ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

まだコメディでしたら、ハリウッドでもそこそこよろしい作品が出て参りますが……

 

2005年06月03日

 

さて、 『これこそが “映画〜其の壱〜 の巻

(指定BGM: Popol Vuh / 神秘な涙 )

 

 

前回は思い出しますだに懐かしくもおぞましい “カルト映画” の尾籠きわまりませぬお話で恐縮でございましたが、今回は気持ちをガラリと切り替えまして、吾が輩がいたく感銘を受けましたる映画ならびに監督さんにつきまして語らせていただきたく存じ上げます次第。

 

こちら愚考録によく名前の出ます 『ブレード・ランナー』 『戦争のはらわた』 等々の作品への言及につきましては、勿体なくもこのたびは割愛させていただきまして、代わりに中心に据えさせていただきますのは、こちらもまたお名前のみでしたらよくこちらに出させていただいておりますヴェルナー・ヘルツォーク氏

 

氏はタワレコなど大きなショップに参りますれば、サム・ペキンパー氏やヴィム・ヴェンダース氏などと並びまして、監督名で作品が探せますくらい高名な映画屋さんなのでございますが、実状吾が輩の身辺では、セルゲイ・エイゼンシュテイン氏ほどの認知度もございませなんだ……さればこそ、氏の創作センスの素晴らしさ、映画構築のための視点の高さなどを、吾が輩の構文能力の粋を尽くし、氏の認知度を如何ばかりでありましょうとも広めさせていただきます所存にございますワイ。

 

そも、BS2では番組枠を持て余しておられますものか、日によりましては四回も映画を放送されます事もしばしば。そうしますと古き良き時代の名作などもバシバシ流されまして、これまで拝見の機会に浴せませんでしたタイトルにお目見え叶いましたことも少なくありませなんだ。例を挙げますれば 『十戒』『ベン・ハー』 (注1)などがございますナ。どちらも聖書の時代にお題を採られました大作にございますが、なにを置きましても野外での群衆シーンはさすがの圧巻。そうしてカメラがスタジオに帰ってからの、いかにもな作り物然としましたセット臭さとのコントラストには愚眼もションボリ(注2)

 

――それでも、画面からひしひしと伝わって参ります興奮はやはり減じますこと叶いませず、吾が輩をしまして 『映画とは監督や俳優、さらには数多のエキストラならびにスタッフの “情熱” の結晶でございますナァ』 と、嘆じさせてくださいますこと山の如し、でございますワイ。

 

 

さてヘルツォーク監督でございますが、氏は学生の頃より映画制作に取り組んでおられまして、実質的な商業配給映画は 『小人の饗宴』 になりますはず。こちらの映画は吾が輩いまだ何度となく観返しましても、氏の意図されます題意がつかめませぬ、なんとも難解な作品。

 

お話としましては、郊外にございますとある施設にて、所長の留守をいいことに始めました小人たちのイタズラが次第にエスカレートしていくという内容――なのでございますが、出演者に基本コンセプトのみを伝えまして、あとはカメラを回しっ放しでしたような半実録映画という手法でもございませんご様子……ともかくも、こちらの映画にて監督の映画内におけます表現要素にございます、『回転運動』 『小動物』 『異世界の住人』(注3) が出揃いました――とは、他のヘルツォーク監督ファンサイトの受け売りでございますが、これらは以後の諸作品にも必ず出て参りますキーワードでございますことは確か。

 

して、監督の本領発揮とも念願中の念願とも申せます 『アギーレ/神の怒り』 の制作と相成りますのでございますが、何が念願と申しまして、監督が映画人を志されましたその契機きっかけこそ、1954年制作 『戦場の叫び』 において青年士官に扮されておられました、かのクラウス・キンスキー氏の演技に触発され、映画の道を志されたと申されますから、まさに “男子の本懐これにあり” でございましたことでしょう。

 

まずこちらの映画。開始1分と経ちませぬうちにイキナリど肝を抜かれますこと請け合いにございます次第。ヘルツォーク監督の特徴のひとつとしまして、『空間の拡がりをダイナミックに使用する』 という趣向がございますが、そちらを十二分に見せつけますに足ります撮影は、ほぼ全作品にわたりまして手を組まれておられますカメラマン、トーマス・マオホ氏の技術によりますもので、アマゾン川を大筏でくだります劇中後半も、

『いったいこちらの映像はボートで併走しましたものか、あるいは岸からの望遠か、はたまたヘリコプターからでございましょうか?』

と、水面にさざ波すら立たせません超三次元的なカメラワークにて、さらに驚かせてくださいます次第。

 

ストーリーには敢えて触れませぬが、こちらの映画にてヘルツォーク氏ならびにキンスキー氏は国際的知名度をば上げましたのでございますが、残念ながら興行的には不成功でしたご様子。されど、こちらの映画にいたく刺激を受けましたがゆえに、かのフランシス・フォード・コッポラ監督がこれまた世界映画史上に残ります名作 『地獄の黙示録』 のメガホンを執られたというもっぱらのお話(注4)

 

なるほど 『アギーレ』 をイメージしつつ 『地獄の〜』 を拝見いたしますと、船で川を進みますシチュエーションや鬱蒼たる密林、炎に包まれます村、原住民(ヴェトコン)の反撃、減ってゆく仲間など、共通項と思えますストーリー上の展開がいくつか。吾が輩的には、『アギーレ』 にて隊員らが空腹のあまりの幻覚によって木の上に帆船が載っておりますように見えますシーンと、『地獄の〜』 にて墜落して木に引っかかったヘリコプターの残骸がオマージュっぽく映りまして仕方がないのでございますが……。

 

 

して、『アギーレ』 の次なる作品は、南ドイツに19世紀初頭より伝説ではなくて公式の文書に記録されております 『カスパー・ハウザーの謎』 にございますワイ――オヤ、思いのほか語りが長くなりましたゆえ、続きはまた来週にいたしたく存じます次第。では、ごきげんよう……サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ(注5)

 

 

 

 

 

 

 

 

注1:う〜ん、いささかベタでございますかナァ……。

注2:ライトの当たり方の問題なのでございましょう

注3:文化、風俗、身体的特徴など、氏のヨーロッパ的日常を中心に据えた世界観から見た“異人”たち。

注4:当時コッポラ氏はその点に関しては明言を避けられましたとか

注5:日曜洋画劇場風味。

 

 

 

 

 

おいおい、そっちじゃないぜ!

 

 

2005.06.03 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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