ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

鳥肌実氏主演、「タナカヒロシのすべて」 は興味がございますナァ。

 

2005年06月17

 

さて、 『これこそが “映画〜其の参〜 の巻

(指定BGM: Popol Vuh / パンの笛 )

 

 

して、以後しばらくはお二人がコンビを組まれますことはございませず、最後のタッグマッチ作品となりましたのが 『コブラ・ヴェルデ』。ブラジルの貧農に生まれ、盗賊からサトウキビ農園の奴隷監督を経まして罪人となり、ほぼ流刑のあつかいで、白人への反目の強い西アフリカへ “総督” として派遣されます次第。さらに土地の王様に捕らえられますも王の従兄弟のクーデターに加担しまして、所領と義兄弟の身分を得ますまでに栄達するのでございますが……。

 

吾が輩的にはヘルツォーク監督の創作センスとキンスキー氏のパワフルさがバランス良く配分されておりまして、これまでの共同作品の中ではいちばん観やすくまとまっております好感触をば得ておりましたが、当のお二方に言わせますと 『納得がいってない』作品でございますとか。当時キンスキー氏はいたく敬愛されておりますイタリアの音楽家 『パガニーニ』氏の半生を綴りました映画を、自らメガホンを執りつつ主演をもこなされておりまして、こちらの撮影に気持ちを集中できませんでしたとか。

 

それでも相も変わらず、ヘルツォーク監督は現地の人々を大量にエキストラに加えられ、大自然の景色という景色を隅々まで使われました壮大な映像ならびに異世界の風俗をば披露してくださいますが、いま気がつきますと監督の作品はほとんどスタジオ撮影がございませんような……屋内シーンはもちろん多々ございますが、光の加減から自然光でございますことが判りますゆえ、先に述べましたハリウッド大作のようなネタバレ感覚が皆無なのでございますナ。

 

監督の映画作製スタンスを評しまして、いずこかのサイトにて 『貴族を映画監督にしたような』 作風というお言葉がございましたが、そちらはまさに言い得て妙。そも、“ヘルツォーク” なる単語はドイツ語におけます “伯爵” でございますゆえ(注1)、そちらも加味されておられますのかも。吾が輩としましては、映画で取り上げられます題材に日常的な匂いが感じられませぬことと、アマゾンやアフリカの大自然であれ、そちらの現地住民のみなさまであれ、小人の方々であれ、その映し方や観せ方に博物学的な扱いが見え隠れいたしますのもその遠因かと愚考しておりますが……マァ小むずかしい事を申すつもりはございませんで、簡単に申さば興味本位と知的好奇心の綯い交ぜ(ないまぜ)になった視線でもって眺められている様子が感じられますのでございますワイ。

 

 

――ともあれ、キンスキー氏はこの 『コブラ・ヴェルデ』 の2年後に帰らぬ人となりまして、お二方が手を組まれます作品が作られますことは叶わなくなってしまうのでございますが、『アギーレ』 以来公私にわたりまして細々と回しておられましたカメラに納められました “動く逸話” をつむぎ合わされて構成されましたのが、『キンスキー/吾が最愛の敵 にございます。

 

こちらはヘルツォーク監督とキンスキー氏の “刎頸の交わり” とも評せられますプライヴェートでの親密ぶりと、そちらと真逆に相反します撮影時の衝突ぶりを、監督が各映画ごとに撮影故地を訪ねられながら語られます次第……そも、衝突と申しましてもその理由は撮影方針などにおけます意見の相違などではなく、単にキンスキー氏のブラック・ホールなみの自己中に起因しておるのでございますが。

 

なにしろ、まだ舞台でも端役しかもらえませぬ貧乏役者でございましたころ、わざわざ下宿まで足を運んで、『あなたの演技は偉大だ!』 と賞賛してくださいました新聞記者にお追従はおろかお礼のひとつも申さぬばかりか、イキナリ掴みかかって思うさま殴りつけました挙げ句に、『おれは偉大などではない。壮大なのだ!』 と叫び返した御仁でございますゆえ、もはや常軌を逸しているなどというレヴェルではございませなんだ。

 

そんな数多くのエピソードの中から 『フィツカラルド』 よりひとつ挙げますれば、撮影時にあまりにも虎舞竜、もといトラブルの絶えません監督とキンスキー氏。その様子はエキストラ参加しておりましたアマゾンの現地部族の方々にも、『よほど仲が悪いに違いない』 と合点され、さらには族長が監督に、『あなたが望むなら、あの男を殺しましょうか?』 とまで持ちかけられたのだとか。もちろん監督にその気はございませんから謝辞いたしましたものの、部族の人々の感情を劇中にて、“光臨した神とおぼしき男への畏怖と懐疑 として活用しておられましたのはさすがでございますワイ。

 

 

――して、他にもまた数多(あまた)ございますエピソードはDVDにて確認していただきますとしまして、ヘルツォーク監督の最新作は2004年の 『神に選ばれし無敵の男』。パッケージには 『海の上のピアニスト』 で知られておられますティム・ロス氏が扮されます千里眼男・ハヌッセンが写されておりますが、されど本編で追います内容は彼の前座を務めますユダヤ人の怪力男の生涯がほとんど。例のごとく淡々とした描写の “ヘルツォーク監督らしい”作品でございますが、 こちらを虎の門は “どっちの映画ショー” にて蛭子能収氏が薦めておりましたのはまっこと意外にございましたが、同様に各シーンにおける小道具の配置や構図の取り方にいたく感心されておられました美保純女史“女優の目” にもなるほどと感心いたしました次第。

 

……とまぁ、三週にわたりまして語らせていただ “ヘルツォーク映画” でございますが、もちろんもっと時間をば割きまして申し及びたきお話はあるのでございますが、それよりかはやはり皆さまにその目でご覧いただきたく存じますので、レンタルでも結構でございますゆえ、こちらにて興味をおぼえられましたら是非とも――オヤ? パッケージにはレンタル禁止とございますナァ。ということでご購入をばお願いいたします次第。

 

 

 

 

 

 

 

 

注1:本名 = ヴェルナー・H・スティペティク。

 

 

 

 

 

おいおい、そっちじゃないぜ!

 

 

2005.06.17 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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