらかの反応があれば,これほどうれしいことはありません.今後の活動の重要な糧となります.また,サンゴ礁に関係する情報や考え方を募集しています.どんな些細なことでも結構です.一緒にあれこれ議論しましょう.

ンゴ礁を形成するサンゴは造礁サンゴとよばれ,宝石店で売られている宝石サンゴとは違います.分類からいうとほとんどが腔腸動物花虫綱、六射サンゴ亜綱のイシサンゴ目になります.また,サンゴは自身でもポリプの触手を使ってプランクトンを食べたりしますが,造礁サンゴの多くは体内に共生藻類を共生させていて,栄養分を共生藻類からもらっているので,光が届く水のきれいな浅い海に生息します.水温も比較的暖かいところを好み,日本でも南の沖縄から北の千葉県のの館山湾にまで生息しています.特に,館山湾は世界の造礁サンゴの北限でもあります.


2.1 研究発表(近くするもの)(万一,引用してくれる場合は出典先を明記ください)

緑文字のものは本文にリンクしています

T. Watanabe, A. Winter, and T. Oba: Seasonal changes in sea surface temperature and salinity during the Little Ice Age in the Caribbean Sea deduced from Mg/Ca and 18O / 16O ratios in corals, submitted to Earth and Planetary Science Letters

A. Winter, H. Ishioroshi, T. Watanabe, T. Oba, Fidelity of coral isotopes in recording environmental variables in the eastern Caribbean. Submitted to Journal of Geophysical Research

T. Watanabe and T. Oba, Daily reconstruction of water temperature from oxygen isotopic ratios of a modern Tridacna shell with freezing microtome sampling technique. Journal of Geophysical Research, in press.

T. Watanabe: Paleoenvironments of the Little Ice Age in the Caribbean Sea using stable isotopes and trace elements in coral skeletons. Ph.D. thesis, 100 pp., Hokkaido University, Japan, 1998.

A. Winter, T. Oba, H. Ishioroshi, T. Watanabe, Fidelity of coral isotopes in recording environmental variables in the eastern Caribbean. Eos Trans AGU, November 18,1997

渡邊 剛・石下洋志・大場忠道 カリブ海のサンゴ記録と海洋環境復元,地質ニュース,527,37-42,1998

渡邊 剛・大場忠道 冷凍マイクロトーム法による現生シャコガイ殻の酸素同位体比より推定される詳細な水温変化,地球化学,32, 87-95, 1998*(図表付き)

A. Winter, T. Oba, H. Ishioroshi, T. Watanabe, Fidelity of coral isotopes in recording environmental variables in the eastern Caribbean. Eos Trans AGU, November 18,1997

T. Oba, H. Ishioroshi, T. Watanabe, Comparisons using Oxygen and carbon isotopes from a Puerto Rican coral between 1980ユs and Little ice age, Proc. 3th Int. Marine Science Symp. 22-28, 1997

渡邊 剛・ウィンター,アモス・大場忠道「カリブ海プエルトリコの海水の酸素同位体比及び海水中の全炭酸の炭素同位体比」<カリブ海での過去数百年の気候変化とサンゴ礁周辺海域での生物・有機物分布>,平成8年度科学研究費補助金(国際学術研究)研究成果報告書,1997年,80-84

★渡邊 剛「現生シャコガイ殻の酸素・炭素同位体比に基づく環境変動」北海道大学大学院地球環境科学研究科修士論文,本文107貢,図表12,1996. 要旨,(日本語,English)

★渡邊 剛・大場忠道 石垣島産現生シャコガイ殻の酸素・炭素同位体比,月刊地球, 17, No. 11, 728-730, 1995

★渡邊 剛「四射サンゴの後期成長期のおけるセプタの挿入方式のついて」北海道大学理学部地質学鉱物学科卒業論文,本文44貢,図版80,1994


2.2 学会講演(要旨は引用可,発表原稿は不可)

(19) Tsuyoshi Watanabe, Amos Winter, and Tadamichi Oba: Seasonal changes in sea surface temperature and salinity during the Little Ice Age in the Caribbean Sea deduced from Mg/Ca and 18O / 16O ratios in corals, AGU Fall meeting, San Francisco, Dec. 12-17, 1999 (講演予定)

(18)渡邊 剛・大場忠道・Amos Winter: サンゴ骨格の酸素同位体比とMg/Ca比を用いた過去の水温と塩分の復元,日本地球化学会,つくば,1999年10月1日(講演予定)

(17) 渡邊 剛・大場忠道・Amos Winter: サンゴ骨格の安定同位体および微量元素を用いたカリブ海における小氷期の古環境復元,日本海洋学会,函館,1999年9月16日(講演予定)

(16) Tsuyoshi WATANABE, Amos WINTER, and Tadamich OBA, Marine Environmental Reconstruction using stable isotopes and trace elements in coral skeletonss, International symposium on fossil cnidaria and porifera, Sendai, September 12-16, Sep. 12th, 1999 (講演予定)

(15) Tsuyoshi Watanabe. Paleoenvironments of the Little Ice Age in the Caribbean Sea using stable isotopes and trace elements in coral skeletons, Dissertations Symposium on Chemical Oceanography (DISCO), Honolulu, May 3, 1999

(14) 渡邊 剛・大場忠道:カリブ海プエルトリコ産サンゴ骨格の酸素同位体比とMg/Ca比を用いた小氷期の水温・塩分の復元,日本古生物学会,仙台,1999年1月31日

(13) B喇m,FD, Dullo W-C, Eisenhauer A, Joachimski M, Oba T, Watanabe T, Winter A., Inter- and Intraannual Stable Isotope Records from Caribbean Sclerosponges at 125m Water-depth, AGU Fall meeting, San Francisco, Dec. 6-10, 1998

(12) 狩野彰宏・渡邊 剛:トウファ堆積場における水の安定同位体,日本地質学会,長野,1998年9月27日

(11) 狩野彰宏・渡邊 剛:トウファの安定同位体比変動からわかる古気象変動,地学団体研究会,島根,1998年8月2日

(10)渡邊 剛・石下洋志・大場忠道・Amos Winter,サンゴ記録のもつ精度と解像度の評価ープエルトリコ産のサンゴ骨格を例にしてー,日本古生物学会,札幌,1998年6月28日 講演要旨

(9)渡邊 剛・石下洋志・大場忠道,プエルトリコ産サンゴ骨格に記録されたカリブ海の環境変動,日本サンゴ礁学会,沖縄,1997年11月3日 講演要旨

(8) Winter A, Oba T, Ishioroshi H, Watanabe T., Fidelity of Coral Isotopes in Recording Environmental Variables in the Eastern Caribbean. AGU Fall meeting, San Francisco, Dec. 8-12, 1997.

(7)  T. Oba, H. Ishioroshi, T. Watanabe,Comparisons using Oxygen and carbon isotopes from a Puerto Rican coral between 1980ユs and Little ice age,International Marine Science Symposium,Tokyo, Oct. 16, 1997

(6)渡邊 剛・石下洋志・大場忠道・Amos Winter,プエルトリコ産サンゴ骨格を用いた環境解析,日本地質学会,福岡,1997年10月12日 講演要旨

(5)渡邊 剛・大場忠道,現生シャコガイ殻の酸素・炭素同位体比の高精度分析,日本地球化学会,札幌,1996年8月27日 講演要旨

(4)渡邊 剛・大場忠道,石垣島産現生シャコガイ殻の酸素・炭素同位体比と気象データの比較,日本地質学会,仙台,1996年4月3日 講演要旨

(3)渡邊 剛・中森 亨・大場忠道,シャコガイ骨格中の酸素・炭素同位体比に基づく環境変動,日本地質学会,広島,1995年4月3日 講演要旨

(2)渡邊 剛,シャコガイ骨格中の酸素炭素安定同位体について,日本地質学会夜間小集会,札幌,1994年9月25日 発表原稿
(1)渡邊 剛,四射サンゴの後期成長期におけるセプタの挿入方式について,日本地質学会,札幌,1994年9月24日 講演要旨


2.3 その他(申請書・研究計画等)(引用不可)


2.4 その他(論文紹介・ゼミ発表)(引用不可)

1993/6/3理学部層位学講座ゼミ

1994/7/6地球環境変遷講座ゼミ

1994/11/24地球環境変遷講座ゼミ

1995/7/13地球環境変遷講座ゼミ

1995/12/14地球環境変遷講座ゼミ

1996/11/7地球環境変遷講座ゼミ

1997/2/20地球環境変遷学講座ゼミ

1997/9/25地球環境変遷学講座ゼミ

1997/2/19地球環境変遷学講座ゼミ

1998/7/30地球環境変遷学講座ゼミ


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リンク集 カモの子育て日記 北大ひょうたん池に棲むカモ親子の観察日記 大屋 渡のホームページ ダイオキシン関連の仕事をしている作者の友人が,今の環境問題を彼自身の言葉で 語っています.
背景写真;サンゴ群体の水中ボーリング風景

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