ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

作者に何が起こったか!?

 

2007年08月17日

 

さ て、『 ジキルとハイド!?其の弐 の巻

(指定BGM: 竹内 力 / 欲望の街 )

 

 

『ほらふき男爵の愚行録読まんか〜い!』


――と、吾が輩最近のお気に入り俳優さん、竹内 力凄味とシブ味を基調に、またぞろ桃井はるこ女史のおきゃんな可愛らしさを乗せてシャウトしてみましたほらふき男爵でございます。



そんなこんなで、このたびはこちらの愚行録でもあれだけ毛嫌いしておりました 『天上天下』 の作者・大暮維人氏の 『エア・ギア』 を、(イツキ) もとい一気に第一巻〜第八巻まで
注文してしまいました吾が輩。今回はその読後の様子をばお伝えいたします所存にございますが、せっかく冒頭シャウトにてご存じ原作天王寺 大氏・作画/郷 力也氏によります『ミナミの帝王』 の雰囲気に持って行きました(注1)ので、イメージ画像としましてはまんま郷氏の画風を、大暮氏の漫画のお話にもかかわらず思い浮かべていただけますとなお楽しめますことと愚考いたします次第おま!(注2)



……
して、届きましたその日に拝読いたしましたのは第四巻まで。まァこのォ〜、吾が輩も仰天いたしますだに一気に読み進みましたものでございますが、こちらがまた掛値なしに面白うございまっせえ!!(注3)






さて肝心の内容でございますが、物語の中心となります 『エア・トレック』 の劇中世界におけます位置付けや、副次的に広がりますサイド・ストーリーなど外郭のディティールもきちんと微に細に構築されておりますうえに、展開ごとの盛り上げ方やまとめ方も非常に巧みですねや!
(注4)にございますれば、その間に挟まれますギャグの頻度も濃度もかなり高めやないか!(注5)という次第にございますワイ。


まさに伊集院光氏風に評さば、『これがあれば飯何杯でも!』 というところにございま!
(注6)



ことギャグに関しましては禁じ手というのがございませずエロスからスカトロまでバトル・ロワイヤル状態。かの 『BLEACH』 が、CEOの地位に就かれたり追われたりと去就の変遷激しい某クタラキ氏
(注7)が仰(おっしゃ)いますところの“高級レストラン”(注8)にございますれば、『エア・ギア』 は紛うことなき “餃子の王将” にございましょう――もちろん好意的な意味で(笑)。


また、氏の妥協無きギャグ・センスにては、『ここカッコ付けるところじゃん!』 という大事なシーンにて、見開き全面を惜しみなく使用してネタを炸裂させましたり、並み居る美少女キャラにヒドい顔をさせましたりと、まったくをもちまして村西とおるカントク風に申さば 『ナイスですね〜!』 の連続にございます次第。


またパンク・ムーヴメントにて喩えますれば、 『BLEACH』 がエネルギッシュな中にスタイリッシュなセンスの光るポリスエルヴィス・コステロにございますれば、『エア・ギア』 は良くも悪くも“オリジナル・パンク”の連中にございましょう。それもクラッシュのようなブルー・カラーっぽさは微塵もございませぬ、ダムドセックス・ピストルズよろしき “手のつけられない悪ガキ” 以外の何者でもございますまい。




――まぁ、こうして最終的に第16巻まで買い揃えてしまいましたので、その上で簡単な総括をさせていただきます所存にございますが、そんな連中が抗争を繰り広げます 『エア・トレック』 界は、暴力一色の荒んだヒエラルキーが築かれておりますかと申さばさにあらず、バトルは所属します階層に応じましたルールが設けられておりまして、それとはまた一線を画しまして、公式なギャランテイも発生しますプロフェッショナル競技も存在しましたりと、その舞台設定の幅広さは少年誌には贅沢と思えますほどの精緻さと高い完成度。


ま た、主人公 が“類い稀なる天賦の才 ”を秘めており、『エア・トレック』 界の頂点を極めんと志しますことはまぁセオリーでございますが、その一方で 『エア・トレックの本当の愉しみ方は別にあるのではないか』 と思わしめますことで己れの立ちます状況を見つめ直させ、今後の展開にさらなる奥行きを持たせますあたりも 『その意気やい良し
(注9) にございますワイ。




何 より、各人個性的な登場キャラクターにそれなりの感情移入できますのが、『天上天下』 にはついぞございませんでしたところ。また、それぞれのチームと各キャラごとに風や炎などエア・トレックの特性が設定されておりまして、そちらを活用されました 走法・戦法を駆使しまして闘うそのギミックならびにからくりも面白うございますし、併せてそれぞれの特性を象徴化されましたかのようなメタルフル
(注10)なスタン ド風イメージ・キャラクターまで逐一考案されておられますのまで拝見いたしますれば、

『大暮氏はこちらの漫画に、なんと手間と情熱を注がれておられますのでございま しょう!

と、忌憚なくシャポーを脱がさせていただきました次第。







ちなみに大暮氏の絵柄を拝見しておりますと、そこはかとは無しに、『氏は “江川漫画研究所” 出身者ではございませぬかナ?』 という確信めいた思いが募り来たるのでございます。とくに風景や静物を描かれます際にその観が顕著でして、各キャラクターは辛うじて “眼” の表現が大暮氏独自の筆致を保っておられますので、江川氏と一線を画しておられますのが救い 違い。


そも、吾が輩江川達也氏の絵柄はもともとは嫌いではございませんでしたが、氏の出世作 『BE FREE!』 の “さくら組集結” あたりを江川氏の描写力のピークといたしますれば、次なる “対岩尾組抗争” の後半あたりから目立って 『ああっ女神さまっ』藤島康介氏の画風と俺がお前でお前が俺で もといどっちがどっちの近似性を帯びだされ、吾が輩はそんな頃から拒絶感を禁じ得ませぬようになったのでございますワイ。



その原因は双方でいかなる作用が働きましたが故の “カインとアベル”
(注10)ぶりでございますのか、吾が輩皆目見当がつきませぬが、以降の江川氏が描かれます絵は、 “女性の顔は基本型が3パターンのみ であるとか、“線描に徹されている際は、写実性を狙われておりますのかやっつけなのか判別付け難い” という印象ばかりが強く、現在に至りますまで 『日露戦争物語』 以外の作品にはトンと食指が動きませんでしたワイ。


さすれば大暮氏も、吾が輩の推測通りかの研究所出身でございますれば、いずれ “背景レス”“スクリーン・トーンレス” な原稿に移行していくのでございましょうか、ハテ?
……マァ要らぬ危惧はサテ措きまして、拝読いたしますれば拝読いたしますほど嫌いになれます要素が微塵もございませぬこちら 『エア・ギア』。昨今のマガジン誌作品ではまさしく久方ぶりのスマッシュ・ヒットにございますワイ。



マガジン誌では他に小ヒットを飛ばしました小林 尽氏の 『School Rumble』 がございますが、こちらは
もはや展開としては煮詰まりに煮詰まって灰汁(あく)がメレンゲ状になっておりますにも拘わらず、相も変わらずヌルくて煮え切りません多角関係(注12)をズルズル続けておりますのには、温厚な吾が輩もついつい業を煮やしがちとなりまして、


『オウ播磨の。オドレもワル気取るんやったら、早う天満を力ずくでワガの女にしてソープに沈めんかい(注13)


と、
イラ付きが高じますあまりに萬田銀次郎氏ばりのアドバイスを叫びそうになっておりましたが、『エア・ギア』 はこの気の昂ぶりを抑えます最適の鎮静剤になられますこと請け合いにございますナ。




こうも吾が輩の心の琴線に触れまくりますれば、さればなおさら不可解に思えまして仕方ございませんのが、『エア・ギア』 と 『天上天下』 との間に生じます深くて長い川 もとい読後感の落差の原因。このあたりを次回はジミー・サコタ氏ばり
(注14)の追求をば披露させていただこうかと愚考しております所存にございますワイ。



 

 

注1:という妄想

注2:かの独特のスクリーントーン・ワークと口の開かせ方で

注3:ここも

注4:ここも。

注5:同様に。

注6:なんか疲れますのでこちらで打ち止め。

注7:あんな子供にも判る商売の理屈を無視していれば、至極あたりまえにございましょう。

注8:やや不吉な喩えにございましょうか?

注9:散サマ風(それでも画風は郷氏)

注10:造語。

注11:ジェフリー・アーチャー氏原作。こちらを元に製作されましたTV映画は傑作でございましたワイ!

注12:ラブコメはある程度で関係を成就させ、新展開に持って行くのが吉。

注13:こんなの、もう “スクラン” じゃない……。

注14:結局無罪でございましたナ。

 

 

 

おいお い、そっちじゃないぜ!

 

 

2007.08.17 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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