ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

まぁいわゆる “ファン心理” でございますかと。

 

2005年04月29日

 

さて、『刷り込み!?の巻

(指定BGM: 菅原文太 / 一番星ブルース )

 

 

刷り込み……とは、卵から孵(かえ)ったばかりの雛に自分より大きな動く物体を見せますと、親鳥と合点してその後を追ったりしますその行動を申しますが、人間にもそこまで単純な例はありませんでも、“習い性となる” の諺どおり、愛好しますあまりに繰り返しておられましたら知らず知らずのうちに身についてしまいました “癖” のようなものは、お客様がたも少なからずお持ちではございませんかと。YMOでおなじみの細野晴臣氏も、ご幼少のみぎりに杉浦茂氏の 『少年猿飛佐助』 など一連の作品にいたく没頭されましたそうで、作中にて登場人物がよく表しております指サイン(注1)ならびに独特のセリフ回しを真似されておられましたとか。

 

かく申します吾が輩も、いくつか根源がそれと判ります仕種がございまして、まず例を挙げますれば 『オドロキの表情』 になりますかナ。こちらが 『驚愕の表情』 ともなりますれば、さすがに本能より直接声が奔出いたしますので埒外となりますが、そこまで至りませぬ意識下にて判別可能な範囲でございますれば、吾が輩両の眼(まなこ)をわざとらしく見開きまして、さらに頬をやや緩めにしましたうえで口を縦に心持ち大きく開けましてから、『ハアッ』と、これまた芝居っ気多めに喉より搾り出すのでございますワイ。

 

こちらの “モデル” となられましたのはかの関根勤氏出典は吾が輩が小学校中学年当時にテレヴィジョン放映のございました 『トラック野郎・爆走一番星』 の一幕から。こちらには氏がゲストに出演されておりまして、氏はヴァキューム・カーの女運転手(注2)の弟分という役どころ。“一番星” こと星 桃次郎に扮します菅原文太氏とかの姐御がお約束に起こします喧嘩のあと、一番星が男らしく詫びに行くのでございますが、そこは漢・一番星

 

純情な彼はいざ面と向かいますとどうにも照れ臭く、話が前に進みませんばかりかヴァキューム・カーのあちこちを恥じらい紛れにいじくり回すのでございますワイ。もちろんヴァキューム・カーでございますれば、“逆流コック” が付いておらぬはずがございませず、一番星の手がそちらに伸びます都度、関根氏がくだんのお暑苦しいお顔にて、銀幕せましと アッ!』 と言わんばかりの(実際おっしゃっておりましたが)“演技” がどアップにご披露なされましたのでございますワイ。もちろん手がコックから離れますと安堵されますのは当然のお約束。その反復描写のたび、関根氏のボルネオなみの熱帯圏にございます表情が吾が輩の脳に深く刻み込まれましたことは、もはや申し上げるまでもございますまいかと。

 

後日こちらのシーンの撮影状況を、関根氏みずからが 『ダウンタウンDX』 にて解説されましたところでは、当時まだ “ラビット関根” として駆け出しの新人でございました氏は、なかなか監督のOKを得ますことが叶いませず、かなりのNGをば連続されまして、スタッフも含めましたご本人ともども疲労困憊の極みまで至られましたとか。そんな折りに文太の兄貴が、模範演技を見せてくださり、どうにかOKにこぎつけましたでございますというお話……マァ氏の言を借りますれば、『特に代わり映えのする演技じゃなかったから、新人の窮地を見兼ねての助け舟だったのかも』 とのこと。さすがは文太アニキ。まさに粋なはからいでございますナ。

 

 

また他にも、次に採ります行動の判断が容易につき兼ねます際に見せます 『思案の表情』 というのもございますが、こちらは伏し目がちに口をば真一文字に引き結び、そのまま視線を左右いずこかに何を見るともなく移す――という仕種。元ネタは 『吾が輩アカデミー三大名作大賞』 に輝きますハリソン・フォード氏主演、リドリー・スコット氏監督作品 『ブレード・ランナー』(注3)より、脱走レプリカントのリーダーことロイ・バッティに扮されましたルトガー・ハウアー氏の演技から……氏の演技には吾が輩ことのほか触発されておりまして、とくに目の動きのみでの “意思表示” に関しましては、そのことごとくが氏から頂戴しました次第。

 

いまひとつは、良くも悪くも予想外の結果が出ました場合に 『ウウ、おそろしい……』 と嘆じますコト。こちらは白土三平氏が一連の作品にて頻出しております定番のセリフでございますゆえ、ファンなれば解説は不用にございますかと。他には吾が輩の “ココロのボス” ならぬ心の師匠、水木しげる御大からは万能感嘆詞 『フハッ!』 が。つげ義春先生からは 『テッテ的』 を。また、こちら愚考録でも頻出しております 、『シャポーを脱ぐ』 は、小説家佐藤賢一氏の諸作品からでございますことは、説明の必要もございませぬナ。

 

さらには、仕事にて瑣末事にこだわりますあまりに能率の上がりませぬお方には、内心にて 『名前などどうでもよい』 と独りごちますのは、岩明均氏 『寄生獣』 から――というところでございましょうか。ちなみに俳優部門では忘れることすら叶いませぬくらい敬愛しまして止みませぬクラウス・キンスキー氏がいらっしゃいますが、氏はあまりに破格でございますゆえ、真似したくとも叶いませぬ御仁。まさに高嶺の花でございますワイ。だいいち、『俺は神の怒りだ』 などという独白、どちらにて吐露いたします機会にがございましょうや……

 

 

 

 

 

 

注1:本邦の手話で申しますところの “I Love You”。されどヨーロッパでは悪魔を呼ぶサイン。元ブラック・サバスのオジー・オズボーン氏がステージでやるアレ。

注2:加茂さくら女史扮します杉本千秋。たしか街道上での源氏名があったと記憶しておりますが、ネット検索では引っかかりませんでした次第。

注3:『ディレクターズ・カット 完全版』 は、どうしてあんなに(展開が)乱暴で捨て鉢な印象を受けるのでございましょうや??

 

 

 

 

 

 

おいおい、そっちじゃないぜ!

 

 

2005.04.29 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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