ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

ドキュメントはZDFとBBCのが面白いですナ。

 

2004年11月06日

 

さて、『表現力』の巻

(指定BGM: Dwarves / Queen of the Surf )

 

 

かつて伊集院光氏のラジオ “深夜の馬鹿力” に、『栄冠は君に輝く』という人気コーナーがございましたのは、そのスジの方々(注1)でございますればつとにご存じのことと思われますナ。こちらは大学などの合唱部の有志らに、いわゆる“バカ歌詞” をきちんとした発声で歌唱してもらうそのインパクトもさることながら、何はなくともワン〜数コーラスに限られた文字数と、曲に据わりのよい符割りまでを推敲したうえで書き上げられた作詞センスもこれまた秀逸。なかでも 『これだけ短い歌詞なのに、情景が目に浮かぶよう』 と伊集院氏を大笑い&賞賛させましたのが次の歌詞でございますワイ。

遺書をしたため■■最後のレジャー
公民館の■■ 『志村後ろ!』の声がナミダ声

こちらは吾が輩もはっきり憶えておりまして、伊集院氏と同様の感想を抱きつつ、それでいてなんともドラマ性に富んだ人生模様をあまた想像させてくれるものかと何度もうならせていただきました次第。

 

なにより吾が輩は短文や詩というジャンルが苦手でして、こうした想像力をむくむくと膨らませる触媒のような文章に憧れるのでございますワイ。さりとて長文が得意とはいえ、要点を明確に描写できないでただダラダラと単語を“ひり出し”ているのは駄文以外の何物でもございませんし、読む方もダレて途中で放り出してしまいますゆえ、その点はキチンと修練を怠らぬよう気を付けております次第。

 

吾が輩をして最初にそれを気づかせていただきました作家さんとはこれなん、おそらくはアジア屈指の中華小説の大家と申しましても過言ではございませぬ陳舜臣先生。それまで三島由紀夫先生に心酔し(笑)、先生の豪華かつきらびやかな文章に憧れるあまり、ゴテゴテして嫌みな模倣を書き綴っておりました吾が輩を開眼させ、“文章を書く” ことをもう一歩踏み込んで考えるキッカケを与えてくださいましたのでございます。

 

以後、中華モノを基調に猟書を続けますなかで、筒井康隆先生や田中芳樹先生、佐藤賢一先生などのほか沢山の作品を読み漁りましたが、やはり諸先生方も 『読み易くて理解もし易い』 という部分で通底していることが明らかになりますにつれ、なおさら吾が輩もそれに近づけますよう、それなりの努力を工夫してきましたものでございます(注2)

なかでも “抜群の描写力” としましては平山夢明先生がいらっしゃいます。こちらは吾が輩にめずらしくホラー系の作家さんで、都市伝説モノやシリアル・キラーの列伝などが専門分野でございますが、小説 “メルキオールの惨劇” はかなり上質の作品――なんと申しますか、比喩に引用してくる対象が奇抜なうえに絶妙なのでございます。

 

文体そのものは簡潔でややハード・ボイルドめ。それでいて 『う〜ん、それを持ってきましたか……』 と、あたかも次に繰り出されました将棋の一手のごとくに驚嘆したり納得したりできる闊達な表現。そもそも平山先生に興味を示しましたのは、かの特殊翻訳家・柳下毅一郎氏がTVBrosにてコラムを書かれておりました折りに、『天才と紙一重の人間ならではの発想で書かれた小説』 という紹介がございましたことと、お値段も590円(税抜)と手頃でございましたゆえ手にしてみました次第。もちろん、内容も十二分に元が取れるクオリティでございますワイ。

ちなみにこの “メルキオール〜” は発売当時でもなかなか入手が困難で(注3)、その後友人に貸したっきりになっておりましたのをまたぞろ読みたくなりまして、Amazon.com に注文して再入手したのでございますが、 最初に手にした本が初版でありましたのはマァ普通としましても、それから4年は経ましたAmazon入手版もこれまた初版。さらにこないだ駅前の本屋で見つけましたのもなんと初版でございますゆえ、興味のあるお客さまは是非ともご入手のほどを。

ならびに吾が輩は京極夏彦先生の作品も好むのでございますが、先生の魅力はまたべつのベクトルでございますゆえ、先の先生方と一緒にはお名前を挙げませんでした次第。

 

また、筒井作品と出会いました時期は “電気GROOVE” のANNを集中的に聴いておりました頃と見事シンクロいたしまして、『真に優れた脳を持つ者はギャグレヴェルが高い』 とつくづく感じ入りました吾が輩は、以降 “笑わせられる文章を考えることは表現力の訓練になる” との確信を得て現在に至るのでございますワイ……。

 

いわずともがな、文章ですと読み手のテンションや間の量りようなどございませんから、笑わせようとしますとこれが結構むずかしいモノなのでございますワイ。オチが予測できたり、『ココ面白いところだヨ!』とネタを押しつけがましくなったり、とくに吾が輩のようにWebで発表するコラムですとすぐ下にオチを書かざるを得なかったりと、下手するとつまらない文章に裏返りやすいのでございますワイ。

 

それゆえに、ネタ選びの段階からかなり頭をヒネっておるのでございますが、マァそこはそれ――でもこのような表現の妙味のたぐいは、考えに考えて煮詰めるよりも、自然とふっと思い浮かぶ場合が多いのでございますワイ。あるいは思いついたギャグありきで、それから結びつけるテーマを決めたりという場合もございますナ。

 

それでも、たった一行にも満たないような簡単な描写にでさえも、平気で3時間歯ぎしりしたりという時もなきにしもあらずなのもこれまた事実。ヘンに吾が輩がこだわりすぎなのか、それとも才能に乏しいのか……ハテ?

 

 

 

 

 

注1:ファンのこと。

注2:そもそも吾が輩の歴代HPは、文章表現の練習のための設でございました。

注3:渋谷で三件目で見つけた。

 

 

 

 

 

 

おいおい、そっちじゃないぜ!

 

 

2004.11.06 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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