ほらふきだんしゃくてきぐこーろく

一番最初はフランス映画の 『月世界旅行』 ???

 

2009年01月11日

 

さ て、『 特殊撮影25年  の巻

(指定BGM: サントラ / ブレードランナー・メインタイトル

 

 

さて、『教師生活25年』 は吉沢やすみ氏の代表作 “ど根性ガエル” におけます町田先生の口グセでございますが、そちらはサテ措きましておととし2007年はかの “ブレードランナー” 製作25周年にあたりましてDVD5枚組みのアルティメット・コレクターズ・エデションが発売されました記念すべきお年。

 
すでにそちらからまる一年を経て申し上げますのもナンでございますが、やはりブレードランナーは“凄い”の一言に尽きます名作にございますことを、内封5枚のDVDによりまして吾が輩ひしひしと感じました次第にございます。

 
とくにメイキング風景や未使用画像をふんだんに盛り込まれましたドキュメント 『デンジャラス・デイズ』 はファンなれば垂涎旋回心臓バクバクの “お宝” 映像のオン・パレードにございまして、リドリー・スコット監督の作品に対します創作イメージの奥深さ、そして贅沢さが如実に理解できます “伝説の絵巻物” と申しましても決して過言ではございますまい。

 
未使用映像と申しますのは単純に尺に合わなくなるとか、あるいはストーリーの流れのうえで不要となりましたため使われませんでしたという意味合いばかりで はございませず、わざわざセットを組んで撮影までして結局使用しなかったと申しますのですから、まさしく “北京ダックの肉のほう”
(注1)のような扱いにございますワイ。

 
そのうえ、脚本もスコット監督の構想も撮影を重ねていきますだに変幻していきまして、さらには役者の皆さんから発案されましたアイデアも取り込みますことにより、作品そのものがさまざまなベクトルに膨張し、良くも悪くも無闇に巨大化してしまったのも事実のご様子。

 
そこで、現在セル・レンタルともに流布されております 『ディレクターズ・カット版』 のエンドにございます、レイチェル嬢を連れましたデッカード氏が自宅マンションの前にて同僚ガフ氏のこさえました折り紙を見つけ、同氏のセリフをデッカー ド氏が起想してエンド・ロールと相成るわけでございますが、リサーチ試写にてこちらがあんまりバッサリ感満載でございますのと、冒頭からあまりに’80年代当時の現実世界と乖離し ておりますこと現麻生政権と国民意識のごとしのストーリー展開に、ほとんどのオーディエンスから、


“ガンダム”っつったらおれにとってはファーストだけなんだよ。全部観ている前提で話すなこのデブヲタが!』


的な反応を受けたため、全編にハリソン・フォード氏のモノローグを挿入することとなったのは有名なお話にございましょう
(注2)

 
そして、インターナショナル公開版のラストは山林をドライブするレイチェル嬢とデッカード氏の姿が上空からの空撮に切り替わりましてエンド・ロールとなる のでございますが、こちらのいかにも “取って付けた”観まんまんの映像は文字通り取って付けましたうえに、空撮シーンは故・スタンリー・キューブリック監督から “シャイニング” の余りフィルム
(注3)を拝借して繋げたそうにございます。
 
ちなみにオープニングも別にもう一編作成されておりますのと、処分されますレプリカントの順番も撮影初期段階と入れ替えになっておりますご様子にございますナ。




 
撮影秘話におけましては、誰はなくとも脱走レプリカントのリーダー・ロイ役を務められましたルトガー・ハウアー氏を挙げずにはおられませぬでしょう。氏は もう監督からカメラマンさん、衣装さんやらプロデューサー、果ては主役として共演しましたハリソン・フォード氏や、スコット監督の構築しました映像を観て拒否感を露わにしておられました 原作者、フィリップ・K・ディック氏が、

『この映画で唯一原作イメージと一致しているのは彼だけだ!』

と手放しに絶賛されましたほど、もうどの方面からもベタ褒めされました素晴らしき俳優さんなのでございます。

 
それこそハウアー氏は、吾が輩に “表情のみの演技” をば教えてくださいましたココロのボス もとい師匠にございます。氏の役作りや電気ブラン 演技プランは緻密かつ論理的で、本編のクライマックスにございます、『追い詰めたデッカード氏を見殺しにしない』 あのシーンは、ほとんど氏の構想により成り立っておりますのだとか。マァ細かい部分は 『アルティメット〜』 をお買い上げのうえ、じっくりご堪能いただきたく存じ上げますワイ。

 
他はネタバレを避けますため秘しておきたく存じますが、その中でもこちらにて紹介しましても差し支えがございませぬような ―― “予算が無くって見送りになったシーン”
いわゆる “没ネタ” をば開陳させていただきましょう。

 
お客様がたもご記憶のことと思われますが、ロイたちがタイレル社長とコンタクトの取れる人物を訊きに、とある人造眼球のお店
(注4)の店主をば訪れましたシー ンがございましたナ。超低温かついやにアナログな仕事場にて防寒服を破られた彼は極寒に耐えられず、ついに J・F・セバスチャンの居場所を口を割ってしま いますのでございますが、その後店主の運命はいかが相成ったのでございましょう ―― 辛くも一命を取り留めましたものか、あるいは体温を奪われ尽くされまし て凍死してしまったのでございましょうか。

 
その答えとはこれなん、デッカード氏が追跡してきた時点で店長は立ったまま硬直しており、そちらが倒れてこなごなに砕け散る……というアイデアが監督の頭にはあったそうでございます。

 
他には2019年
(注5)のロスアンゼルスの全景をいかにして組み上げましたか、クロマキー撮影におけます細心の気配りと最新の技術など、美術スタッフがおっしゃいますところの 『アナログ技術時代最高峰の映像美』 とは、まさしく至言と申せましょう。

 
そのしばらく後に、BS2にて 『メンフィス・ベル』 が放映され、劇中にて僚機の操縦室が被弾して搭乗員が空中に投げ出されますシーンがございますのですが、こちらが 『アルゴ探検隊の大冒険』 か、ないしは 『柔道一直線』 のオープニングと見紛いますくらいにチープ二重撮影にございまして、吾が輩をしまして、

『こちらはブレードランナーから10年くらい後の映画では!?』

と、愚眼もションボリな仕上がりにございましたワイ。

 
それでも、かの 『ターミネーター2』 にて液状アンドロイド “T−1000” が登場しましたのが1991年の作品と存じておりますので、 『メンフィス〜』 はその一年前の作品にございますはず。なればいま少しマシな合成もできましょうに…… なにしろ破壊されましたボーイング社B−17の機種と放り出されます搭乗員とが、まるで張り紙のような大空
(注6)を背景にふらふら動いている態にございますのですから、

『ねェ、君たちがいてボクがいる、スター・ウォーズって観たことある?

と訊いてみたくなりますほどのシロウト作業に、吾が輩驚きを通り越しまして切なくなってしまいましたワイ。





 
そう申さば、先日そのスター・ウォーズをエピソード1よりレンタルして拝見いたしましたが、新旧6作にあらためて目を通しますと、隔世の感と申しますか、映像技術の向上は映画の舞台そのもののスケールをばはるかに広めましたナァ ―― と感慨深いものがございましたワイ。

 
されど前3作(エピソード4〜6)と新3作(エピソード4〜6の前)を比しますれば、前3作のほうが動きがぎこちなかったり、特殊メイク臭さふんぷんでも 『世界最先端の技術で頑張ってまっせェ!』 感が強いのに、新3作は 『薄皮一枚剥がれた向こうは虚構のカタマリ』 感をぬぐえませぬのは、やはりCG技術の使い勝手の危うさというものでございましょうか。

 
ちなみにかの 『パイレーツ・オブ・カリビアン』 ならびに 『ロード・オブ・リング』 のそれぞれ三部作もCGを用いられておりますが、いずれも配分よく用いられておられますからかとくに違和感も生じませず、すっかり童心に戻りまして愉しめましたものでございます。

 
『パイレーツ〜』 の中でも第二作 “デッドマン・チェスト” は、イカ顔の幽霊船の船長ディヴィ・ジョーンズが登場しますが、吾が輩はこちらのマスクをば、『おそろしく精巧な特殊メイクでございますナァ――』 と、そのメイキングを拝見いたしますまでCGとは気が付きませんでしたくらい素晴らしい出来栄えで、吾が輩久方ぶりにシャポーを脱ぎました次第。

 
されどディヴィ船長は全身がCGですので、画面合成用の特殊スーツを着用されました中の俳優さん(ステラン・スカルスゲールド氏)に求められます演技力もさる ことながら、一見して 『ちょっとしたヴェテランいじめ』 、あるいはCG合成と見せかけたプレイとも思えなくもございません撮影風景から愚考いたしまするに、いずれ今後は
この様なクリーチャー的な役を演じられます俳優さんは、かの “北京原人” におけます本田博太郎氏ならびに小松みゆき女史なみの強靱な精神力ならびに役者魂も必要とされるのではございませんでしょうか――。

 

 

注1:もちろんお肉もいただけますが。

注2:あの切り口から始まりましたら、原作を既読のお客様でしたらなおさら混乱なされますでしょう。

注3:冒頭のワーゲン・ビートルを追っていくシーン。

注4:一応役名がございましたが失念

注5:あと十年後のお話なのでございますね(笑)。

注6:雲と機体との距離感が問題なのだと思われますワイ。

 

 

おいお い、そっちじゃないぜ!

 

 

2009.01.11 (C)Mephistopheles von Münchhausen

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