ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

赤塚不二夫氏大躍進の起爆剤がこちら!

 

2007年10月01日

 

さ て、『 鳴呼、人情喜劇 』 の巻

(指定BGM: 映画 『キンキーブーツ』 サントラより / Yes Sur I Can Boogie )

 

 

先日(注1)やにわに 『初期の赤塚作品拝読いたしたい!』 と思い立ちまして、TSUTAYA Online を検索してみますれば、以前 『天才バカボン』 をコンプさせていただきました竹書房さんから、同シリーズの “完全版” が発売されておりますことを知り得たのでございます。


そもそも竹書房さんからは他にも 『おそ松くん』 と 『もーれつ!ア太郎』 が既刊されておりますが、さるにても “完全版” とはこれいかに? かつて “とんねるず” のリーダーでございます石橋貴明氏がオールナイトニッポンにて、貧乏の喩え話として引き合いに出しておられましたのが、『目玉のお巡りさん』 こと白塚フチ夫巡査一家がたまには贅沢しようという事になり、中華料理店 豪華
(注2) に出掛けるのですが、貧乏なため子供のクツがなく、仕方なしに墨で塗ってどうにか凌ごうとする……というお話なのでございますが、吾が輩がコンプリートしました 『天才バカボン』 は完全版ではございませんためか、ついぞ確認は叶いませんでした次第。


さりとてまたぞろ完全版を全巻揃えます気などさらさらございませんので、ここはやはり 『おそ松くん』 をコンプリートいたしましょうと決心いたしました次第。一方の 『もーれつ!ア太郎』 もまた人情喜劇ではございますものの、かの漫画ではよく 『男を咲かせる』 なるキザなセリフが用いられますのが以前より鼻についておりましたので却下いたしましたのでございますワイ。



……して、臍を固めますれば善は急げ。かの竹書房さんから刊行されております 『おそ松くん ディレクターズカット 完全版』
(注3) は全二十一巻。タイミングよろしく貯まりますポイントもと申しますキャンペーンも行われておりますことから、吾が輩迷わず7冊ずつを3度に分けまして注文致しますべくサイトにログインしますれば……第一波、第二波の手続きを済ませましてサテ第三波の入力に臨みますれば、何故か20巻のみ購入ボタンがグレー。さらにそちらの上には 『通販は扱っておりません の文字が。


『他の全部がきちんと揃っておりますのに、こちらの20巻だけございませんのはこれ如何に?』


と、TSUTAYAさんサイドの周到な嫌がらせをひしひしと妄想しつつ、詮方なしに20巻抜きで注文致しました次第。


――その一方で、SHIBUYA TSUTAYAには全巻たしかに揃っておりました事を思い出しつつ、通販ストックの不備を嘆じておりました吾が輩。されどふと今回購入いたしました20巻ぶんの5倍ポイントを暗算いたしますれば、既存のポイントと併せまして優に1冊頂戴できます額になりますことに思い至りまして、『鳴呼、しつる生得かな』
(注4)と、自宅を舐め尽くします紅蓮の焔を愉悦の表情にて見入ります絵仏師良秀よろしき感嘆をもらしてしまいました次第。


こうして、嫌がらせ転じまして “粋な看守のはからい” となりました今回のお買い物。さらに吾が輩が期待をふくらませますのは、竹書房さんの単行本シリーズには巻末には作品連載当時のエピソードを様々な切り口で載せてくださいますという心憎いおまけがございますコト。

そちらを拝読しまして吾が輩がまさしく晴天の霹靂のごとく衝撃を受けました事実としまして、かの “六つ子” のアイデアは赤塚氏の完全オリジナル・アイディアにございまして、連載開始時はかのある意味医療事故と思えなくもございませぬ、五つ子ちゃんで名を馳せます“排卵誘発剤”が話題になりますしばらく前との事。まったくをもちまして、赤塚氏といい 『ど根性ガエル』 の吉沢やすみ氏といい、

『ナンか非合法なおクスリを服用されておられましたのでは?』

と疑わざるを得ません発想の飛躍ぶりにはただただシャポーを脱ぎますばかり。



そんなこんなでまずは順当に第一巻から読み進みますれば、ペーソスを基調としましたほのぼのとした漫画はやはり心が和みませんはずがございませず、『購入しましてようございましたワイ』 と、吾が輩も憶えず “ホトケのほらふき” 顔に。


ち なみにこちら 『おそ松くん』 の依頼がございました当時、赤塚氏はようやくギャグ漫画家としてお名前が売れ始めましたばかりで、『ここいらで一発当てたい なぁ』 と、並々ならぬ意気込みで引き受けられましたのだとか。ですので “定番キャラ”、“定番ギャグ” と申しますのがまだ存在しませず、それだけに赤塚氏の 『いかにこの漫画で “ギャグの赤塚” の名を日本中に知らしめるか』 という熱意と試行錯誤が読み取れますのが頬笑ましいくらいでございましたワイ。





――して、のちのち六つ子を完全に食ってお株を奪ってしまいますほど成長されましたキャラクターと申しますれば、チビ太氏イヤミ氏の ご両氏にございまことは吾が輩が申し上げますまでもございませぬが、両氏とも開始当時には影も形もございませず、先に姿をあらわしましたのはチビ太氏で、 背格好こそ短躯にございますが頭髪がございまして、ルックスとしましては 『もーれつ!ア太郎』 のガンモに瓜二つにございましたワイ。


イヤミ氏は6巻あたりから “ヤブ医者” 役で散発的に登場と相成りまして、定着いたしますのはその後しばらくいたしましてから。完全版では8巻くらいからになりましょうか。
サブキャラのうちで “デカパン” がもっとも後出となりまして、お名前は誌上での公募に拠られましたご様子。たしかハタ坊が彼らのなかでいちばん早く誌面に登場されたように記憶しておりますが、彼もまた個性的な外観で忘れ得ませぬキャラクターではございますナ。


先の六つ子の発想もそうですが、イヤミ氏の “シェー” もそのヒントの根源を模索しますとなんともサイケデリック。こちらもちなみに最初のうちはポーズが定まりませず、足のあげ方も手の格好もまちまちで 『とにかくハデで笑える驚き方』 を求められました果てにあのポーズに至られましたご様子。



さるにても松野一家……と申しますか六つ子兄弟。毎回さまざまなトラブルに巻き込まれますのは言わずもがなでございますが、場合によりましてはプロ・ボクサーと闘いましたりやくざ一家を向こうにまわして対決されましたりとかなりデンジャラス。それも小学校に通っております時分のお話でございますから、末恐ろしいことこの上ございませぬ。


こ ののちにかの 『天才バカボン』 がマガジン誌で始まりまして、一時期赤塚氏一流のギャグの一環としてサンデー誌の本作と掲載を入れ換えた時期がございましたが、事実上の連載終了はやはりサンデー誌になりますご様子。そ の後少年画報社の 『少年キング』 創刊時の目玉作品として連載されたようで、こちら“完全版”にもいくつか収録されております。


ち なみに吾が輩、いまは無き朝日ソノラマさん刊行の 『おそ松くん傑作選』  なる単行本を、第一巻と第十巻のみと申します変則至極な所持をしておりましたが、そちらと比しまして(←まったくの記憶頼り)、より初期の作品におきまして セリフの “調整” が為されておりますのがよく判りますナ。


やはり文章表現にことさらな目くじらを立てませぬおおらかな時代の漫画でございますゆえ、この世知辛い現代に再版なされますに当たり、竹書房さんとフジオ・プロとの合意のうえでそれなりに穏当な表現に差し替えをなされたそうでございます。



……ちなみに赤塚不二夫氏と申さば、『ギャグの大家』 として名を馳されましたと同時に、どうしようもないアル中 もとい重度のアルコール依存症でも知られておられましたはず。そちらが気になりました吾が輩はネットにて氏の近況をヤフってみましたところ…… 『長年の飲酒が祟り、倒れてからずっと昏睡状態が続いたまま』 と申します記事が。まさかとは思われましても氏の行状を鑑みますれば、けだし至当としか考えられませぬところがなお悲しゅうございますワイ。




シャイ企画  もとい、はにかみ屋の青年が持ち前のギャグ・センスを搾り出すための触媒として服用されましたアルコールが、より過剰な笑いを追求されていきますにつれ摂取 量も増えていきましたことは想像に難くございませぬお話。まさしく赤塚氏が身を削られながら描き綴られました漫画人生でございますが、『おそ松くん』
の頃はまだ知恵は搾られましてもお酒に依存されてはおられませんので、“ほのぼの” と “素朴” な漫画を堪能できますコト請け合いにございますワイ……お客様がたも是非ともご覧あれ。



 

 

注1:本年六月初頭のお話。

注2:お店のお名前。

注3:『ブレードランナー』 最終版 (ハリソン・フォード氏のモノローグが入っている方) を、いずこかで入手いたしたきモノ……。

注4:芥川龍之介氏著 『地獄変』 でおなじみの平安時代の仏教絵画家。
 

 

 

おいお い、そっちじゃないぜ!

 

 

2007.10.01 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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