日々変わらない閉塞的な、ひどく単調な風景が目の前を通り過ぎていく。隣の駅前で銀行強盗があって、僕の知らない誰かが撃たれて死んだ。戦争が起きるかもしれないらしい。株の値段がどうとかこうとか、拉致問題の被害者が怒りをあらわにしている。昨日駅に向かう途中で50過ぎあたりのスーツ姿の人と肩がぶつかった。何事もなかったように行ってしまった。そしてそのことに誰も気がつかなかった。  僕は確かに生きているはずなのに、現実感なく日々が過ぎていく。

    第2節 友子との出会い
 コンビニのアルバイトはとにもかくにも、僕につまらない考えを起こさせないだけの単調な忙しさを与えてくれた。学生のときと同じように、決められたことを仲間とうまくこなせばいい。
 年齢ではなく、ここでの掟はどれだけ長いかだ。それを覆す唯一の方法は勤務時間を増やし、多くの飲み会に出て顔を利かすこと、社会人とは権力の誇示の仕方が違う。これをたいしたことがないとたかをくくってしまうリストラ組みはいつまでもこの社会にはなじめないか、あるいは徹底的にその枠組みを破壊してしまう。
 僕は好きな時間に好きなだけ勤務シフトを要れてかまはないという、都合のよさと、ことごとく飲み会には積極的に参加したことから、馴染むのにそれほど時間はかからなかった。
 学生連中からは「隆さん」と呼ばれ、兄貴分のような感じで慕われはじめていた。まあ、一人暮しをしていた分たむろする場所としてうまく利用されている感もあったが。
 その仲間の中に、確かにほかの子達とは違う雰囲気をかもし出していたのが、フリターとして働いていた友子だった。
2003年03月15日 14時33分31秒

第1章 第1節 僕の日々
 どこにでもいるフリーター。親のすねをかじり、そこそこの大学を卒業して、一旦は就職活動をして何とか入れた旅行代理店に勤めるも、これも不況のせいなのか、社会の何たるかどころか、ある程度の蓄えもないままに放り出された。
 精神的なダメージなど話したところで弱音しかならず、その弱音のままコンビニでアルバイトをはじめた。まだ大学の友人には話していない。会社が倒産したときにはテレビで見たとかなんとかで、電話をしてくれた友人も多かったけど、まあ、あえてアルバイトが決まった程度で連絡をとるのも恥ずかしかったし、今は正しい事を聞きたくなかった。
 正しいかどうかなんて、今は考えたくなかった。
2003年03月13日 20時49分39秒

私のホームページへ | NeverLandのページへ | メイン | 今すぐ登録