まりもくんが物理を理解するのに非常に役立つテキストを持ってきてくれたので、それを紹介したいと思います。
 ※ちなみに版権元は不明です。ご存じの方いらっしゃいましたら記載しますのでご連絡ください。



以下の8問をテストだと思って実際に紙にシャーペンなり鉛筆なり使って解いてみて下さい。
制限時間は(8問全部合わせて)5分です。
時間が足りなかった場合は延長して解く事をお勧めします。


[591] 等速直線運動・慣性の法則・摩擦 〜力学教育の基本的問題〜 投稿者:まりも 投稿日:2002/10/30(Wed) 23:27
問1
 自動車が等速でまっすぐ走っている時、次の力は、どちらが大きいか。
  A 車の前向きにかかる力
  B 車の後向きにかかる力              _/ ̄ ̄ ̄\_ 前
     (空気抵抗や摩擦力など)           |_        _|
                                B←○ ̄ ̄ ̄○→A 
   (ア)A<B  (イ)A=B  (ウ)A>B

問2
 摩擦が大変小さい台車を、同じ大きさの力で引き続けたら、その間、車は
          ___
          |    |______→(ア) ずっと一定の速さで動く。
         |___|           (イ) 始めのうち速くなり、すぐ一定の速さになる。
           ○ ○            (ウ) どんどん速くなる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
問3
 水平な氷の上をすべっている円板がある。円板に働いている力に○、働いていない力に×をつけよ。
   (1) 円板に働く重力
   (2) 氷の面や空気が円板の運動を妨げる摩擦力・抵抗力
   (3) 円板の運動を続けさせる動力
   (4) 円板の慣性のために生ずる慣性力
   (5) 氷が円板をささえる抗力

問4
 空気抵抗や摩擦力は無視できるとして、O点から落とした球が、A〜Eにおいて、受けている力をすべて矢印で書き込め。
  \○O              ○D   
    \                   ○E
     \○A       C○/
       \   ○B   /
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
問5
 矢印の方向へふれているふりこが受けている力を全て書け。(空気抵抗は無視)
   /
  /
 /
○→

問6
 ビー球を数mの高さから落としたら、ビー球に働く力はどうなるか。
  (ア) 一定の大きさの引力だけが働いている。
  (イ) 引力だけが働き、それが落下とともにしだいに大きくなる。
  (ウ) 引力はずっと一定の大きさだが、最初ビー球を支えていた上向きの力が次第に小さくなる。
  (エ) 引力はずっと一定の大きさだが、「落下する力」とでもいう力が働き、それが次第に大きくなる。

問7
 摩擦がない水平面上を物体がずっと一定の速さで働いているとする。この時、物体が受けている力は(ア),(イ),(ウ)
 のうちどれが正しいと思うか。 (参考) 左上の図は静止している時に物体が受けている力である。
    静止               (ア)
                    →v=一定
  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  |    ↑   |      |   ↑   |
_|__↑__|____|__↑__|__
       ↓               ↓

       (イ)              (ウ)
     →v=一定          →v=一定
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
   |   ↑→  |      |   ↑   |
__|__↑__|__ __|_←↑__|__
        ↓                ↓      
 ※↑は抗力 ↓は重力 重力と抗力がつり合っていないように見えますがつり合っていると考えてください。    

問8 (正しいと思うものに○)
 等速でまっすぐ走る自動車の窓から電柱が真横にきた時、石ころを水平に電柱めがけて投げた。
                               (正確に実験できるものとする)
  (ア) 石ころは電柱にあたるはず。
  (イ) 石ころは電柱の前方(車の進行方向)へとぶ。
  (エ) 石ころは電柱の後方へとぶ。

[591へのレス] 問2の考え方について・・・ 投稿者:まりも 投稿日:2002/10/31(Thu) 20:36
自分は、この物理の問題全てにおいて、と言いますか運動している物体には何らかの力が働いていると思っていたのです。
等速直線運動をしている物にはその進行方向へ力が働いているのだ!ずっとこう思い込んでいました。しかし実際には等速運動をしている時は何も力が働いていない、と今回初めて理解させられたのです。

僕はこの問題の解答について(ア)と答えました。等速運動をしていると思ったのです。しかし実際の等速運動の図は問7の(ア)になるわけですね。
この問題の場合だとRさんがおっしゃった通り、毎時間ごとに速度が増す落下運動の横ヴァージョンなのですね。
(ア)と答えた理由は、単純に、同じ速度で物を引っ張る、引っ張っているのは力だ!これだけの事です。
何も理解していないとこういう考え方になってしまうのですね。
僕が考えていた事の場合、大きな摩擦力を考えると等速運動になると思うのですが違いますか?

最後に・・・すいません、なんかこちら一人で納得しているような形になってしまいました・・・

[591へのレス] 安心。 投稿者:菜乃 投稿日:2002/10/31(Thu) 21:53
摩擦が大きい場合、最初に静止摩擦力を超える力を与えて、
その後動摩擦力と同じ大きさの力を与えつづければ力が打ち消しあって
等速運動になるとは思いますよ〜。

[591へのレス] うぬぅ… 投稿者:R-NOTE 投稿日:2002/10/31(Thu) 23:26

>まりもくんの勘違いについて

思うに、現実の場合を想定したときに、地面に置いた物体をロープで引っ張ることを想像すると、「常に力を加えて引っ張っていないと同じ速さで動き続けない気がする」ということではないかな?これが「動摩擦力」に関係なく成り立つと思いこむところから間違いが発生するのではないかな、と個人的には思います。

ま>僕が考えていた事の場合、大きな摩擦力を考えると
 >等速運動になると思うのですが違いますか?
な>動摩擦力と同じ大きさの力を与えつづければ
 >力が打ち消しあって等速運動になるとは思いますよ〜。

物体に動摩擦力と同じだけの力をかけ続ければ(注目物体にかかる力の合力がゼロ=力がつり合っているならば)等加速度運動(静止も含む!)を続けます。

なお「摩擦がある程度以上大きい」かどうかは床が傾斜していなければ関係ないよん。


どうでしたか?
大多数の人には5分は結構短いと感じるはずなのですがどうでしたか?
5分もいらないという方は自信を(持ちすぎない範囲で)持っていいと思います。
5分ではとても間に合わなかったという方はそれに気づけた事を認める事が大切だと思います。

※ちなみに物体が動いている時は必ず進行方向に力が働いている、という「勘違い」は
アリストテレスもしていたそうです。(浜島さん談/河合塾講師)


とりあえず正解だけ書いておきます。
問1 (イ)
問2 (ウ)
問3 ○:(1)、(2)、(5)  ×:(3)、(4)
問4 省略(ぉ 
(O…地球から受ける重力(地球の中心方向)と斜面から垂直に右上に受ける抗力)
 A…Oと全く同じ
 B…地球から受ける重力(地球の中心方向)と床から受ける垂直抗力
 C…地球から受ける重力(地球の中心方向)と床(?)から垂直に受ける抗力
 D…地球から受ける重力(地球の中心方向)のみ(球は上昇中か水平移動中か下降中)
 E…Dと同じ(ただし球は落下している模様)
問5 地球から受ける重力(力の向きは地球の中心方向)と糸の張力のみ(糸の張っている方向に平行)
問6 (ア)
問7 (ア)
問8 (イ)

とりあえず、間違えたところがあればそれに真摯な態度で向き合う事が成績向上のポイントでしょう。たぶん。
間違えた原因が「日本語の読みとり」にあったとしても、それは「物理の言葉」が分かっていなかった…
という事なのかもしれません。
その考え方で言えば、物理で高得点を取るという事は
「物理の言葉」が分からないと点が取れない、ないし
「物理で使われる特殊な言い回し」を分かっている人は高得点が取れる
…ということなのかもしれません。
 ____

問1
ア→後ろ向きにかかる力の方が大きいならばむしろ後ろ向きに進もうとするはずでは?
イ→「等速」=「等速直線運動」で、等速で走っているなら合力(注目物体にかかる力の合計)は0です。
ウ→もし前向きにかかる力が強いならma=F-μmg⇔a=(F-μmg)/mから、F>μmgのとき、
  すなわちa=(F-μmg)/m>0のとき、「等加速度運動」をするはず…つまり加速するはずです。

問2
ア→それは等速度運動ですよね…?物体に力がかかっているときその物体は等速運動しません。
イ→この場合「空気抵抗」は考慮しなくてよい…というか「考慮してはいけない」ので一定の速度にはなりません。
ウ→a=(F-μmg)/mの式から分かるようにF>μmgの時a>0ですから理論的には加速し続ける=どんどん速くなります。

問3
1→重力(地球上の)はすべての物体にかかります。よって○
2→「氷の上を」「すべっている」とあるので結構悩みますが一応厳密に言えば○です。
3→動力って何…?×
4→慣性力ってのは理論説明の為に作られた言葉であって実際にある特定の力ではないです。たぶん。×
5→氷の上に円盤が載っていて、氷に働く重力を支える力がこれです。○

問4
A→状況はOと全く同じです。違いは速度だけです。
B→球は「すべる」のが高校物理の前提なのでこれはただの等速直線運動に他なりません。
C→Aとは(時間tに対して)逆のパターンですね。単に坂を球が登っているだけです。
D→放物運動中です。物体には何も触れていないので重力しかはたらいていません。
  (重力(というか万有引力)は物体に触れていなくても働きます。(静電磁気力も。この3つだけは特例))
E→Dと全く同じ。違いは落下中だということ。

問5
この場合「ふりこ」というのは球の部分だけですから、
まず振り子の中心(重心)に地球からの引力として重力がかかります。
(これは実際は振り子を作っている分子一個一個にかかる力を代表させたもの…合力です)
次に糸に繋がれているので糸から受ける張力があります。
これは糸が「ピンと張っている」なら糸と平行な方向へ働いています。
ちなみに現実には糸にも重さがあるのでこれがワイヤーなどの密度が高い物質の場合
「糸の重さ」を考慮しないと誤差が出てしまう場合があるのですが、
高校物理ではそこまでは要求しない…というか要求してはいけないので
「糸には重さがない」事を前提(既に知っているもの)として話が進められます。
(が、ほとんどの先生はそんな事教えてくれません/なめてんのか)
そりゃまぁ「物理ワカンネ」となるのも無理はないよね…。

問6
ア→数mの高さから落とせば1秒ぐらいで地面にぶつかりますがとりあえずそれまでは
  一定の大きさの地球からの引力が働いている状態が続きます。

イ→厳密に言えば実はこれが正しいです。ですが普通は数m程度では
  地球からの引力は大きくならないとされているので、高校物理では×となります。
  だって数mの差で地球の引力が変わるって事にしたところで小数点以下何桁の数値が
  ちょろっと変わるだけですよ?はっきり言って考えるだけ無駄というものです。
  「高校物理では」そのように考えます。…ちなみに宇宙船を作る場合は考慮するかもしれませんが。

ウ→そんな力はありません…。
  最初ビー玉を支えていたのは(たいてい)実験者の手という事になっている場合が多いのですが、
  別に物体に常に上向きに力が働いていて、それが小さくなって落ちて行く訳ではありません。

エ→「落下する力」とかいうものは物理学には存在していないデス。
  物体が落ちるとき「その物体には下向きに力が働いている」と思われるかもしれませんが、
  それは誤解で、物体に何も力が働いていないのに「落ちていく」場合も
  考慮しようと思えば考慮できますし、物体にかかる合力が上向きの場合でも実際には
  「下向きに落ちている」場合もあります。

問7
静止…「万有引力」という言葉は聞いたことがありますか?
   これはニュートンさんが言い出した事なのですが、物体というのはその質量(≒重さのことです)
   が大きくなればなるほど強い力ですべての物体が引き合っている、という内容です。
   つまりあなたと目の前のパソコンも万有引力で実は引き合っているのです。厳密に言えば。
   つまり、物体には地球からの引力(=重力)が働いているのです。
   何かと何かが引き合う事を考えるときに、地球規模、天体物ぐらいの大きさになると問題になります。
   それは万有引力の公式、F=G(m1*m2 / r^2)をみれば分かるかと思うのですが、
   このm1かm2が地球ぐらいでかい(重い)と問題になるのです。
   なぜって万有引力定数Gが非常に小さい値だからです(ちなみに約6.67*10^-11[N*m^2/kg^2]だそうです)
   実際万有引力定数を測る実験をする際は非常に厳密な測定が行われています。
   (まぁ実験とはいつも「厳密さ」を追求して行われるものなのですが…)
   問題に移りましょう。物体と床が触れている部分、
   つまり底面で床が物体を支えているわけです。なので上向き矢印が2つ付いている理由は謎ですが
   (たぶんフォントの限界…と思ったら補足説明があった。「つり合っていると考えてください」だそうです)
   とにかく物体の中心にかかる重力と床が物体を支える垂直抗力の二つだけが「物体には」かかっています。
   こういう考え方をするのが物理の基本構造で、よく「注目物体」とかいう単語を使ったりします。

ア→「一定の速さで動いている」とはつまり等速度運動(この場合は等速直線運動)
  している訳ですから物体には重力と床からの垂直抗力しか働いてはおらず、従ってこれが正解です。

イ→物体の中心に前向きに力が働いているように見えるのですがこれ何…?
  …たぶん前向きに移動している物体には前向きに力が働いている、と思った人の為の選択肢…かな…?

ウ→摩擦があるならこれが正解になります。(動摩擦力)しかし、設問に
  「摩擦がない水平面上を」とあるのでこれは正解になりません。残念。

問8
「正確に実験が出来る」というのはたぶん電柱が「完璧に真横」
に来た時に石ころを射出できるという前提で、という意味でしょう。

ア→当たりません。なぜなら運動中の自動車上から投射されたからです。
  つまり石ころはまっすぐ電柱の方向へは行かず、斜めに移動してしまうのです。

イ→その通りです。車の中からみれば石ころはまっすぐ車から離れて行くように見えますが
  (現実には空気抵抗があるので車より後ろに下がっていくように見えますが)、
  地面に固定された場所に居る人(普通に立っている人のこと)からみると石ころは
  電柱の前方向に車から投げ出されたように見えるはずです。

ウ→何故かウがないですね。たぶんまりもくんの記述し忘れ(かウをエと書き間違えたの)でしょう。

エ→とりあえず車が「前に」走っているので少なくとも後ろには飛ばないでしょう。

いかがでしょうか?物理に対する理解の一助となれば幸いです。