ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

「可愛いだけじゃダメかしら?」……ダメらしい。

 

2004年09月18日

 

さて、『“萌え”考察』の巻

(指定BGM: 小林旭 / 赤いトラクター )

 

 

少し前のお話になりますが、コミケ終了時におけます吾らが盟朋・大滝よしえもん閣下の日報にて、「でも最近の“萌え”が理解できないと無理っぽい」という〆のお言葉が。閣下が新たな作品を企画されますに際し、必須ないしはぜひとも盛り込まれたい要素のひとつでありますご様子。

 

ひとたび筆を握らば、そこに心理学者に鑑定されたくないような絵を現出させてしまいますこの吾が輩。しかれども、いろんな事象を不必要なまでに多角的な視点から考察することなれば、メイドさんと同じくらい好んでおりますのもこの吾が輩。そこで“騎馬民族匈奴の人種的ならびに起源的考察”と平行し、つらつらと“萌え”の定義ならびに必要条件などを愚考してみました次第。

 

――とは申しましても、吾が輩もその系統の漫画やゲームを幅広く網羅しておりますわけではございませぬゆえ、サンプルとなりますのがG☆Aのミルフィーユ・桜葉と、「あずまんが大王」の大阪にプラスしますところの、“秋葉で散見されますマスコットキャラ”でありますことは、事前にご勘弁いただきたく存じますワイ……この貧弱な知識に加えまして、「実在の女性にしか“萌え”を感じ得ない」男こと吾が輩が考察いたしますのでございますから、今回は忌憚なく申しますと正鵠を射ることが叶いますかどうか、いまひとつ自信がございませぬ次第。

 

ともあれバナーの横にも書き記しましたとおり、「可愛いだけ」では認めてもらえませぬこの“萌え”。その系統にあるとおぼしきキャラに通底する要素を以下に書き出してみますと、

 

・ピュアである・ポジティヴである・悪いことはしない、させない・少々トロい

・マイペースである・失敗にめげない・誰にでも(無分別に)優しい・精神的に幼い

 

これ以上挙げましても、おそらく言葉のみ異なりますも意味合いが重複してきますでしょうからこちらで打ち止めにいたしますワイ。ほかにも“幼児っぽい言葉を使う”“オリジナルの口癖を持っている”などもあるかと存じますが、そちらに関しましては申し訳ありませんが、吾が輩ジャッジメントにより斬り棄てさせていただきます次第。

 

もちろんそれらも要素のひとつであるかとは存じますが、チャームポイントもアピール過剰になりますれば、それはもう“萌え”でもなんでもなく、「女子高生であることを売り物にしたコギャルの援交」(注1)と、レヴェルではなんら変わりませぬワイ。べつな言葉で喩えますなら、クリエイターから「どうぞ召し上がれ」と手作り料理を差し出されたと申しますより、「どうだ。これでも喰って満腹しろ」と、肉のかたまりを投げ捨てられたような気分……先日の「BSアニメ夜話」で取り上げられておりました某有名魔法少女アニメには、そんな印象しか抱けませんでしたナァ。

 

……ただここまでで気になりますのは、上記の要素はおおよそ同年代から年下をイメージしておりますので、逆に“萌え”に位置づけたいキャラが年上になりますとどうなるのか……近所のお姉さんならまだしも、生徒から見ました先生とか、友人の母親とかになりますと――ムゥ、まるで「漫画たるべく存在する漫画」の世界で、非現実的すぎるのもいかがなものかと。あまり認めたくありませぬワイ。ただ、好みの範疇は人によりまして千差万別でございますからナァ。

 

ならびにそのある意味“特異な”存在ゆえに、登場できますジャンルもいささか限定されてくるものではありますまいか。たとえば吾が輩が大好きな「装甲騎兵ボトムズ」に萌えキャラが出てきますようでしたら……吾が輩血涙を噴流しつつ、ガソリン満タンの18gポリタンクを抱えてサンライズ社屋に突撃を敢行いたします次第(注2)

――まぁ登場しましたとて物語の流れが確実に分断されてしまいますゆえ、CM前後のアイキャッチくらいしか出番がございませんでしょうが。されどそんな女の子が、キリコとどのように絡むのかは案外興味を引きますカモ。彼奴(きゃつ)はくそまじめな男でございますゆえ。

 

そもそも、“萌え”とはこれなんたるか――こちらを吾が輩テイストにて分析しますれば、“≒不条理ギャグ”という式が成り立つと考えますのは、もしかしますれば吾が輩のみでございましょうか。両者ともその萌芽が’90年近辺とおぼしきことと、時を遡りまして’80年代前半でありますればアニメ・漫画系サブカルチャーの成熟度から、両方ともおおよそ受け入れられます素地がまだ存在しませぬ概念であるようにお見受けいたします次第(注3)。どちらも確固とした“分類上の要件”を挙げがたい点も似ておりますし。

 

萌えも不条理マンガも、そこから醸し出されてゆく雰囲気をとらえ、作者の放つ独特のサイクルを感じる種類であり、テンポや段取りを踏まえて明快に構築されるほかの漫画群とは、一線を画す存在ではないかと愚考いたします次第。それゆえに、“そうあるべきことを前提とした舞台”で開始してゆく必要がありますかと。

 

こちらは「あずまんが大王」を拝見しますとそのような空気を感じるのでございますが、普通の漫画に組み込むのでありますればそれこそ“マクー空間”よろしき数カットを設けるか、直前で話の流れやトーンを変調させる必要があるように思われますワイ――もちろん、頭から“萌えキャラありき”で構成されているのでありますれば論外かと。

 

いちおう上記の論拠も、吾が輩がシリアス物や学園物をヴァーチャル・史村翔を気取って試構想いたしましたうえでつかんだ感覚でございますが、シリアス物におけます“萌え”は思いのほかギャグ要素を醸すことが判り、学園物は舞台そのものがオールマイティでございますゆえ、盛り込みどころは多々ございましたワイ。

 

ただ性分とはまこと恐ろしいもので、サテ登場人物は考えましても肝心の物語が先へと進まず、結局は強力なトラブル・メーカーを出してお膳立てをせぬことには、にっちもさっちも行きませぬことが判明……要しまするに、基調はどうしても“ギャグ”でありますことが必然と相成りました次第。いやはや、「三つ子の魂百までも」とは、よく言いましたものでございますナ(笑)。

 

ただそうしますと、ギャグの毒気からいかにして“萌え”を守るかという意外な命題も生じてしまったのでございますが――ギャグの勢いとはまこと恐ろしいもので、かの「うる星やつら」にて登場いたしました面倒終太郎は、その名の通り「トラブル・シューター」としての役割を負ったキャラクターだったのでございますが、いつしか諸星あたるのむこうを張って話を掻き乱す「トラブル・メーカー」に変態してしまったことはよく知られたお話かと。

 

それに対しましての策はマァ単純。台風の目から“萌え”を遠ざけておけばいいだけのお話。ヘタに対抗させたりしますとペースが崩されますのは必定。一生懸命にガンバる姿も“萌え”はすると思われますが、終始「傍観者」に徹させますのが吾が輩流……左様、それはかつて石坂浩二氏が映画「犬神家の一族」にて金田一耕助を演じる際に、耕助のなんたるかを――その有り様をつかむべく、台本を何度も読み返しておられました石坂氏がはたと気づいたのが、つまるところ耕助は事件の「傍観者」であることでございましたように。

 

 

――と、慣れぬジャンルをシロウト考えで手がけましたゆえ、吾が輩さすがにそろそろ息が切れてまいりましたワイ。さらにはいつの間にか、なにやら“萌え考察”から“ギャグ漫画への萌えのあしらい方アラカルト”になってしまった観がございますので、どうにか収拾のつくうちに〆とさせていただきたく存じます(笑)次第。

 

おそらくは閣下も先に挙げました条件などはとっくにご承知で、要はご自分のマンガ内でいかに味付けして登場させるかのお話だったのでございましょうナ。ただ、やはりそれぞれの“持ち味”と申しますか、作風画風におけます個々の独特なサイクル、ないしは固有振動数のような波動がございますのも確かですので、上記とはまったく別なアプローチから“萌え”に繋がる場合もまたしかり、ということもございますでしょう。

 

――ハテ、そちらのお客様。「二次元キャラに萌えない奴がグダグダ駄論をくっちゃべってるんじゃねぇ!」でございますか?マァたしかにお客様の仰るとおりではございますが……ああ、そう申さば先日閣下のリンクにございます、「糞ボルトさん@落描道場」にて、ジオンMSのフォルムを女の子のファッションへと巧みにあしらわれたPINSさんの絵はかなり(注4)……いえなに、こちらはPINSさんの洗練されたセンスが吾が輩の心の琴線にいたく触れましたわけでございまして――と申しますか、あちらの絵と吾が輩が挙げました条件とに相通じます部分は――?

ありゃりゃ、もしかしますれば、最後の最後で全否定??ああ、なんだか吾が輩どっと疲れが……。

 

 

 

 

注1:とくに具体的な事例はありませぬゾ。

注2:ココナは可愛いですが“おきゃん”でございますし……って言うか“萌え”じゃウドで生きていけないし(笑)。

注3:可愛い女の子に関しましては早々に受容され、急発展してしまいますカモ。

注4:元ネタは存じ上げませんのですが。

 

 

 

 

おいおい、そっちじゃないぜ!

 

 

2004.09.18 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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