ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

秋葉原とはまた別種の探し物がたくさん見つかる街でございますワイ。

 

2004年12月23

 

さて、『長靴で歩く渋谷』の巻

(指定BGM: エドワード・エルガー / 「威風堂々」第一番 )

 

 

吾が輩この12月に入りましてより、時機到来とばかりに先頃町田にて買い求めましたるブーツを足慣らししますべく、平素愛用のエア入りナイキから履き替えを開始したのでございますが、これが吾が輩の足に合うまでがケッコウ痛いのでございますワイ……とは申しましても、平時は通勤に使用しております何のヒネりのない革靴でございますゆえ、ブーツに足を通せますのはお休みの日となりますので、週におよそ二回くらいのペース。次の履修までにこれほど間隔が空いてしまいますれば、いかに九九の三の段レヴェルでありましても、覚えますのに難渋しますかと……。

 

さるにても、ブーツが足に合わない際の痛みとはこれ如何に……普通の靴のように靴擦れができたり、指にタコができたりとかという直接的な痛みではなく、ブーツの形状が足のそれに沿っておりませんがために起こりますので、革を足の形へと徐々に矯正していくがためのじくじくと染み入るような鈍い痛みなのでございますワイ。

 

喩えますれば、かかとから下の足ぜんたいを万力で甘締めされたまま、街を歩き回っているようなものでございますワイ。ですので卸したての日などは無理をしてしまいますと、途中からマトモに歩けなくなります恐れがございますゆえ、十分にご注意のほどを――それでも、ブーツのかかとを鳴らして街を颯爽と闊歩することこそ貴族のたしなみ。それゆえに、この痛みこそは吾が輩の高貴なる望みを叶えますための、どうにも乗り越えねばなりませぬ美厳(びげん)極まりなき(注1)試練なのでございますワイ……申しますればこの痛みは、 “ひとりの女の子”“一人の女性” へと生まれ変わるあの瞬間と同じ、と思っていただけますれば、まず間違いはございませんかと!!

 

こちらにまめ知識を絡めてみますれば、“万力” よりも “纏足” のほうがより合点がいきますかと。ほんの百年前なれば、かの中華の地にて上流階級の令嬢と生まれたからには、これまたどうにも避け得ませぬ奇異なる風習……その意義としましては諸説ふんぷんでございますが、マァ幼少時より小さい足を “無理にでも矯正” しますべく、テーピングよろしく布で固く巻いてしまうのでございますナ。それでももちろん骨は成長いたしますので、第二次性徴期あたりの育ち盛りともなりますれば、髄に達するほどの厳しい痛みに包まれるのだとか……。

ちなみに小さいままでありますのは爪先とかかと部分だけでございますので、残りの部分はそのまま縦方向に伸びて行くのでございますワイ。手で喩えますれば、親指をかかとに、ほかの指を爪先に見立てまして、あとはそれらで鶴を作るようにすぼめていきます――ちょこんと小さい纏足沓(くつ)から上には、このような感じに成長した骨があふれて脛(すね)へと続いていくのでございます次第。こちらはたしか高校の時の社会科資料集かなにかに、写真が掲載されていたと記憶しておりますが……残念ながらググってもヒットしませんでしたので、ネット上には参考画像はございませぬご様子

 

 

……ともあれ、現在では(注2)昼前に出て夕方頃に帰ってくるのでございますれば、ほぼ支障がないくらいまでにフィットするようになりまして、先程も渋谷の街に靴音を軽やかに響かせて参りました次第。こちらを歌にしますれば、

 

私の男爵が街を歩けばみんな、みんなが振り返るのよ(ハァ〜法螺々×2※:コーラス

 

という具合でございますワイ。もちろん吾が輩オリジナルの作詞作曲でございます次第……ハテ、そちらのお客様。『初代アニメ版・ドラえもん(注3)のテーマソングになんだか雰囲気が似ている』 でございますか? ホホ、こちらはまた何をおっしゃられますやら……それは単純に気のせいでございましょう。似ておりますとしますれば、おそらくは第二小節のあたり程度のお話でではございますまいか。

 

 

さるにても、ナイキの 『まるで靴を履いていないかのごとく』 の軽快な履き心地も、まことよろしいものでございますが、やはりブーツの醍醐味と申さばかの “グース・ステップ”。膝を曲げず、かつ居丈高なまでに足を高く振り上げるその行進法こそ、偽りなき “ドイツ魂” を受け継ぎます吾が輩にこそふさわしい姿ではございますまいか……こちらでセンター街をばひとり靴音も高らかに歩きますれば、さしものチーマーガングロ・ギャルなども怪訝な顔をして道を空けていただけますこと請け合いでございます次第(注4)

 

……あまりナルシシズムも度が過ぎますと、自分で自分が阿呆臭くなってまいりますのでこのくらいに致しまして、さて吾が輩が渋谷に参りましたのは、もちろん贈答品を買い求めますため。マァこの時期にどのような意味合いの贈答品かを問われますのは野暮というもの……ともあれ、そのために109(注5)内にございますお店を重点的にまわったりするのでございますが、もちろんそちらにいらっしゃいますカリスマ店員さんらは当然のこと、集っておりますお客さんの九割はどこを向きましても女性女性女性

 

年齢層も吾が輩の半分くらいからそれ以下がほとんどでございますゆえ、各階に波とさんざめくうら若き娘たちの群れの中、違和感アリと申しますよりは、広重の “東海道五十三次” は掛川にて、風に負けじと笠を押さえる人々の間に大相撲刑事(デカ)混じっているようなもの……とは申しましても、これくらいで気後れする吾が輩ではございませぬ。

 

そこは貴族ならではの優雅な物腰とクソ度胸でございますワイ――と申しますか、大の男がまじめな顔で売り物を物色しておりますれば、まず万引きでございませなんだら、“プレゼントを買いに来た” 以外の何ものでもございますまい……ともかくも、最近流行りの松平健氏じきじきに通信教育を受けましたる “コナカ流サイド・ステップ(注6)” にて進み出(い)で、吾が輩の十八番(おはこ)にございます、男爵スマイルあらためまして土井垣スマイル(注7)をば輝かせますれば、無神経にフレンドリィで知られますカリスマ店員さんといえど小笠原流の作法にて接してくださいました次第。

 

 

……そんなこんなで、真面目な話最上階から一階までつらつらと見てまわりましたものの、109本館もやや品揃えが変わりましたものか、なかなか気に入ったお品がみつかりませぬ。ゆえに渋谷駅至近の2号館まで足を伸ばしまして、そちらにてようやく得心のいきますお品を手に入れられました次第。そちらは Southern Wood さんというお店でございまして、店員さんは吾が輩が何を申しませんでも贈答用の袋を用意していただけましたうえに、なんと値段表示の部分まで切り取ってうまく加工してくださいました…… Southern Wood さんにはまた贈答品が必要になりましたら、いの一番にお伺いせねばなりませぬナァ(注8)

 

して、こうして首尾よく買い物を終えましたる吾が輩。せっかくの渋谷でございますので、チト贅沢なお昼をば、と高名なる駒形のどぜう鍋をいただきましょうか……などなど、考えるまではいたしましたが、ここは摂取カロリーおサイフの消費量を抑えますべく、行きつけの回転寿司にて10皿いただきまして〆とさせていただきました次第。この時期は白子やアンキモなどがネタに並びますので、 ついつい足が向きがちになるのでございますワイ。

 

こうしてみますと、本屋も服屋もCDもDVDも、当然お酒も食事も充実した広範な守備範囲を誇ります街、渋谷――ただ惜しむらくは、メイド喫茶がない、という点のみに尽きますでしょうか……と申しますか、この街に集まります客層を鑑みますればそれは無理かも。なにしろT-ZONEもDOSパラも、こちらに進出したは良いものの早々に撤退しましたからナァ……

 

 

 

 

 

 

 

注1:限りなく美しく、かつ果てしなく厳しいこと。吾が輩の生き様を表す貴族用句。

注2:このコラムを書きましたのは12月19日のこと。

注3:ドラえもん=富田耕生氏のび太=太田淑子女史。ちなみにスタート時のドラは野沢雅子女史だったが、交通事故で交代されましたとか。

注4:されどブーツの構造上、思いのほか似たような足運びになりますワイ。

注5:言わずと知られております、首都圏におけますコギャルのメッカ。

注6:かなり懐かしめのコサキンネタ。

注7:このところ顔に肉が中途半端についてこんな感じに……ちなみに “ヤマトの真田さん” でも可。

注8:レイヤーさんならともかく、そのほかのお客様がたにはフツーご用はございませんたぐいのお品のお店。

 

 

 

 

 

 

おいおい、そっちじゃないぜ!

 

 

2004.12.23 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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