ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

コメディと音楽の震源地はいつも英国!?

 

2005年06月24

 

さて、 『病身の美青年? の巻

(指定BGM: Bauhaus / Dark Entries )

 

 

こちら愚考録にて幾度かお名前の出ておりますピーター・マーフィー氏。デビュー当時はその長身にて痩身、そして追い打ちをかけますかの如き頬のこけました面貌から、音楽雑誌の漫画ではよく “病身キャラ” として扱われておられましたナァ……。

 

残念ながら昨今におけます氏の活動に関しましては把握しておりませぬが、そもそもは80年代に一世を風靡しました英国のバンド 『BAUHAUS』 のリーダー。多聞に漏れませず、相棒のダニエル・アッシュ氏とともにパンクの洗礼をば受けました彼らは “独自の音楽性と表現” を模索いたしました末に “まず” 到達されましたのがこちら。

 

さるにても、80年代初頭と申さば英国はまさに “ハードコア・パンク” 真っ盛り。されど音楽的な表層を申さばゲイリー・ニューマン氏などに代表されます “ニュー・ウェイヴ” 勢が全世界規模にて席巻しておりました次第……かなりの活況を呈しておりました華やかなるシーンにございまして、マーフィー氏らはまこと “独立独歩” にて自分らのスタイルをば確立されましたのでございますが……吾が輩が最初に拝聴いたしましたのは既にして編集形式を採られておりました1stCD。して、全曲聴き終わりましてまず思いましたのがこれなん、

 

ああこりゃシャクだった……もとい、買ってソンした!

 

こちらの一言に尽きますかと(笑)。

 

もちろん演奏や曲作りにおけます基礎力はきちんとございますが、ある意味 『抽象画』 にも似ました直感的かつ奔放に過ぎます創作センス全開の曲は、非常な衝撃のカタマリとして耳殻から鼓膜へ、さらには脳へと交流電気60Hzでもちまして届きました次第。果たして如何様な楽曲かと申しますれば……敢えて文章にての表現を試みてみますれば、心理の深層にのたくり回ります、妖虫にも似た未形成の自我が断続的にあげます魂の奇声、というところでございましょうか。

 

そちらばかりではございませんで、ギターもそれとは容易に判りませぬくらい、驚きますほど多種多様な音色をば奏でますし(注1)、バンド名こそはドイツはベルリンにかつてございました芸術大学(注2)から採られてはおりますが、表現手法そのものはどちらかと申しますれば 『ダダイズム』 に通じますように感じますのは吾が輩だけではございませぬはず――斯様に突飛な楽曲の数々から拒否反応を示しました吾が輩の耳ではございますが、それでも聴き捨にしておけませぬ何かが吾が輩の心の方をば引き付けまして、寝る前にほぼ一時間。ひと月聴き続けましたら開けたのでございます……“もう一つ”の新たな扉が!

 

1stCD 『In the Flat Field』 の最初の曲が 『Dark Entries』 と、まさに吾が輩の開眼を暗示しますかのようなタイトルにございますが、これこそが “目からウロコ” と申しますのでございましょうか、それまで見えておりました世界が単純な “唯美主義的な” 世界でございますれば、『BAUHAUS以降』 の吾が輩は美ならざる美の発見、陽光の差さざる空間なればこそ息づく精神的ならびに物理的な存在の受容など、視野が一気に拡がりましたのでございますワイ。

 

当時はすでにバンドは解散しておりまして、マーフィー氏はソロ活動を、他のメンバーは 『Love&Rockets』 なる新バンドを結成しておられましたので、以降発表されました3アルバムもみなCDとして、1st同様レア音源をも封入されました “お買い得盤” としてリリースされておりました次第。もちろん吾が輩も順を追いまして2nd 『Mask』 を購入いたしましたが、一部の音楽評論家より 『白痴的』 と酷評を受けました前作に比べますと何やら毒が薄くなり、かと申しまして素っ堅気な音に徹されますでもなく、マァ完成度を申しますればいわゆる中途半端な印象は否めませず、それがために3rdCDを入手いたしますまでにしばしの時間が空いてしまいました次第。

 

――それこそ一年半ほどのインターバルがございましたように記憶しておりますが、こちらがまた聴いてビックリ!リアルでございますれば3rdアルバム 『The Sky's gone out』 までの作製期間は?というお話にございますが、さるにてもこのクオリティの違いと申しましたら! これまでのアルバムが(くろがね)(あかがね)でこさえておられました、“ゲージツ家” 篠原勝之氏的な作品でございましたのを、突然オール・クリスタル製にて瑕(きず)や継ぎ目はおろか、加工跡すら見当たりませんオー・パーツ並に高不可思議水準の完成度を披露してくださったのでございますワイ。

 

そちらはまるで映画のサントラよろしき洗練されたセンスの曲が目白押しにございまして、何故か吾が輩、 『ズルいよ!』 と足擦りして(注3)悔しがりました次第。こちらを別れ際に未練を振り切れませぬ女性風に申さば、

 

『漫画ならどおくまんプロ、お酒ならどぶろくが大好きだって言ってたじゃない!』

 

という感じでございますでしょうか。そちらが今や片手にマティーニのグラス、本棚にはジャン・ジャック・ルソーの全集たる案配にございますから、まさに 『人は、変わるものなのね……』 にございますことをつくづく感じ入りました次第。具体的に人物にて喩えますれば、元々はピストルズの取り巻きでございました “キッチュなねえちゃん” から、現在は国際的知名度をば誇られますブランドのオーナーにまで成りおおされましたヴィヴィアン・ウェストウッド女史が至当ではございますまいか。

 

兎にも角にもグラマラスなほどのエンターテイナーぶりを身につけました 『BAUHAUS』。最終アルバム 『Burning from the inside』 ではクオリティそのものの維持はできておりますが、印象の点で申しますれば4枚中もっとも薄うございますので、ややこぢんまりと纏まり過ぎたものと思われますナ。

 

さるにても、ハードコア・パンクからメタルへ移られましたバンドが若干ながらございましたが、長続きはいたしませんでした様にお見受けしますのが実際のトコロ。されど同一バンドがその活動期間内にこれだけの変遷を遂げられますのも稀有ではございますまいかと。ありきたりなポップスに食傷気味のお客様がいらっしゃいますれば、もちろん1stから彼らの成長にお付き合いいただきますのも一興でございますし、ないしは 『成熟した耽美』 を味わわれたくば3rdからお聴きあそばせますのもよろしいかと……。

 

 

 

 

 

 

 

注1:最初はアルミホイルでも擦りあわせていますものと合点しておりました曲もございました次第

注2:ヴァイマール共和国下にヴァルター・グロピウス氏主催にて芸術と工業の融合を目標に開設(1919〜1928 ?。実用性と機能美を追求した作品が主体。

注3:古文的表現

 

 

 

 

 

おいおい、そっちじゃないぜ!

 

 

2005.06.24 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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