〜学習の理論〜


<学習と学習理論>
学習=経験に基づく比較的永続的な「行動の変容」 ※身体の成熟や一時的な変化は含まない。
◎学習理論・・・連合説認知説
@連合説外界の刺激(S)と人や動物の反応(R)につながりができることが学習と考える。
        S―R理論とも呼ばれる。
 (1)パブロフ条件反射説 = 古典的条件付け
     条件刺激と無条件刺激の対提示によって条件刺激が条件反応を引き起こし、
     学習を成立させる過程。=レスポデント条件付け
 (2)スキナーオペラント条件付け
     学習を促進するためにエサ(報酬)を与え,何度も経験させ学習を促進する。=道具適条件付け
 (3)ソーンダイク試行錯誤説
     試行錯誤をして学習すること。→学習の成立過程を刺激状況と反応との関係で説明。
     効果の法則=ある刺激状況(S)で、ある反応(R)を行い、それがもし満足を伴えば、そのSとRの
              間の結合は強くなり、SのもとでRが起こる傾向は強くなる。一方、同じことが不満足
              を伴えば、SとRの結合は弱くなり、SのもとでRは起こらなくなる。

A認知説=外界の刺激全体に対する人や動物の認知の変化が学習と考える。S―S理論とも呼ばれる。
 (1)ケーラー洞察説
     学習は試行錯誤的に行われるのではなく、洞察によって行われることを主張。
     学習者はその洞察力によって、問題場面を構成している要素間の関係を見て取り、関係が把握さ
     れると即座に解に至る。
 (2)トールマンサイン・ゲシュタルト説
     認知を重視した学習理論を提唱。学習=刺激がサインとしてどんな意味を持つのかを認知すること。
     目標と、それを導く手段との関係の認知が学習を仲介する。
 (3)レヴィン場の理論
     行動は人格と環境の相互作用によって決定されると提唱。
     B=f(P・E)   行動は人格と環境の関数
          B:行動(behavior)、P:人格(personality)、 E:環境(environment)

<動機付け>
動機付け=行動の原因となって行動を始動させ、目標に向かわせる力。
@動機付けの理論・・・行動がなぜ、どのように生じるのかという過程を説明するもの。
   欲求、動因、誘因、強化などが主要な概念となる。
A動機付けの分類
    外発的動機付け・・・賞罰、競争と協同など。
    内発的動機付け・・・趣味、好奇心、向上心や達成欲などの達成動機など。
 ・一時的欲求二次的欲求の対応から分類
   生理的動機付け・・・飢え、睡眠、排泄など、生命を維持し、主を保存させるための生得的な動機。
   社会的動機付け・・・社会生活を通して獲得されるもの。社会的、個人的に異なる。
 ◎学習曲線・・・学習の進行過程をグラフにした時の曲線
           横軸=学習時間や試行数、縦軸=正反応の数や率
           途中の中だるみ現象=プラトー(高原現象)

<学習の転移>
@学習の転移=ある経験や学習が後続学習に影響を与えること。
   → 正の転移=過去の経験や学習が後続学習に対して促進的に作用する場合。
      負の転移=過去の経験や学習が後続学習に対して妨害的に作用する場合。
A転移の理論
 (1)形式陶冶・・・一般性の高い内容の学習は後続学習に正の転移が生じると考える。
    実質陶冶・・・学習の転移を最小限に考える。→教育内容としての知識や技術を習得することが目的。
 (2)学習の構え(学習セット
    一定の種類の学習を経験する中で、その種類の学習を容易にする学習の方法が習得されることを、
    学習の構えが形成されたという。

<学習の方法と個人差>
@全習法と分習法
   ・全習法=学習教材を分けることなくまとめて学習する学習。
   ・分習法=学習教材をいくつかの部分に分けて学習する方法。
A集中法と分散法
   ・集中法=休憩時間を入れないで学習を行う方法。
   ・分散法=何回か休憩時間を入れて学習する方法。
B学習の個人差・・・ATI(適性処遇相互作用)・・・クロンバックによって提唱。
   ・教師による教授と映画による教授の効果が、学習者の対人的積極性、責任感という個人の持つ
    性質によって異なることを示す。
   ・能力や適性、態度、性格など学習者の特性が異なれば、その人に対する効果的な指導方法も異なる。
Cモデリング(観察学習)・・・バンデューラが提唱。
   ・学習者は他者が何かを行うのを観察しているだけでも成立するという考え。

<記憶と忘却>
@記憶=過去の経験を保持し、後にそれを再現する過程または働き。
   ・記銘・・・経験されたことを覚える過程。
   ・保持・・・記銘された内容を貯蔵する過程。
   ・再生・・・後にそれを再現する過程。
 ◎短期記憶では、±7チャンク(意味を持つ単位、7個ということ)ずつ覚えるのが良いとされる。
A記憶に関する心理学的研究・・・エビングハウス
   ・記憶に関わる現象を客観的・数量的に測定し、記憶研究にはじめて実験的方法を導入。
B系列学習・・・系列の初等と終末の部分の学習が容易であり、中央部は困難。=系列位置効果
C忘却・・・記銘した事項が時間の経過とともに再生できなくなる現象。
D忘却曲線・・・忘却の程度をグラフ化したもの。
          記憶は記銘直後が最大。その後、短時間の間に忘却が進み、以後穏やかな経路を辿る。
          条件によって記銘直後よりもそれ以後の方が、成績が良くなる場合がある。
          =レミニセンス

<抑制・記憶のモデル>
抑制・・・いくつかの暗記学習が時間的に相前後して行われる時、一方の記憶が他方の記憶を妨げること。
   順向抑制・・・先行学習が後続学習を妨げる場合。
   逆行抑制・・・後続学習が先行学習を妨げる場合。
◎記憶のモデル・・・二重貯蔵モデル  ◎アトキンソンシフリンによる。
   外界からの情報→感覚登録器→短期貯蔵庫→長期貯蔵庫→反応発生器→反応の出力

<思考>
思考・・・目標づけられた思考・・・具体的な課題が目標として与えられている場合に、方向性を持って
                      意図的に行われる思考。→問題解決など。
       目標づけられない思考・・・方向性のない思考。→空想、白昼夢など。
@思考の分類
  (1)再生的思考・・・過去の経験やその記憶を直接当てはめて行われる思考。
     生産的思考・・・過去の経験や記憶にはない、新しい方法を見出すような思考。
        →ブレイン・ストーミング・・・議題を定めず、自由に自分が思いつくままアイディアを出す方法。
  (2)拡散的思考・・・多面的に広がるアイディアや問題解決の試行を行うもの。
     集中的思考・・・焦点を的確に追及する思考。既定の解決を理解する場合。
  (3)アルゴリズム・・・類似の問題群を、ある一定の順序で正解へと試行解決する手続き。
  (4)ヒューリスティックス・・・直感に基づき、課題のポイントを探索する過程で効率よく解を
                   見出していく手続き。
Aヤーキース=ドットソンの法則
   難しい問題に対しては、動機づけをあまり強くしない方が有利である。一方、やさしい問題に対しては、
   かなり強い動機づけを設定した方が速やかに学習できる、というもの。
Bピグマリオン効果(教師期待効果)
   教師が特定の生徒の能力に対して何らかの期待を抱くと、その生徒の成績がその期待と一致した
   方向に変化してしまう現象。
Cハロー効果(光背効果)
   ある人物が優れた望ましい(あるいは劣った)特性を持っていると、他の特性についても望ましい
   (望ましくない)ものであると勝手に解釈してしまう誤り。



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