ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

パチ・ゲーよりもやはりこちらが先。

 

2006年12月29日

 

さて、『 ちょい狡(ズル)・イタリア 』 の巻

(指定BGM: ヴィサージ / Moon Over Moscow

 

 

……さて、今回はほらふき・(注1)男爵先生が急病のため、予定しておりました 『パチ・ゲー2』 は休載とさせていただきまして、前々回の旧ソヴィエト赤軍は懲罰大隊を舞台にいたしましたドラマ 『捕虜大隊』 に引き続きまして、こちら残り少のうございます年末を “海外戦記ドラマ強化月間”と銘打ちまして、イタリアのテレヴィジョン特番とおぼしき 『ナチス 虐殺の島』 前・後編をば、吾が輩めことほらふき・・男爵(注2)紹介させていただきましょうかと存じ上げております次第。

 

 

こちらは題名をチラと一瞥いたしました限りでは、『ハハァ、イタリア物だけに女囚さそり風味・収監系エログロAVでございますかナ』 と、珍妙な合点に陥りそうなタイトルではございますが、引き続きます副題としまして“対独パルチザン戦線1943” とございますので、なるほど戦記物と判明いたしますシロモノ(注3)

 

さるにても、タイトルを付けますに事欠きまして、“ナチス 虐殺の島”では、ノリがまるで“食人族”シリーズにも通じます胡散臭い血生臭さ(注4)をふんぷんと感じますのは吾が輩だけでございましょうか……ちなみに原題は 『ケファロニア』 という、1943年当時ドイツ・イタリア両枢軸国の軍隊が駐留しておりましたギリシャ領の島の名前にございます。

 


 

要はムッソリーニ親方(ドゥーチェ)が失脚し、次いで就任されましたバドリオ首相の声明によりイタリア軍が連合国軍の指揮下に入る事になりましてから、かつての友軍ドイツの態度は急変。むろんドイツ軍は戦争を継続中ですので、利敵行為にでも走られましたら堪ったものでございませんことは察しまするにあまりに容易。

 

ではございますものの、島の主導権を掌握せんと意を決しましたドイツ軍の行動たりますや人が変わりましたように冷酷で、『こりゃさすがに演出でございましょう』 と眉根を寄せざるを得ませぬ、ステレオタイプな残虐ぶり。

 

タイトルの 『虐殺の島』 の由来は、ドイツ軍の制圧化に甘んじますことを潔しとしませずに叛旗を翻しましたイタリア軍が、やはり兵器の質と量、ならびに本国に打電して呼び寄せたシュトゥーカ部隊や、すでに “戦争のプロフェッショナル” たる経験を積んだ連中に敵いますはずもございませず、敢えなく敗退の末に拘留後まとめてハチの巣にされましたため。

そのうえ島民の女性まで(注5)レイプされそうになるなど、かの残虐超人・ブロッケンマンの上を行きます鬼畜ぶり。このあたりで吾が輩、

 

『あなた様方は“ひまわり”でも“ライフ・イズ・ビューティフル”でも、被害者視点で第二次世界大戦を描くのが好きでございますよナ』

 

と、イタリア映画の“ちょいズル”ぶりに渋い顔をせずにはいられませんでしたワイ。

 

 

仮にこちらが演出ではなしに事実としますれば、ドイツ軍のこの手のひらを返しましたような殺人マッシーン(注6)への豹変に至りますココロのボス もとい移ろいとはいかに?こちらを吾が輩なりにプロファイリングしてみますれば……

 

『――ファシズムの元祖だからって顔を立てておけば、やれ俺たちが占領したフランスに攻め込んでケチョンケチョンに負けるわ、やれ地中海の向こうで儲けにもならない火遊びをはじめて悪戯に戦線を拡大するわ、やれ東部戦線に援軍をもらっても頼りにならないわ……その挙句にドゥーチェが倒れればサッサと連合軍ヅラしやがって……』

 

 

『フッザッケナ!モウ、コタゾ!』注7)

 

 

と、興奮のあまり映画 『ライジング・サン』 にてショーン・コネリー氏がご披露されました流暢この上ない日本語で激怒されましても、確かに致し方ございませんカモしれませぬナァ。あれだけ振り回されました末に、

 

『オレYO今日からYOアメリカ・サイドだからYO、好きにやらせてもらうZE!』注8)

 

などとホザかれましては、それは堪忍袋の緒も切れましょうというもの。

 

 

あるいはドイツ軍からしてみれば、イタリア軍のこのご都合主義的な変節は、往年の東映・任侠映画にて喩えてみますれば、相手の組の嫌がらせに堪えに堪えました(高倉)健さんが、ついに白鞘の長脇差(ながどす)を片手に桜散ります夜道を歩きだしましたところに、しばらく先の路地から出て参りましたおなじく白鞘を携えました鶴田浩二さんと、目と目で意志を確認する場面であったのかもしれませぬナ……いわゆる 『イタリアさん、死んでもらいます の心理状態にあったとしましても、致し方ございませんのカモ――って言うか自業自得?注9)

 

――そんなこんなで、辛くも虎口を脱しました数名の生き残りが島のパルチザン組織に合流し、ドイツ軍に逆襲、撃退するのでございますが、オーラスのテロップにて一万人いた駐留部隊のうち九千数百人が実際に亡くなられているとの説明がございますことから、なるほど題名に違わぬ“虐殺の島”でございましたようでございますワイ。

 


 

ちなみに制作スタッフはかなり豪華でして、音楽はかの名作曲家のエンニオ・モリコーネ氏。監督はリカルド・ミラニ氏、・脚本のステファノ・ルッリ他は映画 『ワンス・アポンナ・タイム・イン・アメリカ』 のスタッフでございますことから、遠からずイタリア映画界の巨匠にあらせられますセルジオ・レオーネ氏が一門のご様子。

 

主人公のサベリオに扮されますルカ・ジンガレッティ氏は、現代イタリアにおけます誉れ高き名優にございますようで、見てくれと身にまとわれます雰囲気はまんま本邦の渡辺謙氏。軍属でトラックの運転と兵站のような仕事を担当し、たまさか軍曹とも呼ばれますものの現役ではなく予備役っぽく、過去にパラシュート降下作戦に参加して勲章をもらっていたりと少々謎のございます人物。

 

それら彼の過去に対します疑惑が臭わされたりいたしますものの、結局最後まで明かされず終いでしたのは大いに消化不良でございましたナァ。また、イタリア軍の受難は時間を割いてこまごまと描き出されます一方で、パルチザンと結託していく様と反攻への準備などの描写が早く片付けられておりました点にやや不満が残りました次第。

 

また意外な点といたしましては、陽気な女たらし もとい性に開放的なイタリアの作品ではございますが、濡れ場 ラヴ・シーンの演出はケッコウ濃厚かと思いきや、こちらのドラマは男女のリビドーとアドレナリンの濃度が高まりますと、『あとは二人だけの時間ネ!』 と言わんばかりに部屋からフレーム・アウトしてしまうのでございます。ピロー・トーク時にもあまり生々しさは感じられませず、却って 『捕虜大隊』 のほうが “ハッスル後”けだるさがそこはかとなしに感じられました次第。性に野放図 寛容なのはラテン系よりもむしろスラヴ系なのでございましょうか、ハテ……。

 

ドイツ軍の描き方も、『捕虜〜』 が “ドイツ兵も制服の中の人はおなじ人間” 的な扱いがけっこうございますのに、こちらの作品はイタリア軍に理解を示しますのはただ一人の将校のみ。あとは何かにつけシャレになりませぬ指令を下します高級将校が、『ガルル、下の犬 中の人などいない!!注10) とばかりに処刑を命じますこの落差はいずこから――かつて同じ枢軸陣営に属しましたがゆえの近親憎悪のなせる業か、あるいは 『あいつら敗戦国のクセにヴィットマンだのルーデルだの、なんのかんの戦時英雄や戦車とかが持て囃されてMMK注11!!(GNPもむこうが高いし!)』 とか嫉視を買っているのやもしれませぬナ。

 

 

 

と申しますところでこちら 『ナチス 虐殺の島〜対独パルチザン戦線1943〜』。ケファロニア島の美しい自然を堪能されたいお客様は是非とも!にございますワイ。 。

 

 

 

 

注1:F=flexible フレキシブル(英)。融通のきく、柔軟性のある様。

注2:A=archaique アルカイック(英)。古風で素朴な様。面倒くさいので以後使い分けの予定ナシ。

注3:ジャケットで判れよ。

注4:どっちだい。

注5:主人公のいい女。往年の倍賞美津子女史似の熟女

注6:一時期のダウンタウン風発音。

注7:赤部分は強アクセント部位。

注8:ラッパー風(ウザい若者代表)。

注9:アンゴル・モア嬢風(inケロロ軍曹)。

注10:By 伝染るんです(かわうそ君&犬ヴァージョン)。

注11:M=マジ M=ムカつく K=殺す ……でしたっけ?

 

 

 

 

おいおい、そっちじゃないぜ!

 

 

2006.12.29 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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