ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

香港では、お三人とも皆さんかなりのスター。

 

2005年11月04

 

さて、 『 嗚呼、許三兄弟 』 の巻

(指定BGM: サミュエル・ホイ / Mr.Boo インベーダー作戦のテーマ )

 

 

先日の指定BGMよりふと思うところがございまして、私家版DVDファイルをば掘っくり返してみますれば……ございましたワイ。おそらくはほぼノー・カットにございましょう、『Mr.Boo / ギャンブル大将』 が。こちらは確か数年前に日テレさんの深夜枠にて放送されましたもの。吹き替えなしの字幕ヴァージョンとなっておりまして、かの有名な 『ミスター・Mr.Boo』 こと広川太一郎氏の軽妙闊達なおしゃべりはございませなんだ。

 

――ところは香港郊外の石切場。労働作業に従事しております刑務所の囚人たちにもお昼休憩が。そこで早速、羹(スープ)に入っているグリンピースが奇数か偶数かという賭を持ち掛け、まんまとイカサマで昼飯を巻き上げる短髪メガネ。作業が再開し、オケラになりましたおやじが隠し持っていたタバコを横取りしますも、巡回してきた看守に見つかりそうになって煙を吐かぬまま慌てて作業に。すると突然の停電で石切場の全作業が中断。看守が短髪メガネの足元にて発見しましたのは、彼が振るいましたツルハシで切断されました電源ケーブル。この大チョンボに看守からビンタを頂戴し、せっかくのタバコも吹き出してしまい、喫煙もバレてしまったというオチ……。

 

このオープニングのみで、誰がどんな活躍をし、いかなるストーリーが展開されますかを端的に語りますこと、まさに映画の “つかみ” のお手本と申しあげましても過言ではございませんかと。ビンタを皮切りに始まりますテーマ曲もこれまたイカス〜ッ!イントロの渋めなロックを聴かせますギターから、一転してコミカルな主題へ。キャッチなコーラスとシンセサイザーのアレンジは、さすがは “FM吾が輩・1982年度へヴィ・ローテーション” トップ10に数えますだけの名曲ならでは。

 

肝心の内容も、当時小学校の高学年にございました吾が輩でも十分に理解できますベタな……もといギャグの基本を押さえました純良なるエンタテインメント。当時散発的に拝見しますことが叶いました 『モンティ・パイソン』 がまだ思春期前の少年には難解でしたことに比べましても、『映画』 という “大衆娯楽” たりますスタンスとしましては、明解なギャグこそ大事ということでございますナ。

 

内容には例のごとくくだくだしく触れはいたしませぬが、ラスト前にマフィアに追われます Mr.Boo (以下ブ氏)がカジノにてイカサマのダイスを振るい、わざと刑務所に送られますシーンは何とも粋! 正直少年マンガのようにヒネりのない、もといストレートな展開が少なくない香港映画にて、その練られに練られましたストーリーには、吾が輩小学生ながらもシャポーを脱ぎました次第。ちなみにこちら 『Mr.Boo』 なるタイトルは本邦で付けられましたるネーミングとなりまして、原題にその名は出ませんばかりか、各作品とも別段シリーズとして企画されました訳ではございませんご様子。

 

次いで邦題 『Mr.Boo』 と名付けられましたる作品では007ばりの水泳能力(注1)……もとい秘密小道具をば駆使されます私立探偵社の社長に扮され、それぞれサミュエル氏はクン・フーを得手とします、そしてリッキー氏はおマヌケな見習い助手でございましたはず。浮気調査から素行調査と、およそ所帯じみました仕事ばかりでございますが、追跡中にバラバラとポンコツになっていきますフォルクス・ヴァーゲンや、一緒に理髪店に入りましてヒゲを半分剃られましたところでお店を出ざる得ませんでしたり、ホテルの厨房にて食材を用いましてクン・フーまがいのアクションを繰り広げましたりと、逐一に絡めてきますギャグがこれまた秀逸!

 

中でも白眉でしたのは、後半のヤマ場でございます、ギャング団によります映画館強盗のシーン。物語の前半部にて起こりました掏摸騒動に凝りまして、『絶対スられませんゴム付き財布』 を着用しましたブ氏。運悪くもお約束に檀上に呼ばれまして身体検査をばされまして、くだんの財布を見つけられてしまいます。ボスにピストルを向けられますも、果敢に立ち向かいまして奪い合いになります次第。こちらで全館頭上にホールド・アップ状態でございました観客たちが、場内割れんばかりの大バンザイ拍手フェスティバル。その眺めの壮観かつマヌケさ加減は、いま思い出しましても頬がゆるんでしまいます次第。

 

結局は奪い合いの中途で一発放たれるのでございますが、直接どちらの体にも当たることはございませなんだが、代わりにワイヤーが切れましたか何かで落ちてきました緞帳用の鉄棒がブ氏の足を直撃……して、 こちらの事件がどのような解決を見ましたかはナイショということにいたしまして、確かラストはブ氏の隣に新たな事務所を開きました見習いと依頼を折半することで大団円だったことは間違いないと記憶しておりますが、こうした人情を絡めました〆括りがまたイイ余韻を残してくださいますのでございますよナァ……。

 

 

して、視聴率獲得に異常な執念を燃やしますテレビ局を舞台に、ブ氏とサミュエル氏がそれぞれ売れないコメディアンとマジシャンに扮しますのが 『インベーダー作戦』。リッキー氏は相変わらずブ氏の弟チョンボで発明家なのでございますが、セリフも増えましてまぁレギュラーらしくなりましたかと。 次いで 『アヒルの警備保障』 ではさらに露出度がアップしまして、ほぼ半分のエピソードが彼がらみでございましたはず。マァうるわしき三兄弟愛、というところでございましょうか――『インベ〜』 はまず佳作と申しますに留めまして、『警備〜』 は結構な良作。人情と笑いを添えましたラストがまたよろしいのでございますワイ。

 

特にこちら一連の作品の面白さをより高めましたのは、何を措きましても吹き替え担当の広川太一郎氏の存在に尽きるのではございますまいか。氏の独特な単語チョイス・センスに加えまして、矢継ぎ早の饒舌な話技が、吾が輩が申し上げますまでもございませんナ。

 

ちなみにサミュエル氏は“ちびまる子ちゃん”の初代おじいちゃん、“ママとあそぼうピンポンパン”のブチャ猫――もとい、“宇宙戦艦ヤマト”の古代進、“タイガーマスク”の伊達直人などの二枚目声優としておなじみの故・富山敬氏がご担当。リッキー氏は……う〜ん、“王立宇宙軍〜オネアミスの翼〜”におけますマジャホ役のお方なのでございましょうか。でも結構聴けば判りますお声の声優さんでございましたが、ハテ。

 

ただ、『Mr.Boo』 では、なんと珍しくもサミュエル氏にビートたけし氏、リッキー氏にビートきよし氏をフィーチャー。たけし氏のお声はぶっちゃけ二枚目ではございませんので違和感は拭えませんでしたが、きよし氏の中途半端なボンクラ声はミョーにマッチしてよろしゅうございましたナァ(笑)。

 

して、現在これら4作品に 『新Mr.Boo鉄板焼き』(注2) を加えましたDVD-BOXが発売されておりますご様子。そのうえ特典として、TV放送当時の吹き替え音声が付けられておりますとか……こちらはファンならずとも買い!の豪華アイテムではございますまいか。されどお三人とも、現在はなにをなさっておられるのでございましょうかナァ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注1:相変わらず判りにくいボケ。ヒント:石ノ森章太郎。

注2:拝見したことがございますが、正直往年の面白さには達しておりませなんだ……。

 

 

 

 

おいおい、そっちじゃないぜ!

 

 

2005.11.04 (C) Mephistopheles von Münchhausen

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