ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

こちらこそが元祖 『ダサカッコいい』 にございましょう。

 

2006年04月08日

 

さて、『 嗚呼、俺ワールド 』の巻

(指定BGM: グループ魂 / Run魂Run )

 

 

なべて世の創作作品と申さば、作り手の意志やメッセージ、心象風景ならびに世界観が反映されますもの。ただ、そちらがエンタテインメントまで昇華できますか、単なるくだらないエゴの垂れ流しで終わってしまいますかは、けだし作り手の腕の見せどころ。もちろん、ヘンに受け手に迎合しようとします計算が見えてしまいますれば却ってシラけてしまいますし、かと申しまして逆に何も意図しませんまま、『これが俺の生き様じゃい!』 と構想のありったけをぶつけて憚りませんのに、大いにウケてしまいます御仁もいらっしゃいますから、サテ世の中さじ加減と申しますのはまこと難しいものでございますナ。

 

吾が輩後者の典型とつねづね愚考しておりますのが、漫画家の宮下あきら氏。師匠直伝の沸騰点ギリギリまで煮えたぎります熱き “漢魂” をあます所なく体現されておりますことは、吾が輩が申し上げますまでもございますまい……されどその師匠・本宮ひろ志氏は史劇ならびに昨今の社会問題なども織り交ぜられました現代劇まで、緻細な調査ならびに考証を加えられましたうえで幅広く手掛けられておりますのに比しまして、弟子たる宮下氏も結構多彩な題材を扱われてはおりますものの……作品中にて使用されます際の解釈と演出は飽くまで “俺サマ流”。

 

宮下氏の作品の基調をデビュー作 『私立極道高校』 から追いますれば、言わずもがな “漢(おとこ)魂” のひと言に尽きますことは明白の理(ことわり)。愚直なまでに一本気で、友誼に篤く義に殉じますことを潔しとされます古きよき時代の “漢” たちを描かれておられますが、そこを暑苦しくなり過ぎませぬようにギャグを冷却剤もとい潤滑油にストーリーを運ばれておりますのがグー。

 

吾が輩がなにより 『宮下氏は確固たる自分の世界を持たれてますナァ』 とつくづく感じ入りましたのが、氏の代表作にございます 『魁!男塾』 のとあるワン・シーンを拝見しましてから。くだんのシーンは出入り支度のやくざの集団がトラックにて塾に乗り付けてくるのでございますが、今時どこを探しても見つかりそうにございませぬボンネット・トラックが!それも 『仁義なき戦い』 に出てきましたタイプではなく、鼻っ面が丸い 『昭和残侠伝』 などで使われておりますようなタイプ。要しまするに、宮下氏の脳内におけます出入りのイメージの鉄板があちらなのでございましょうが、男塾の連載当時はまだ80年代半ばではございましたが、ワンピースを読まれております今どきの10代未満の読者諸氏には到底判りませんでしょうナァ。

 

男塾ネタが出ましたので、今回はこちらをサンプルに話を進めていきましょう。男塾の授業(鍛練?)がなべて命懸けなのは何ら不思議はございませんとしましても、かの八連制覇の会場はいずこが保守管理をなさっておられますかは少々不思議。氏の好まれます演出の手法としまして、大掛かりなハッタリとチープな仕掛けというのがございますが、男塾の冒頭シーンからしまして、資料映像に登場しました戦車戦闘機がじつはハリボテだった、というベタネタから始まっておりますことからも明白。

 

各ギャグは純粋にネタとしてのみ考案されておりますためか、リアリズムや信憑性の入り込めます余地など一顧だにしません潔さがなんとも素敵!! たしか 『激!極虎一家』 でしたと記憶しておりますが、“極道28号” なるロボットが登場しました際に、その電源を調べていきますれば、なんと数十匹の猫の背をプラスチックの下敷きで擦って発生した静電気を集めたもの。静電気は蓄電しますのも運動エネルギーとして変換しますのも非常に難しいとされておりますことはサテ措きまして、2m以上もございますロボットの電力供給源としましても如何なものでございましょう……されど宮下先生、などと申します斯様な事実関係は一切お構いナシ。こちらはお笑いでもっとも重要でございます “ギャップとインパクト” 最優先がゆえの処置。決して “やりっぱなし” ではございますまい。

 

また、先の八連制覇におきまして、闘いますロープ下になみなみと満たされました濃○酸(注1)なる 『骨まで瞬時に溶かしてしまいそうな劇薬』 が登場。いかなる製法にて生成され、いかなる化学式にて構成されておりますかは定かでございませんが、まこと恐ろしき薬品があったものでございます。それらハッタリ・ギャグの究極到達点こそ、かの森羅万象を網羅されます深遠なる知識の泉 『民明書房』 の刊行書物の存在にございましょう。

 

そのまことしやかな解説と蘊蓄の披瀝には絶妙な説得力がございまして、吾が輩もじつに “撲針愚” までは迂闊にも真面目に信じておりましたくらい。後半ではご自身でもギャグを前面に押し出して遊ばれておりましたが、元ネタは遠からず梶原一騎氏が原作された漫画におけます劇中のもっともらしい解説でございましょう(注2)……マァ、あちらこそふんだんにウソもとい脚色が盛り込まれておりましたようでございますが。

 

サテ宮下氏の作品。登場人物が非常に個性的なのは申し上げますまでもございますまいが、なによりダントツの “当たり役” と申さばかの男塾塾長・江田島平八を措かれまして、他にはいらっしゃいませぬかと。吾が輩個人的には“崇山暗屯子” がイチオシなのでございますが、いま一つ知名度では江田島氏に譲りますかと。

 

その江田島氏。なべて為されます事におきまして不可能はございませぬ御仁。人工衛星に幽閉されましても自力でハッチをこじ開けられまして脱出し、宇宙服のまま大気圏突入。マァこちらのあたりまででございますれば、

『塾長でしたら、そのくらいなさいますでしょう』

とは思いますものの、そこはやはり塾長。海上に着水されましてからは 『もしや?』 とワクワク期待して見守っておりましたら、はるか水平線の向こうから、やって来ましたるは吾らが塾長! 捕獲しましたイルカの背に跨がられまして、悠々堂々たる再登場。『す〜い〜へ〜い〜せ〜んのおわりには〜あああ〜』 か、ないしは 『イルカに乗った少年』 のいずれがBGMでございましたかは定かではございませんが、まさに男塾塾長の面目躍如十二分の貫禄を見せつけていただきましたワイ。

 

 

 

 

 

注1:手元に単行本がございませんので名称失念。たしか濃硫酸程度のフツーの劇薬ではございませんでしたハズ?

注2:“事実である” としておきながら、ウソ八百でございましたというお話も少なくございませんとか。民明書房よりも却ってタチが悪い?

 

 

 

 

 

 

おいおい、そっちじゃないぜ!

 

 

2006.04.08 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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