<西洋教育史>
赤=重要
青=やや重要
緑=余裕があれば覚える
〜古代の教育〜
@ギリシャ・・・BC9〜8、ポリス(都市国家)の誕生
BC5〜4、スパルタ、アテネの登場
スパルタ・・・健強な軍人養成を教育目標に。
アテネ ・・・教育は自由に委ねられるべきもの ◎16歳男子=ギムナシオンで体育、格闘技
Aソフィスト=「知者」・「教養ある人」
・プロタゴラス・・・青少年に対する教育を職分とすることを公言。 ◎「人間は万物の尺度である。」
・ソクラテス・・・産婆術(問答と通して省察を加える技法。相手が知を生み出すのを助けるという意味から)
・プラトン・・・ソクラテスの弟子。アテネ近郊にアカデメイア(アカデミア)を開き、研究・教育力を注ぐ。
国家の目的は四主徳を実現することにあると主張。 著書『国家篇』
・イソクラテス・・・BC393、アテネに修辞学校を開く。
・アリストテレス・・・プラトンのアカデメイアに学び、後にマケドニアに招かれる。アレキサンドロスの即位と
共に、アテネに帰り、リュケイオンを開く。 ◎著書『政治学』
◎「人間はポリスにおいて初めて本性を完成させることのできる動物」
Bローマ・・・教育は専ら家庭で行われた。 → BC2〜ギリシャの教育観や学校制度を模倣。
・カトー・・・ギリシャ的風潮を批判。 著書『由来記』
・キケロ・・・時代の先駆者。共和制ローマ時代最後の雄弁家といわれる。 著書『雄弁家論』
・ワルロ・・・カトーやキケロを統合した立場。 著書『自由教育論』 ※キケロの親友
・クインティリアヌス・・・ローマに修辞学校を開く。
〜中世の教育〜
中世の教育=禁欲主義の生活によって精神の救いを求める。
@キリスト教の教育・・・キリスト教=近世文化の先駆的な役割を果たす。
唱歌学校・・・初等教育:読み、書き、計算、唱歌、祈祷など。
修道院学校、本山学校・・・中等教育:三学(文法、修辞学、弁証法)四科(算術、幾何学、音楽、天文学)
・教父哲学――アウグスティヌス・・・教会での信仰を重視。 著書『告白』、『神の国』、『三位一体論』
・スコラ哲学――トマス・アクィナス(13c)・・・『神学大全』
A騎士の教育・・・乗馬やチェスを含む七芸を重視。
・宮廷学校での教育・・・フランク王国のカール大帝など。
B大学の誕生・・・ヨーロッパでは13c。
・ボローニャ大学=北イタリア、法学
・サレルノ大学=南イタリア、医学
・パリ大学=北欧最古、神学
C市民の教育・・・ギルドを組織し、階級別の市民向けの教育機関を設ける。
上流市民学校=リューベック、ハンブルグ(独、13c)、公衆学校(イートン・ラグビーなど。英、14c〜)
下層市民学校=ドイツ後学校(読・書・算)、ギルド学校(英)、教区学校(各国の牧師が設置)
〜ルネサンスと教育〜
◎ルネサンス=文芸復興。発祥地=イタリア、14c〜
→ダンテ・・・ルネサンスの先駆者。 著書『神曲』
(ドイツ)・・・スコラ哲学の衰退 16c=ギムナジウム・・・人文主義の学校、ラテン語学校から発展。
(イギリス)・・・15c〜人文主義が浸透。 トマス・モア・・・著書『ユートピア』
(イタリア)・・・ペトラルカ 『孤独なる生活について』
ボッカチオ 『デカメロン』
アルベリティ 『家政論』・・・人間形成の基本を家庭教育と捉えるべきことを主張。
ヴィトリーノ 「楽しき家」という学校を開設。
(フランス)・・・ビューデ 「コレージュ・ド・フランス」の創設に尽力。
ラブレー 『ガルガンチュア物語』
モンテーニュ 『随層録』・・・自然研究と母国語による教育を主張。
(オランダ)・・・エラスムス 『愚神礼賛』『学習方法論』『幼児教育論』
(スペイン)・・・ヴィーヴェス 『学問論』・・・教育の在り方に就いて提言。
〜宗教改革の教育〜
・ルター・・・良心の宗教を提唱。キリスト教の精神の回復に尽力。宗教改革の口火となる。
著書『教義問答書』(カテギズム)
・メランヒトン・・・ルターの協力者。 『ザクセン選挙侯国学校規定』の作成。 ※「ドイツの教師」
・ブーゲンハーゲン・・・ヴィッテンベルグ大学時代、メランヒトンの同僚。 ※「ドイツ国民学校の父」
(スイス)旧教の教育宣伝活動
・カルヴァン・・・宗教改革を展開。 著書『キリスト教綱領』
・イエズス会(ジェスイット教団)・・・ロヨラによって組織された旧教徒の一団。
→1549年、フランシスコ・ザビエルが日本に来訪。
〜実学主義の萌芽〜
◎16c〜17c=人文主義的教育の衰退 → 実学主義が重用。
・ガリレイ(地動説)、コペルニクス(地動説)・ベーコン(帰納法)
・ミルトン・・・人文的実学主義。 著書『失楽園』
・モンテーニュ・・・社会的実学主義。 ※ロック、ルソーなどに影響を与える。
・マルカスター・・・感覚的実学主義 ◎ラトケ(独)、コメニウス(チェコ)らも。
〜近代の教育〜
@実学主義の教育思想家
・ラトケ・・・ドイツ。近代教授法の創始者。 著書『フランクフルト意見書』 ※「すべては祈祷から」
・コメニウス・・・チェコ。世界同胞国家の実現。 著書『大教授学』・・・階級差別のない単線型学校を構想。
『世界図会(絵)』 ◎実現陶冶
A17cの教育実践家
・ヤンセン派・・・アウグスティヌス思想に基づき、旧教会の改革を目指す。
パリ郊外のポールロワイヤル修道院を中心に。
・フェヌロン・・・女子教育を系統的に論じる。 著書『女子教育論』
・フランケ・・・ドイツ。福音主義と実学主義の統一を図る。 ◎フランケ学院・・・孤児の教育。
・ラ・サール・・・フランス。「キリスト学校同胞」を組織し、庶民の学校教育に努める。
・ロック・・・17c、イギリス経験論の大成者。啓蒙思想家。 著書『自由論』『教育に関するする一考察』
『人間悟性論』など。 ※「この世の幸福とは、健全な身体に宿る健全な精神の状態である。」
◎ドイツ=リッターアカデミー・・・貴族の子弟を対象。
B啓蒙主義の教育・・・人間の理性による納得と事物確認を拠り所とする。
・エルヴェシウス・・・教育万能論。『精神論』、『人間論』→百科全書派に継承。
・ルソー・・・フランス。『エミール』・・・消極教育を提言。『人間不平等起源論』
「子どもの発見」「人による教育」「自然による教育」
・バゼドウ・・・ドイツ。汎愛派。『初等教授書』 ◎デッサウに汎愛学舎を開設。
・ザルツマン・・・ドイツ。『蟹の本』『蟻の本』◎グーツムーツとシュネッペンタール学校を設立。
・ペスタロッチ・・・ドイツ。『隠者の夕暮れ』、『リーンハルトとゲルトルート』・・・民衆教育の必要性を説く。
『探求』、『シュタンツ便り』、『白鳥の歌』、
『ゲルトルート児童教育法』・・・3H’sの思想(手・頭・心) ◎直観教授
C新人文主義の教育
・カント・・・ドイツ。『教育学』・・・「人間は教育されなければならない唯一の被造物である」
『純粋理性批判』、『実践理論批判』
・フィヒテ・・・ドイツ。国民教育の必要性を説く。 演説『ドイツ国民に告ぐ』
・ゲーテ・・・ドイツ。一般的人間陶冶と職業陶冶とを統一した人間形成を構想(ヴィルヘルム・マイスター)。
・フンボルト・・・ドイツ。ベルリン大学の創設。
〜市民革命・産業革命と教育〜
◎18c末、イギリス・・・産業革命により農村から都市へ流入した都市住民の子弟教育が必要になる。
→ベル、ランカスターによる助教法(モニトリアル・システム)・・・一斉教授法
・ニューラナーク・・・スコットランド。空想的社会主義思想家。「性格形成学院」を創設。
・ミル・・・イギリス。『自由論』
・スペンサー・・・イギリス。『知育・徳育・体育論』
(アメリカ)・・・近代公教育の諸原則を含む教育制度を構想。→現実には時間がかかる。
・ジェファーソン・・・第三代大統領。『知識普及促進法案』
(フランス)
・コンドルセ・・・「公教育の全般的組織に関する報告及び法案」・・・近代公教育の諸原則。
・ルペルチェ・・・教育の平等を構想。「国民教育舎」を提案。
〜近代公教育制度の確立〜
◎1870〜1880=国民教育制度の確立。
・イギリス・・・1870=初等教育法(フォスター法)
6〜13歳の就学義務や公費による初等学校の設立、維持が規定。
・フランス・・・1833=初等教育法(ギゾー法)
市町村の初等学校設置の義務化、国庫補助の制度化。
・アメリカ・・・ホレース・マンが義務教育法を制定(1852)。 ◎「アメリカ公立学校の父」
・ドイツ・・・1872=「一般学校諸規定」→初等教育制度の確立。
「学校監督法」→学校監督権を教会から国家に移管。
〜ペスタロッチ思想の継承者〜
・ヘルバルト・・・ドイツ。ルソーやペスタロッチの教育思想を学問に体系化。 著書『一般教育学』
四段階教授法・・・「明瞭ー連合ー系統ー方法」
・ライン・・ヘルバルトの4段階教授法を発展させた5段階教授法「予備ー提示ー比較ー総合ー応用」
・ツィラー・・・5段階教授法・・・「分析ー総合ー連合ー系統ー方法」
・モリソン・・・アメリカ。単元学習(モリソン・プラン)・・・反復練習重視。ヘルバルトの4段階教授法を発展。
・フレーベル・・・ドイツ。恩物などの遊具を考案。史上初の幼稚園「一般ドイツ幼稚園」を創設。
著書『人間の教育』・・・開発主義を継承。
〜現代の教育〜
@19c末〜20c前、「新教育」・・・ドモランの著書に由来。
アメリカ=進歩主義教育、ドイツ=改革教育学
・エレン・ケイ・・・スゥエーデン。『児童の世紀』
「教育の最大の秘訣は教育しないことである。」
A各国の新教育運動
(アメリカ)
・シェルドン・・・オスウィーゴー運動 ◎明治初期の日本に影響。
・パーカー・・・コア・カリキュラムによる教育活動。
・デューイ・・・児童中心主義。新教育運動を理論的に体系化。 ◎シカゴに「実験学校」を併設。
『学校と社会』『民主主義と教育』
・キルパトリック・・・プロジェクト・メソッドを提唱。
・パーカースト・・・ドルトン・プランを提唱。
・ウォッシュバーン・・・ウィネトカ・プランを提唱。
(ドイツ)・・・リーツがイルゼンブルグに「田園教育舎」を創設。
・ケルシェンシュタイナー・・・『ドイツ青少年の公民教育』、
『労作学校の概念』・・・労作教育論を提唱し、公民教育論を展開。
・シュプランガー・・・『生の諸形式』・・・文化教育学を提唱。
・ナトルプ・・・『社会的教育学』
・クリーク・・・『人間形成論』
・モイマン、ライ・・・実験主義教育学の樹立。
・ペーターゼン・・・イエナ・プランを計画、実践。
(イギリス)
・セシル・レディ・・・1889、アボッツホームに寄宿制の男子中学校を開設。
・ニール・・・1924、サマーヒルスクールの創設。
(フランス) ドモラン・・・パリ郊外にロッシュの学校を開設。
(イタリア) モンテッソーリ・・・「児童の家」を指導←幼児教育で普及。 ◎女性初の医学博士
(ベルギー) ドクロリー・・・「生活による生活のための学校」を開設。 ◎日本大正自由教育に影響。
◎ドクロリー法
(ソビエト) クルプスカヤ・・・『国民教育と民主主義』
〜欧米の教育改革〜
@イギリス・・・1944=バトラー法・・・5〜15歳までの10年間を義務教育に。
→1967=クラウザーレポートを根拠に義務教育年限を1年延長、11歳試験の廃止。
3系統の中等学校から総合制中等学校(コンプリヘンシブ・スクール)への切り替え。
1988=ベイカー法・・・カリキュラムや地方教育当局の権限を変更。
Aフランス・・・1947=ランジュヴァン・ワロン案・・・平等と多様性を原理とする。
1959=ベルトワン改革・・・6〜16歳までの義務教育、
5年間の基礎課程+2年間の観察課程。
1963=4年間の観察・指導課程に改正。
1975=アビ改革・・・5年間の基礎課程、4年間の観察・指導課程のコレージュ、
3年の後期中等教育課程のリセに整備。
B旧西ドイツ・・・1959=ラーメン・プラン・・・4年間の基礎学校、2年間の指導課程、
7,9年間のギムナジウム
1964=ハンブルグ協定・・・中等教育機関の名称がギムナジウム、レアールシューレ、
ハウプトシューレに統一。義務教育も9年間に。
Cアメリカ・・・「スプートニク・ショック」
経験主義から科学技術・英才教育へ。
・ブルーナー・・・著書『教育の過程』で発見学習を提唱。
「どの教科でも知的性格をそのままに保って発達のどの段階の
子どもにも効果的に教えることができる。」
◎1980年代・・・従来の3R’sに理科、コンピュータ、外国語を必修科目とする「新しい基礎」の必要性。
D旧ソ連
・労働教育や総合技術教育の導入。
・1985=ペレストロイカを断行。
・1991=ソ連解体→教育制度の大きな変化。