ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

画と動きがキレイなだけじゃダメ!!

 

2007年07月20日

 

さ て、『 濃縮還元率200% 』 の巻

(指定BGM: トム・ジョーンズ / サンダーボール作戦 )

 

 

来たる2008年に、いよいよ赤衣丸歩郎氏の代表作 『仮面のメイドガイ』 がアニメ化されますご様子。


製作は高速かつ流麗な動きも安心して拝見できますマッドハウスさんというお話ですので期待は嫌が応にもふくらみますが、マァ 『来年の話をすると鬼が笑う』 という定説もございますのでアニメのお話はここまでといたしまして、今回は原作のほうに焦点を当てて行きます所存にございます。


サテ刊行されております単行本も先日で五巻を重ねまして、主人公・富士原なえか嬢の財産継承のその日まではなかなか縮まりませんものの、毎回のストーリー展開ならびにギャグのクオリティは相も変わらず高水準でして、赤衣氏の脳味噌におけます柔軟な発想力と緻密な想像力にはシャポーを脱がざるを得ませんでしたワイ。


こ こで “構成力” と申しませずに “想像力” といたしましたのは、映画と違いまして漫画の場合は各カットの画面構成を、『テレビ台の横に新聞紙の束を重ねてね……』 などとスタッフ一同とああだこうだ理屈を重ねあわせて作り上げるのではございませず、何はございませずともまずは作者ご自身の脳内に浮かびましたインスピ レーションをばコマに割り振っていかれますのが常道と思われますナ。


もちろん背景などの書き込みはアシスタント諸氏に任されるのでございましょうが、そちらにつけましても
氏の画面密度の高さと申しましたら、まさしく江川達也氏『日露戦争物語』 におけます高級将校らの議論シーン真逆(注1)


そちらも、ただ登場人物らや背景のディティール描写が精緻であるというレヴェルに留まりませず、ギャグばかりではなしに漫画の展開そのもの巧妙にアクセルさせていらっしゃるという事実がここにあるのでございます。


喩えますれば、


かあさん、おやつは(赤塚不二夫氏:おそ松くん)ドカッ(横山光輝:三國志ほか)
とだなの中よ



と、一コマで二つの動作を描写いたしますのは別段難しくはございませぬ。その実どちらも一対の“受け応え”にございますので、ほぼ同時発生の動作として枠への収まりが良いのでございましょう。


そこを赤井氏は一歩進めまして、メインの人物が何やらセリフを喋っておりますれば、その向こうでさぶ サブの人物が展開に先んじまして転んだり気絶したりと一歩進めました描写、ないしはネタをかましてくださるのございます。


こちらは各回のストーリーのテムポを保ちますこともさることながら、それを逆手に取りましてテムポを崩しまして読者の意表を突くことも可能にございます。その実は、どちらかと申しますれば氏が思い付きましたアイディアを余さず盛り込みますべく尺(コマ)を詰めていく必要から、自然と編み出されました
手法ではございませぬかと愚考されますナ。


また氏は枠外の手書きフォントによります別進行場面の表現も多用されておられますのも特徴かと。
もちろん言葉と擬音のみですので情景そのものは完全な読者の脳内補完となりますが、お話の流れと平行しての想像を結びますのに無理がございませず、吾が輩つくづく 『巧うございますナァ』 と感心いたしますことしきりの態。


いずれにしましても、氏の脳内にては毎話のエピソードが準アニメ状態
(注2)で発案され、そのため漫画のフォーマットに変換いたしますには情報量が過多となっておりますのかもしれませぬナ。





また画面構成力のほか、毎回のネタに関連します “小道具”なども凝りに凝っておりますのも氏の良いトコロ。最新第五巻から引用いたしますれば、以前になえか嬢一味が占拠いたしました銀行が強盗対策に武装化しているのでございますが、こちらの武器が500円玉を弾丸に使用しました機関銃や、金銭に絡みました警備システムがこと細かに設定されておりましたが、商売とは申しましてもやはり 『よく考えますよナァ』 と感心しきり。


先にメイドガイ・コガラシ氏の能力――通称
“妖技” として、USBケーブルを通じまして意志力によりますPC周辺機器との会話が可能と申します、ハイ・テクノロジーでございますのかオカルトでございますのか判別つけ難い技がございましたが、こうしたギャグの着眼点もさすが。氏のセンスでございますれば、“オタク的ジャンル”以外でも十二分に良質のギャグ漫画を創作していけますものと思われますナ……ただ唯一、吾が輩心を鬼にして赤氏に対し厳に申し上げたき点がございますのがこれなん、

『いま少しデッサンを培いましょうぞ!』

と。


その点につきましては
実際の静物ないしは人物の描写力と、漫画のキャラの描画は“オリジナル色”としてのデフォルメないしはフィルタを通しておりますので確信犯でない限りは “上手い下手” ではないご様子ですが、それでもいま少しスッキリ見やすく纏めましたほうがよろしい様にお見受けいたしますワイ。


ア ニメになりますと時間処理の違いから、一回分の尺が足らなくなります事がしばしばございますが、こちら 『仮面のメイドガイ』 でございますれば、逐一を動画に再現いたしますだけで下手なアレンジは不要と吾が輩存じ上げます次第――と申しますか、音声的にはある程度セリフの間引き
(注3)、ないしは再配置をいたしませぬと、聴覚的ポケモン・ショックを引き起こしかねませんかと一抹の不安を禁じ得ませぬナァ……。


ともあれいかにマッドハウスさんでございましょうとも、仕上がりに求められますクオリティのハードルが高いことは確か。担当声優さんや放映時期などの詳細が盛り込まれました続報が、心待ちにされますものでございますナ。



 

 

注1:二次元にも満たない真っ白な零次元とはこれいかに?

注2:あるいは、全方向性フルポリゴンCGかもしれませぬが

注3:実際ネーム密度が高いコマも多うございますナ 

 

 

 

おいお い、そっちじゃないぜ!

 

 

2007.07.20 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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